『モータルコンバット2』:1997、アメリカ

リュウ・カン、ソニア、ジョニー、キタナ王女は伝説の格闘神ライデンに導かれ、人類を守るための戦い“モータルコンバット”に挑んだ。リュウ達が魔界の妖術師シャオ・ツンを倒したことによって、人類の安全が彼らの1世代は保障されることになった。
しかし魔界の皇帝シャオ・カーンが規則を破り、人間界への門を開いてしまった。神々の1人シノックの息子であるシャオ・カーンは、手下と共にリュウ達の前に姿を現した。彼の手下の中には、キタナの母親シンデル女王の姿もあった。
シャオ・カーンはジョニーを殺害し、「6日以内で人類を跪かせる」と告げて姿を消した。ライデンはリュウ達に、シンデルがキタナと和解することで彼女の呪文が解け、安らぎを得て門は閉じられると告げる。ライデンは、ソニアには相棒のジャックスを連れて来ること、リュウには修行のためにホピメイサに行ってナイトウルフに会うことを指示した。
リュウはキタナと共に、ホピメイサへと向かった。しかし途中で敵に襲われ、キタナを連れ去られてしまう。リュウはナイトウルフと出会い、3つの試練を与えられた。一方、ソニアはパワー増幅装置で腕力を4倍にアップしたジャックスと会う。
女戦士ジェイドと会ったリュウは、鍵を握る女王が神々の神殿にいると言われ、彼女に付いて行くことにした。やがてリュウとジェイドは、同じく神殿に向かっていたソニアとジャックスに会った。そこに、神々に会っていたライデンもやって来た。だが、リュウ達の前にシャオ・カーンの軍勢が現れ、神殿を破壊してしまう…。

監督はジョン・R・レオネッティー、ビデオゲーム創作はエド・ブーン&ジョン・トバイアス、原案はローレンス・カサノフ&ジョシュア・ウェクスラー&ジョン・トバイアス、脚本はブレント・V・フリードマン&ブライス・ゼイベル、製作はローレンス・カサノフ、共同製作はケヴィン・レイディー、製作協力はジョシュア・ウェクスラー、製作総指揮はアリソン・サヴィッチ&カーラ・フライ&ブライアン・ウィッテン、撮影はマシュー・F・レオネッティー、編集はペック・Prior、美術はチャールズ・ウッド、衣装はジェニファー・L・パーソンズ、視覚効果監修はチャック・コミスキー&アリソン・サヴィッチ、音楽はジョージ・S・クリントン、音楽監修はシャロン・ボイル&ジョン・フーリハン。
出演はロビン・ショウ、ジェームズ・レマー、タリサ・ソト、ブライアン・トンプソン、サンドラ・ヘス、リン・レッド・ウィリアムズ、イリーナ・パンタエヴァ、レイナー・シェイン、ムゼッタ・ヴァンダー、マージーン・ホールデン、ライトフット、デロン・マクビー、クリス・コンラッド、J・J・ペリー、ジョン・メドレン、タイロン・ウィギンス、デニス・キーファー、リドリー・ツイ他。


人気の格闘ゲームを基にした『モータルコンバット』の続編。『モータル・コンバット2/魔界来襲』という別タイトルもある。前作の監督はポール・W・S・アンダーソンだったが、今回は前作で撮影を担当していたジョン・R・レオネッティーが初監督を務めている。

冒頭、前作の粗筋が1分程度で説明される。
そんな短い時間で説明できるのかと思われそうだが、実際、その程度の薄い内容だったのだ。
そして、そんな薄い映画の続編である今作品も期待(?)を裏切らず、やはり薄くてデタラメな内容であった。

映画開始から約2分ほどで、シャオ・カーンの一味が登場する。「モータルコンバットに勝つことで人類は魔界の侵略から救われる」というルールだったはずが、前作の粗筋説明が終わった途端、そのルールを破るというアンフェアすぎる方法で続編に突入する。
で、リュウ達に「あいつはシャオ・カーンだ」と教えてくれる白髪ロンゲの男が登場するが、「お前は誰なんだ?」という話である。というのも、前作でライデン役はクリストファー・ランバートだったのに、ジェームズ・レマーに替わっているのである。
それどころか、リュウの仲間の中にも、「お前は誰なんだ?」という奴が混じっている。ソニア役がブリジット・ウィルソンからサンドラ・ヘス、ジョニー役がリンデン・アシュビーからクリス・コンラッドにチェンジしているのだ。前作ラストの直後から話が始まっているのに、思いっきり別人になっているのは、何か魔界の力が働いたんだろう。

配役チェンジは彼らだけに留まらない。ジャックスがグレゴリー・マッキニーからリン・レッド・ウィリアムズ、スコーピオンがクリス・カサマッサからJ・J・ペリー(この人はサイラックスとヌーブ・サイボットも演じている)にチェンジしている。あと、サブ・ゼロもフランソワ・プティーからキース・クックに替わっているが、こいつの場合は弟という設定。
とにかくゲームのキャラクターを出来る限り多く登場させようという意識だけは、無駄に強かったようだ。ただし、ボーッとしていると、どこに出ていたのか分からないような奴もいる。何しろ名前が出ない内に死んでしまう奴も少なくない。名前が出てくる奴は把握することが出来るが、そうでない奴は見た目で判断するしかない。

というわけで、全て確実とは言い切れないが、話の順を追いながら、登場する奴らを見ていこう。
まず最初にシャオ・カーンと共に登場するのが、たぶんモタロー、アーマック(赤色忍者)、レイン(青色忍者)、シーヴァ、シンデル。リュウとキタナの前に登場するのが、たぶんヌーブサイボット。助けに入ったサブゼロと戦うのがスコーピオン。
ナイトウルフやジェイドは、名前が出るので分かりやすい。ソニアとジャックスの前に現れるのは、たぶんサイラックス。屋外シーンでソニアに「キタナ?」と呼ばれる女がミレーナ。キタナ救出時にリウが戦うのがバラカ。
あれっ、おかしいな、スモークも出ているはずなんだが。
ってことは、最初の奴がレインじゃなくてスモークなのかな。

格闘ゲームの映画版だから、とにかく格闘シーンを多く入れようという意識は強く感じられる。しかし、あまりに安易に放り込みすぎた。次々に敵が登場して戦い、あっさりと消えて行くことが繰り返される。キャラクターへの思い入れも何もあったものではない。
しかも、その度に場所やキャラクターは変わるが、アクションは変わり映えしない。マーシャルアーツ系のパンチとキック、たまに回転やジャンプを加えてのキック。似たようなファイト・シーンが繰り返されるので、だんだん退屈になってくる。

さて、前述したように、ストーリーはデタラメ放題である。始まって5分くらいでジョニーが一捻りで殺されたり、ライデンが指1本でシャオ・カーンの手下4人衆を人質に取ったり、のっけからパワーバランスの計算をしていない展開が連続する。
シャオ・カーンが色々と喋ったり戦ったりしている間、一緒に登場した手下達は、たまにポーズを決めたりするだけ。何のために出て来たんだか、良く分からない。ちなみに後になって、レインやシーヴァは戦闘シーンが全く無い内に一撃で死んでしまう。

で、シャオ・カーン達が消えた後、リュウが「奴らを倒そう」と言うと、ライデンは「今は無理だ」と答える。いやいやオッサン、ついさっき簡単にシーヴァ達を封じ込め、シャオ・カーンを圧倒してただろ。あそこで甘さを見せなかったら、奴らを一網打尽に出来てただろ。
で、問題解決の方法として、ライデンは「キタナとシンデルが和解すれば門が閉じる」と言い出す。なんかワケ分からんが、まあ良しとしよう。だけどね、終盤になって、「そんな伝説はウソだぴょ〜ん」という展開になるのよ。もうデタラメすぎるだろ。

ライデンは「人間界が魔界に併合されたら自分は無力なので、お前達が強くなれ」と言う。だからさ、最初にシャオ・カーン達を退治すれば良かったんじゃねえのか。そんで魔界に入ったらホントに貧弱で、シャオ・カーンに一撃で殺されてるのよね。あと、ライデンは途中でショートカットにするのだが、そのイメチェンの必要性が全く分からない。
リュウとキタナの救出に現れたサブゼロ、ナイトウルフの居場所を聞かれて氷の橋を作る。でも、リュウが渡る前に、自分がスコーピオンと戦って壊してしまう。で、再び橋を作ることも無く姿を消し、2度と出てこない。何がしたかったんだ、お前は。というか、氷の橋は破壊されたのに、どうやってナイトウルフの居場所に行ったんだ、リュウよ。

ナイトウルフに3つの試練を与えられたリュウだが、ジェイドと会った後、2つの試練を放り出して神殿に行ってしまう。いや、実はジェイドも試練の相手ではなかったわけだから、1つの試練もクリアしていないのだ。全く修行していないじゃないか、リュウよ。
終盤、シャオ・カーンを倒すためにどうするのかというと、「最善を尽くせ、自分を信じろ」だってさ。何の対策にもなってないぞ。しかも前述したように修行していないんだから、、リュウは「今は無理だ」と言われた時から全く強くなってないんだぞ。それでもシャオ・カーンに勝てるってことは、最初の時点で戦っても勝てただろうに。

 

*ポンコツ映画愛護協会