『ロボコップ2』:1990、アメリカ

近未来のデトロイト。オムニ社に牛耳られた警察では賃金の大幅カットに怒った警官達がストを起こしている。街では強力な新種の麻薬“ヌーク”を常用する者達による凶悪犯罪が急増している。市の財政は厳しく、オムニ社から融資を受けている。
オムニ社の会長オールドマンはデトロイト市乗っ取りを画策し、ロボコップ2の製作を急がせていた。開発部に新しく加わった女性心理学者のファックス博士は、警官からサイボーグ候補者を選ぶのではなく、もっと広範囲の中から選ぶべきだと進言する。
一方、元アレックス・マーフィーだったロボコップは、相棒のアン・ルイスと共にヌーク密造団のボスであるケインを追っていた。ロボコップは密造団のアジトを急襲するが、ケインの手下に破壊され、バラバラにされてしまう。
ファックス博士はロボコップのプログラムを勝手に改造し、不可思議な行動を取らせるように細工する。さらに彼女はロボコップ2の候補者として札付きの極悪人で正義感のかけらも無い男を選び出す。彼女が選んだのはケインだった。
ファックス博士は重傷を負って入院していたケインを殺害。中枢神経にケインの脳を搭載したロボコップ2を作り出す。オールドマン社長は記者を集め、ロボコップ2のお披露目を行う。だがロボコップ2は暴走し、制御不能に陥ってしまう…。

監督はアービン・カーシュナー、キャラクター創作はエドワード・ニューマイヤー&マイケル・マイナー、原案はフランク・ミラー、脚本はフランク・ミラー&ウォロン・グリーン、製作はジョン・デイヴィソン、製作総指揮はパトリック・クロウリー、撮影はマーク・アーウィン、編集はアーメン・ミナシアン&リー・スミス&デボラ・ゼイトマン、美術はピーター・ジェイミソン、衣装はロザンナ・ノートン、音楽はレナード・ローゼンマン。
主演はピーター・ウェラー、共演はナンシー・アレン、ダニエル・オハーリー、ベリンダ・バウアー、トム・ヌーナン、ガブリエル・デイモン、
ロバート・ドキュイ、フェルトン・ペリー、トーマス・ロザレス、ジョン・グローヴァー、ジョン・ドゥーリトル、ロジャー・アーロン・ブラウン、マーク・ロルストン、ブランドン・スミス、マイケル・メディロス、ギャリン・ゴーグ、ジェフ・マッカーシー他。


2作目となり、監督がポール・ヴァーホーヴェンからアーヴィン・カーシュナーに交代。
カーシュナーは『ネバーセイ・ネバーアゲイン』や『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』を撮った監督だが、ヴァーホーヴェンの後を継ぐのは少し荷が重過ぎたかもしれない。

しかし、前作の持つ雰囲気を引き継ごうとする意識は強く感じられる。
例えば、出てくる奴は、ほとんどがセコい悪党だ。グロテスクな部分もちゃんとあって、バラバラにされて上半身だけになったロボコップなんてのも登場したりする。

暴力描写などは、前作より過激になっているかもしれない。
とはいえ、ダークな演出というよりは、エンターテインメント映画としてヴァイオレンスシーンを派手にヴァージョンアップしてみた、という感じだ。
その辺りは、ヴァーホーヴェンとは意識が随分と違う。
序盤に登場するバカでかい銃などは、いかにも特撮映画の雰囲気を持っている。

今回も前作に続き、悪玉の親分オールドマン会長は何の傷も負わない。
で、フォックス博士も生き残る。
前作よりも「憎まれっ子、世にはばかる」度数は上がってる。
ちなみにフォックス博士、前作の悪人リチャード・ジョーンズと同じ役回りのキャラクターで、性格も行動もほとんど同じ。ただ性別が変わっただけ。

今回は、ホブというガキンチョも悪党として登場。
麻薬密売に、殺人にと、なんでもアリ。
しかし、そんな極悪人のガキンチョであるホブが、死ぬ寸前になると、地獄行きが怖くなったのか、急に同情を買うようなキャラクターになろうとする。
いかにもハリウッド的ではあるが、それは無理がありすぎるだろ。
最後まで、ちゃんと悪党として死ぬべきだった。

ロボットは、相変わらずカクカクしたコマ撮りムーヴィング。
ポイントは、悪党ロボットの名前がロボコップ2だということだろう。
映画のタイトルもロボコップ2。
なるほど、この作品の主役はロボコップではなく、ロボコップ2なのである。

 

*ポンコツ映画愛護協会