『モンスター・ハウス』:2006、アメリカ

ハロウィンの前日、12歳の少年DJは、自分の部屋から望遠鏡で向かいの家を観察していた。三輪車の少女が敷地の芝生に入ると、家主の ネバークラッカーが現れ、「ウチの芝生に入るな、取って食われたいのか」と怒鳴った。彼は三輪車を破壊して奪い、少女を追い払った。 いつも彼は、敷地に入った子供を怒鳴るのだ。DJの両親は外出し、入れ違いで友人チャウダーがやって来た。
チャウダーが新しいバスケットボールで遊んでいると、誤ってネバークラッカーの敷地に入ってしまった。DJは「諦めろ」と言うが、 チャウダーに泣きつかれて芝生に入った。するとネバークラッカーが家から飛び出し、DJに激怒して掴み掛かった。その直後、彼は 心臓発作で倒れてしまう。救急車で運ばれるネバークラッカーを見て、DJは彼を殺してしまったと感じた。
ベビーシッターのジーが来て見下した態度を取るので、DJは苛立った。いつの間にか自室で眠っていたDJの元に、電話が掛かって来た。 妙な唸り声だけで切れてしまったので、DJはイタズラだと思い、リダイヤルした。すると、向かいの家の電話が鳴る音がした。そこに ジーと彼女の恋人ボーンズが乱入してきた。ジーは勝手にボーンズを連れ込んでいたのだ。DJは「向かいには誰もいないはずなのに電話 が掛かって来た」と言うが、ジーとボーンズからはバカにされた。
DJはチャウダーに電話を掛けてマンション予定地に呼び出し、こっそり家を抜け出した。酔っ払ったボーンズは、向かいの芝生に入った。 すると玄関が開いて絨毯が舌のように伸び、彼を飲み込んだ。DJはチャウダーに事情を説明し、「ネバークラッカーが復讐のために幽霊 になって蘇った」と言う。チャウダーは「幽霊なんかいない。ピンポンダッシュで証明してやる」と言う。彼が玄関に行くと家が動き、 ドアが開いて絨毯が伸びてきた。チャウダーは慌てて敷地の外へ走り、DJと共に彼の家へ逃げ込んだ。
DJとチャウダーは一睡もせず、翌朝まで向かいの家を観察した。ジーが来るので「家に食われそうになった」と言うが、もちろんバカに されただけだった。DJとチャウダーは、募金活動に回っているウエストブルック学園の生徒会長ジェニーが向かいの敷地に入っていく姿 を目撃した。慌てて飛び出した2人は、「早く戻って」と叫んだ。家が暴れ出し、ジェニーを連れ込もうとする。DJたちは敷地に入り、 何とかジェニーを助け出した。
DJはチャウダーと共に、ジェニーを自分の部屋に招き入れた。窓から向かいを見ると、芝生に入った犬が家に飲み込まれた。DJたちは ジェニーに事情を説明した。ジェニーは警察に電話を掛け、ランダーズとリスターの両刑事がパトカーでやって来た。しかしDJたちが 説明しても、全く相手にされない。DJは証拠を見せようとして芝生に入るが、何も起きなかった。
DJはモンスターに詳しいオタクのスカルに相談した。スカルと話したDJは、「あの家はネバークラッカーで、僕を恨んでる」と考えた。 スカルは心臓を狙うようアドバイスし、「片付ける仕事がある」と告げて立ち去った。DJは、ネバークラッカーが死んだ直後に煙突から 煙が出始めたことを思い出した。3人は、ボイラー室がモンスターハウスの心臓だと確信した。
DJは、大量の風邪薬をモンスターハウスに食わせる作戦を思い付いた。風邪薬を人形に詰め込んみ、それを動かして人間だと思い込ませ、 モンスターハウスに飲み込ませようという作戦だ。もう少しで成功しそうだったが、ランダーズとリスターが現れたので失敗に終わった。 彼らはDJたちが家にタチの悪いイタズラを仕掛けたと思い込み、パトカーに乗せてしまう。
ランダーズとリスターは不用意にモンスターハウスへ近付き、飲み込まれた。DJたちもパトカーごと飲み込まれた。屋内を調べた3人は 、ネバークラッカーと超肥満体の妻コンスタンスの写真を発見した。ネバークラッカーには、妻を太らせて食べたという噂があった。3人 地下室に転落し、大量のオモチャの山を見つけた。奥へ進むと、コンスタンスがセメント漬けになっていた。
DJが転倒してコンスタンスにぶつかると、セメントが割れて骸骨が出現した。家が動き出し、3人はモンスターハウスの口に食われそう になる。ジェニーがモンスターハウスのノドチンコを刺激すると、口から液体が湧き出した。3人は溢れ出した液体と共に、屋外へと 吐き出された。救急車が3人の前で停車し、中からネバークラッカーが現れた。彼は死んでいなかったのだ。ネバークラッカーは「失せろ、 命が無いぞ。今日が何の日か知ってるのか」とDJたちに怒鳴った後、家に向かって優しく語り掛けた。
DJたちが家に入ったと知ったネバークラッカーは、コンスタンスのことを語り始めた。かつてコンスタンスはサーカスの見世物にされて いた。コンスタンスに恋をしたネバークラッカーは彼女を連れ出し、結婚した。マイホーム建設中、コンスタンスはワルガキたちに物を 投げられて激昂した、彼女は誤ってセメントの装置を作動させ、同時に穴へ落下してしまった。
セメント漬けになったコンスタンスの家に、ネバークラッカーは彼女の念願だった家を建てた。それによって、家にはコンスタンスの魂が 宿るようになってしまった。コンスタンスは子供に強い恨みを抱いており、攻撃しようとする。だからネバークラッカーは、敷地に入る 子供たちを守るため、激しく怒鳴って追い払っていたのだ。モンスターハウスが立ち上がって移動を開始したため、DJたちは慌てて逃走 する。ネバークラッカーは事態を解決するため、ダイナマイトを使って家を爆破しようと考えていた…。

監督はギル・キーナン、原案はダン・ハーモン&ロブ・シュラブ、脚本はダン・ハーモン&ロブ・シュラブ&パメラ・ペトラー、製作は スティーヴ・スターキー&ジャック・ラプケ、製作協力はヘザー・スミス・ケルトン&ベネット・シュナイアー、製作総指揮はロバート・ ゼメキス&スティーヴン・スピルバーグ&ジェイソン・クラーク、撮影はザビエル・ペレス・グロベット、編集はアダム・P・スコット& フェビアン・ロウリー、美術はエド・ヴァリュー、衣装はルース・マイヤーズ、視覚効果監修はジェイ・レッド、音楽はダグラス・パイプス。
声の出演はスティーヴ・ブシェミ、ニック・キャノン、マギー・ギレンホール、ジョン・ヘダー、ケヴィン・ジェームズ、ジェイソン・ リー、キャサリン・オハラ、キャスリーン・ターナー、フレッド・ウィラード、ミッチェル・ムッソ、サム・ラーナー、スペンサー・ ロック、ライアン・ニューマン、エリック・ウォーカー、マシュー・フェイヒー、ウディー・シュルツ、イアン・マッコネル他。


スティーヴン・スピルバーグとロバート・ゼメキスが製作総指揮として携わった3DCGアニメーション映画。
監督のギル・キーナンは、これが映画デビュー。
DJの声をミッチェル・ムッソ、チャウダーをサム・ラーナー、ジェニーをスペンサー・ロック、ネバークラッカー をスティーヴ・ブシェミ、ジーをマギー・ギレンホール、コンスタンスをキャスリーン・ターナーが担当。
日本語吹き替え版ではDJが高山みなみ、チャウダーが宮里駿、ジェニーが石原さとみ、ネバークラッカーが泉谷しげる。

キャラクターのデザインは、あまり魅力的だとは思えない。
そこがキュートじゃないのは、大きなマイナスだ。
ある程度は誇張してあって、全体のバランスからすると頭のサイズが大きくなっていたりするんだが、もっと誇張しても良かったかも しれない。
っていうか、基本的に3DCGと人間キャラクターの相性って、あまり良くないように個人的には感じているんだけどね。

じゃあ外見は置いておくとして、中身はどうなのかというと、中身もそんなに魅力を感じないんだよなあ。
誰一人として魅力を感じるキャラがいないってのは厳しい。
あと、目の前でネバークラッカーが死んだと思い込んでいるのなら、その後のDJとチャウダーの反応は軽すぎるだろ。
特にDJなんか、自分が殺したと思い込んでいるにしては、その罪悪感がほとんど感じられないぞ。

すげえテンポがユルい。
それは心地良さを感じさせるユルさじゃなくて、本来はもっと締まっていなきゃいけないモノが緩んでいるという感じ。
つまりパンツのゴムがダルダルってな感じね。
もうちょっとテンポ良くやってくれないと。
DJとチャウダーがジェニーの気を惹こうとしたり、そのことで軽い言い争いになったりするのも別にいいけど、もっと小気味良いテンポ でやってくれないと、なんか無駄な寄り道でダラダラしているような印象に見えてしまうのよね。
ただでさえ中身が薄いんだし。

「生きている家」というアトラクションがアミューズメント・パークにあったとしたら、それは面白いかもしれない。
でも、この作品をアトラクション映画として割り切るにしても、そういう類の楽しさも無い。
せめて実写じゃないとキツいだろう。
この内容で、なぜアニメで作ろうと思ったのか理解に苦しむ。
こんなの、CGを売りにした実写映画としてやらなきゃ勝ち目無しでしょ。

モンスターハウスの中での冒険は、短い時間で終了する。
後半に入るとモンスターハウスが立ち上がって歩き出すので、「敷地に入ったら襲われる」というルールも消える。
今度は暴れるモンスターハウスと街の中で戦うことになり、アトラクションとしての意味合いも消える。
それが「色んなバリエーションがある」ということであればいいんだけど、ピントがボヤけてると感じてしまう。
あと、あのファッキン・ベビーシッターのジーが何の罰も受けないままで終わっているのは、ちょっと納得できんなあ。

(観賞日:2010年2月23日)

 

*ポンコツ映画愛護協会