『ロックアウト』:2012、アメリカ

2079年、ワシントンDC。CIA工作員のスノーはNSA長官のスコット・ラングラルに拘束され、彼の部下であるルパートの暴力を受けていた。ラングラルはスノーに対し、「モーテルで何があった?」「大佐をどうした?」などと尋ねた。スノーはモーテルでの出来事を回想する。彼は襲ってきた男を射殺した後、相棒であるメイスからの電話連絡で「奴らが裏切った。すぐ逃げろ」と告げられた。瀕死の状態で倒れているフランクは、「奴らにケースを渡すな」とスノーに告げて死んだ。
スノーは警官隊の銃撃から逃亡し、メイスの指示した地下鉄の駅へバイクで向かった。駅に到着した彼は、メイスの乗る地下鉄の車両にケースを滑り込ませた直後に捕まった。ラングラルはスノーに、「大佐は我々の宇宙計画の機密情報を売っていた」と告げる。スノーは自分が大佐を射殺する監視カメラの映像を見せられるが、殺していないと否定する。彼はラングラルに、「大佐はアンタらを疑い、外部の人間である俺に応援を求めた」と述べた。
メイスはコインロッカーにケースを隠した直後、人とぶつかって拳銃を落とした。その拳銃の暴発で警官が死亡したため、別の警官が逃亡を図るメイスを撃った。取調室にはCIA局員のハリー・ショーが現れ、ラングラルは外に出てマジックミラーから様子を観察した。スノーはラングラルにバレないよう、机にメイスの名前を書いた。ハリーは取調室を出ると、メイスという男を捜すよう部下に電話で指示した。大統領執務室地下作戦本部を訪れたラングラルは、ウォーノック大統領から「上手くやってくれ」と告げられた。
大統領令嬢のエミリーは、人道支援活動の一環として宇宙刑務所のMS-1へシャトルで向かっていた。案内役を務める刑務所長のバーンズは、実験段階のMS-1が500人の凶悪犯を収容していることを説明した。MS-1では受刑者を冷凍睡眠させるため、暴行や暴動が起きない安全な場所だとバーンズは説明する。しかしエミリーは、凶暴化や精神障害が懸念されていることを指摘した。シャトルは建設作業中のMS-1に到着し、エミリーたちは中に入った。
MS-1の出資者は宇宙開発業者であり、宇宙環境での人体実験ではないかという疑惑が持たれていた。それについてエミリーが尋ねると、バーンズは「ただの雇われ所長なので、世界企業の思惑までは分かりません」と告げた。エミリーたちは一般房を通過し、面会室へ移動した。同じ頃、スノーはラングラルから、MS-1で30年の収監という刑罰を通達された。エミリーはハイデルという囚人と面会するが、彼は反抗的な態度を取り続けた。護衛係のホックが力で捻じ伏せようとすると、ハイデルは彼の銃を奪った。ハイデルは看守に発砲し、面会室では爆発が起きた。
ハイデルは制御室へ行き、職員に全カプセルを開けさせてから射殺した。解放された囚人たちは暴動を起こし、次々に看守を殺害する。アレックスはエミリーを襲っている弟のハイデルを見つけて取り押さえ、「この女や職員たちが切り札になる。無駄遣いするな」と叱責した。LOPD(低軌道警察署)の偵察機がMS-1に近付くと、ハイデルは機関砲の発射ボタンを押そうとする。アレックスが「触るな」と注意したのを聞き入れず、ハイデルは機関砲で偵察機を撃ち落とした。アレックスに「遊びじゃないんだぞ」と怒鳴られたハイデルは詫びを入れるが、実際は全く反省していなかった。
ラングラルはホックからの通信を受け、暴動の発生を知った。彼はウォーノックに報告し、「6時間以内に緊急部隊を送れます」と言う。するとハリーは「下手に部隊を送ればお嬢さんが殺される」と告げ、救助の任務を与えてスノーを送り込むよう提案した。スノーは任務を断るが、ハリーがラングラルにバレないよう「メイスがMS-1にいる」と教えたので、引き受けることにした。彼がシャトルに乗り込むと、ハリーは大統領一家に健康状態を示す発信機が付いていること、エミリーは少し出血しているだけで命に別条が無いことを語った。脱出の方法についてラングラルは、レベル5にある脱出ポッドを使うよう指示した。
アレックスはMS-1から逃げ出そうとして反抗した囚人と揉み合いになり、怪我を負った。エミリーが医師の身分証で訪問していたため、彼は治療を要求した。ラングラルはLOPDに到着し、アレックスが交渉人を要求していることを知らされる。モニターが付いてアレックスが姿を見せると、ラングラルは自分が指揮官だと告げる。アレックスは「思い違いをするな」と言い、モニターを切った。画面を見ていたスノーは、「エミリーが大統領の娘なのはバレてない。気付いたら何か言うはずだ」と口にした。
アレックスは再びモニターを繋ぎ、バーンズを宇宙空間へ放り出して「次のショーは1時間後だ」と告げた。交渉人がMS-1へ赴き、要求を受け入れる代わりに人質1名を解放するようアレックスに持ち掛けた。「女性で怪我人が望ましい」という言葉を受け、アレックスはエミリーを選ぶ。彼女に執着しているハイデルは「その女は駄目だ」と言うが、アレックスは「もう決めたんだ」と告げる。交渉人が「彼女は怪我もしてる」と言うと、ハイデルはエミリーの助手であるキャスリンを撃った。「怪我人なら誰でもいいんだろ」と彼は笑うが、キャスリンは死亡した。
宇宙服のスノーがMS-1に入ろうとする様子を監視役の囚人が発見したため、報告を受けたアレックスは交渉人を銃殺した。エミリーを手下に連行させた直後、アレックスは彼女の正体を知った。MS-1に入り込んだスノーは、エミリーとホックの監視役と戦いになった。スノーは監視役を始末するが、エミリーに消火器で殴り倒された。ホックはエミリーを連れて部屋に飛び込み、扉を閉めた。スノーはハリーに通信を入れ、「彼女は無事だ。救出部隊を送れ。俺は他にやることがある」と告げた。
スノーはコンピュータを操作し、メイスの居場所を調べた。ハリーは窒素が漏れていることを知り、スノーに「このままだとエミリーが5分で死ぬ」と救助するよう指示した。アレックスは手下を引き連れて部屋へ行き、技術者を呼んでドアを開けさせようとする。スノーはハリーの指示を受け、換気口を通って部屋に潜入した。倒れているエミリーを発見した彼は、AEDや薬物注射で蘇生させた。スノーはエミリーを連れて、天井から脱出した。
アレックスが通信を遮断したため、スノーはLOPDと連絡が取れなくなった。エミリーは「人質を置いて行けない」と言うが、スノーは「君の救出が任務だ。用を済ませたら脱出する」と告げる。アレックスはLOPDと通信し、ラングラルに「娘は預かったと大統領に伝えろ」と述べて要求を出す。彼は手下たちを引き連れ、エミリーを捜索することにした。アレックスは同行したがるハイデルに「お前は残れ。俺がいない間にバカな真似はするなよ」と釘を刺した。
スノーは囚人服に着替え、エミリーを男装させて一般房へ向かう。しかしメイスは見つからず、囚人たちに偽装がバレて逃げ出した。2人が一般房を抜けて扉を閉めると、そこにメイスがいた。しかしメイスは冷凍睡眠の後遺症で痴呆の症状が出ており、ケースのことも全く覚えていない様子だった。エミリーは「彼はここにいた方が安全よ」と言うが、スノーはメイスを連れて行くことにした。しかしMS-1が宇宙ステーションと激突した影響で緊急扉が閉まり、メイスは閉じ込められて死亡した。
ラングラルはLOPDの技術者から、技師の制御が無くなったMS-1は軌道を外れていること、あと8時間で東海岸へ墜落することを知らされる。スノーは1つしか無い脱出ポッドにエミリーを乗せ、「もう1つある。俺も後から行く」と嘘をついて脱出させようとする。しかし、エミリーは無人の脱出ポッドを発射させ、スノーに「私がいれば人質は死なない。父は攻撃しない」と言って人質救出の協力を要請する。スノーが「無理だ」と告げると、エミリーは「メイスはケースの場所を知ってた」と口にした。
エミリーは「メイスが最後の言葉で私に教えた」と嘘をつき、スノーに「教える代わりに人質を助けて」と持ち掛けた。一方、待機していることに耐えられなくなったハイデルはモニターのスイッチを入れ、エミリーに向かって「戻って来い」と要求した。彼は人質を射殺し、「居場所を教えないと3秒ごとに人質を殺す」と脅した。エミリーがレベル3にいることを教えると、ハイデルは残りの人質を射殺してモニターを切った…。

監督はスティーヴン・セイント・レジャー&ジェームズ・マザー、原案はリュック・ベッソン、脚本はジェームズ・マザー&スティーヴン・セイント・レジャー&リュック・ベッソン、製作はマルク・リベール&ライラ・スミス、撮影はジェームズ・マザー、編集はカミーユ・ドゥラマーレ&イーモン・パワー、美術はロメク・デルマタ、視覚効果監修はリチャード・ベイン、視覚効果プロデューサーはパク・ソナ、衣装はリヴィエ・ベリオ、音楽はアレクサンドル・アザリア。
出演はガイ・ピアース、マギー・グレイス、ピーター・ストーメア、ヴィンセント・リーガン、ジョセフ・ギルガン、レニー・ジェームズ、ジャッキー・イド、ティム・プレスター、マーク・タンカースリー、アンヌ=ソレンヌ・ハッテ、ピーター・ハドソン、ニック・ハーディン、ダン・セイヴィア、ボヤン・ペリッチ、エヴァン・ティモシー・モーゼス、グレッグ・デ・キュア、トム・ケリー、ダリル・フィデラク、ミオドラグ・ステファノヴィッチ、チャールズ・ロバートソン、マイケル・ソプコ、ヤン・ドロン、ヴァンジャ・ラシン、マルコ・ヤニッチ、ステファン・ブズロヴィッチ、ピーター・チャフェイ、ボヤナ・ブレゴヴィッチ他。



『コロンビアーナ』『96時間』のリュック・ベッソンが原案&共同脚本&製作を務めた作品。
2人の監督の内、スティーヴン・セイント・レジャーはCMディレクターとして活動してきた人で、これが初の映画監督。
ジェームズ・マザーは撮影監督として短編映画とCMを中心に活動してきた人で、2004年に短編映画『Prey Alone』を撮っているが、長編の監督は初めて。
スノーをガイ・ピアース、エミリーをマギー・グレイス、ラングラルをピーター・ストーメア、アレックスをヴィンセント・リーガン、ハイデルをジョセフ・ギルガン、ハリーをレニー・ジェームズ、ホックをジャッキー・イド、メイスをティム・プレスターが演じている。

まず序盤のシーンが無駄に分かりにくい。
スノーは何の目的でモーテルへ行ったのか。なぜ1人で行動しているのか。メイスは「奴らが裏切った」と言うが、その「奴ら」とは誰なのか。襲ってきた男は何者なのか。
ケースの中身は何なのか。ラングラルの言う「大佐」とフランクは同一人物なのか。そうだとして、そのフランクは何者なのか。
CIA工作員だとしたら、スノーが自分を「外部の人間」と言うのは変だ。NSAがCIA工作員を拷問するのは問題にならないのか。
取調室に来た男は何者なのか。上の粗筋では「CIA工作員のハリー・ショー」と書いたけど、それは後から分かることであって、その時点では分からない。

とにかく、無駄にゴチャゴチャしていて分かりにくいので、その段階で話に乗って行く気持ちがイマイチ高まらない。
たぶん、あえて謎めいた入り方にしているんだろうとは思うよ。だけど、あまりにも謎が多すぎる。
っていうか、謎めいているんじゃなくて、単に説明不足だと感じるし。
ケースの中身に関してはミステリーでいいけど(そこはマクガフィンみたいなモンだから最後まで謎でも構わないし)、それ以外の部分は説明しても全く支障が無いでしょ。

ラングラルが大統領執務室を訪れたウォーノックと会った後、エミリーがMS-1を訪問する様子が描かれる。
ハイデルが面会のために冷凍睡眠から解放されるシーンの後、スノーがラングラルから刑務所送りを通告されて注射で眠らさせる様子が描かれる。
でも、そこは先にスノーが刑務所送りを通告される様子を描いて、それからエミリーのMS-1訪問&暴動までを一気に片付けた方が構成としてはスッキリする。
それと、どうせスノーはハリーから任務を要請されるので、注射で眠らされる手順は全くの無駄。

エミリーやバーンズたちがMS-1に到着した時、職員が入り口で銃を預けるシーンがある。
しかし、一般房を抜けて面会室へ行こうとした時にホックが「あの部屋を見せてくれ」と言うと、バーンズが「銃を預けてくれ」と告げる。
ってことは、さっきの場所で彼は銃を預けていないってことだ。
なぜ他の職員が銃を預けているのに、ホックは銃を預けなくても通過できたのか。だったら他の職員が銃を預けた意味は何なのか。

で、なぜか分からないけど一般房を見たがったホックは銃を預けるのだが、実は一丁だけ足首に隠したまま持ち込んでいる。
それを職員が全く見抜けないって、どんだけ警備が杜撰なんだよ。金属探知機とか無いのかよ。
そんで面会室でハイデルがホックの銃を奪うと別の職員が銃を撃ってるけど、そいつも普通に銃を持ち込んでいるのかよ。
どうなってんだよ。誰がどこで銃を預けなきゃいけないというルールはハッキリと決まってないのかよ。

エミリーがハイデルと面会する際、なぜホックがハイデルのいる部屋に入っているのかサッパリ分からない。
そっちに誰かがいる方が絶対にリスクがデカいはずでしょ。そもそもホックはエミリーの警備係として同行しているんだから、彼女の近くにいるべきだし。
そこは「ホックの隠し持っていた銃をハイデルが奪う」という展開に持って行くために、無理をさせていることが露骨に分かっちゃうぞ。
そもそも、よりによって囚人の中でも際立って暴れん坊のハイデルを面会の相手に選んだのは誰で、どういう理由でのチョイスなのか。

それと、面会室があるってことは囚人はずっと冷凍睡眠になっているわけじゃなくて、面会のために起こされることもあるわけでしょ。だったら、その時に暴れるリスクは付いて回るはずで。
しかし、そういうことに対する備えが全く出来ていない。
たった1人の囚人が1丁の拳銃を奪っただけで、簡単に刑務所が乗っ取られちゃうって、どんだけ警備システムがユルユルなんだよ。
ハイデルは楽々制御室に入り込み、そこには1人の職員しかいない。その職員が脅されると、全てのカプセルが簡単に解放される。
なんで所長しか開けられないようにしてあるとか、二重のロックが掛けられていると、そういう形にしておかないんだよ。

囚人たちは冷凍睡眠から解放されたばかりなのに、すぐに看守を襲っている。
つまり、そういう体力と判断力が瞬時に回復していることになるが、んなわけねえだろ。
それに、後半に入るとメイスの痴呆に関してエミリーが「冷凍睡眠の後遺症」と説明しているが、だったら他の囚人に同じ症状が全く見られないのは、どういうわけだよ。メイスなんて収監されてから短時間しか経っていないはずなのに、かなり長く収監されている連中が解放された瞬間から元気一杯なんだぜ。
あと、メイスってスノーより後に捕まっているはずなのに、なんで先に収監されているんだよ。
しかも、警官は暴発で死んだだけだから、メイスが凶悪犯としてMS-1に送られるのも変だし。

アレックスが指示を出すと、なぜか他の囚人たちは素直に従っている。
数多くの囚人たちが収監されている中で、なぜアレックスを他の連中が最初からリーダーとして認めているのか。
冷凍睡眠されているから、刑務所生活の中でヒエラルキーが決まっていたとか、そういうことも無いはずでしょうに。
収監される前からアレックスが特別扱いされるような犯罪者だったという設定があるわけでもないし。

科学考証とかSFとしての意匠はチョー適当だが、そういうトコに対する意識が皆無なのは別に構わない。
そもそも、この映画って、ようするに『ニューヨーク1997』みたいな話をやりたいだけなのよね。だから宇宙に刑務所があるという設定なんて、何の必要性も無い。それに、近未来の話じゃなくて、現代の設定でも全く支障は無い。
とは言え、必要性が無くても、ギミックとして持ち込むのは悪くない。
だが、持ち込んでおきながら全く活用できていないんだから、やっぱり無意味ってことになる。

スノーに「メイス&ケースの捜索」という目的を与えてあるのは、明らかに失敗だ。
エミリー救出という任務があるんだから、そこに集中させるべきでしょ。別の目的を用意しても、それによって話に厚みや広がりが生じることなんて全く無いぞ。ただ話が散らかるように邪魔をしているだけだ。
スノーを普通にダーティー・ヒーローとして動かしておけばいいのよ。
そうなると完全に『ニューヨーク1997』になっちゃうけど、そこの設定を変えたところで、どうせ類似性は避けられんよ。
何しろ、ジョン・カーペンター監督から盗用ってことで損害賠償請求訴訟を起こされちゃうぐらいだし。

スノーが囚人に見つかって、それによってアレックスが交渉を打ち切って交渉人を殺害するって、すんげえバカな展開でしょ。
それって、つまりスノーのせいで人が殺されたことになるわけで。なんで交渉人を送り込む作戦とスノーを差し向ける作戦を同時進行で進めようとしているのかと。
そもそもハリーだけでなくラングラルも、スノーを送り込む作戦を了承していたはずでしょうに。
だったら、その作戦を進めろよ。そして交渉作戦を取るのなら、とりあえずスノーは待機させておけよ。

スノーがエミリーを連れて換気口を移動する際、ハリーが指示を出している声が、なぜかアレックスに漏れている(あのエコーは、刑務所に響いているってことだよな)。
だから指示していることがバレて通信を遮断されるんだから、まず「なぜ音声が漏れているのか」という疑問があるし、それを置いておくとしても、「通信が漏れているなら、そのままにした方がいいだろ」と言いたくなる。
そうすりゃスノーとエミリーの居場所が分かるんだから、そっちの方がアレックスにとっては有益だろうに。

後半、「MS-1は技師が常に制御していないと軌道を外れる」ということが明らかになり、その技師が殺されたことで軌道を外れて墜落の危機を迎えるんだけど、どんだけボンクラな施設なんだよ。なんで自動制御にしておかないんだよ。
っていうか、常に技師が制御しなきゃ軌道を外れるってことは、その時点で施設として欠陥品だろ。そんなトコに大勢の凶悪犯を収監するって、どういうセンスなんだよ。
で、終盤に入るとハリーがスノーに「エミリーの救出は諦めて脱出しろ」と言い出したり、娘の救出を求めるウォーノックがラングラルから大統領権限を剥奪されたり、敵が仲間割れしてハイデルがアレックスを殺害したり、スノーがアレックスを倒さないままエミリーと脱出したり、色々とグダグダなことになっている。
えっ、それ以前からグダグタになっているって?まあ、そう言われると否定は出来ないかな。
まあ原案と共同脚本がリュック・ベッソンだから、それも当然っちゃあ当然だろう。

スノーたちがMS-1から脱出しても、まだケースのことが残っているんだけど、それはエミリーが「実はメイスが隠し場所を喋っていた」と気付いて地下鉄構内のコインロッカーを見つけ出す。
っていうか、観客はメイスがコインロッカーに隠したのを最初から知っているので、「まあ、そうだろうね」としか思わない。そこに隠したと思わせて意外な場所に隠したとか、そういうことでもあれば別だけど。
そんで、その後にはハリーがケースを開けて、スノーの「なぜ暗証番号を知っている?」という指摘で裏切り者だったことが露呈する。すんげえバカである。あと、もはやハリーが裏切り者かどうかなんて、どうでもいい要素なんだよな。
それと、スノーがフランクを射殺した問題については、「鏡に写った2人を窓の外から見ていたラングラルが誤解した」という真相が明らかになるが、そもそも死体や銃弾をマトモに捜査すれば最初の段階で冤罪は晴れていたはずだろうに。どんだけボンクラなんだよ。

あと、ハリーが裏切り者で、MS-1が人体実験に使われていることを示す機密資料がケースに入っていたのなら、彼の行動は整合性が取れていないんじゃないか。
まずスノーをMS-1へ送り込むのは、「メイスを見つけてケースの隠し場所を聞き出すため」という目的があるから理解できる。
でも、スノーがMS-1に侵入すると、メイス捜索よりもエミリー救助を優先させるような指示ばかり出す。そんで終盤に入ると、「エミリーの救助は無理だから脱出しろ」と命じる。
まだケースの隠し場所が分かっていないのに、それでいいのか。
結局、ハリーが何をしたかったのか、イマイチ良く分からないことになってる気がするぞ。

(観賞日:2015年7月2日)

 

*ポンコツ映画愛護協会