『ラストサマー2』:1998、アメリカ

ボストンの大学に通うジュリーは夏を迎え、悪夢に悩まされるようになっていた。彼女は2年前、恋人レイ、友人のヘレン、バリーと共に車で人をはねる事故を起こした。彼女達は遺体を海に沈めて、4人だけの秘密にしようと誓い合った。
しかし、死んだはずの被害者ベン・ウィリスは生きており、1年後の7月4日に「去年の夏、お前たちが何をしたか知っている」と書いた手紙をジュリーに送り付けた。彼はフィッシャーマンとなってジュリー達に襲い掛かったが、海に沈んで死亡したのだった。
ある日、ジュリーのルームメイトであるカーラがラジオ番組の懸賞に当たり、4人分のバハマ行きのチケットを手に入れた。ジュリーは故郷サウスポートで漁師をしているレイを誘うが、仕事が忙しいと断られてしまう。思い直したレイはジュリーの元へ向かおうとすが、フィッシャーマンにソックリの男に襲われて重傷を負う。
ジュリーはカーラ、カーラの恋人タイレル、タイレルの友人でジュリーに思いを寄せる友人のウィルと共にバハマへ向かう。彼女達はバハマ島のタワー・ベイに到着するが、ハリケーンの接近で他に客はいなかった。やがてホテルでは、何者かによって次々に従業員が殺されていく。そして、ジュリーにも死の危険が迫る…。

監督はダニー・キャノン、脚本はトレイ・キャラウェイ、製作はニール・H・モリッツ&エリック・フェイグ&ストークリー・チャフィン&ウィリアム・S・ビーズリー、撮影はヴァーノン・レイトン、編集はペック・プライアー、美術はダグ・クレイナー、衣装はダニエル・J・レスター、音楽はジョン・フリーゼル。
出演はジェニファー・ラヴ・ヒューイット、フレディ・プリンゼJr.、ブランディー、メキ・ファイファー、ミューズ・ワトソン、マシュー・セトル、ビル・コッブス、ジェニファー・エスポジート、ジェフリー・コムズ、ジョン・ホークス、Ellerine、ベンジャミン・ブラウン、レッド・ウェスト、マイケル・P・バーン、マイケル・ブライアン・フレンチ、ディー・アン・ヘルセル、ジョン・ハリントン他。


『スクリーム』の絞りカスだった『ラストサマー』の続編。
前作からは、監督も脚本家も替わっている。
どうやら製作サイドは前作をそのままに受け継ぐつもりは全く無かったらしく、前作とは辻褄が合わないような部分が幾つか見られる。
キャストは前作と同じくジュリー役のジェニファー・ラヴ・ヒューイットやレイ役のフレディ・プリンゼJr.、フィッシャーマン役のミューズ・ワトソンに、カーラ役のブランディー、タイレル役のメキ・ファイファー、ウィル役のマシュー・セトルらが加わっている。

ジェニファー・ラヴ・ヒューイットはジェイミー・リー・カーティスへの強いリスペクトでも見せたかったのか、とにかく叫びまくる。
顔をクシャクシャにして、絶叫、また絶叫である。
彼女は「スクリーミング・クイーン」の呼称を受け継ぎたかったのだろうか。

前作はホラーというよりサスペンスになっていたが、今回は完全にスプラッターである。
『13日の金曜日』や『ハロウィン』など、「風変わりな格好をした殺人鬼が次々に人を殺していく」というB級ホラーの基本パターンをキッチリと踏襲している。

一応、「犯人は誰なのか」というミステリー的な要素も見せたかった雰囲気はあるが、誰がどう見ても犯人はフィッシャーマンなので、その引っ張りには何の意味も無い(もしかすると、「協力者がいる」という部分で意外性を見せたつもりなのかもしれないが)。
ミステリーの底が浅いので、従業員に意味ありげなセリフを吐かせたり何かを含んだような表情をさせても、全く意味は無い。
伏線になるのかと思わせるようなキャラクター設定もあるが、特に意味は無い。
ブードゥーの呪術を使う黒人も、意味ありげだが意味は無い。
彼らはただ、殺されるために出て来ただけだ。

それにしても、ジュリー達が旅行を当てるクイズが「ブラジルの首都はどこか」というもので、リオデジャネイロと答えて正解になるので、その時点で怪しさ満点である。
かなり後になって彼女達は首都がブラジリアだと知らされ、その旅行が罠だったと気付くのだが、おそらく旅行が当たった時点で気付いてしまう観客も少なくないだろう。

全体の流れとしては、ジュリー達が観光旅行を楽しんで、その合間にフィッシャーマンが登場するという流れがしばらく続く。
本来ならばフィッシャーマンはジュリーとレイを殺すのが目的のはずだが、もはや目的なんか完全に無視している。
で、フィッシャーマンは肝心なジュリーに対しては、カギ爪を使わずに「日焼けマシーンを開かなくする」という面倒な形で殺そうとする。
あと、全速力なら追い付けるのに、ゆっくり歩いて追い掛けたりする。
B級の殺人鬼としての、立派な振る舞いである。


第21回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会