『ラスト・ボーイスカウト』:1991、アメリカ

かつてシークレットサービスだったジョー・ハレンベックは、女性に暴力を振るっていたカルヴィン・ベイナード上院議員を殴ってクビになった。今は私立探偵をしているジョーは、仕事仲間のマイクからダンサーのコリーを警護する仕事を頼まれる。
しかし、マイクが車に仕掛けられた爆弾で死亡し、コリーも殺し屋に襲撃されて死亡する。やがてジョーは、フットボールチーム“LAスタリオン”のオーナーであるシェルドン・マーコンを、コリーが脅迫していたことを知る。
マーコンはフットボール賭博の合法化を企み、ベイナード議員への根回しを行っていた。それを知ったコリーは、賭博で追放処分になった元LAスタリオンの名クォーターバックである恋人ジミー・ディックスを選手復帰させるため、マーコンを脅迫したのだ。
マーコンはベイナードから、賭博行為の合法化に賛成する代わりに600万ドルを要求されていた。そこでマーコンはベイナードを殺害し、ジョーを犯人に仕立て上げようとする。脱出に成功したジョーだが、娘のダリアンが誘拐されてしまう…。

監督はトニー・スコット、原案はシェーン・ブラック&クレッグ・ヒックス、脚本はシェーン・ブラック、製作はジョエル・シルヴァー&マイケル・レヴィー、共同製作はスティーヴ・ペリー、製作総指揮はシェーン・ブラック&バリー・ジョセフソン、
撮影はウォード・ラッセル、編集はスチュアート・ベアード&マーク・ゴールドブラット&マーク・ヘルフリッチ、美術はブライアン・モリス、衣装はマリリン・ヴァンス=ストライカー、音楽はマイケル・ケイメン。
主演はブルース・ウィリス、共演はデイモン・ウェイアンズ、チェルシー・フィールド、ノーブル・ウィリンガム、テイラー・ネグロン、ダニエル・ハリス、キム・コーツ、チェルシー・ロス、ハル・ベリー、ブルース・マックギル、バディア・ジョーラ、ジョー・サントス、クラレンス・フェルダー、トニー・ロンゴ、フランク・コリソン、ビル・メドレー、ヴァーン・ランドクウィスト他。


主演ブルース・ウィリス、製作ジョエル・シルヴァー、脚本シェーン・ブラック、監督トニー・スコットと、アクション畑の面々が揃った作品。ジミーをデイモン・ウェイアンズ、マルコーンをノーブル・ウィリンガム、コリーをハル・ベリーが演じている。

優秀だった男がドロップアウトしてしまい、くたびれた雰囲気など出しつつ、黒人とコンビを組んで軽口を叩きながら暴れるという作品だ。
脚本担当のシェーン・ブラックがシナリオを書いた『リーサル・ウェポン』と似たようなパターンである。

事件の全容は、なかなか入り組んでいる。
だが、それが主人公の活躍によって次第に明らかになっていくのではなく、ほとんどが悪党のベシャリによって判明するという形になっている。
終盤までは、主人公が活躍している印象はほとんど無い。
後半に入り、13歳の娘ダリアンがガキのつまらない好奇心で事件に首を突っ込み始める。緊迫感のあるシリアスな展開の中に不似合いな無邪気さを持ち込み、雰囲気を破壊する。
しかも、そこに娘がいることで、「きっと娘が悪党に捕まるんだろうな」という、クライマックスに向けての展開が予想できてしまう状態になっている。

ジョーもジミーも、とにかく簡単に悪党にやられるということを繰り返す。
しかし、さんざん悪党にやられまくっていた割には、本格的に反撃を開始する終盤の爆発力が弱いので、観賞後の爽快感がフラストレーションを超えてくれない。
何しろ、ダリアンを誘拐したマイロは、ジョーの目の前でポリ公の狙撃手に撃たれて転落死する。マーコンはジョーのいない所で、爆弾入りカバンで死亡する。ベイナードはピンピンしてる。
ジョーがワルを退治したという形になっていないので、スッキリしない。

 

*ポンコツ映画愛護協会