『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』:2015、アメリカ

悪夢を見ていたトーマスはミンホに起こされ、「ここを出るぞ」と言われる。トーマスがヘリコプターを出ると、武装集団は「クランクが来た、群れを成してる」と焦った様子を見せた。彼らはトーマスたちに建物へ入るよう急かし、敵に向かって発砲した。トーマスたちが建物の一室で待機していると、責任者だというジャンソンがやって来た。彼はトーマスたちに、ここは恐ろしい外の世界から遮断された聖域だ。君らの家は、砂漠から離れた場所だ。WCKDは絶対に来ない」と語った。
ミンホが「なぜ僕らを助ける?」と質問すると、ジャンソンは「フレア・ウイルスに侵されない君らは人類存続の手掛かりだが、追われる身でもある」と述べた。彼はトーマスたちを建物の別エリアへ案内し、シャワーを使わせた。トーマスは医務室で栄養剤の注射を受け、テレサやミンホたちにも別々の係員が担当に就いた。トーマスは1人だけ別の部屋に呼ばれ、ジャンソンから「WCKDの記憶はあるか?君がどちら側の人間か知りたい」と言われる。トーマスは明確な記憶を取り戻していなかったが、「僕は仲間の側だ」と答えた。
トーマスが食堂に案内されると、ミンホが来て「迷路は1つじゃなかった」と告げる。彼とニュートは別の迷路から脱出した3人と出会い、話を聞いていたのだ。そこへジャンセンが現れ、「名前を呼ばれた者は東ウイングへ案内する。新しい人生の始まりだ」と言う。彼は数名の名前を読み上げ、「また明日だ。必ずチャンスは来る」と告げて食堂を後にした。ミンホは3人組に「彼らはどこへ?」と質問し、農場のような場所で、1度に2、3人しか入れない」と聞かされた。
テレサが職員に連行される様子を見たトーマスは追い掛けようとするが、ジャンソンの側近に制止された。側近はトーマスに、「まだ彼女は審査が残ってる。大丈夫だ」と告げた。トーマスたちが寝室へ入ると、外から扉が施錠された。深夜、1週間前から建物にいるエリスが通気口を通って現れ、トーマスを誘った。エリスは通気口を移動し、クロフォード博士と職員たちが封鎖された部屋へ何かを運ぶ様子をトーマスに見せる。彼女らが運び込んだストレッチャーはシーツで隠されていたが、明らかに人間が乗せられていた。エリスは、それが毎晩の出来事であること、部屋で何が行われているかは分からないこと、その扉から出た者はいないことをトーマスに語り、「僕らは閉じ込められている」と語った。
翌日も食堂にジャンソンが現れ、数名の名前を読み上げた。トーマスは仲間たちに昨晩の出来事を明かし、「扉の先を知りたい」と告げる。彼は名前を呼ばれた面々に続いて東ウイングへ向かおうとするが、職員に止められる「友達に会いたい」と言った彼は職員に詰め寄って制止されるが、それはカードキーを盗み取るための行動だった。深夜、彼はエリスと共に封鎖された部屋へ入り、大勢の若者が実験台にされている様子を目にした。名前を呼ばれた面々は装置に吊るされて管を繋がれ、体液を抜き取られていた。
ジャンソンと側近が部屋に来たので、トーマスとエリスは身を隠した。するとエヴァがテレビ電話に現れ、「計画変更よ。翌朝、そちらに着くわ」と言う。ジャンソンが「全て順調です。迷路の実験の結果も良好です」と告げると、彼女は「まだ不充分よ。私が着くまでには、次の実験の準備を済ませて」と要求した。エヴァが「ライト・アーム(RA)は我々の2つの基地を破壊した。私たちと同様に、彼らを求めてる。治療法が見つかりつつある今、これ以上の損失は許されない。任務を完了して」と語ると、ジャンソンは「新入りから実験を始めます」と答えて部屋を後にした。
トーマスは急いで仲間たちの元へ戻り、「WCKDに操られてた。早く逃げよう」と言う。一行は寝室から脱出し、エリスは「脱出したいだろ。先に行ってくれ」と言う。ウィンストンも彼に同行することに決め、トーマスたちは2人と別れた。トーマスはクロフォードを見つけて脅しを掛け、テレサの元へ案内させた。彼らはレベル3の医務室でテレサを見つけ、一緒に出口を目指す。しかし扉が封鎖されており、トーマスの盗んだカードキーでは開かなかった。
ジャンソンは部下たちを連れて現れ、「扉を開けない方がいい。迷路は出られても、砂漠では生き残れない」と告げる。向こうからエリスとウィンストンが扉を開け、トーマスたちは建物から脱出する。トーマスたちが砂嵐の中に飛び出すと、バイク部隊が追って来た。一行は廃屋となったショッピングモールに入り、追跡を撒いた。テレサから事情説明を求められたトーマスは、「WCKDの人体実験を見た。彼らは吊るされていて、体から管が出ていた。いずれ体液を失うだろう。WCKDは僕らの血液中にある何かを求めてる」と語った。
ニュートが「作戦を聞かせてくれ」と言うと、何も考えていなかったトーマスは言葉に詰まった。エリスが「ジャンソンは山に隠れている人々について話してた。軍隊らしい」とRAに言及すると、トーマスは「WCKDの敵なら助けてくれるかも。それしか無い」と言う。人が住んでいた形跡に気付いた一行は、使えそうな物を手分けして探すことにした。トーマスに同行したミンホは電圧機を見つけ、ブレーカーを上げる。すると廃屋に潜んでいた感染者のクランクが、群れを成して襲い掛かって来た。トーマスとミンホは仲間たちと合流し、全員で出口を探す。ウィンストンがクランクに襲われて怪我を負うが、何とか全員で脱出した。
翌朝、トーマスたちは廃墟と化した街を出て、山を目指すことにした。ウィンストンが意識を失って倒れたため、一行は担架を作って運ぶ。休息中、テレサはトーマスだけに、WCKDが首の後ろに付けた謎の刺青を見せた。彼女は記憶が蘇ったことをトーマスに明かし、「WCKDに戻りましょう」と持ち掛けた。トーマスが「あれだけ酷いことをされたのに?」と反対すると、彼女は「全ては順調だった。貴方が」と、そこまで言って黙る。トーマスが「何を隠してる?」と質問した時、仲間たちのいる方で銃声が響いた。
トーマスたちが駆け付けると、フライパンがウィンストンから拳銃を奪い取っていた。ウィンストンは腹部の傷が広がり、感染すると確信して自殺を図ったのだ。「あいつらみたいになりたくない」とウィンストンが懇願すると、ニュートは彼に拳銃を渡した。一行が去った後、ウィンストンは自害した。トーマスたちは砂漠を移動し、野宿で翌朝を迎えた。しばらく進んでいると、幾つもの雷が襲い掛かって来た。一行が慌てて近くの廃墟に逃げ込むと、鎖に繋がれた何体ものクランクがいた。
トーマスたちが焦っていると、建物の奥からブレンダという女性が現れて「ついて来て」と言う。奥には彼女の仲間が暮らしており、上の階にはリーダーのホルヘが待っていた。「どこから来て、どこへ行く?俺に得はあるか」という彼の質問に、トーマスは「山へ行ってRAに会うつもりだった」と答えた。ホルヘはトーマスの首の後ろを機械で調べ、WCKDから来たこと、追跡されていることを知った。彼は一行を捕まえて逆さ吊りにすると、「RAについて知っていることを教えろ。取り引きしよう」と持ち掛けた。トーマスが「彼らは山に隠れていてWCKDを攻撃し、若者を逃がした。それしか知らない」と話すと、彼は「終わりだ。元の場所に戻す」と告げて去った。
ホルヘはブレンダに、「静かに荷物をまとめろ。彼らと一緒にRAの元へ行く」と言う。WCKDの武装チームは、廃墟に潜入した。ブレンダが「この場所を手放すの?」と訊くと、ホルヘは「ここに未来は無い」と述べた。ジャンソンはヘリで廃墟に近付き、「完全に包囲した。WCKDの仲間を返さないと、皆殺しにする」と告げる。すぐにホルヘは、グループのバークレイが裏切ったと気付いた。トーマスたちは逆さ吊りから脱出したが、バークレイが銃を突き付けて立ちはだかる。バークレイはトーマスたちをジャンソンに引き渡そうとするが、そこへブレンダが来て彼を始末した。
ブレンダがトーマスたちを連れていくと、ホルヘは「プランBだ。RAの所へ連れて行ってやる」と言う。ホルヘやテレサたちは、窓からワイヤーを使って順番に脱出する。ブレンダが荷物を取りに戻ったので、トーマスは同行した。2人は武装チームに見つかり、必死で逃亡する。ホルヘの仕掛けた爆弾が起動し、廃墟は崩壊してトーマスとブレンダは閉じ込められた。トーマスが「なぜ助ける?」と尋ねると、ブレンダは「ホルヘは貴方たちが楽園へ連れて行ってくれると思っている。太陽から遠い、感染の心配も無い場所。RAは免疫のある若者を、そこへ連れて行ってる」と話す。トーマスが「どこにある?」と訊くと、彼女は「分からない。でもホルヘの知人のマーカスは、若者を山へ避難させていた時があった」と語った。
トーマスとブレンダが地下道を移動していると、蔦の生い茂った場所に辿り着いた。そこにいたクランクの群れが襲って来たので、2人は慌てて脱出する。そこへもクランクが追い掛けて来て、ブレンダは足を噛まれてしまった。2人は廃墟の街に入り、ゾーンAでマーカスを捜索した。そこにいた男は「マーカスはゾーンBに行った」と言い、クラブへ入る前に酒を飲むよう要求した。仕方なく承諾したトーマスとブレンダだが、そこには幻覚剤が混入されていた。店内に入った2人は幻覚に見舞われ、意識を失ってしまう。トーマスが目を覚ますと周囲にはテレサたちがいて、ホルヘが椅子に拘束したマーカスを尋問していた…。

監督はウェス・ボール、原作はジェイムズ・ダシュナー、脚本はT・S・ノーリン、製作はエレン・ゴールドスミス=ヴァイン&ウィク・ゴッドフリー&リー・ストールマン&マーティー・ボーウェン&ジョー・ハートウィックJr.、製作総指揮はウェス・ボール&T・S・ノーリンT・S・ノーリン&リンゼイ・ウィリアムズ&エドワード・ガマラ、撮影はギュラ・パドス、美術はダニエル・T・ドランス、編集はダン・ジマーマン、衣装はサーニャ・ミルコヴィッチ・ヘイズ、視覚効果監修はリチャード・E・ホランダー、音楽はジョン・パエザーノ。
出演はディラン・オブライエン、カヤ・スコデラーリオ、トーマス・ブローディ・サングスター、デクスター・ダーデン、パトリシア・クラークソン、ナタリー・エマニュエル、ジャンカルロ・エスポジート、アレクサンダー・フローレス、エイダン・ギレン、キー・ホン・リー、ジェイコブ・ロフランド、バリー・ペッパー、ローサ・サラザール、リリ・テイラー、アラン・トゥディク、テリー・デイル・パークス、キャスリン・スミス=マッグリン、マシュー・T・メッツラー、ジェニー・ガブリエル、デヴィッド・ハウス、ローラ・カニンガム、ルーク・ガレゴス、ショーン・プリンス、ジェレミー・ベセラ、マット・ペイジ、アレックス・ナイト他。


ジェイムズ・ダシュナーのヤングアダルト小説を基にした3部作の第2作。
監督のウェス・ボールと脚本のT・S・ノーリンは、いずれも前作からの続投。
トーマス役のディラン・オブライエン、テレサ役のカヤ・スコデラーリオ、ニュート役のトーマス・ブローディ・サングスター、フライパン役のデクスター・ダーデン、エヴァ役のパトリシア・クラークソン、ウィンストン役のアレクサンダー・フローレス、ミンホ役のキー・ホン・リーは、前作からの続投。
RAのハリエットをナタリー・エマニュエル、ホルヘをジャンカルロ・エスポジート、ジャンソンをエイダン・ギレン、エリスをジェイコブ・ロフランド、RAのリーダーのヴィンスをバリー・ペッパー、ブレンダをローサ・サラザール、RAの研究者のメアリーをリリ・テイラー、マーカスをアラン・トゥディクが演じている。

タイトルは『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』で原題も『Maze Runner: The Scorch Trials』なのだが、今回は迷路なんて1シーンも登場しない。
だから当然のことながら、迷路を調べるためのランナーという役割も存在しない。
つまり「タイトルに偽り有り」ということになってしまうわけだ。
原作だと2作目が『The Scorch Trials』、3作目が『The Death Cure』なのだが、映画だと「シリーズの続編ですよ」ってのをアピールするために「Maze Runner」を付けたせいで、タイトルと中身が合致しなくなっている。

「最初から隠す気なんて無いだろ」と言いたくなるぐらい、トーマスたちの連行された場所はWKCDの施設ってことがバレバレになっている。
何しろ前作のラストでエヴァは「これから実験は第2段階だ」と言っているし、武装集団がトーマスたちを連行したことに全く焦りを見せていないのだ。
ジャンセンがトーマスだけを呼んで「WKCDの記憶は戻ったのか。君がどちら側か知りたい」と質問するのも怪しさ満開で、「ワシはWKCDの人間です」と言っているようなモノだ。

ジャンセンが若者たちの名前を呼んで、そいつらだけを「新しい人生の始まりだ」と東ウイングへ連れて行くのも、「疑ってください」と言っているようなモノ。本気で若者たちを助けたいと思っているのなら、全員を案内すればいい。
詳細を教えないまま、数名ずつ別の場所へ連れて行くって、「真実を知られたらマズいようなことを極秘でやっています」ってのがバレバレだ。
寝室の外から扉に施錠されるのも、不自然さしか無い。そういうトコで若者たちが何の疑問も抱かないのは、ボンクラすぎだろ。
ただ、トーマスが「栄養剤だ」と説明を受けて注射を打たれるシーンがあるので、それも「実は中身が栄養剤じゃなくて」みたいな裏があるのかと思ったら、特に何も無いのね。ミンホがトレーニングで数値を図っている様子も写っていたけど、これも特に裏は無いのね。

エリスはトーマスだけを通気口に誘い、クロフォードたちの行動を見せる。トーマスから「なぜ僕だけに?」と質問された彼は、「信頼されてるようだから」と答える。
ちょっと何言ってんのか良く分からない。
その信頼ってのは、「ジャンソンたちに信頼されている」ってことなのか。それと「だからトーマスだけに教える」ってのは、どう繋がるのか理屈が分からない。
ジャンソンに報告されるリスクもあるわけで、まだ会話も交わしていないトーマスに教えるってのは、どういう神経なのか。「主人公だから特別扱い」ってのは当然っちゃあ当然かもしれないが、そこの理由付けが下手すぎるわ。

前作のトーマスは思慮深さが足りず、「直情的に行動していたら、たまたま全てが上手い方向に転がった」という感じだった。リーダーとしての適性は感じられず、主人公としての魅力も乏しかった。
そんなトーマスの持ち味は、今回も健在だ。
ニュートが「真実が分かるまで目立たないようにしよう」と言った直後、ジャンソンの側近に「友達に会いたい」と訴えて掴み掛かる。そこには「カードキーを盗むための芝居」という裏があるのだが、「たまたま成功した」というだけにしか思えない。
それ以降も、ヒーロー的に動かしたいのは分かるが、そこにヒーローとしての魅力は感じない。

前作ではトーマスに反感を抱いて攻撃的な態度を取るギャリーを配置し、それによって「トーマスは正しい」ってことをアピールする形を取っていた。
今回はギャリーが消えて、同じような役目をニュートに担わせている。
ニュートはギャリーほど攻撃的な姿勢は見せないが、「何の作戦も考えずに行動した」ってことでトーマスを責めたりする。
前作でアルビーが死んだ後のリーダーを務めていたニュートなのに、「文句を言うだけで全くリーダーシップの無い男」という扱いにされている。

トーマスが仲間たちと建物を脱出することにした時、エリスとウィンストンが別行動を取る。しばらくしてトーマスたちが封鎖された扉の前で立ち往生していると、彼らは向こう側から開けてくれる。
カードキーは使えなかったのに、どうやって扉を開けたのか。
っていうか、どうやって向こう側に移動できたのか。その建物は、どういう構造になっているんだよ。
そもそも、そっち側に行けるルートをエリスが知っていたのなら、全員を案内すりゃ良かっただろ。

あらすじで「クランク」と書いている連中は、ザックリ言うとゾンビである。
色んな映画やTVドラマでゾンビ物が作られているので、そういう流行りに安易な気持ちで乗っかったということだろう。分かりやすいっちゃあ分かりやすいが、安っぽい。
だが、ヤングアダルト小説をアメリカにおけるライトノベルとして捉えると、安易に流行りを取り込むのは当然と言えよう。
それで外したら目も当てられないが、ヒットして続編が作られたんだから、読者には(映画シリーズでは観客には)好評だったってことなんだろう。

ウィンストンはクランクによる傷が広がっているのを知って、「あいつらみたいになりたくない」と言い出す。そして彼は、自殺を選ぶ。
つまりウィンストンは、そして彼の言うことを理解した仲間たちは、全員が「クランクに傷付けられた人間は感染し、クランクになる」ということを知っているわけだ。
だけど、そんな情報、どこかで誰かが話していたかな。
実際に「襲われた人間がクランクになる」という場面に遭遇することも無かったよね。そもそも、クランクが何なのかも、施設へ連行された来た時点では分かっていなかったはずだよね。
いつの間に、そういう情報を得たんだろうか。

ずっと隠れる場所も無い砂漠を移動していたトーマスたちだが、落雷が襲い掛かった時には、走れば辿り付ける場所にデカい廃墟がある。
見事なぐらい、都合の良い設定である。
ちなみに、突如として幾つもの落雷が出現してトーマスたちを追い掛けるのは不自然なので、それはWKCDの仕掛けなのかと思ったが、後になって「実は」みたいな種明かしが訪れることは無い。
ってことは、それは単なる自然現象なのね。それもまた、都合のいい落雷だね。

廃墟に向かってトーマスたちが必死で走ると、ミンホが雷に打たれて倒れる。トーマスたちが昏倒したミンホに駆け寄り、廃墟へ運び込む様子が「緊張感に満ちたシーン」として描かれる。
ウィンストンの時も似たような描写で、彼は最終的に自害を選んだ。しかしミンホは廃墟に入ると、すぐに意識を取り戻す。
もちろん感染していないからクランクに変貌することは無いが、しばらくは雷に打たれたダメージが残るんだろうとは思ったら、直後から元気に行動している。
だったら、雷に打たれる手順って全くの無意味だろ。

トーマスたちが廃墟に入るとホルヘのグループがクランクの群れを鎖に繋いで監禁しているのだが、その理由が良く分からない。
一応は番犬みたいに扱いらしいんだけど、その必要性は不明だ。トーマスたちを連れ込むまでは、WKCDの敵対組織として活動していたわけでもないんだし。
それに、鎖で繋いでも、言うことに従うわけでもないでしょ。
そこのクランクたちは鎖が邪魔でトーマスたちを襲うことも出来ていないので、「廃墟に侵入した部外者を排除する」という目的も果たせないし。

ホルヘはトーマスたちに「どこから来て、どこへ行くのか」と質問し、「RAの元へ行く」と聞いている。WKCDから来た後、逆さ吊りにして「RAについて知っていることを教えろ」と脅す。ところがトーマスたちが大した情報もなっていないと知ると、「自分がRAの元へ連れて行く」と言う。
どういうことだよ。
最初にトーマスが「RAの元へ行く」と言った時点で、「自分たちも同行したい」と告げれば良かったんじゃないのか。それで断られたら、脅して情報を聞き出そうとすれば良かったんじゃないのか。
ここでのホルヘの行動が、良く分からないことになっている。
っていうか知り合いのマーカスが若者たちを山へ避難させていたのなら、それに付いて行こうという考えは無かったのか。

終盤、テレサはトーマスたちを裏切り、WKCDに連絡を取ってRAのアジトへ呼ぶ。彼女は意味ありげなことを語り、「なぜこうしたかを分かってほしい」とトーマスに訴える。
だけど、これが「WKCDに人質を取られているから」みたいな事情ならともかく、どうやら「WKCDは正しいから」という理由なんだよね。
なので、その卑劣な裏切り行為は、どこにも情状酌量の余地が無い。
3作目でテレサがトーマス側に回ることはバレバレだけど、それで取り戻せるようなレベルの罪じゃないぞ。

最初から3作目まで続くことを想定して作っていることは分かるし、だから本作品が「1作目と3作目の繋ぎ」みたいな状態になるのは仕方の無い部分もある。
だけど、それにしても何一つとしてケリを付けず、全てを次回に持ち越したまま終わっちゃうのよね。
「ひとまず決着の付くこともあるけど、デカい問題は解決しないまま次回に続く」とか、「1つの問題は解決するけど、新たな問題が起きた」みたいなことじゃないのよね。
それが「第3作が楽しみ」という期待感や渇望に繋がっていればいいんだろうけど、すんげえモヤッとしたまま観賞が終わる形となっている。

(観賞日:2018年6月29日)

 

*ポンコツ映画愛護協会