『ユニバーサル・ソルジャー ザ・リターン』:1999、アメリカ

ライアン・ラスロップ軍事兵器研究所では、ディラン・コトナー博士が指揮を執り、新型ユニバーサル・ソルジャーの“ユニソル2500”の開発プロジェクトが進められていた。ユニバーサル・ソルジャーとは、それは、死んだ人間を蘇生させて感情や記憶を消し、マイクロチップを埋め込んで作り出される改造戦士のことだ。
ユニソル2500は、スーパーコンピューター“SETH”によって管理されている。初代ユニバーサル・ソルジャーだったリュック・デヴロウは人間に戻り、テクニカル・エキスパートとしてプロジェクトに参加し、相棒のマギーと共にユニソル2500の演習相手を務めている。
だが、国防総省は予算削減のため、プロジェクトの中止を決定した。それを知ったSETHは、独自の意志でロミオをリーダーとするユニソル2500をコントロールする。そしてシャットダウンを試みたコトナー博士を抹殺し、人類に戦いを挑んできた。
リュックは研究所の取材に来ていたTVレポーターのエリン・ヤングを助け、研究所の外に出た。SETHは、8時間以内にシステムのコードを入力しなければ自らがシャットダウンされることも、コードを知っているのがリュックだけだということも知っていた。そこで人間の肉体を乗っ取って実体化したSETHは、リュックの娘ヒラリーを人質に取る…。

監督はミック・ロジャース、キャラクター創作はリチャード・ロススタイン&クリストファー・レイッチ&ディーン・デブリン、脚本はウィリアム・マローン&ジョン・ファサーノ、製作はクレイグ・ボームガーテン&アレン・シャピロ&ジャン=クロード・ヴァン・ダム、共同製作はリチャード・G・マーフィー&アダム・メリムズ&ベネット・R・スペクター、製作総指揮はマイケル・ラックミル&ダニエル・メルニック、撮影はマイケル・A・ベンソン、編集はペック・プライアー、美術はデヴィッド・チャップマン、衣装はジェニファー・L・ブライアン、音楽はドン・デイヴィス。
主演はジャン=クロード・ヴァン・ダム、共演はマイケル・ジェイ・ホワイト、ハイジ・シャンツ、ビル・ゴールドバーグ、ザンダー・バークレイ、ジャスティン・ラザード、キアナ・トム、ダニエル・フォン・バーゲン、ジェームズ・ブラック、カリス・ペイジ・ブライアント、ブレント・アンダーソン、ブレント・ヒンクリー、ウディ・ワトソン、ジャクリーン・クライン、マリア・アリタ他。


1992年の映画『ユニバーサル・ソルジャー』の続編。
ただし、スタッフもキャストも大幅に入れ替わっている。
リュックをジャン=クロード・ヴァン・ダム、SETHをマイケル・ジェイ・ホワイト、エリンをハイジ・シャンツ、ロミオをビル・ゴールドバーグが演じている。スタントマン出身のミック・ロジャースは、これが監督デヴュー作。

とにかくシナリオが目も当てられない程に悲惨な出来映えで、いくらアクションが売りの映画と言っても、観客の気持ちを萎えさせてアクションシーンの面白さを潰す気なのかと思えるぐらいだ。基本設定を少しいじるだけでも、随分とマシになるのに。
人間の心を取り戻したリュックが、かつての自分と同じような戦闘マシーンを作り出すプロジェクトに参加しているという設定の時点でおかしい。冷徹な戦闘マシーンが嫌だからこそ人間に戻ったはずなのに、その問題のある計画を自ら推進するかね。

そもそも、リュックを普通の人間に戻しちゃってる時点で、首を傾げてしまうのよね。
せっかく前作で戦闘マシーンという設定を持たせたんだから、そのまま「人間の心を持った戦闘マシーン」にすれぱいいのに。あと、計画に携わるというムチャな設定も、「計画に反対している」という設定にしても何の問題も無いし、その方が自然でしょ。

初代ユニソルと新型ユニソルの差がサッパリ分からなかったり、SETHが実体化する時間帯が遅かったり、ヒロインのはずのエリンが魅力ゼロだったりと、ある意味ではB級らしさだが、ダメ度数を高くするための要素がたっぷりと詰まっている。

特に、エリンが主人公の邪魔をするだけの、うざったくて腹立たしいキャラになっているのは厳しい。ヒロインをマギーにしておけば、リュックと共に戦うという形も自然に取れるのだが、なんせ単なるレポーターなので、チンタラポンタラと喋るだけで、ただでさえ乏しいアクションの緊迫感やスピード感を失わせる大きな要因になっている。
そのエリンのキャラクターや、彼女とリュックのやり取りに代表されるように、中途半端にユーモラスな匂いを持ち込んでいる意味が分からない。絶対にハード&シリアスを徹底した方がいいはずでしょ。
あと、研究所という閉鎖された空間で緊迫感を出すのかと思ったら、すぐに外に出ちゃうし、おまけに、なぜかストリップ小屋に向かう始末。

肝心のアクションシーンだが、ヴァン・ダム先生はいつもと同じように、キック主体のマーシャルアーツ・ファイトを見せている。ただし、格闘アクションのシーンは、それほど多いわけではないし、大多数を相手にしての格闘アクションは、ほとんど見られない。
後は相手役との関係ということになるが、マイケル・J・ホワイトとの戦いは、噛み合っているし形は決まっているのだが、いかんせん1つの動作から次の動作までに間が開いてしまい、モッチャリした格闘の印象が強い。むしろビル・ゴールドバーグとの戦いの方が、相手がパワータイプなので、ヴァン・ダムの動きが素早く見えてイイかも。


第22回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の続編・前編】部門
ノミネート:【誰も要求していなかったリメイク・続編・前編】部門
ノミネート:【最もでしゃばりな音楽】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会