『ロボコップ3』:1993、アメリカ

近未来のデトロイト。市政を完全に牛耳り、警察さえ支配していた巨大コングロマリットのオムニ社は、日本企業のカネミツ・コーポレーションに吸収合併された。オムニ社は未来型都市“デルタ・シティ”を建設するため、強制的な土地の収容に乗り出していた。
オムニ社は多発する凶悪犯罪を阻止するという名目で、ポール・マクダゲットを隊長とする都市再建警備隊“リハッブ”を組織した。しかし本当の目的は、武力を行使して容赦無く住民達を開発地域から追い出すことだった。
家を追い出された少女ニコは騒乱の中で両親と離れてしまい、レジスタンス集団の一員バーサに助けられる。元アレックス・マーフィーだったロボコップは、相棒のアン・ルイスと共にレジスタンス集団の潜む教会に向かうが、そこへマクダゲット率いるリハッブもやって来る。
レジスタンスを一掃しようとするリハッブの行動を阻止しようとするロボコップ。しかしルイスがリハッブに射殺され、ロボコップも大きなダメージを負った。ロボコップはバーサ達と共に、レジスタンスの地下アジトへと逃げ込んだ。
ニコはロボコップのメンテナンスを担当していたラザラス博士をアジトに連れ帰った。ラザラスの処置によって回復したロボコップ。一方、カネミツ・コーポレーションが送り込んだ戦闘用サイボーグ“オートモ”が、レジスタンスに迫りつつあった…。

監督はフレッド・デッカー、キャラクター創作はエドワード・ニューマイヤー&マイケル・マイナー、原案はフランク・ミラー、脚本はフレッド・デッカー&フランク・ミラー、製作はパトリック・クローリー、共同製作はジェーン・バーテルム、製作協力はアンディ・ラマーカ、撮影はゲイリー・キビー、編集はバート・ラヴィット、美術はヒルダ・スターク、衣装はハ・ニューエン、特殊効果はロブ・ボッティン、ストップモーション・アニメーションはフィル・ティペット、ロボコップ・ムーヴメントはモニ・ヤキム、音楽はベイジル・ポールドゥリス。
主演はロバート・バーク、共演はナンシー・アレン、ジル・ヘネシー、レミー・ライアン、ジョン・キャッスル、CCH・パウンダー、ブルース・ロック、フェルトン・ペリー、ロバート・ドキ、マイケル・H・モス、マコ・イワマツ、
リップ・トーン、ロバート・ドキュイ、S・D・ネメス、ジェフ・ガーリン、アンジー・ボーリング、ダグ・ヤスダ、シェーン・ブラック、ブラッドリー・ホイットフィールド他。


シリーズ第3作。
もはや第1作でポール・ヴァーホーヴェンが作り出したドス黒い雰囲気は、完全に消え失せてしまった。オムニ社にギラギラした欲望は渦巻いておらず、ロボコップは単なる子供向けヒーローに成り下がってしまった。

ロボコップだけでなく、悪党までもが子供向けになってしまい、陰湿さが全く見えない。
悪の凄味が薄いから、それに立ち向かう正義の姿も全く生きてこない。
悪党かと思ったカネミツ会長なんて、お辞儀してロボコップに謝ったりする。

もはや当然のように警察に溶け込んでいるロボコップ。
警官とロボコップの微妙な関係とか、人間とロボットの間で自己存在について悩むロボコップの姿とか、そういったモノは完全に消えている。
暴力描写も軽いものになり、いかにもハリウッド的で健康的なSFになっている。

警察には警護用のロボットがあるのだが、なぜかニコがコンピュータを使って操ってしまう。ロボコップとルイスはリハッブと撃ち合いになるが、なぜか知らないが防弾チョッキを着けていなかったルイスが撃たれて死亡する。
御都合主義の展開が多く見られる。

ドーナツショップに強盗が入ったら、客が全て警官。
オムニ社で社員が会社の危機的状況を話し合っている後ろで、男が飛び降りる。
そんな風に、所々で笑いを意識した演出が見られる。
これは2作目の流れを汲んでのことだろう。

カネミツ本社には鎧が飾ってある。
で、オートモは力士のように“まわし”だけの姿で鎮座している。
オートモは一応、忍者ロボットらしい。
だが、見た目は完全に普通の人間だし、別に忍者装束を着けているわけでもない。
刀を持った、暴れん坊の日系人といった風にしか見えなかったりする。

オムニ社の卑劣な指示に反抗し、警官達が一人ずつバッジを置いて立ち去っていく場面はカッコイイのだけれど、警官達がオムニへの反発を深めていく過程がきっちりと描かれていないので、その場面だけが浮き上がってしまう。

ロボコップの動きはドタバタするばかり。
空を飛ぶのが今回のセールスポイントなのだろうが、どうせバレバレの合成だし、飛行能力が新しい効果を生むことも無い。
対抗するオートモは、刀をブンブン振り回すばかり。
殺陣のカッコ良さを全く出せていない。

で、しかもオートモを倒すのはロボコップではない。
2体のオートモとロボコップが対決するのだが、ニコとラザラス博士がコンピュータを使ってオートモの機能に障害を与え、同士討ちにさせる。
つまりオートモは自滅するのであり、ロボコップは全く見せ場が無いのである。
ダメじゃん。

 

*ポンコツ映画愛護協会