『ラブリー・オールドメン』:1993、アメリカ

雪の積もるミネソタ州マスキーヴィル。ジョン・グスタフソンはエリオット・スナイダーという男の訪問を受けて居留守を使い、2階の窓から抜け出した。隣人のマックス・ゴールドマンはジョンに声を掛け、「今日は熱帯の暑さだ」と言う。大型トラックが通りの向かいに停まり、引っ越しの荷物を運び込む様子を彼らは目撃した。マックスはスナイダーからジョン知らないかと問われ、「あの卑劣で薄汚い男か。あいつは男性ストリップの常連客だ」と語った。
スナイダーは重要事項なので見掛けたら電話するよう言ってほしいとマックスに頼み、その場を後にした。帰宅したジョンは、国税庁からの差し押さえ通告書があるのを見つけた。通告書には「猶予30日」と書かれていたが、彼は無視を決め込んだ。深夜、物音で目を覚ましたジョンとマックスは、スノーモービルを走らせるアリエル・トルアックスという女性を目撃した。アリエルは向かいに引っ越して来た住人で、ジョンとマックスは目を奪われた。
翌朝、マックスはジョンから息子であるジェイコブのことを訊かれ、多忙だが感謝祭には戻って来ると告げる。町長選に出るのかというジョンの質問に、彼は「いい町長になる」と述べた。彼らは車で出掛けるアリエルを目撃するが、声は掛けなかった。ジョンはチャックの雑貨店へビールと釣りの餌を買いに出掛け、父の家へ立ち寄った。アリエルが引っ越して来たことを彼が話すと、父は「寝たか?」と訊く。ジョンが「まさか」と言うと、父は「ワシがお前ぐらいの若さなら、町中の女とヤリまくってる」と語った。
ジョンは凍った湖で釣りをするが小さな1匹しか収穫が無く、大漁だったマックスは勝ち誇った。ジョンは深夜に訪問者が来たので国税庁の職員だと思い、窓から逃げ出す。しかし訪問者はアリエルで、トイレを貸してくれと言う。壊れたのかとジョンが尋ねると、アリエルは「一人で寂しいし、バスルームに興味があるから。見ると色々なことが分かる」と語った。彼女はバスルームを観察し、手紙を盗んで情報を探っていたことを悪びれずに話す。アリエルは「私の家にも遊びに来て」と告げ、ジョンの家を去った。
次の日、ジョンとマックスが薬局で病気の自慢合戦をしていると、アリエルがやって来た。彼女はマックスに話し掛け、「間違って入っていた」と嘘をついて盗んだ手紙を返した。ジョンの家には、娘のメラニーが孫娘を連れて遊びに来た。メラニーは夫であるマイクとの関係が最悪だと明かし、離婚を考えていると述べた。町長選のプラカードを配っているジェイコブは、マックスの家に立ち寄った。ジョンは宝くじの当選番号を発表する番組を見ており、マックスはリモコンを使ってチャンネルを変えた。ジョンが困惑する様子を見て、彼は笑みを浮かべた。気付いたジョンは、マックスに放水した。
ジェイコブは屋根に放水して雪崩作戦を仕掛けるジョンを目撃し、マックスに言わない代わりにプラカードを立ててもらった。次の日、ジョンとマックスはチャックの店へ行き、アリエルのことを話した。「しつこく迫られそうで面倒だ。お前が誘え」「女はみんな俺に夢中になる」などと両者が強がっていると、チャックは2人とも女を口説く勇気も無い腰抜けだ」と指摘した。その夜、チャックがアリエルの家を訪ねて中に入る様子を、ジョンとマックスは目撃した。次の日、2人はチャックの店に押し掛けて昨晩のことを尋ねる。チャックは寝ていないと明かした上で、「彼女のおかげで生を実感した」と晴れやかな表情を浮かべた。
ジョンとマックスはチャックに刺激を受け、アリエルにアプローチすることを決めた。先陣を切ったのはマックスで、彼女の家を訪問て中に入れてもらった。家にはアリエルが作った大きな彫刻があり、モデルが5年前に死去した夫だと彼女は述べた。釣り小屋に来ないかとマックスが誘うと、アリエルは喜んで承諾した。アリエルは大きな魚を釣り上げて興奮し、マックスは「皆に見せよう。剥製にして壁に飾ろう」と言う。しかしアリエルは写真も撮らない内に、魚を逃がした。
マックスが夕食に誘うと、アリエルは予定があるからと断った。マックスはジョンに気付いて声を掛け、「俺の勝ちだな。一度ぐらいは負けを認めろ」と高笑いを浮かべる。ジョンが「昨晩、寝てる間にチャックが死んだ。こんな時に女と遊ぶなんて」と言うと、マックスは驚いて「知ってたら遊ばない。友達だ」と告げる。ジョンが激しく罵ると、マックスも反発して言い争いになった。一度は帰宅したジョンだが、気持ちが収まらないのでマックスを殴りに行こうとする。そこへスナイダーが来て、役所まで来るよう要求した。
夜、ジョンが役所から家に戻ると、アリエルが勝手に上がり込んで料理を作っていた。ジョンは彼女と夕食を取り、楽しい時間を過ごした。次の日、彼は父に相談して背中を押され、アリエルとスノーモービルでデートに出掛けた。夜は自宅に招き、彼女にキスをした。ジョンはアリエルからセックスに誘われ、「マックスはただの友達。最後に寝たのは夫よ」という彼女と一夜を共にした。翌朝、ジョンの家から出て来るアリエルと遭遇したマックスは、激しい怒りを燃やした。
ジョンが釣りをしていると、マックスが車で釣り小屋を押した。ジョンは慌てて脱出するが、釣り小屋は湖に沈む。マックスが殴り掛かると、ジョンも反撃した。「なぜあんなことをした?」とジョンが声を荒らげると、マックスは「俺の彼女を盗んだろ」と怒鳴る。ジョンが「お前の彼女だと。自惚れるな」と反発すると、マックスは「女房のメイも寝取っただろ」と批判する。ジョンが「彼女はただの尻軽だ。20年も一緒に暮らしたから良く分かる」と言うと、マックスは「嘘つけ」と怒りを示した。
ジョンが「お人好しめ。あの後、エイミーと結婚できただろ」と言うと、マックスは「アリエルとやったのか」と詰め寄った。ジョンが「最高のセックスだった」と自慢げに答えると、マックスは「殺してやる」と襲い掛かった。2人が激しく争っているとジョンの父が現れ、「子供じみた喧嘩はよせ」と説教した。ジョンはマックスから「彼女との生活費はどうする?財産を差し押さえられたら最後だぞ。彼女は第二のエイミーだ」と言われ、反論の言葉を失った…。

監督はドナルド・ペトリ、脚本はマーク・スティーヴン・ジョンソン、製作はジョン・デイヴィス&リチャード・C・バーマン、製作総指揮はダン・コルスラッド、製作協力はダーリーン・K・チャン&キャシー・サラアル、撮影はジョニー・E・ジェンセン、美術はデヴィッド・チャップマン、編集はボニー・ケーラー、衣装はリサ・ジェンセン、音楽はアラン・シルヴェストリ。
出演はジャック・レモン、ウォルター・マッソー、アン=マーグレット、バージェス・メレディス、ダリル・ハンナ、ケヴィン・ポラック、オシー・デイヴィス、バック・ヘンリー、クリストファー・マクドナルド、スティーヴ・コクラン、ジョー・ハワード、イザベル・モンク、バフィー・セドラチェック、ジョン・キャロル・リンチ、チャールズ・ブリン、オリー・オスターバーグ他。


ジャック・レモンとウォルター・マッソーが1981年の『新・おかしな二人/バディ・バディ』以来、13年ぶりに共演した作品。
監督は『ミスティック・ピザ』『微笑みがえし』のドナルド・ペトリ。
脚本のマーク・スティーヴン・ジョンソンは、これがデビュー作。
ジョンをジャック・レモン、マックスをウォルター・マッソー、アリエルをアン=マーグレット、ジョンの父をバージェス・メレディス、メラニーをダリル・ハンナ、ジェイコブをケヴィン・ポラック、チャックをオシー・デイヴィス、スナイダーをバック・ヘンリー、マイクをクリストファー・マクドナルドが演じている。

物語の進め方には、大いに難がある。
この映画で最初に示すべき情報は、「ジョンとマックスが昔から対抗心を燃やし、つまらないことでいがみ合っている。ジジイになっても、幼稚な嫌がらせを繰り返している」ってことのはずだ。
だが、それが明確に分かるのは、マックスがテレビのチャンネルを変えて、ジョンが仕返しに放水する27分ぐらいのシーン。
「何かに付けて対抗心を剥き出しにする関係」ということすら、薬局で病気の自慢合戦をする21分のシーンまではハッキリと伝わらない。

そういう肝心な情報の提示を後回しにして、先に「ジョンに差し押さえの通告書が来ている」とか「ジョンとマックスが引っ越して来たアリエルに惹かれる」といった別の情報を大きく扱っている。
どう考えたって、そこは順番が逆なのよ。
アリエルに惚れる部分にしても、「ジョンとマックスが互いに対抗心を燃やして幼稚な争いを続けている」という延長線上で描くべきだし。
なので引っ越してくるのも、冒頭じゃなくて少しタイミングをズラした方がいいぐらいなのだ。

あとさ、アリエルってホントに「魅力的な女性」と言えるのかな。
まあジョンもマックスも完全に見た目で惚れた設定ではあるんだけど、その後で中身を知っても気持ちは変わらない。
でも、アリエルって深夜に大きな音を出してスノーモービルを走らせたり、同じく深夜に「トイレを貸してくれ」と訪問したり、人柄を調べる目的で手紙を盗んでいるのに全く悪びれなかったりと、エキセントリックすぎないか。
これが「ジョンとマックスは田舎で退屈な日々を過ごしており、出会ったことのないタイプであるアリエルに刺激を貰った」みたいな形なら、分からんでもないのよ。
だけど2人が人生に退屈しているような描写なんて、何も無かったし。

あと、そもそもジョンとマックスのロマンスを物語の軸に据えていること自体、果たしてどうなのかと思うんだよね。
こういう話の場合、恋愛劇を軸に据えるのが作りやすいってのは良く分かる。だから、それだけで安易とイコールだとは思わない。
「年甲斐も無く恋なんて」とか、そういう否定的な意見を言うつもりも無い。老いらくの恋も、大いに結構だ。
ただ、この映画で描かれるロマンスには、あまり魅力を感じない。
それに、ジョンとマックスは昔からいがみ合う関係じゃなくて、仲良しコンビでいいんじゃないかと思うし。

ジョンとマックスのアリエルを巡る醜い争いは、途中でシャレにならないレベルに達する。
テレビのチャンネルを変えたり、屋根に氷を作って頭上に落とそうとしたり、そういう子供じみたイタズラであれば、笑えるかどうかは置いておくとして余裕で許容範囲だ。
しかし、釣り小屋を車で押して湖に沈めようとするのは、もしもジョンが脱出できていなかったら死人が出ていたかもしれない危険すぎる行為だ。
その後の喧嘩にしても、これに関しては「年甲斐も無く」と呆れるだけの醜い争いだし。

(観賞日:2025年9月15日)

 

*ポンコツ映画愛護協会