『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』:2018、アメリカ

ベルファストにいたイーサン・ハントは、IMFから新たな任務を命じられた。ソロモン・レーンを捕まえた後も、シンジケートの残党は世界各地でテロ行為を繰り返していた。過激な一派は「神の使徒」と名乗り、金でテロ行為を請け負っていた。ジョン・ラークと呼ばれる正体不明のクライアントは彼らを雇い、新たなテロを計画していた。世界秩序を破壊する声明文を作成した核兵器のスペシャリストであるデルブルック博士が行方不明になったのも、ラークの仕業だった。
神の使徒は東ヨーロッパの地下組織から3つのプルトニウムを購入し、ラークと組んで核兵器を製造しようと目論んでいた。イーサンが命じられたのは、神の使徒のプルトニウム入手を阻止する仕事だった。彼はベルリンでルーサー・スティッケル&ベンジー・ダンと合流し、闇商人からプルトニウムを買い取ろうとする。しかし神の使徒に襲撃され、ルーサーを人質に取られてプルトニウムの引き渡しを要求された。イーサンはルーサーを救うために攻撃を仕掛けるが、神の使徒はプルトニウムを奪って逃亡した。
イーサンたちはデルブルックに罠を仕掛け、ラークと通信した携帯のパスコードを聞き出した。イーサンはアラン・ハンリーと会い、携帯のサーバーからラークの通信を発見したことを知らされた。相手はホワイト・ウィドウと呼ばれる慈善活動家で、裏では武器売買やマネーロンダリングを繰り返しているが、警察とコネがあるので逮捕されていない。その夜、パリのグラン・パレにあるプライベート・ラウンジでチャリティー・イベントがあり、そこでホワイト・ウィドウはプルトニウムの取引を行おうとしていた。
イーサンはアランの手配したCIAの輸送機を使い、パリへ向かおうとする。そこへCIA長官のエリカ・スローンが現れ、自分の許可無しには輸送機を使わせないと告げた。彼女はCIAがラークを捕まえると言い、監視のために特殊部隊のオーガスト・ウォーカーを同行させることを一方的に通告した。イーサンはウォーカーに、ウィドウが深夜にVIPラウンジでラークと会うこと、VIPラウンジに入るには電子ID入りの腕輪が必要になることを説明した。ラークの電子IDの周波数は入手しており、それを追跡して注射で泥酔させると彼は言う。そしてCIAがラークを連れ出し、その間に自分が彼に化けてラウンジに入るというのがイーサンの立てた作戦だった。
イーサンとウォーカーは輸送機から降下し、グラン・パレに入った。周波数を追った彼らはトイレに行き、ラークと思われる男を特定した。2人はラークを昏倒させ、顔のデータを採取しようとする。しかしラークに反撃を受け、イーサンは拳銃を突き付けられて窮地に陥る。そこへイルサが現れ、ラークを射殺した。胸を狙った銃弾が顔面に当たったため、イーサンはラークに変装できなくなった。彼が素顔のままでウィドウに接触することを告げると、イルサは「貴方は裏に何があるか知らない」と反対した。
イーサンがVIPラウンジに向かうとイルサが同行し、「ラークの命を狙う大勢の殺し屋が来ている」と警告した。イーサンはウィドウに声を掛け、「取引を止めたい連中が命を狙ってる。生きて連れ出してやる」と告げた。2人は襲って来る殺し屋を次々に始末しながら移動し、ウォーカーとイルサも加勢した。イーサンとウォーカーがウィドウの屋敷に着くと、彼女の兄であるゾラが説明を担当した。明朝8時、ある人物がフランス政府に引き渡される。フランス財務省に到着すると、警察が護送する。そのルートをブロックして別ルートに誘導し、そこで標的を奪う。そんな計画を、ゾラが詳しく語った。
標的がレーンだと知ったイーサンは、驚きを隠せなかった。ウィドウは「売り手は金に興味が無い」と言い、前払いとしてプルトニウムの1つを渡した。彼女は「あと2つは48時間後、標的と交換する」と言い、ゾラは護送の警官を皆殺しにすることを説明した。ウォーカーはエリカの元へ行き、「グラン・パレで死んだのはラークではなく雇われた男だ。ラークの正体はイーサン・ハントだ」と告げる。彼は根拠となる理由を語った後、死んだ男から回収した携帯を差し出して「この中に証拠があるはず」と告げた。
イーサンはゾラの指示に従わず、ウォーカー&ルーサー&ベンジーと別の作戦を実行した。イーサンとウォーカーは囮になって警官隊を引き付け、その間にルーサーとベンジーがレーンを連れ去った。イーサンたちはルーサー&ベンジーと合流し、レーンを車に乗せて逃亡を図る。しかし婦人警官に見つかって拳銃を向けられたため、イーサンは穏便に済ませようと説得を試みた。そこへゾラの手下4人が現れ、婦人警官を撃った。警官が射殺されそうになると、イーサンは4人を始末した。
イーサンが車を走らせていると、イルサがレーンの命を狙って狙撃してきた。イーサンはイルサに車をぶつけ、その場から逃亡した。彼はウィドウの元へ行き、「ゾラの計画だとレーンも死んでいた。だから勝手にやった。レーンの身柄は確保してある」と説明した。ウィドウは4人が殺されたことを問題視して「代金を値上げする」と言い、イルサを引き渡すよう要求した。イーサンか承諾すると、ウィドウは「ロンドンへ行って。追って連絡する」と告げて立ち去った。
イーサンは張り込んでいたイルサと会い、手を引くよう要求した。イルサは「それは出来ない」と拒み、イーサンは彼女がMI6からレーンの殺害を命じられていたことを知る。MI6は他国の政府にレーンを尋問され、情報が漏れることを恐れたのだ。イルサはレーンの居場所を教えるよう求め、イーサンが断ると「どんな手を使っても見つけ出す」と立ち去った。イーサンはレーンを連行してロンドンに到着し、ウィドウから取引の場所と時間を知らされた。
イーサンはウォーカーたちと共に、レーンを連れてアランの元へ赴く。彼はアランに状況を報告し、ベンジーをレーンに変装させて運び屋に引き渡すことを語った。さらに彼は、イルサがレーンを狙っていることも伝えた。アランは「引き渡しは罠だ」と言い、ウィドウが裏の商売を大目に見てもらう条件でCIAと組んでいることを話す。彼はエリカがイーサンをラークだと思っていることを告げ、証拠資料を突き付けた。イーサンは「これこそレーンの罠だ」と反論するが、アランは「もう守ってやれない。君を引き渡す」と通告した。
イーサンはアランを気絶させ、ウォーカーに協力するよう要求した。彼はベンジーを変装させ、ウォーカーにレーンの見張り役を指示して立ち去った。ウォーカーはレーンに「迎えのチームが待機している」と伝え、逃がそうとする。レーンが「ここに残ってハントと決着を付ける」と言うと、彼は苛立って「取引しただろ。ハントをハメればプルトニウムを渡すと」と声を荒らげた。彼は話している内に、目の前にいるレーンがベンジーの変装だと気付いた。
アランはウォーカーの前に現れ、拳銃を構えてイーサンの元へ連行した。イーサンはウォーカーの正体がラークだと見抜き、アランたちと芝居をしていたのだ。アランはエリカに通信を入れ、一部始終を見せていた。しかしエリカはアランとの約束を破り、そこにいる全員を特殊部隊に連行させようとする。ウォーカーは紛れていた仲間に指示し、本物の特殊部隊を射殺させる。身を潜めて観察していたイルサも加わり、激しい銃撃戦が勃発した…。

脚本&監督はクリストファー・マッカリー、TVシリーズ創作はブルース・ゲラー、製作はトム・クルーズ&クリストファー・マッカリー&ジェイク・マイヤーズ&J・J・エイブラムス、製作総指揮はデヴィッド・エリソン&デイナ・ゴールドバーグ&ドン・グレンジャー、共同製作はトミー・ゴームリー、撮影はロブ・ハーディー、美術はピーター・ウェンハム、編集はエディー・ハミルトン、衣装はジェフリー・カーランド、視覚効果監修はジョディー・ジョンソン、音楽はローン・バルフ、テーマ曲作曲はラロ・シフリン。
主演はトム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、アレック・ボールドウィン、ミシェル・モナハン、レベッカ・ファーガソン、ショーン・ハリス、アンジェラ・バセット、ヴァネッサ・カービー、ウェス・ベントリー、フレデリック・シュミット、リャン・ヤン、クリストファー・ヨーネル、ウルフ・ブリッツァー、ラファエル・アクロケ、アンドリュー・カザネイヴ=ピン、クリストフ・デ・チョイシー、ラファエル・デスペレス、ジャン=バプティスト・フィロン、マックス・ゲラー、オリヴィエ・ヒューバンド、ヴァンサン・ラ・トゥーレ、ティエリー・ピコー、アレクサンドル・プール他。


シリーズ第6作。脚本&監督は前作に続いてクリストファー・マッカリーが担当している。
イーサン役のトム・クルーズとルーサー役のヴィング・レイムは、シリーズ全作に出演している。
ベンジー役のサイモン・ペッグは第3作からのレギュラーで、ジュリア役のミシェル・モナハンは第4作からの復帰。アラン役のアレック・ボールドウィン、イルサ役のレベッカ・ファーガソン、レーン役のショーン・ハリスは前作からの続投。
ウォーカーをヘンリー・カヴィル、エリカをアンジェラ・バセット、ウィドウをヴァネッサ・カービー、エリックをウェス・ベントリー、ゾラをフレデリック・シュミットが演じている。

粗筋では「イーサンたちはデルブルックに罠を仕掛け、ラークと通信した携帯のパスコードを聞き出した」と短く片付けたが、実際には手の込んだ作戦を仕掛けている。
デルブルックが目を覚ますと、病院のベッドにいる。彼は車をぶつけられて怪我を負わされており、病室のテレビではキャスターがテロ事件を報じている。
そこにイーサンとルーサーが来てパスコードを要求すると、デルブルックはキャスターに声明文を読ませることを取引条件に提示する。
イーサンが承諾してパスコードを聞き出すと四方の壁が倒れ、そこが病室を装ったセットだと判明する。キャスターが来て変装を解くとベンジーで、車をぶつけたのも自分だと明かす。
そこまで描いてタイトルロールに入り、お馴染みのテーマ曲が流れる。

導入部として悪くはないのだが、スパイ・アクション映画なのでコン・ゲームから入るのはどうなのかなと。
あと、そのシーンではイーサンが怒りに任せて殴り掛かろうとしてルーサーに制止され、脅しに屈して悔しがりながらキャスターに声明文を読ませるよう電話で頼むんだよね。
で、そんな芝居でデルブルックがニヤニヤした後で真相を明かし、「ざまあみろ」的な態度を取るのだ。
だけど、その直前にルーサーを救うためとは言え、プルトニウムを奪われるという重大な失態をやらかしているわけで。
その直後に勝ち誇られても、それはどうなのかなと。

トイレでのイーサン&ウォーカーとラークの戦いは、それが始まった時点では「別に無くてもいいだろ。そこはサクサクと進めてもいいんじゃないか」と思った。ただ、イルサを絡ませるためには必要な手順ってことなら、それは仕方が無い。
それでも、「一度は昏倒させたが、酔っ払った連中が来たので立ち去るのを待ち、その間にラークが意識を取り戻して反撃を食らって」という手順は全く要らないでしょ。
あと、イーサンがウィドウを連れ出す時に格闘があるので、「それならやっぱりトイレの戦いは無くてもいいや」と思っちゃうわ。
それと、ウィドウがラークの顔を知らないのはラッキーな偶然に過ぎないし、そんなギャンブル性の高すぎる行動を選ぶイーサンはエージェントとしていかがなものかと思うぞ。

イーサンがゾラからレーン奪還計画を聞かされるシーンでは、無音の中で「イーサンが護送車を襲撃し、警官を射殺する」という様子が描かれる。その後、「そういう計画だという説明をイーサンが受けた」ってことが明かされる。
でも、その襲撃シーンが現実じゃないことなんて分かり切っているので、あまり意味も効果も感じない。
その後、ウォーカーがエリカに「イーサンがラーク」と主張するが、それが間違いってのも分かり切っている。
「イーサンが裏切り者として疑われる」という要素で緊迫感を持たせようとする狙いなんだろうけど、残念ながら不発に終わっている。

イーサンたちがゾラの作戦を無視してレーンを連れ去るアクションシーンを見ている内に、「そもそもイーサンが命じられた任務って何だったかな」と少し考えてしまう。
だが、ようするに「トム・クルーズにバイクアクションとカーアクションをさせたい」ってことなのだ。
このシリーズって、いつの間にか「トム・クルーズが危険なスタント・アクションを自らこなす」ってのが一番の売りになった。
だから、それが最優先事項になっていて、そこからの逆算でシナリオを作っているんじゃないかと邪推したくなるほどだ。

「イーサンと口論して云々」という芝居でウォーカーを騙すシーンは、そこだけを抽出すれば「ウォーカーだけじゃなくて観客も見事に欺いた」ってことになる。
ただ、デルブルックの件に続いて2つ目のコン・ゲームだし、そこに10分ぐらい使うのは「めんどくせえなあ」と否定的な意見になってしまう。
どの辺りで、なぜウォーカーの正体がラークだと確信できたのか、その根拠も弱いし。
例えば回想パートを入れて「ここでの言動が決定的な証拠」という風に見せるとか、「実は以前のシーンから既に証拠を掴むための罠を仕掛けていた」って感じで見せるとか、そういう仕掛けでもあれば効果は上がったと思うけど。

あと、「実はウォーカーの正体に気付いた上で騙していました」と明かして「コン・ゲーム大成功」という展開にするのなら、一時的ではあっても、そこは「完全勝利」で締め括らなきゃダメじゃないかと。
だけど実際にはウォーカーの反撃を食らい、あっけなく逃げられているんだよね。
しかもウォーカーは「何とか逃げ切った」という形じゃなくて、逆にイーサンを脅して高笑いで去るのだ。
イーサンは逃亡するウォーカーを追う時にパルクールのアクションもやってるけど、結果を見ると「カッコ悪くねえか?」と言いたくなる。

ただし一方のレーンとウォーカーも、わざわざ策を凝らして「多くの人を巻き添えにしてでもジュリアを殺す」という計画を実行するのは、あまりにもカッコ悪い。
どんだけチンケな悪党なのかと。お前らの本来の目的って、そういうことじゃないはずだろ。
あと、「今さら」ではあるんだけどレーンの言う通りで、前作でイーサンが彼を殺しておけば今回の事態は起きなかったわけで。
そういう意味では、今回の映画でイーサンが窮地に陥るのは自業自得であり、それを解決するのはマッチポンプなんだよね。

(観賞日:2025年9月30日)

 

*ポンコツ映画愛護協会