『マラヴィータ』:2013、フランス&アメリカ

フレッド・ブレイクと妻のマギー、娘のベルと息子のウォーレンは飼い犬のマラヴィータを連れて、車でノルマンディー地方の田舎町にやって来た。不満たらたらのベルとウォーレンを、マギーが軽く諌めた。一家はロバート・スタンスフィールドが手配した空き家を発見し、各人の部屋を確認した。一家は今までに何度も引っ越しており、マギーとベルは快適だった南仏やパリを懐かしんだ。フレッドは2人に、「ここに今日から住む。現実を受け入れるんだ」と説いた。彼はマギーに「2人を寝かせろ。明日から学校だ」と告げた後、車に積んであった死体を土に埋めた。
翌朝、マギーは子供たちに学校の地図を渡して見送り、町を調べて買い物することにした。彼女はフレッドに「スタンスフィールドが門から出るなって。彼が来るまで南仏も禁句」と説明し、前はアメリカにいた設定にするよう告げた。学校に到着した子供たちは、冴えない場所だと感じた。物置でタイプライターを発見したフレッドは、紙に「ジョヴァンニ」と打って笑顔を浮かべた。不良のアンドレと仲間たちに難癖を付けられたウォーレンは生意気な態度を取り、暴行を受けた。
マギーが店で買い物をしていると、彼女をアメリカ人だと思い込んでいる人々がフランス語で喋った。しかしマギーはフランス語が堪能なので、アメリカの悪口を言っていることが理解できた。彼女は店の倉庫にガスボンベを放り込み、火を付けて爆破した。ウォーレンは昼休みにベルと食堂で合流し、収集した生徒たちの情報を教えた。彼はアンドレに復讐する方法も既に考えており、「奴の企画しているダンスパーティーに必要な音響装置を提供できるのは、エンジニアの息子であるマーティンだけだ」と姉に語った。
フレッドはタイプライターに向かい、父の後を継いでマフィアになったこと、凄腕の殺し屋に2千万ドルで命を狙われていることを打った。庭に出たフレッドは隣人から声を掛けられ、自分は作家で上陸作戦の本を書くために引っ越して来たのだと説明した。教会を訪れたマギーは、神父に声を掛けられて軽く会話を交わした。ウォーレンはマーティンのサッカー選手カード収集という趣味に目を付け、自分も集めていると嘘をついて接触した。マーティンの欲しがっているカードについて「僕が力になれると思うよ」と言うと、彼は「手に入れてくれたら何でもやるよ」と述べた。
ベルは下校時にJPと仲間3人からナンパされ、道が分からなくなったので車に乗る。しかし彼らが別の場所へ連れて行って口説こうとしたので、JPをテニスラケットでボコボコにした。帰宅したマギー、ベル、ウォーレンは「今日はどうだった?」とフレッドに問われ、声を揃えて「順調」と答えた。ニューヨークのアッティカ刑務所に収監されているマフィアのドン・ルッケーゼは、手下のロッコに命じてフレッドを捜索させていた。所内にはロッコが見つけ出した人物の資料が密かに持ち込まれるが、まだフレッドの居場所は割り出せていなかった。
一家が夕食を取っていると、FBI捜査官のスタンスフィールドがやって来て状況を尋ねた。フレッドがテレビと荷物5箱が届いていないことを告げると、彼は「運転ミスでテレビは壊れた。新品が今週中に着く。箱は知らんよ」と告げた。スタンスフィールドはフレッドに、「南仏で店をやっていたムラッドが2日前に消えた。奴はどこにいる?」と訊く。「なぜ俺に訊く?」とフレッドが言うと、「2週間前、彼を殴って殺し掛けただろ」と彼は告げた。
フレッドは「新鮮だと言ってロブスターを1ダース売り付けたが、腐っていた。死ぬところだった」と述べた。1ダースも買った理由をスタンスフィールドから問われた彼は、近所に売ろうと思ったのだと告げた。商売をするなと注意された彼は、「金が欲しかった」と弁明した。スタンスフィールドは「町に馴染め。90日ごとに引っ越しでは困る。努力しろ。また来る」と言い、後は部下のカプートとディ・チッコに任せることを告げて立ち去った。
翌日もフレッドはタイプライターに向かい、文章を打つ。彼が自叙伝を執筆していると知り、マギーは呆れた。「出版はしない」と説明するフレッドに、マギーは「当たり前でしょ」と声を荒らげた。「俺は真実を書きたい。自分を見つめ直す」と言うフレッドに、マギーは文句をぶつけた。彼女はフレッドに、水が茶色いので配管工に電話したら2度も約束して来なかったことを告げた。マギーは料理を運ぶ名目でカプートとチッコが使っている家へ行き、愚痴をこぼした。
ウォーレンは様々な方法を使って影響力の強い生徒たちを配下に置き、煙草や薬を売り捌くようになった。マギーはポーチを盗んだ女子を突き止め、トイレでボコボコにした。学校には産休の代理教師として大学生のアンリが来ており、女子生徒たちが狙っていた。マギーも目を付けるが、ウォーレンは「モノにするのは大変だぞ。数学にしか興味が無い」と言う。しかしマギーは彼の目に惚れ込んでおり、まるで耳を貸さなかった。
フレッドは配管工のラミレーズに電話を掛けて呼び出し、45分も遅刻したのに謝りもしない態度に不快感を示した。「女房に電話して半額を前金で支払い、また連絡してくれ」とニヤニヤしながらラミレーズが言うと、フレッドは彼を叩きのめして病院送りにした。マギーはアンリの元へ行き、数学の個人指導をお願いした。ウォーレンはアンドレたちを誘い出し、仲間に引き入れた連中と共にボコボコにした。ディ・チッコはFBIを詐称してムラッドの家族に接触し、フレッドの情報を収集した。
フレッドはマギーから「なぜ配管工を殴ったの?」と問われ、「俺をカモにしようとしたからだ」と答える。「私なら殴らない。配管修理はどうするの?」とマギーが訊くと、フレッドは「爆破したスーパーの建て直しはどうする?俺たちが行く先々でスーパーが爆発する」と切り返した。マギーは娘がアンリに惚れたと気付き、「欲望は突如として訪れる。時と場所を選ばない。私はパパに教会で襲われた」と忠告する。ベルは「私は時と場所を選ぶ。相手は愛する人でないと」と述べた。
マギーは田舎町の生活に順応するため、近所の人々を招いてバーベキュー・パーティーを開くことにした。カプートとチッコから連絡を受けたスタンスフィールドは、「1時間後に行く。お前たちも参加しろ」と告げた。大勢の人々が集まり、マギーはベルとウォーレンに手伝わせて接待に動き回る。執筆活動に没頭していたフレッドもベルに呼ばれ、肉を焼きに行った。男たちが「一度に炭を入れすぎる」「時間は掛かるが薪が一番だ」「その炭は質が悪い」と文句ばかり言って笑うので、フレッドは怒りを堪えた。
スタンスフィールドはパーティーを訪れてフレッドに声を掛け、彼の友人だったウォルバーグが上院議員になったこと、自叙伝を執筆していると聞いて懸念していることを話した。アンリがパーティーに来なかったので、ベルは残念そうな表情を見せた。マギーが慰めると、彼女は「きっと忙しいのよ。来週は試験だし」と語る。「美人より数学を選ぶなんて変わり者なのね」とマギーが言うと、ベルは「計算できないぐらい夢中にさせる」と前向きな態度を示した。
スタンスフィールドはフレッドに、「オーギーが君の子分だったヴィニーをタレ込んで粛清された。気の毒に。オーギーは全員を売った。君のおかげだ。ファミリーを売る前例を作ってくれた。誰もが君は優雅に暮らしていると思っている。FBIにとっては、いい宣伝だ」と語った。フレッドは町長の元へ行き、水のことを陳情する。町長が「検査の結果は問題無しです。パイプが古いんでしょう。町長や役場は悪者にされがちですが、何もしていない」と語ると、フレッドは「何もしていないのが諸悪の根源だ」と告げる。町長が「我々のやり方に従うべきです。時間は掛かっても、最後は解決します」と言うと、フレッドは怒りを抑えた。
ベルは自習室でアンリに勉強を教えてもらい、「試験に合格したらどうなるの?」と問い掛ける。アンリは「パリへ行って仕事を探すよ」と答えた。下水処理場を視察したフレッドは、そこへ流れ込んだ時点で既に水が茶色く濁っていることを知った。職員に原因を尋ねると、「化学肥料工場のせいだ」という言葉が返って来た。教会を訪れて祈りを捧げていたマギーは、神父から告解を勧められる。彼女は神父の守秘義務を確認し、告解を承諾した。
ウォーレンは女性教師から、学校新聞に掲載する英語の言葉遊びを要請される。彼は幼い頃に聞いていたマフィアの会話を思い出し、それを文章にした。幾つもの偶然が重なり、学校新聞はルッケーゼの元に届いた。言葉遊びの欄を見た彼は、すぐにフレッドとの関係を察知した。フレッドは化学肥料会社へ赴き、責任者に文句を付けようとする。男が軽くあしらって済ませようとするので、彼はリンチを加えて脅し、タービンを止めれば水が透明になると聞き出した。ベルは試験へ向かおうとするアンリを誘惑し、その気にさせて関係を持った。ルッケーゼは子分のウィリーと面会し、家族もろともフレッドを始末するよう命じた…。

監督はリュック・ベッソン、原作はトニーノ・ブナキスタ、脚本はリュック・ベッソン&マイケル・カレオ、製作はヴィルジニー・ベッソン=シラ&ライアン・カヴァナー、製作総指揮はマーティン・スコセッシ&タッカー・トゥーリー、共同製作総指揮はロン・バークル&ジェイソン・コルベック、撮影はティエリー・アルボガスト、美術はユーグ・ティサンディエ、編集はジュリアン・レイ、衣装はオリヴィエ・ベリオ、音楽はエフゲニー・ガルペリン&サーシャ・ガルペリン。
出演はロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、トミー・リー・ジョーンズ、ダイアナ・アグロン、ジョン・ディレオ、ドメニク・ランバルドッツィー、ジミー・パルンボ、ヴィンセント・パストーレ、ジョン・フレダ、スタン・カープ、マイケル・J・パニチェリJr.、ポール・ボルゲーゼ、アンソニー・デシオ、テッド・アーシディー、デヴィッド・ベル、レイモンド・フランザ、セドリック・ジマーリン、オイジン・スタック、ドミニク・チアネーゼ、ジョナス・ブロケット、サイモン・クレル、カム・レヴィン他。


フランス人作家であるトニーノ・ブナキスタの小説『隣りのマフィア』を基にした作品。
監督は“アーサー”3部作のリュック・ベッソン。
脚本はベッソンと『ラストタイム 欲望が果てるとき』のマイケル・カレオによる共同。
フレッドをロバート・デ・ニーロ、マギーをミシェル・ファイファー、ロバートをトミー・リー・ジョーンズ、ベルをダイアナ・アグロン、ウォーレンをジョン・ディレオ、カプートをドメニク・ランバルドッツィー、チッコをジミー・パルンボ、ウィリーをヴィンセント・パストーレ、ロッコをジョン・フレダ、ルッケーゼをスタン・カープが演じている。

ロバート・デ・ニーロとミシェル・ファイファーの起用は、原作者の希望だったらしい。
しかし皮肉なことに、デ・ニーロをフレッド役に起用したことが、この映画のバランスを壊している。
彼を起用したことによって、この映画は「デ・ニーロのセルフ・パロディー」という色合いが濃くなってしまった。しかし本来なら、そうではなくて「ヤバい家族の問題だらけの生活」を描く内容にすべきなのだ。
実際、全体の枠組みとしては、そういう話になっている。
しかしセルフ・パロディーが強くなった煽りを受けて、肝心な部分が弱くなっている。
そもそもデ・ニーロがマフィアを演じるセルフ・パロディーってのは『アナライズ・ミー』と続編の『アナライズ・ユー』、アニメではあるが『シャーク・テイル』でもやっているので、そこに新鮮味は無いし。

英語タイトルは「The Family」だが、邦題は『マラヴィータ』になっている。
ただし勝手に付けたわけではなく、フランス語のタイトルは「Malavita」なので、そっちを取っているってことだ。
まあ『ザ・ファミリー』と比較すると、そっちの方がマフィアを扱った映画っぽさは出るかな。
ただ、マラヴィータってブレイク家の飼い犬の名前なんだけど、こいつはタイトルになるほど活躍するわけじゃないんだよな。むしろ、ほぼ存在意義が無い。
フランス語のタイトルにするぐらいなら、もうちょっと有効活用しようぜ。

冒頭で一家が襲撃されるシーンがあるものの、ブレイク家とは顔が異なる。
もちろん整形して別人に成り済ましたってことなんだけど、フレッドがマフィアのボスであること、証人保護プログラム下に置かれていることは、なかなか明確にされない。何となく匂わせるような台詞はあるが、しばらくは謎にしたまま話を進める。
だが、そこを隠したまま進めることが得策とは思えない。
なぜなら、劇中で描かれる一家の言動は全て、「証人保護プログラム下にあるマフィアの親分と家族」ということが分かっていてこそ面白いと感じられるモノばかりだからだ。
田舎町へ引っ越してくるまでの経緯も含めて、最初から明確にしておいた方が絶対にいい。ハッキリ言って、隠しておくことのメリットってゼロだぞ。

それと、最初に町へ出た家族が抱く感想からすると、そこで描かれる光景が見合わない。
まずベルとウォーレンが「冴えないね」と漏らす時点で、何がどう冴えないのかサッパリ分からない。ごく普通に、校庭で生徒たちが騒いでいるだけだ。
一方、町を歩いていたマギーは作業車が走っていくのを見て「なるほど」と言うが、これも「冴えない田舎町」ってのをアピールするには弱い。
その後でカフェに入った彼女がウェイトレスに観光地を訪ね、「圧搾機の博物館と教会が20キロ先の隣町にある」と言われるのは、作業車に比べれば遥かに強い。
だから、そこを「マギーが田舎町だと感じる」という1つ目のポイントにすべきだったのだ。

この映画には、「アメリカ人とフランス人の違い」を使ったネタが盛り込まれている。
マギーがピーナッツバターの場所をスーパーの店員に訊くと「そんな物は置いてない」と言われ、店員と客は「アメリカ人の2割は肥満よ」「どこでも我が物顔だ」「私たちを洗脳してる。孫は服も音楽もテレビもアメリカよ」「今に朝昼晩とハンバーガーになる」「味覚が無いのよ」「教養も無い」などと話す。
チッコはフランスの食事について「クリームの国に来るとは。昨夜のレストラン、スープにも肉にもパイにもクリームだ」と言い、カプートは「最悪だ。何にでもバター」と語る。ベルたちの学食でも、大量にクリーム系のソースが掛かっている。
ウォーレンはバーベキュー・パーティーの飲み物にコーラだけを用意し、「客の期待は脂っこいアメリカの食べ物さ。下品でポルノ的な食い物だ。フランス人はヘルシーな料理にウンザリしてる」と母に言う。

ただ、そもそもフレッドたちはアメリカ人を装っているけど実際はイタリア人なので、「そんなキャラを使ってアメリカ人とフランス人の比較をネタにされてもなあ」と思ってしまうんだよね。まるでアメリカ人の代表のような顔でコメントしたり行動したりしているけど、フレッドたちはバッタモンのアメリカ人なわけだから。
そもそも、その「お国柄の違い」というネタって、そんなに面白味があるわけでもないんだよな。
そんなことより、ブレイク家の面々のキャラクターを勃てることを重視してくれと言いたくなる。その部分にこそ本作品を面白くするモノが多く秘められているのに、肝心なトコが薄味になっているのよね。序盤で軽く触れた後は、もう意識が散漫になってしまう。
そもそも、各人の色分けが何となくボンヤリしている。それぞれの行動範囲は異なるけど、みんなが揃って似たようなマフィア気質ってことになると、「じゃあ4人も要らないわ」と思ってしまう。

そりゃあ細かいことを言うならば、「フレッドは撲殺したがる」「マギーは爆破したがる」「ベルが最も激しい」「ウォーレンは知恵も使う」という違いはあるのよ。
ただ、みんな「気に入らない奴は暴力で排除する」というトコは同じなわけで。
しかも、それぞれの着地もヌルい。
マギーは告解した途端、それまで優しくて好意的だった神父から「貴方の一家は魔物の化身だ。聖なる神の家から立ち去れ」と怒鳴られるのだが、悲しそうな表情を浮かべて立ち去るだけ。
そこは絶対に教会を爆破しなきゃダメだろ。

ベルはアンリと出会って恋に落ちると、もう「疎ましい奴はボコボコにする」という荒っぽさは完全に消え失せてしまい、ただの恋する女になってしまう。
彼に電話で振られても、ただ普通に泣いて悲しむだけだ。
彼女のエピソードは恋愛劇に絞り込んであるので、そうなると「ごく凡庸な話」になってしまうのだ。
せっかく恋の相手を「真面目な数学オタク」というマフィアとの距離がものすごく遠いキャラにしてあるのに、そこの違いも全く活用しないし。

ウォーレンは「あっという間に情報収集する」というトコを最初に見せてインテリ系っぽく見せるけど、すぐに仲間とつるんでアンドレたちをボコボコにしてしまう。
なので、やっぱり「すぐ暴力を行使する」という他の面々と似たような感じになってしまう。
それに、「知恵を使って手下を増やし、学校のボスに成り上がる」という部分の描写が雑なので、あまりキレ者としての印象も強くないんだよな。
アンドレを叩きのめした後は「学校でファミリーを形成している」という部分の描写が消えるから、その設定も活かし切れていないし。

フレッドが自叙伝を書く様子が何度も描かれ、その度に、過去の回想シーンが挿入される。
だが、この回想シーンが単に邪魔なだけの存在と化している。そんなトコでフレッドが現役マフィアとしてバリバリと活動していた様子を描いたところで、そこに笑いがあるわけでもないし。
そんなことより、素性を隠して生活している今の様子を描くことに集中した方がいい。
そういう要素を入れることで厚みを出そうとか、広がりを持たせようという狙いがあるのかもしれないけど、もっと小ぢんまりとした枠で構築しちゃった方がいい。この話の面白味は、枠の広さによって増えるモノではないんだから。

現在のシーンでは、一家の生活風景が描かれるだけでなく、ルッケーゼの指示を受けたディ・チッコがフレッドを捜索している様子も並行して描写されている。
だが、これまた邪魔な要素でしかない。
普通に考えれば、「恨みや怒りを持つ悪党が主人公を見つけ出そうとしている」という要素を入れるのは、決して悪いアイデアではない。っていうか、色んな映画で使われてきたベタなネタだ。
ただ、この映画に関しては、そういった類のサスペンスって邪魔なだけなのよね。

ベルやウォーレンは文句を言うこともあるが、フレッドを敬愛している。マギーも不満を漏らすことはあるが、夫婦仲は円満だ。
つまり、最初から仲の良い家族であり、ヒビが入るようなことは全く無い。
そんな中で、ルッケーゼの差し向けた殺し屋たちが家に乗り込んで来る展開が訪れる。家族は全員が外出しているが、それぞれ帰宅して応戦する。
だが、そういう展開を用意するのなら、むしろ「それまでは問題だらけでバラバラに見えた家族が、危機に陥ると一致団結し、全員が武装して敵を蹴散らす」という形にした方が間違いなく面白い内容になるはずだ。

ただし、そもそも「殺し屋たちとの銃撃戦」という展開を用意すること自体、全面的に賛同しかねるんだけどね。
確かにクライマックスとしての盛り上がりを考えれば派手な銃撃戦は持って来いだろうし、ルッケーゼがフレッドを捜索する話の着地点からすると、そういう形になるのも理解できる。
ただし、前述したように、ルッケーゼがフレッドを捜索している要素からして要らないモノだ。
しかも、そうやって派手な銃撃戦を最後に持って来ることで、色んなネタを放り出したまま終わっている印象だし。

(観賞日:2015年7月31日)

 

*ポンコツ映画愛護協会