『わたしが美しくなった100の秘密』:1999、アメリカ&ドイツ
サラ・ローズ化粧品が主催する“アメリカン・ティーン・プリンセス・ページェント”は、アメリカで最も歴史ある美の祭典だ。1995年に50回目を数えたことを記念して、取材班は地区予選が行われるミネソタ州の人口5075人の町マウント・ローズを訪れた。
コンテストの組織委員長は、かつて自身も地区代表となったグラディス・リーマンだ。町の女子高生達は、コンテストへの参加登録をする。その中には、かつて地区予選に出場したアネット・アトキンズの娘アンバーや、グラディスの娘ベッキーもいる。
トレーラーハウスに母と2人で住んでいるアンバーは優勝を目指しているが、家庭が裕福で委員長の娘でもあるベッキーの他にも、何人ものライバル達がいる。取材が続く中、参加者の1人タミー・カリーが爆死するが、コンテストは続行される。
ベッキーはアメフト部のキャプテンをしているブレットに言い寄るが、彼はアンバーにアプローチする。ところが、そのブレットが眉間を撃ち抜かれて死亡する。アンバーは取材班に、ロツカーに「次はお前だ」と書かれたタミーの写真が置かれていたことを明かす。
アンバーの自宅が火事で全焼し、アネットが火傷を負って入院する。一度はコンテスト参加を取り消そうとしたアンバーだが、アネットに励まされる。だが、事前に行われた審査員の面接ではアンバーだけに難しい質問が出され、前日には出場順を入れ替わったジャネルが舞台で事故に遭い、大会当日にはタップダンス用の衣装が盗まれる…。監督はマイケル・パトリック・ジャン、脚本はローナ・ウィリアムズ、製作はギャヴィン・ポローン&ジュディ・ホフランド、共同製作はマイケル・ネルソン、製作総指揮はクレア・ラドニック・ポルスタイン&ドナ・ラングレー&ローナ・ウィリアムズ、撮影はマイケル・スパイラー、編集はデヴィッド・コドロン&ジャニス・ハンプトン、美術はラス・エイモン、衣装はミミ・メルガード、音楽はマーク・マザーズボー。
出演はカースティ・アレイ、エレン・バーキン、キルスティン・ダンスト、デニース・リチャーズ、サム・マクマレイ、アリソン・ジャネイ、ミンディ・スターリング、マット・マロイ、ウィル・サッソ、ブリタニー・マーフィー、モー・ギャフニー、ノーラ・ダン、セイコ・マツド、リチャード・ナリタ、パティ・ヤスタケ、エイミー・アダムス、ローリー・A・シンクレア、シャノン・ネルソン、タラ・リデペニング他。
完全に内容と外れた邦題が付けられているが(100の秘密なんてどこにも無いぞ)、内容はドキュメンタリー風に作られたコメディー。
アンバーをキルスティン・ダンスト、アネットをエレン・バーキン、グラディスをカースティ・アレイ、ベッキーをデニース・リチャーズが演じている。また、アダム・ウエストが本人役で出演している。
なお、コンテストの出場者モリーの義姉役で、松田聖子らしき女性が出演している。
てっきり本人かと思ったのだが、クレジットを見ると“セイコ・マツド(Seiko Matsudo)”になっていた。
どうやらアメリカには、松田聖子に瓜二つの女性がいるようだ。色々な種類の笑いが入っているが、もちろんメインになるのはミスコンを茶化した笑い。
参加を訴えるコマーシャルを会場で見ている女性が数人しかいないとか、ミスコン優勝経験者がソーセージの安っぽいCMに出演しており、最後にソーセージ工場で働いていることを明かすとか、前回優勝者が拒食症で入院しているとか。アンバーがアルバイトで死体にメイクをしながらタップダンスの練習をするとか、前回優勝者がゲッソリした見た目で車椅子に乗って舞台に立ち、笑顔で口パクの歌を披露するとか、やたら手話を使っていたジャネルが事故のせいで耳が聞こえなくなったが、病院で幸せそうにしているとか、ややブラックなギャグも見られる。
ベッキーが母親からプレゼントされた銃に「神は勝者を愛する」と彫ってあるとか、ベッキーがコンテストで十字架に磔になっている等身大のキリスト人形を背負って踊ったり、神様&キリスト教をコケにするような感じのギャグも幾つか見られる。アメリカという国をコケにしたような笑いもあって、例えばコンテストのコピーは毎年必ず「アメリカは〜」で、今回は「アメリカは誇り」に決定。出場者は自由の女神やワシントン記念塔のミニチュアが付いた帽子を被り、「アメリカは誇り」と順番に言わされる。
酒浸りのアネットがビール缶を握り締めたまま焼け出されるとか、ダンスの小道具がペンキ塗り立てだったので踊っている途中で衣装が汚れるとか、日本人夫婦はやたらとアメリカへの憧れが強くてアメリカ人を養女にするとか、まあ色々とギャグはある。その場その場で、ゆる〜いギャグを見せていく。
ギャグの質や傾向が、その場その場でコロコロと変わっているのは構わない。
だが、アンバーとベッキーの貧富の差の誇張も、シニカルな視線も、何を風刺するのかも、全てが半端になっている印象がある。
流れが見えず、その場その場でブチブチと完全に切れているのがキツイ。
単発ギャグの羅列で進めていくのはいいのだが、エセ・ドキュメンタリーとしてのまとまりが無いのはキツイ。
地区予選が終わった後、ダラダラと話が続いていくのもキツイ。
第22回スティンカーズ最悪映画賞
ノミネート:【最悪の助演女優】部門[カースティ・アレイ]