『ミミズバーガー』:1977、アメリカ
その夜、川岸で3人の男たちが焚き火をして缶ビールを飲んでいた。彼らは釣りに来たのだが、2日間で収穫は1匹だった。リーダー格の男は、苛立った様子を見せていた。右脚を引きずっている男が彼らに気付かれないよう近くの岩場へ行き、数匹のミミズを置いて立ち去る。3人組のリーダーが「ミミズの鳴き声が聞こえた」と言い出し、仲間たちと共に様子を見に行く。ミミズを見つけた彼らは、それを釣りの餌として使うことにした。
翌日。昨晩にミミズを置いた男は、メルニック市長の邸宅へ赴いた。邸宅では市長が娘であるウルスラのために、大勢の客を招いて誕生日パーティーを開いていた。市長はケーキを用意し、願い事をしながらロウソクの火を吹き消すようウルスラに告げる。しかし少年がナイフを取り上げ、ウルスラを怒鳴り付けた。ウルスラも反発し、2人は激しい口論になる。市長は少年に平手打ちを浴びせ、ウルスラはナイフを奪い返した。彼女がケーキにナイフを突き刺して両手を突っ込んだ。掴み取ったケーキには数匹のミミズが入っていたが、ウルスラは誕生日のサプライズだと思って喜んだ。
メルニックでは最初のダムを作った時のように、再開発で観光客を呼ぼうとする活動が高まっていた。かつてダム建設に反対したアムガーの父は、セメントに埋められて死亡した。市長は側近のマックスが父親がアムガーを殺したことに言及すると、「父は誰も殺してない」と反論した。ハリソンは1939年のバレンタインデーに殺人があったと知っていたが、市長は「アムガーは何も証拠を残していない」と言う。市長とアムガーは、町の土地を二分していた。
市長はアムガーが文盲だと話し、「来週に市議会が沼の排水を可決すれば、精神病院を建ててアムガーを放り込む」と告げた。マックスは軽く笑い、「まずはアムガーの元へ行って承認を得ることだな」と告げる。市長は不愉快そうな表情を浮かべながらも、アムガーの山小屋へ赴いた。アムガーは大量のミミズを飼育しており、「もうすぐ奴らを驚かせてやるぞ。もうすぐメルニックの敷地へ連れて行ってやる。あそこの物を全て食い尽くすんだ」と話し掛けた。
市長はアムガーに、「博物館を建てたいので、君の父上が書類か何かを残していたら見せてほしい」と告げる。「何も残していない」とアムガーが言うと、彼は「残しているはずだ」と激昂して立ち去った。市長はマックスに「今夜、会合の招集を掛ける」と言い、アムガーを始末するよう命じた。アムガーはミミズにカールやバーサといった名前を付け、豚肉とDDTを餌として与えて可愛がった。彼は父が残した書類を、ミミズの飼育箱に隠した。
予約していたマンホーフ一家の4人が山小屋に来たので、アムガーはキャンプ地に案内しようとする。父親が湖に行きたがると、アムガーは水が足りないのでボートが使えないと説明する。夕食について問われた彼が「赤ちゃんトカゲの両面焼きを作る」と言うと、一家の母親であるミルドレッドは気絶してしまった。市長はマックスと手下3人で「M協会」の会合を開き、アムガーについての対応を話し合った。マックスは「書類を渡さなければセメント漬けにしてやる」と言うが、仲間の女は「それは殺人よ」と反対した。市長は「今日は木曜。奴が町に来る日だ」と言い、マックスに書類を盗み出すよう指示した。
アムガーは車で町へ行き、工務店へ赴いた。彼がトイレのボール栓を購入しようとして店主と口論になると、店員のフィルが助け船を出す。フィルはアムガーが湖の公園の管理人だと知っており、「会えて嬉しいです」と言う。彼は峡谷保存協会の一員だと自己紹介し、土地がバラ売りされることに反対していると話す。彼が「明日の夜に会合があるので参加してほしい。湖を守らなくては」と語ると、アムガーは「誰にも止められない」とニヤニヤしながら告げた。
工務店を後にしたアムガーは、バーンという女性を見つけて車を寄せる。彼が「湖まで乗せて行こう。湖から来た」と告げると、バーンは考古学専攻で湖のリサーチに来たことを説明した。アムガーは先に買い物があることを告げ、バーンを待たせて車で去った。フィルと仲間たちが「メルニック湖の搾取反対」というプラカードを屋外で作成していると、興味を持ったバーンが歩み寄った。フィルは何をやっているのか質問され、市長の環境破壊に反対してオレンジを売っているのだと話す。バーンはフィルから参加を求められると「ちょっと休暇に来ただけよ」と言うが、署名には協力した。
アムガーは右足が痙攣したので「しっかりしろ」と言い聞かせ、車を降りてサンドウィッチ店へ行く。するとハリウッドスターを気取るディートリッヒが働いており、「こんばんはオフなの。飲んでダンスに行きましょう」とアムガーを誘う。「貴方の家に行くのは?ドイツ料理やデザートを作ってあげるわ」と彼女は言い、8時にコテージへ行くと告げた。フィルはバーンが化石の採掘に湖へ行くことを知り、「市議会議員を見掛けたら教えてくれ」と頼んだ。アムガーが戻って来たので、バーンは車に乗り込んだ。アムガーが首筋を這っているミミズを掴んだので、バーンは顔を歪めた。
マンホーフ家の長男であるアーノルドは、女性キャンパー2人組の姿を見つけて呼び掛けた。アムガーは山小屋に戻るとミミズに語り掛け、鍋に入れた。彼が山小屋の外に目をやると、アーノルドがディートリッヒをモデルにして写真を撮っていた。ディートリッヒはアムガーの山小屋へ行って料理を始めようとするが、大量のミミズを見て「気持ち悪い」と漏らす。鍋の中もミミズだらけだったので、彼女は絶叫して山小屋から逃げ出した。
ディートリッヒを迷惑に思っていたアムガーは安堵し、パスタを作り始めた。しばらくするとディートリッヒが戻り、パスタを食べ始めた。混じっていたミミズに気付かず口に入れた彼女は苦悶し、アムガーの手から瓶を奪い取って頭を殴り付けた。彼女の下半身は巨大ミミズに変貌し、それに気付いて激しく動揺した。アムガーは狼狽し、ディートリッヒを檻に入れた。彼は「そうだ、もっと食べさせればいい。そしたら土地開発がダメになるってもんだ」と呟き、ニンマリと笑った。
次の朝、マンホーフやバーン、女性2人組らが食事を求めて山小屋に来ると、アムガーは「番号札を持って並ばなきゃ食事など出ない」と荒っぽく告げる。マンホーフが「妻のテントに来て朝食の注文を取ってくれ」と頼むと、アムガーはテントへ出向く。ミルドレットは文句を言いながらも、朝食をリクエストした。彼女はミミズ入りのホットドッグを食べて苦しみ、ミミズ人間に変貌した。アムガーは彼女を荷車に乗せ、山小屋に運び込んだ。
バーンは何かが腹部を引きずって移動した跡を発見し、湖が赤潮になっていることにも気付く。アムガーはディートリッヒとミルドレッドを檻に閉じ込め、「たくさん食べろ。土地開発を食い止めるんだ」と語り掛けた。彼が就寝していると、ミミズ人間になった釣り客3人組が山小屋に入って来た。アムガーが「死んだんじゃ?」と言うと、リーダーは「死んでいない。赤潮の下を住処にした。二度と地上には戻れない。餌の魚のミミズを食べたら俺たちがやられた」と語り、「我々は人間の新しい血統だ」と誇らしげに言う。
リーダーはアムガーに、「女が必要だ。地上は太陽光が強すぎて死んでしまうので上がれない。夜なら出歩いて子作りも出来る。俺たちに女をあてがってくれ」と語った。檻に監禁されているディートリッヒとミルドレッドを見つけた彼が「連れて帰る」と言うと、アムガーは「悪い奴らを退治するのに農作物を食べさせるんだ」と告げる。彼は「数が足りない。他の女をあてがうと約束する」と語り、リーダーは承諾して「数日後に戻って来る」と告げた。
翌日、アムガーは女性キャンパー2人組に「ホットドッグを用意した」と言い、山小屋におびき寄せた。2人がミミズ入りホットドッグを食べて倒れると、アムガーは山小屋に運び込む。山小屋を覗いたバーンは慌てて逃げ出すが、アムガーが追い掛けて捕まえた。アムガーはバーンを山小屋に監禁し、「おとなしくしていれば何もしない」と言う。バーンは彼に「お願い、何でもするからミミズは食べさせないで。私は貴方の味方よ。この湖を守ってあげる」と話し、「何か証明できる物があればいい」と告げた。
アムガーはバーンに証拠書類を見せて、「俺の親父が市長の父親に殺されるって書いてある。ダムが決壊した時に殺された」と説明した。バーンは「それを私に預けて。今晩の会合に持って行く。フィルに渡す」と訴えるが、アムガーは「嘘つきだ」と拒絶する。しかしバーンが「貴方の森や湖を守れる」と必死に訴えると、アムガーは「チャンスをやろう。だが誰も聞く耳を持たなければ戻って来る」と告げる。彼は車で出掛け、フィルたちの事務所前に書類を置いて去った…。脚本&監督はハーブ・ロビンズ、原案はナンシー・キャプナー、製作はテッド・V・マイクルズ、撮影はウィリス・ホーキンス、美術はジャック・デ・ウルフ、編集はソリー・ビナ、音楽はセオドア・スターン。
出演はハーブ・ロビンズ、バリー・ホステットラー、カーラ、リンゼイ・アームストロング・ブラック、ジョセフ・サケット、ロバート・ギャリソン、ミュリエル・クーパー、マイク・ギャリソン、デヴィッド・マクグラス、クローデット・ウェルズ、シンシア・ネグリ、テリー・スムレン、フレッド・C・ドブス、シェリー・ゴールデン、エメット・マクガイア、クリフ・オコネル、フランク・ペリン、ティム・ヤング、パトリシア・アルカイティス、ブラッド・ピーターソン他。
『ザ・ブラック・クランズマン』『人間ミンチ』のテッド・V・マイクルズが製作を務めたZ級カルト映画。
『インベージョン・オブ・ザ・ビー・ガールズ〜蜂女〜』や『シークレット・フィンガー』に出演していたハーブ・ロビンズが、初監督を務めている。
脚本は2作目で、アムガー役で主演もしている。
邦題の『ミミズバーガー』ってのは有名な都市伝説に便乗したモノであり、劇中でミミズ肉の入ったハンバーガーを食べるシーンは無い。ミミズをそのまま挟んだハンバーガーを食べるシーンはあるが、1度だけだ。オープニング・クレジットでは、軽快な音楽が使われている。「ホラーだけど、あえてギャップを付けるために冒頭では明るい音楽を使用した」ってことではない。ただ適当で無造作なだけだ。
ちなみに、この音楽は劇中で何度も使われる。
で、そんなオープニングの後は釣りに来た3人組のシーンがあるが、そこでもデタラメっぷりを露呈している。
3人組の1人が「ミミズの鳴き声が聞こえたぞ」と言うのだが、ミミズは鳴かないぞ。
発声器官が無いから、鳴き声なんて出せないのだ(俳句に「蚯蚓(みみず)鳴く」という季語があるが、実際にはケラの鳴き声だ)。ウルスラはナイフをケーキに突き刺した後、両手をケーキにガサッと突っ込んで一部分を掴み取る。
その行動は不自然だろ。なんで普通にケーキを切らないんだよ。しかも、ウルスラ役の女の子が素手でミミズを触ることを嫌がったのか、不自然に手袋を装着しているし。
それを「サプライズだわ」と喜ぶのも、どうかしてるだろ。なんで気持ち悪がったり、慌ててミミズを捨てたりしないんだよ。
一方、招待客の大人たちが逃げ惑って木に激突したり転倒したりする様子を、オープニングと同じ軽快なBGMに会わせてコミカルに描いているが、これはこれで違うだろ。ドタバタ喜劇としてもヌルすぎるし、そもそもドタバタ喜劇として描いていること自体が間違いだし。冒頭シーンでミミズを置くのはアムガーだが、この段階では顔を写さない。カメラは右脚を引きずっている下半身を捉えるだけだ。市長の邸宅に侵入しているシーンでも、やはり足元だけを写している。
市長が家を訪ねるシーンで、初めてアムガーの顔が写る。まずは足元を捉えて、カットが切り替わるとアムガーの顔が写る。
でも、そこまで顔を隠している意味なんて全く無い。
もしかすると、市長が訪問するシーンの演出は「最初に右足を引きずっていることを示し、ミミズを置いたのがアムガーであることを観客に明かす」という意図があるのかもしれない。ただ、そうだとしても無意味であることに同じだ。最初からアムガーの顔を見せても、大して変わらんよ。市長はハリソンに、アムガーの父親は何も証拠など残していないと断言する。
ところがアムガーの元へ行くと、「何か残しているはずだ」と詰め寄る。そしてアムガーが何も残していないと言っても信じず、ハリソンに「嘘をついている。父親のことを話したら泣きそうな目をしていた」と言う。
だけどアムガーは、そんな顔なんてしていないのよ。ただ普通に話していただけなのよ。
そもそも泣きそうな目をしていたとしても、それが「必ず書類を隠している」という証拠になるわけではないし。アムガーがちゃんとした形で登場した後、マンホーフ一家が山小屋へ来るシーンやM協会の会合シーンが描かれる。
それはキャラの紹介やストーリーの進行の意味を持つシーンではあるのだが、無駄に分かりにくい上に内容がスッカスカなので「それはホントに必要なのか」と言いたくなってしまう。
マンホーフ一家のシーンなんかは、変にユルいノリもあるのだが、だからと言って喜劇になっているわけでもなく、ただダルダルに弛み切っているだけだ。
会合シーンに関しては、そもそもM協会が何なのかサッパリ分からない。市長が普通の部下に何も任せず、ボンクラ丸出しのマックスたちに頼っている理由も不明。アムガーが工務店を後にすると、道端で喧嘩している連中がいる。でも、何の意味があって描いているのかは不明だ。
アムガーはバーンを見つけると車を寄せて「湖まで乗せて行こう」と言うのだが、これまた理解に苦しむ行動だ。
しかも、そのまま湖に行くのかと思ったら、「買い物がある」と言って去ってしまうし。だったら先に買い物を済ませてからバーンに接触すりゃいいでしょ。
あと、アムガーがバーンに「帽子を被った2人の女に気を付けるんだ」と言っているけど、これまた意味不明だし。M協会の会合で、市長はマックスに「アムガーが町へ行っている間に書類を盗み出せ」と指示している。
だからアムガーが町へ行くシーンの後には「マックス山小屋を調べる」という手順が入るはずなのに、それは無い。なぜか会合場所のシーンがチラッと写し出されるだけで、アムガーは小屋に戻ってしまうのだ。
だったら、市長がマックスに指示する手順は何のためだったのかと。
それが後に繋がらないのなら、会合シーンごとバッサリと要らないでしょ。アムガーがパスタを作り始めるシーンの後、カットが切り替わると「しばらく経過した山小屋」のシーンになる。そしてディートリッヒが戻り、パスタを食べる様子が描かれる。
ここはシーンの切り替えそのものが不自然でギクシャクしている上に、なぜかディートリッヒが食べ終わるまでアムガーが全く画面に登場しないというのも不細工だ。
ディートリッヒがビンを奪ってアムガーの頭を殴り付けるのも意味の分からない行動。
っていうか、この映画は総じてマトモな意味なんて無いんだけどさ。ミミズは序盤から何度も画面に映るが、ホラーとしての描写は全く訪れないまま時間だけが過ぎて行く。ミミズが画面に映っても、それは「気持ちが悪い」という印象にしか繋がらない。
映画開始から45分ほど経過して、ミミズを食べたディートリッヒがミミズ人間になる」というシーンで、ようやくミミズとホラーが結び付く。
とは言え、ミミズ部分の造形がチープなので、怖さはゼロだけどね。
ミミズを食べるシーンが直前に無かったら、それがミミズを表現していることすら分からないぞ。アムガーはディートリッヒがミミズ人間に変身すると、「もっと食べさせればいい。そしたら土地開発がダメになるってもんだ」と言う。
どういうことなのか、ちょっと良く分からない。
「土地を食い尽くせ。人参やラディッシュを」と言っているんだけど、ミミズ人間が野菜を食べまくったところで、それで土地開発が中止されることなんて無いでしょうに。
色んな解釈を考えてみたんだけど、どう頑張っても「ミミズ人間が大量に野菜を食べれば土地開発を食い止められる」という理屈が分からん。アムガーは釣り客3人組が来ると「死んだんじゃ?」と言うが、なぜ死んだと思っているのかは不明。そもそも、なぜ彼が岩場にミミズを置いたのかも良く分からないし。
そんで釣り客は「餌の魚のミミズを食べたら俺たちがやられた」と話すのだが、これまた良く分からない。
なんでミミズを食べているのかと。空腹で魚も上手く釣れなかったからミミズを食べたってことなのか。
だとしても、それで腑に落ちるわけではないぞ。釣り客はミミズ人間に変貌したのに、なぜか「我々は人間の新しい血統だ」と誇らしげに語る。
そんな彼らは「女が必要だ。地上は太陽光が強すぎて死んでしまうので上がれない」と言うのだが、それって変だよね。
ディートリッヒやミルドレッドは、普通に地上で変身しているぞ。
ディートリッヒはともかくミルドレッドは昼間に変身しているので、「地上では太陽光が強すぎて死んでしまう」ってのは整合性が取れていない。釣り客はともかく、ディートリッヒにしろミルドレッドにしろ、「料理にミミズが入っていたら、普通は気付くだろ」と指摘したくなる。
粉砕して混ぜ込んでいるならともかく、生きているミミズをそのままパスタやホットドッグに入れているんだよ。
それを気付かずに食べるって、どう考えても不自然でしょ。
この映画って、「どうやったら気付かれずに生きたミミズを食べさせることが出来るか」というトコの工夫が何も用意されていないんだよね。女性キャンパー2人組はミミズを食べても、すぐにはミミズ人間に変身しない。そしてディートリッヒやミルドレッドの時とは違い、体内に数匹のミミズが入り込んでいるという表現がある。
そういう変化が彼女たちにだけ起きる理由は、まるで分からない。ただデタラメなだけだ。
そんな様子を目撃したバーンをアムガーが捕まえるので、彼女もミミズ人間に変身させるのかと思ったら、なぜか「アンタは俺の気持ちをおかしくさせる」と急に愛の告白をする。
それを匂わせる描写が全く無かったので、ものすごく唐突だ。
おまけに、その感情が以降の展開に大きく関わって来るのかというと、全く影響を及ぼさないのである。アムガーが逃げたミミズのバーサを追い掛け、一緒にダンスするというシーンがある。
たぶんミミズが踊るシーンを見せたかったんだろうけど、無駄な寄り道でしかない。
また、マックスたちがアムガーの小屋に火を付けようとして灯油を撒くが、1人が煙草を吸う時にマッチを使ってしまったので放火できなくなるというシーンがある。
ここはコメディーとしての描写になっているが、全く映画に馴染んでいない。
そもそもホラーとしての怖さは無いけど、だからと言ってコメディーの要素が馴染むわけでもないぞ。アムガーは再開発計画が阻止できなかったと知ると、「あいつらを殺してやる」と言う。どういう方法を取ったのかはサッパリ分からないが、様々な食べ物に生きたミミズを混ぜて町の人々に食べさせる。
町の人々も、誰も生きたミミズが入っていることに気付かない。
だから全員がミミズ人間に変身するんだけど、それってアムガーの「あいつらを殺してやる」という目的とは合致しないよね。
ミミズ人間に変身しても、それは「殺す」ってことではないわけで。この映画をザックリと表現するならば、「ハーブ・ロビンズが自分の特技を披露するための作品」である。
その特技とは、生きたミミズを平気で食べられるってことだ。
そんな特技を自慢するために、劇中に登場するミミズは全て本物が使われている。アムガーが大量のミミズを掴んだり、顔に付けたりするシーンが序盤から用意されているが、それだけでなく、ムシャムシャと食べてしまうのだ。
その特技を大勢の人に見てもらうために、彼はテッド・V・マイクルズに企画を持ち掛けたわけだ。
そんな悪趣味に出演者も付き合わされ、何人かは本物のミミズを食べている(っていうか、ミミズを食べられる仲間を選んで起用したのかもしれないけど)。
そんなわけで、「出演者が本物のミミズを食べています」というだけの映画である。それ以上でも、それ以下でもない。(観賞日:2019年11月4日)