『MEMORY メモリー』:2022、アメリカ
メキシコ、グアダラハラ。殺し屋のアレックス・ルイスは医師に化けて病院に侵入し、母親の見舞いに来た標的の男を殺害した。駐車場に戻った彼は、車の鍵を置いた場所が分からなくなった。アレックスが服のポケットを探ると、鍵が入っていた。テキサス州エルパソ。FBI捜査官のヴィンセント・セラは客を装い、売春の仲介屋であるレオンの家を訪ねた。レオンは金を受け取ると、娘であるベアトリスに相手をするよう指示した。ベアトリスは全く嫌がる様子を見せず、セラを寝室に招き入れて誘惑した。ベアトリスはセラの上着を脱がし、胸に装着されている盗聴器に気付いた。
ベアトリスが叫んでレオンに知らせたため、待機していた警官隊が部屋に突入した。レオンはベアトリスに銃を突き付け、人質として利用する。セラが落ち着くよう諭すが、レオンは耳を貸さなかった。セラはレオンの腕を掴んで突進し、窓を突き破って外へ転落した。レオンは死亡し、セラは上司のジェラルド・ヌスバウムから「11ヶ月に渡る捜査が水の泡だ。不法滞在の子供では立件できない」と叱責された。ベアトリスは連行される際、父を殺したセラを睨み付けた。
メキシコシティー。アレックスは殺しの仲介屋であるマウリシオと会い、次の仕事を依頼された。彼が「他の奴に頼んでくれ。実は辞めると言いに来た」と告げると、マウリシオは2人分の報酬が入った封筒を差し出した。アレックスはメキシコシティーに兄がいることを指摘され、マウリシオが監視しているのだと悟った。マウリシオはアレックスに、「俺たちに引退は無い」と現実を突き付けた。アレックスはエルパソへ移動し、ホテルにチェックインした。彼は忘れないように、使用する偽名やホテルの名前を腕に書き留めた。
アレックスはバーへ行き、依頼人であるウィリアム・ボーデンと会って銃の入った鞄を受け取った。セラはエルパソ移民収容施設へ赴いてベアトリスと面会し、「特別なビザがあって、捜査中はアメリカにいられる。君を児童保護サービスのグループホームに移す」と語った。アレックスは標的であるエリス・ヴァン・キャンプの家へ押し掛け、銃を突き付けて「ブツはどこだ?」と詰問した。エリスが「2階の金庫だ。口外してない」と釈明すると、アレックスは「お前はやり過ぎた」と告げた。アレックスはエリスは金庫を開けさせ、USBを手に入れてから絞め殺した。車に戻った彼は、次の標的であるベアトリスの写真を確認した。
翌朝、セラは相棒のリンダ・アミステッドと共に、ヴァン・キャンプ邸へ出向いた。地元警察のダニー・モーラ刑事が先に来ており、セラが「彼は?」と訊くと「現場を踏み荒らして、あそこに」とヴァン・キャンプ夫人のウェンディーと話しているヌスバウムを指差した。ウェンディーはヌスバウムに促され、セラに「恐らく強盗です。金庫が開いていました」と説明した。「モーラ刑事には?」とセラが質問すると、彼女は「話してません。先にジェラルドに電話を」と答えた。
セラがモーラを呼びに行くと、「上司は奥さんといい仲なのか?呼んでないのに現れた」と言われる。セラは「協力しよう。奴には邪魔させない」と話し、ヌスバウムとウェンディーの元へ戻った。アレックスは老人ホームで暮らす兄を訪ね、看護師から急にアルツハイマーの兆候が出たことを聞かされた。アレックスが話し掛けても、兄は反応を示さなかった。FBI児童労働搾取捜査班に協力していたメキシコ連邦警察のウーゴ・マルケス刑事は、セラに「今朝、上司からの電話で俺は外された」と激しい憤りを口にした。そこへヌスバウムが来て、「レオンの件を踏まえて特別捜査班は再編成され、マルケスは帰国だ」と述べた。
セラは「解決にはメキシコの協力が必要です」と訴えるが、ヌスバウムは「ワシントンが怒ってる。広範囲にわたる国際捜査の成果は何も無い」と告げる。「確かに国内の黒幕は捕まえてません」とセラが言うと、彼は「黒幕がいるか?」と懐疑的な言葉を口にした。マルケスが「噂では、レオンの客は白人の富裕層です」と語ると、ヌスバウムは「メキシコでは噂で立件するのか」と皮肉を飛ばす。「レオンの録音に常連のことも」とセラは食い下がるが、ヌスバウムは「終わりだ」と一蹴した。
セラはベアトリスに独断でビザを出したことをヌスバウムに指摘され、「子供を助けるためです」と主張する。ヌスバウムは「特捜班は解散。ワシントンの命令だ」と言い、ヴァン・キャンプ殺しに集中しろと命じた。セラはベアトリスを車でグループホームへ案内し、その様子をアレックスが尾行して観察する。夜中にアレックスはグループホームへ忍び込み、ベアトリスに銃を向ける。しかし目を覚ましたベアトリスが「何も話してない。助けて」と助命を嘆願すると、アレックスは殺さずに走り去った。
アレックスはボーデンを呼び出して暴行し、「子供だった」と激高する。彼が「断る」と通告すると、ボーデンは「メキシコシティーがどう言うかな」と告げる。アレックスは「お前が契約を解除しろ」と要求し、USBを見せた。彼はボーデンの身分証を確認し、「あの子を殺したら、タダじゃおかない」と脅した。ボーデンは雇い主である不動産王のダヴァナ・シールマンに連絡し、事情を話した。アレックスの要求をダヴァナが訊くと、ボーデンは「契約解除です。その後にUSBを渡すと。中身は分かってる。ランディーには性癖が」と話した。ボーデンはメキシコシティーへの連絡を求めるが、ダヴァナは「私に任せて」と電話を切った。
アレックスはバーでマヤという女性と出会い、ホテルで一夜を過ごした。翌朝、テレビのニュースでベアトリスが殺されたことを知った彼は、マヤに「すぐホテルを出ろ。何も喋るな」と指示した。アレックスは警戒しながら駐車場に行き、車の下に取り付けられた爆破装置を発見した。マウリシオが発砲して来たので、アレックスは慌てて身を隠す。マヤはアレックスが忘れた薬を届けに来て、マウリシオに射殺された。アレックスはマウリシオを制圧すると、マヤの遺体を車のトランクに入れた。彼はマウリシオを運転席に拘束し、爆破装置を作動させて駐車場を後にした。
セラはモーラに呼ばれ、道路で車が横転した現場に赴いた。車のトランクからは、ベアトリス殺しと同じ口径の銃弾で撃たれた遺体が発見された。モーラはセラに、「車の持ち主はマーシャル。空港で借りてるサンディエゴの駐在員らしい」と説明した。運転席の男性は基準値を遥かに超えるアルコールを摂取しており、地面にはデータベースに無い錠剤が散乱していた。マルケスはセラに、アメリカに残って捜査に協力すると告げた。アレックスはジムでトレーニング中のボーデンを射殺し、その場を去った。
アレックスは廃屋となったパン屋の地下室を訪れ、USBの中身を確認した。恐喝を目論んだエリスがダヴァナから「交渉はしない。貴方は一線を越えた」と通告される音声や、ダヴァナと息子のランディーが並んでいる写真、ランディーが少女を拉致する写真と部屋で犯す動画が、USBには入っていた。セラたちはジムの殺害現場を確かめた後、ボーデン夫人のマリアンヌを訪ねた。すると家にはモーラが来ており、「落ちていた錠剤はアルツハイマーの薬だ」とセラに教えた。マリアンヌはセラからエリスのことを質問され、「カクテル・パーティーで会ったことがある」と答えた。
ランディーはダヴァナの元へ行き、「なぜ電話に出ない?ボーデンが殺された。殺し屋が迫ってる」と不安を漏らす。ダヴァナは社内機を使ってエルパソを出るよう指示し、「明日、パーティー後にジュネーブへ。リハビリ施設に入れるよう手配するわ」と言う。ランディーが「リハビリ?」と訊くと、彼女は「この件がバレても、貴方は更生中。時間を稼いで、いい弁護士を雇うの」と述べた。アレックスはセラに電話を掛け、「いい加減、仕事をしてくれ。ボーデンとヴァン・キャンプは子供を食い物にしてた。お前は遅すぎる。相手は弁護士とクライアントだ。俺は悪人だ。死んだらお前が罰しろ」と告げて切った。
マルケスはマリアンヌから、ボーデンが電話でメキシコシティーの男についてダヴァナと話していたことを聞き出した。彼の報告を受けたリンドの調査によって、ボーデンがランディーの弁護士だと判明した。ランディーは移民収容施設を運営しており、ベアトリスは去年も父と共に送還されていた。エリスは施設を建築した業者であり、セラは次にランディーが殺されると確信した。ランディーはクルーザーのパーティーに参加しており、セラとリンダとマルケスは張り込んで殺し屋を警戒した。
アレックスは船に侵入し、ランディーを射殺した。セラが追い掛けると、待ち伏せていたアレックスは銃を突き付けた。彼はセラに銃を捨てさせ、「アレックス・ルイスだ」と名乗った。彼が車で走り去る時、マルケスはセラの指示を無視して発砲した。腹部に怪我を負ったアレックスが車を停めて休憩していると、パトロール中の警官が声を掛けた。警官は血の付いた手と拳銃に気付き、慌てて銃を抜こうとする。アレックスは反射的に警官を射殺し、その場から逃亡した。
アレックスはパン屋の地下室へ移動し、傷口を応急手当てした。リンダはアレックスについて調べ、40年前に実家のパン屋が焼けて父と共に死亡したという記録があること、アレックスが放火した疑いがあること、父が息子たちを虐待していたことをセラに報告した。マルケスがパン屋を捜索するが、地下室には気付かずに去った。戻って来た彼の「ハトだらけだった」という言葉を聞いたリンダは、「報告書では、警官が殺された時、車内にはハトの糞が」と言う。FBIの部隊がパン屋の地下室に乗り込むと、既にアレックスは姿を消していた。彼はダヴァナを始末するため、彼女のオフィスビルに潜入する…。監督はマーティン・キャンベル、脚本はダリオ・スカーダペイン、原作はジェフ・ヒーラールツ、オリジナル版脚本はカール・ヨース&エリク・ヴァン・ローイ、製作はキャシー・シュルマン&モシュ・ディアマント&ルパート・マコニック&マイケル・ハイムラー&アーサー・サルキシアン、製作総指揮はテディー・シュワルツマン&ベン・スティルマン&ピーター・ブカート&ルディー・デュランド&ロバート・シモンズ&アダム・フォーゲルソン&ジョン・フリードバーグ、製作協力はレジーナ・セイファート、撮影はデヴィッド・タッターサル、美術はウルフ・クローガー、共同美術監督はケス・ボネ、編集はジョー・フランシス、衣装はイリーナ・コチェヴァ、音楽はルパート・パークス。
出演はリーアム・ニーソン、ガイ・ピアース、モニカ・ベルッチ、ハロルド・トレス、タジ・アトウォル、レイ・フィアロン、レイ・スティーヴンソン、アントニオ・ハラミロ、ダニエル・デ・ボーグ、スコット・ウィリアムズ、ステラ・ストッカー、ミア・サンチェス、ナタリー・アンダーソン、レベッカ・カルダー、ダグ・ラオ、アタナス・スレブレフ、リー・ボードマン、ジョシュ・テイラー、ヴラド・ミハイロフ、ジョシュ・マクレナ、J・R・エスポジート、チューダー・チリラ、ソフィア・ソルテス他。
ジェフ・ヒーラールツの小説を基にした2003年のベルギー映画『ザ・ヒットマン』のハリウッド版リメイク。
監督は『ザ・フォーリナー/復讐者』『マーベラス』のマーティン・キャンベル。
脚本はTVシリーズ『ブリッジ 〜国境に潜む闇』『Marvel パニッシャー』のダリオ・スカーダペイン。
アレックスをリーアム・ニーソン、セラをガイ・ピアース、ダヴァナをモニカ・ベルッチ、マルケスをハロルド・トレス、リンダをタジ・アトウォル、ヌスバウムをレイ・フィアロン、モーラをレイ・スティーヴンソン、レオンをアントニオ・ハラミロ、ボーデンをダニエル・デ・ボーグが演じている。アレックスにはアルツハイマー型認知症を患っている設定があるが、劇中で描かれるのは「物忘れが酷くなる」という現象だけだ。
だけど、年を取ったら物忘れが酷くなるってのは当たり前のことであって、それだけでアルツハイマーとは言えないでしょ。
そりゃあアレックスの物忘れは酷すぎるので、単なる老化だけで片付けるのは疑問符が残るよ。ただ、物忘れ以外にアルツハイマーの兆候が何も見えないのよ。
言葉が出なくなることも無ければ、幻覚を見ることも無い。急に怒鳴り散らすことも無いし、徘徊や失禁も無い。目の前にある物が何か分からなくなるような症状も出なければ、下手な言い訳を並べ立てるようなことも無い。冒頭、アレックスは医師に化けて病院に乗り込み、入院している母の見舞いに来た標的の男を始末する。
母は呼吸器を使っており、かなりの重病みたいだが、アレックスはハッキリと顔を見られているんだよね。
素顔を晒して殺しを遂行し、目撃者を放置して去るのは、プロとして優秀とは思えないんだけど。
エリスを殺す時も、家にウェンディーも娘もいるのに、普通に喋っているし。
娘に見つかりそうになって慌ててエリスを絞め殺すけど、これも仕事に慎重さが足りていないと感じるわ。アレックスはベアトリスを殺せずに立ち去り、ボーデンを暴行して「子供だった」と怒りをぶつける。
でも部屋に侵入する前に、資料でベアトリスの写真は見ていたでしょ。そして尾行した時も、ベアトリスを見ていたでしょ。
それなのに、殺す直前になって「相手は子供」と知って驚いたのかよ。資料には、その辺りの情報は無かったのかよ。
いや無かったとしても、もっと丁寧に下調べしておけよ。
あと始末するつもりで忍び込んだのなら、懐中電灯で顔を照らし、相手が起きるのを待ってから撃とうとするのもアホすぎるだろ。セラはレオンの死についてヌスバウムに叱責されると、相手が抵抗したからだと主張する。しかし、どう見ても「止むを得ない事故」ではない。
銃を持っている右腕を掴み、そのままタックルし、勢い余って窓を突き破るんだから、明らかにセラの失態だ。上手く警官隊と協力すれば、レオンがセラに銃を向けたタイミングで撃ってもらうことも出来そうだし。
そもそも、服を脱がされ、盗聴器をベアトリスに発見されている時点で大きな凡ミスだからね。
売春宿の客を装っている以上、服を脱がされる状況は簡単に予想できるわけで。それなのに胸に盗聴器を取り付けるとか、アホすぎるだろ。ダヴァナがボーデンに「私に任せて」と告げて電話を切った後、アレックスがバーで男に口説かれて困っているマヤを助けるシーンがある。その後、アレックスが悪夢で飛び起きると、ホテルでマヤと一緒にいる。
そんな形で絡ませるマヤは何か重要な役割を持つ女性なのかと思ったら、ただ殺されるためだけに出て来たキャラクターで終わる。
こんな奴、ホントに必要だったのか。
どうしても彼女がいなきゃ話を構築できなかったのかというと、それは絶対に無いと断言できるぞ。ものすごく不細工な存在になってるぞ。アレックスがベアトリス殺しを拒否した時、ボーデンは「メキシコシティーがどう言うかな」と脅すように告げる。その後、マウリシオがベアトリスを射殺し、アレックスも始末しようとする。
でもマウリシオが殺されると、それ以降は誰もアレックスの命を狙って来ないのだ。
ボーデンが言っていた「メキシコシティー」って、マウリシオ個人のことだったのかよ。殺し屋を仕切る巨大組織が存在しているわけじゃないのかよ。
何だかなあ。しょっぱいなあ。粗筋でも書いたように、アレックスが駐車場で車を爆破した後、セラがモーラに呼ばれて説明を受けるシーンに入る。それは駐車場ではなく道路で、車が横転していたという状況だ。
もちろん説明不要だろうが、トランクの遺体がマヤで運転席の遺体はマウリシオだ。
でも、それって整合性が取れなくなってないか。
その車はアレックスが駐車場で爆破したはずでしょ。でも爆破の痕跡は無いし、そもそも駐車場から道路まで、どうやって運んだのか。
あと、そうやって事故を偽装するつもりなら、なぜ爆破したのか。薬が散乱したまま放置したのも、まるで理解不能だし。アレックスがセラに電話して「お前は遅すぎる」などと苦言を呈する意味が、まるで分からない。どうせセラがダヴァナやランディーを逮捕しても、充分な罪が下される可能性は低そうだし。
っていうか、もしセラに対して「早く逮捕しろ」と急かす意味で電話したのなら、自分の持っている情報を全て提供すべきだし。
そもそもアレックスはベアトリスを殺された復讐で動いている設定のようだから、だったら自分でランディーとダヴァナを始末すれば済むことだし。
実際、ランディーを始末し、ダヴァナも狙うんだから、セラに電話する意味は皆無のはずでしょ。むしろ電話したことで次の標的を推測され、仕事がやりにくくなるだけだろ。ランディーを殺したアレックスが、セラに自分の名前を教える理由もサッパリ分からない。それによって得られるメリットは何も無いし。
そのシーンでは、マルケスの行動も不可解だ。
彼は悪党であるランディーの警護に対し、憤りを漏らしている。しかし、そのランディーを始末したアレックスと対峙すると、容赦なく射殺しようとする。そしてアレックスが逃亡すると、セラに「何やってる、逃がしやがって」と激怒する。
どういう感情が動いているのか、それがサッパリ分からないのよ。アレックスがセラに名前を教えたことによって、リンダが彼について調査する。その結果、父親が息子たちを虐待していたことや、放火の疑惑などが語られる。
でも、この設定って全く必要性が無いよね。アレックスと兄が幼少期に父親から虐待されていようと、家に放火して父を殺していようと、それが今回の物語に関与することなんて何も無いでしょ。
ひょっとすると、「自分が父から虐待されていた幼少期をベアトリスと重ね合わせて云々」みたいな効果を狙っていたのかもしれないけど、その効果は全く出ていないし。
「パン屋の地下室がアレックスの隠れ家」って部分だけが必要な情報で、そのためにゴテゴテと余計な飾りを付け過ぎているとしか思えんよ。終盤に入ると、呆れ果てるような展開が待ち受けている。
完全ネタバレだが、アレックスはダヴァナの始末に失敗し、モーラに捕まって激しい暴行を受ける。入院したアレックスはダヴァナの命令で殺しに来たマイヤーズ医師を人質に知り、セラとの面会を要求する。セラと話した後、アレックスは警官隊の銃弾を何発も浴びて死亡する。
まだダヴァナだけでなく彼女の協力者も含めてクズどもが何人も残っているのに、主人公が死んでしまうのだ。
どういう計算だよ、それって。もちろんダヴァナが黒幕なのは既に分かっていると思うが、それ以外にも彼女の犬になったモーラ、起訴する気が全く無い検事、その検事と同調するヌスバウムと、報いを受けるべき連中は何人もいる。
そんな中、最後はマルケスがダヴァナを始末する様子が描かれる。
だけど、マルケスはアレックスとシンパシーで結ばれていたわけでもないし、何か託されたり遺志を引き継いだりしたわけでもない。
脇役が最後だけ急に主役の座を奪っても、何のカタルシスも無いだろ。
それにヘドが出るような検事やヌスバウムたちは何の罰も受けていないから、ものすごく締まりが悪くて煮え切らないエンディングになっている。(観賞日:2024年6月21日)