『ランダム・ハーツ』:1999、アメリカ

ダッチ・ヴァン・デン・ブロックは、ワシントンD.C.警察の内務調査室に勤務している。現在、彼は相棒のアルシーと共に、警官ジョージ・ビューフォードの汚職事件を調査している。妻のペイトンは、デパートのファッション・コーディネイターをしている。
一方、ニュー・ハンプシャー州選出の下院議員ケイ・チャンドラーは、再選を目指して選挙運動中だ。彼女は大実業家コーネリアスが次の選挙に出馬することを知り、メディア担当のカールと共に対策を練ることにした。夫のカレンは、弁護士をしている。
ある日、ペイトンは急な出張で、マイアミ行きの飛行機に乗った。同じ飛行機に、カレンも乗り込んだ。その飛行機はチェサピーク湾に墜落し、乗っていた全員が死亡した。ペイトンとカレンは、チャンドラー夫妻という名義で隣り合わせに座っていた。
ダッチは、妻が事故機に乗っていたことを知った。ペイトンの職場を訪れたダッチは、出張など無かったことを聞かされる。ダッチは、本当のチャンドラー夫人であるケイに接触した。だが、ケイは非協力的な態度を見せ、多くを語ろうとはしなかった。
ダッチは、ペイトンとカレンが予約していたマイアミのホテルへと向かった。彼がバーで飲んでいると、そこにケイが現れた。2人はラテン・クラブに入り、タンゴを踊る男女の姿を見た。ワシントンへ戻ったダッチとケイは、やがて山小屋で肉体関係を持つ…。

監督はシドニー・ポラック、原作はウォーレン・アドラー、脚本はカート・ルーデック、製作はシドニー・ポラック&メアリーケイ・パウエル、製作総指揮はロナルド・L・シュワリー&ウォーレン・アドラー、撮影はフィロップ・ルースロ、編集はウィリアム・ステインカンプ、美術はバーバラ・リング、衣装はバーニー・ポラック、音楽はデイヴ・グルーシン。
出演はハリソン・フォード、クリスティン・スコット・トーマス、チャールズ・S・ダットン、ボニー・ハント、デニス・ヘイズバート、シドニー・ポラック、リチャード・ジェンキンス、ポール・ギルフォイル、スザンナ・トンプソン、ピーター・コヨーテ、ディラン・ベイカー、リン・シグペン、スーザン・フロイド、ビル・コッブス、ケイト・マーラ、アリアナ・トーマス、ネルソン・ランドリュー他。


ウォーレン・アドラーの小説を映画化した作品。
ダッチをハリソン・フォード、ケイをクリスティン・スコット・トーマス、アルシーをチャールズ・S・ダットン、ケイの友人ウェンディをボニー・ハント、ジョージをデニス・ヘイズバート、カールをシドニー・ポラックが演じている。

この作品、前半の感じは、完全にサスペンスなのよね。
だから、どういう真実が見えてくるのかと考えてしまう。
でも、実は、サスペンスなんて、どうでもいい作品だったりする。
これ、完全にラブストーリーなのよ。ってことは、「サスペンスと見せ掛けてサスペンス無しよ」という、まるっきり肩透かしを食らわされた気分になってしまう。

カレンとペイトンの秘密を探るという部分が大きいような始まり方をしておいて、それがダッチとケイを結びつけるエサでしかないってのは、作り方としてマズイでしょ。
で、「カレンとペイトンは不倫していた」という、誰でも序盤で気付くような事実があるだけで、それ以上の秘密なんて隠されていないので、ダッチが探った意味も大して無いし。

そう、ダッチの調査って、「それで?」と言いたくなるのよね。
ケイに「ペイトンとカレンが不倫していた」という事実を告げて、2人がいつから不倫していて、どういう将来のプランを立てていたのかを知ったとして、どうなるのよ。アンタ、何がしたいのよ。
ケイの所へ押し掛けて行って、相手の感情を逆撫でするようなことを言って、いったいダッチは彼女にどうしてほしいんだろう。無責任で身勝手な男の嫌がらせにしか見えないぞ。
あと、テメエが奥さんに浮気されてイライラしてるのかもしれんが、やたら他人に対して偉そうだよな。ホント、魅力が無い男だ。まあ、ケイにも魅力は無いけど。

あと、カレンとペイトンの秘密だけじゃなくて、ダッチの内務調査の仕事とか、ケイの選挙運動の動きもあるんだけど、そういうのも、ほとんど関係無い。で、ほとんど関係無いくせに、そのラインが、やたら自己主張しちゃうもんだから、バランスが悪いこと。
で、ダッチとケイのロマンスだが、しっとりとした大人の恋愛を、じっくりと描きたいんだろうけど、辛気臭い男女の恋愛を、うんざりするように描いているようにしか感じられない。
なんかねえ、暴走男&くたびれ女の、退屈な傷の舐め合いとでも言えばいいのか。

ラテン・クラブでダンスを見た2人が惹かれ合うってのが、完全に理解不能。
急に色ボケになったようにしか見えない。
どうやら「ペイトンとカレンの不倫を重ね合わせた」という理由があるらしいが、説明されなきゃ分からん。
いや、それを説明されても、それで、なんで惹かれ合うのかは分からん。
ものすごい唐突感と違和感。

 

*ポンコツ映画愛護協会