『ロサンゼルス』:1982、アメリカ

建築家のポール・カージーは、かつてニューヨークでチンピラ達に妻を殺され、娘キャロルを陵辱された。現在、彼はロサンゼルスに移り住み、ラジオ番組キャスターの恋人ジェリと交際を始めていた。キャロルは事件のショックで精神を病み、入院していた。
ポールはジェリと共に、退院することになったキャロルを迎えに行った。街を歩いていたポールは、チンピラ5人組に財布を奪われた。5人組はポールの家に侵入し、メイドのロザリオを輪姦して殺害して。そして彼らは、キャロルを誘拐して逃亡した。
5人組はキャロルを廃屋に連れ込み、輪姦した。逃亡を図ったキャロルは、2階の窓から墜落して死亡した。ポールはマンキーウィッツ警部から、事件について事情聴取を受け。ポールは犯人がチンピラ5人組だと分かっていたが、何も話そうとはしなかった。
銃を持って夜の街に出たポールは、犯人の1人を目撃した。ポールは男を尾行し、そして射殺した。ポールは建築家としての仕事を続けながら、夜になると犯人グループを探して1人ずつ抹殺していく。そんな中、ニューヨークでの事件を担当したオチョア警部がロサンゼルスにやって来た。彼は、自警団の正体がポールだと確信していた…。

監督はマイケル・ウィナー、脚本はデヴィッド・エンゲルバック、製作はメナハム・ゴーラン&ヨーラン・グローバス、製作総指揮はハル・ランダース&ボビー・ロバーツ、撮影はリチャード・H・クライン&トーマス・デル・ルース、編集はジュリアン・セミリアン、音楽はジミー・ペイジ。
主演はチャールズ・ブロンソン、共演はジル・アイアランド、ヴィンセント・ガーディニア、J・D・キャノン、アンソニー・フランシオサ、ベン・フランク、ロビン・シャーウッド、シルヴァニア・ギャラード、ロバート・F・ライオンズ、マイケル・プリンス、ドリュー・スナイダー、ポール・ランバート、トーマス・F・ダフィー、ケヴィン・メイジャー・ハワード、ローレンス・フィッシュバーン三世ら。


『狼よさらば』に続く“デス・ウィッシュ”シリーズ第2作。
ポール・カージー役のチャールズ・ブロンソン、オチョア警部役のヴィンセント・ガーディニアは前作から引き続いての出演。他に、ジェリをジル・アイアランド、キャロルをロビン・シャーウッドが演じている。

勘違いしている人がいると思うので説明しておくが、前作『狼よさらば』は「妻を殺して娘を陵辱した犯人に、主人公が復讐する」という物語ではない。あの作品でポール・カージーは大勢のチンピラを殺しているが、犯人を探し出して復讐を果たそうとはしていない。
前作でポール・カージーは復讐の鬼になったのではなく、身内に起きた悲劇を引き金にして、自らの暴力性に目覚めたのだ。で、そんな単なる殺人鬼の主人公が、世間の人々からは英雄視されてしまうという、辛辣な風刺の込められた作品だったのだ。

しかし、今回の続編は、そんな風刺など無いし、社会派な匂いも完全に消している。ポール・カージーは、ちゃんと殺人のターゲットを犯人に定めて、ちゃんと復讐を果たす。カタルシスの全く無かった前作と違い、とても分かりやすい暴力映画になっている。
しかも、既に前作で主人公は暴力性に目覚めており、今回は登場した段階から殺し屋カージーである。だから、「平凡な建築家が殺人鬼に変身していく」という過程の描写も、必要が無い。もはや殺人なんて手馴れたもので、余裕のよっちゃんイカなのである。

さて、今回はキャノン・フィルム製作になったという影響もあるのか、かなりバイオレンスがパワーアップされている。レイプシーンも、ものすごくストレートで過激に描写される。もちろん、ポール・カージーもエンジン全開でキル、キル、キルである。
ブルース・リーの『考えるな、感じろ』という有名な言葉がある。この映画は、その精神を大切にしている。シンプルなアクション映画なので、深く考えず、目の前にあるモノを感じればいいということなのだ。
というフォローは、やっぱ無理がありすぎるな。

まあね、とにかくステレオタイプの「オレ様が正義」というB級アクション映画のパターンを構築し、そしてネタにされる(というかバカにされるというか)シリーズを作り出したということでは、パート2を作ったという意味合いは大きいと言えるだろう。
というフォローも、なんかバカにしている感じだが。
というか、実際にバカにしているわけだが。


第3回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低音楽賞


第5回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:作品賞

 

*ポンコツ映画愛護協会