『ミート・ザ・ペアレンツ2』:2004、アメリカ

シカゴ医療センターで働く看護師のグレッグ・フォッカーは、婚約者であるパム・バーンズとの結婚を間近に控えていた。彼はマイアミの実家に電話を掛けるが、留守電になっていたので彼は両親へのメッセージを残した。グレッグはパムと彼女の両親を連れてマイアミへ行き、両家の顔合わせをすることになっていた。グレッグとパムは空港へ向かうタクシーを拾おうとするが、他の男性が先に停めた。しかし彼はグレッグとパムに声を掛け、タクシーを譲ってくれた。
グレッグとパムがタクシーに乗り込むと、それまで赤だった信号が一斉に青へと変わった。2人がオヘア空港で荷物検査の長い列に並んでいると、係員が呼び寄せて先に通してくれた。受付の空港職員はダブル・ブッキングだと告げ、ファースト・クラスに搭乗するよう行ってチケットを渡した。飛行機に乗り込むと、客室乗務員はグレッグの鞄を預かって「機長のクローゼットに収納します」と言い、2人だけにシャンパンを差し出した。
グレッグとパムがバーンズ家に着くと、ジャックが孫のリトル・ジャックに話し掛けていた。ジャックはグレッグに、「私の職業は伏せておいてくれ。ご両親には園芸家だと」と告げた。パムがデビー夫婦の居所について訊くと、ジャックは新婚旅行中に開業した病院の視察でタイに行っていることを教えた。彼は特注のキャンピングカーを用意しており、それでマイアミへ行くと決めていた。グレッグは飛行機で行くつもりだったが、ジャックは「空の旅は何が起きるか分からない」と述べた。
グレッグは両親に連絡するが、まだ留守電のままだった。ジャックはグレッグ、ディナ、パム、リトル・ジャック、飼い猫のジンクスをキャンピングカーに乗せ、マイアミへ向かった。彼は孫を溺愛しており、リトル・ジャックのためにデビーのオッパイの型を取った道具も作っていた。一行がフォッカー家に着くと、父のバーニーが庭で体を動かしていた。彼は5回も入れたグレッグの留守電を聞いておらず、到着が早くなることを知らなかった。
バーニーは一行を歓迎し、ジャックにハグを求めた。ジャックが戸惑っていると、バーニーは彼を抱き締めてキスをした。グレッグが2階へ行くと、母のロズが老夫婦たちにセックス・セラピーをしていた。グレッグは焦り、「しばらくはセックス・セラピーのことを内緒にする約束だろ」と告げた。彼は書斎へ行き、大人のオモチャやセックス関係の本を片付けた。バーニーは息子の記念コーナーを作っており、ジャックたちに自慢した。
バーニーは「狩りは罪の無い動物を殺す野蛮な行為」「他人と競争するより自分を大切にすべき」といった考えの持ち主で、ジャックとは全く反りが合わなかった。バーニーもロズも性にオープンな生き方をしており、下ネタも多かった。2人はロズの書斎をバーンズ家の寝室に使ってもらうつもりだったが、グレッグは「我々はトレーラーで寝るよ」と断った。夜になるとバーニーとロズは愛犬のモーゼを連れて、キャンピングカーに行こうとする。グレッグは「犬は駄目だ、猫がいる」と止めるが、2人は構わず車に向かった。
グレッグはパムから妊娠を告白されて喜ぶが、すぐに「ジャックに殺される」と顔を強張らせた。パムは「黙ってればバレないわ」と言うが、グレッグは「彼は必ず気付く」と慌てる。パムは「日曜日の出発前に話せばいいじゃない」と軽く告げるが、グレッグは「それでも緊張する」と口にした。バーニーとロズがキャンピングカーに入ろうとすると、ジャックは露骨に迷惑そうな表情を浮かべた。モーゼはジンクスを追い回し、便器に落下した。ジンクスが水洗のスイッチを押すと、バーニーはモーゼを救うために便器を破壊した。リトル・ジャックは大量の水を浴び、ずぶ濡れになった。ジャックは憤慨するが、ディナに諭されて気持ちを抑え込んだ。
妊娠のことを打ち明けられる雰囲気ではなくなったため、グレッグはパムに「挙式を早めて来月にしよう。ハネムーンで子供が出来たことにしよう」と持ち掛けた。バーニーが夕食を用意すると、ジャックから彼が弁護士だと聞いているグレッグは「精力的に仕事をしていて、よく時間があるね」と言う。バーニーが「精力的に?」と首をかしげると、グレッグが彼を制して誤魔化そうとする。しかしバーニーは、息子が産まれて専業主夫になったことを話した。
グレッグが結婚式について話そうとすると、元家政婦のイザベルが訪ねて来た。グレッグが困惑すると、ロズは「彼女がケータリングを始めたので、この週末の食事を頼んだの」と説明した。バーニーは「昔、グレッグが惚れてた」と軽く笑い、少年時代にイザベルの写真でオナニーしていたことを暴露した。イザベルはグレッグとの15年ぶりの再会を喜んで抱き締め、豊胸手術を受けたことを話す。グレッグはキッチンでイザベルと2人になり、しばらくは過去の関係を内緒にするよう頼んだ。しかし彼が食卓に戻ると、バーニーが息子の初体験の相手はイザベルだと平気で話していた。
ジャックが別室で休ませたリトル・ジャックを監視していることを得意げに語ると、バーニーとロズは批判的な言葉を口にした。ジャックとフォッカー夫妻は育児法について、真っ向から意見が対立した。フォッカー夫妻は食事中にグレッグの割礼を話を始め、楽しそうに笑う。グレッグが止めるよう頼んでも、2人は全く気にせず下ネタ満載で喋り続けた。食事の後、グレッグはジョージの「両親は緊張しているだけで、根はいい2人なんです」と釈明する。しかし2階の寝室から2人が楽しくセックスしようとする声が響いて来たので、グレッグは顔をしかめた。彼は両親の寝室へ行き、「この週末は控えてくれ。ジャックを気持ち良く過ごさせてくれ」と頼んだ。バーニーとロズは「分かった」と答えるが、息子に合わせる気など全く無かった。
翌朝、グレッグは朝食の場で、挙式を10月から来月に早める考えを明かした。彼は今回の顔合わせを内輪だけの食事会で終わらせるつもりだったが、両親は勝手に親戚50人を呼んでパーティーを企画していた。バーニーはジャックをフットボールに誘い、グレッグやロズたちも参加させる。ジャックとグレッグ&ロズとチームを組み、バーニー&ディナと対戦する。最初のタッチダウンを取ったバーニーが得意げな態度を示すと、ジャックの競争心に火が付いた。彼は2人に指示を出すが、ボールを受けたロズはバーニーとイチャ付き始めた。
ロズが試合から抜けた後、ジャックはグレッグに指示を出した。ジャックはグレッグからのパスを受けるが、バーニーが強烈なタックルで投げ飛ばして勝ち誇った。ジャックは腰を痛め、グレッグはバーニーに彼への謝罪を求めた。ロズはパムの妊娠を見抜いており、グレッグと2人になると「彼女は何ヶ月?」と問い掛けた。グレッグは「昨日分かった」と言い、バーニーには内緒にするよう頼んだ。バーニーはジャックに「車の修理に町へ行かないか」と持ち掛け、女性陣は買い物に出掛けることになった。
ジャックはリトル・ジャックの部屋に小型カメラを取り付け、留守番のグレッグに子守を任せた。彼は「どんなに泣いても抱き上げるな。テレビやオモチャのような子供騙しは禁止だ」とグレッグに言い含め、バーニーと外出した。買い物に出掛けたロズはディナにセックス・セラピストだと明かし、ジャックとの性生活について訊く。「ゼロじゃないわ。結婚記念日にはセックスする」とディナが答えると、ロズは「寂しいわ。私が復活させてあげる」と具体的な行動を教えた。
リトル・ジャックの泣き声を聞いたグレッグは我慢できず、彼を抱き上げてテレビを見せた。それでも泣き止まないのでグレッグは様々な方法を試し、歌を口ずさんだ。するとリトル・ジャックは「アス・ホール」という歌詞を気に入り、それを真似した。「汚い言葉だから覚えちゃダメだ」とグレッグは言うが、リトル・ジャックは「アス・ホール」と繰り返した。バーニーはジャックをイザベルの家へ案内し、彼女の息子のホルヘは何でも直せると説明した。ホルヘは15歳で、彼の顔を見たジャックはグレッグに似ていると感じた。父親について彼が尋ねると、ホルヘは「会ったことが無い」と答えた。
グレッグはロズと電話で話し、リトル・ジャックの子守について愚痴をこぼす。ロズは「ミルクに数滴のラムを垂らせば眠るわ」と助言し、グレッグは困惑しながらも試すことにした。しかし彼が電話を掛けている間にジンクスがケージを開けたため、リトル・ジャックは外へ出てしまった。リトル・ジャックがテレビのリモコンに触れると、チャンネルが変わって銃撃シーンが流れた。彼はノリを見つけ、廊下に垂らして両手でグチャグチャにした。その手で酒瓶を持ったため、くっついて離れなくなった。
バーニーと一緒に戻って来たジャックは、その状況を見て激怒した。彼がグレッグを批判すると、ロズは息子を擁護した。それだけでなく、彼女はジャックの教育方針が間違っていると指摘した。リトル・ジャックが「アス・ホール」と口にすると、ジャックは「家族会議を開く」と言ってバーンズ家の3人だけにしてもらう。彼はパムに結婚の中止を促し、「ホルヘという少年を知ってるか?お前の婚約者には秘密があるようだ」と告げる。「私は彼と結婚する」と主張し、ジャックに腹を立てて部屋を出て行った。
ジャックはディナから「彼らに謝るべきよ」と注意されるが、「だけが謝るか」と反発した。ロズはグレッグとの約束を破り、バーニーにパムの妊娠を教えた。グレッグは「ジャックには内緒だ」と頼むが、バーニーは理解できず「なぜだ?」と苛立ちを示す。グレッグが「彼に心配させないとパムに約束したんだ」と説明すると、ロズは息子を説き伏せようとする。会話を盗み聞きしようとしたジャックは腰を痛め、パムが「整体で直すわ」と言い出した。
ロズはジャックに「腰痛は精神的な物が原因。貴方は官能的な人なのに気付いていない」と言い、セックス・セラビーを施した。グレッグが気付いて止めに入り、ジャックはトレーラーに戻った。彼は本部に連絡を取り、グレッグとホルヘの遺伝子鑑定を要請した。ジャックはホルヘに電話を掛け、夜のパーティーに招待した。彼はグレッグにホルヘを紹介して「イザベルの息子だ」と言い、密かに2人のサンプルを採取する。彼はグレッグが隠し子の存在を否定していると決め付け、自白剤を注射した…。

監督はジェイ・ローチ、原案はジム・ハーツフェルド&マーク・ハイマン、脚本はジム・ハーツフェルド&ジョン・ハンバーグ、製作はジェーン・ローゼンタール&ロバート・デ・ニーロ&ジェイ・ローチ、製作総指揮はエイミー・セイヤーズ&ナンシー・テネンバウム、共同製作はジョン・ポール、製作協力はラリー・スタッキー、撮影はジョン・シュワルツマン、美術はラスティー・スミス、編集はジョン・ポール&リー・ヘイキソール&アラン・バウムガーテン、衣装はキャロル・ラムジー、音楽はランディー・ニューマン、オリジナル歌曲はランディー・ニューマン。
出演はロバート・デ・ニーロ、ベン・スティラー、ダスティン・ホフマン、バーブラ・ストライサンド、ブライス・ダナー、テリー・ポロ、ティム・ブレイク・ネルソン、アラナ・ユーバック、レイ・サンティアゴ、カリ・ローシャ、シェリー・バーマン、オーウェン・ウィルソン、スペンサー・ピックレン、ブラッドリー・ピックレン、ドリー・バートン、ジャック・プロトニック、ウェイン・トーマス・ヨーク、B・J・ハンセン、J・P・マヌー、マイラ・ターリー、ヴァエ・ビージャン、キャスリーン・ガティー、アンジェロ・ティフェ、カイル・T・マクナミー、セドリック・ヤーブロー他。


2000年の映画『ミート・ザ・ペアレンツ』の続編。
監督のジェイ・ローチ、脚本のジム・ハーツフェルド&ジョン・ハンバーグは、いずれも前作からの続投。
ジャック役のロバート・デ・ニーロ、グレッグ役のベン・スティラー、ディナ役のブライス・ダナー、パム役のテリー・ポロ、ケヴィン役のオーウェン・ウィルソンは、前作からの続投。
バーニーをダスティン・ホフマン、ロズをバーブラ・ストライサンド、ルフロアをティム・ブレイク・ネルソン、イザベルをアラナ・ユーバック、ホルヘをレイ・サンティアゴ、客室乗務員をカリ・ローシャ、判事のアイラをシェリー・バーマンが演じている。

前作はザックリ言うと、「ロバート・デ・ニーロのセルフ・パロディーに頼りまくったコメディー映画路線の1つ」だった。
『アナライズ・ミー』と同じように、ギャングやマフィアのように強面のを多く演じて来たロバート・デ・ニーロのイメージを利用して笑いを取ろうとする作品だった。
しかしジャックのキャラクター描写は誇張がヌルかったし、職業設定も充分には活用されていなかった。
仕掛けが成功していたとは到底言えないが、ともかく方針としては「デ・ニーロのセルフ・パロディー」という企画だった。

そんな作品の続編だから、同じ路線で作るってのを最初に思い付く。しかし製作サイドは、新たな趣向を用意した。
それは「オスカー俳優の大物を増やす」という方法だ。
デ・ニーロは『レイジング・ブル』でアカデミー賞主演男優賞、『ゴッドファーザー PART II』で助演男優賞を受賞している。それに加えて、今回はダスティン・ホフマンとバーブラ・ストライサンドが出演している。
ダスティン・ホフマンは『クレイマー、クレイマー』と『レインマン』で、主演男優賞を獲得している、バーブラ・ストライサンドは『ファニー・ガール』で主演女優賞、『スター誕生』で歌曲賞を受賞している、つまり、2度のオスカー受賞者が3人も出演しているわけだ。
そこが本作品の最大の売りになっている。
ちなみにバーブラ・ストライサンドは8年ぶりの映画復帰作で、ここもセールスポイントの1つだ。

粗筋でも書いたように、グレッグとパムがバーンズ家へ向かう道中では、次から次へとラッキーな出来事が起きる。
そこは前作でグレッグが初めてバーンズ家へ向かうシーンに被せているネタなんだけど、そんな偶然が立て続けに起きることなんて考え難いので、ジャックが手を回したのかもしれない。
しかし、グレッグとパムが、そのことに気付いた様子は無い。単純に「ラッキーな出来事」として受け止めている様子だ。
しかも、「実はジャックの仕業」と後から種明かしをすることも無い。

なので、そこはギャグとして描かれているはずなのに、ギャグとしてマトモに成立していない。スカしたギャグとしても成立していない。
アメリカだからボケとツッコミの文化は無いんだけど、そこってボケに対するツッコミみたいなモノが必要なシーンなのよね。
っていうか、ホントに最後まで「実はジャックが裏で手を回した」という種明かしは無いので、どういうことなのか、真相は不明のままなんだよね。
そうなると、どういう狙いで持ち込んだ趣向なのかと言いたくなるぞ。

前作において、ジャックはグレッグを受け入れてパムとの結婚を認めた。しかしグレッグがバーンズ家を訪ねるシーンでの反応を見る限り、まだ全面的に彼を歓迎しているわけではなさそうだ。
まるで空気の読めないグレッグにも問題はあるのだが、作劇として考えた場合、「もうジャックはグレッグを家族の一員として認めている」という形にしちゃっても良かったんじゃないか。
今回は『Meet the Fockers』という原題であり、「フォッカー夫妻との対面」ってのがメインイベントのはずで。だから、ジャックとグレッグの関係で話を作ろうとするんじゃなくて、ジャックとフォッカー夫妻の関係に重点を置くべきじゃないかと。
ジャックが猜疑心を抱いたり反感を抱いたりする相手も、グレッグじゃなくてフォッカー夫妻にした方がいいんじゃないかと。

それはジャックじゃなくて、導入部におけるグレッグの動かし方に問題がある。
本来ならグレッグは全面的に「受け手」となり、ジャックに振り回されたり怯えたりする仕事だけを担当していればいいのだ。
ところが、こいつは余計なことをやらかしたり、全く空気の読めない言動を繰り返したりして、トラブルの種を撒き散らすのだ。
そのため、前作では極端なことを言うと、ジャックがいなくてもグレッグを主人公とするコメディーとして成立するような状態だった。

ただし今回は、バーンズ家のシーンさえ過ぎれば、「グレッグが神経を逆撫でする言動を繰り返す」ってことは無くなるのよ。
不幸中の幸いとでも言うべきか、フォッカー家に着いてからは、グレッグが空気の読めない言動を繰り返す余裕なんて無くなるのよ。
というのも、彼はジャックと両親の顔合わせを穏便に済ませるために嘘をつくことで精一杯になるので、それどころではなくなるのだ。
だから、最初のトコだけが問題なのよね。そこだけ、なぜ我慢できなかったのかと。

グレッグはパムから妊娠を告白され、「ジャックに殺される」と焦る。
だけど、ジャックがどういう人物なのかは、とっくに分かっているはずで。それなのに、なぜ結婚前に避妊無しのセックスをしたのか。それでパムが妊娠したからって焦るのは違うだろ。
あと、パムが軽い調子で「些細な秘密よ、日曜に話せばいい」と言うけど、彼女だって父親がどんな人物なのかは良く分かっているはず。
それなのに、その軽い受け止め方はどういうつもりなのかと。

しばらくは「ジャックがバーニーとロズに不快感を抱き、価値観の異なる双方が反発し、間に挟まれたグレッグが右往左往する」という状況が続く。
しかしリトル・ジャックの子守を巡り、ジャックがグレッグに腹を立てるという展開が生じる。さらにホルヘが登場することで、「ジャックはホルヘがグレッグの隠し子だと睨む」という展開もある。
その辺りでは、また「ジャックがグレッグを家族の一員として認めていない」という問題が蒸し返されるのだ。
そして、そういう問題を描いている間は、バーニーとロスが「いてもいなくても、どっちでもいい存在」と化してしまう。

バーニー&ロズは、グレッグなんてヌルいと感じるぐらい空気の読めない夫婦だ。自分たちのペースを全く崩そうとしないし、自分たちが常に正しいと思っている。
明るくポジティヴな生き方だけど、「だから全てが肯定できる」というわけではない。前向きだろうと社交的だろうと、「時には状況を理解したり相手のに対する気遣いを見せたりしろよ」と言いたくなる。
誰かが迷惑に感じていても、バーニー&ロズはお構いなしなのだ。
悪気は全く無いんだけど、だから余計にタチが悪いとも言える。

とは言え、もちろん、「それを笑ってね」というコメディーであることは確かだ。それに、困惑したり翻弄されたりするのはグレッグで、疎ましく感じるのはジャックだから、受け手のおかげで喜劇としては成立しているんだけどね。
だけど全て笑えるかと言われると、それは厳しいんだよなあ。
出演者の芝居でトゲトゲしい部分を和らげたり、「オスカー俳優が楽しそうにしている」という仕掛けで巧妙に隠蔽を図ったりしているんだけど、誤魔化し切れない不愉快さが顔を出しちゃうんだよなあ。
もちろんジャックにも問題はあるけど、この映画だと「ジャックだけが悪くてバーニー&ロズには全く非が無い」という形になっているので、それは賛同しかねるわ。

(観賞日:2020年8月14日)


第27回スティンカーズ最悪映画賞(2004年)

ノミネート:【最悪の主演男優】部門[ベン・スティラー]
<*『ポリーmy love』『ドッジボール』『隣のリッチマン』『ミート・ザ・ペアレンツ2』『スタスキー&ハッチ』の5作でのノミネート>

 

*ポンコツ映画愛護協会