『マトリックス レザレクションズ』:2021、アメリカ
ホテルの一室に警察の特殊部隊が突入し、トリニティーに銃を突き付けた。警官隊が外で待機していると、エージェントの3人が現れた。相手は小娘だと軽く見ている警官に、エージェント・スミスは「今頃は皆殺しにされてる」と告げた。バッグスとシークはトリニティーの近くで、その動きを観察していた。シークが「将軍の規則を破ってる」と言うと、バッグスは「分かってる。けど何かが起きてる」と話す。彼女は「この後の展開を知ってる」と言い、その予言通りにトリニティーが特殊部隊を一掃して電話を掛けた。
バッグスが「これが彼の始まり」と口にすると、シークは「このモーダルはループしてる?進化するプログラム?目的は?」と口にした。バッグスが「分からないけど突き止める」と告げた後、トリニティーは屋上へ出て逃亡を図る。しかしエージェントが立ちはだかり、彼女と戦い始めた。バッグスは「なぜ古いコードを使う?それにトリニティーも変だ」と首を傾げ、別の話かもしれないと考えた。シークは「戻れ。これは罠だ」と姿を消し、逃げ遅れたバッグスはエージェントに襲われた。
バッグスはエージェントから逃亡し、ビルを飛び降りて鍵屋に隠れた。そこへスミスが現れて銃を構えると、彼女は「これはモーダルよ。進化シミュレーション。そしてアンタはデジタル・センティエンス」と語る。スミスは「承知してる。私の仕事は追跡して始末すること」と言うが、他のエージェントが来ないことを教えて銃を下ろした。部屋の机に目をやったバッグスは、メタ・コーテックスのIDに気付く。IDの名前はトーマス・アンダーソンで、「ここは彼の部屋よ」とバッグスは興奮した。
スミスが「彼は存在しない」と言うと、バッグスは「その名前はね。本名はネオ。ずっと彼を探してた。世間は彼が死んだと思ってる。彼を見た時、心が解き放された」と語る。スミスが「私もそうだった。同じパターンを至る所で見た。繰り返す奇妙なパターンの中に我々はいる。その時に理解した。これは現実の世界じゃない」と話すと、バッグスは自分の目的が分かっているかと問い掛けた。するとスミスはネオを見つけ出すことだと答え、「私はモーフィアス」と口にした。
バッグスは「一緒に来て。これを飲んで」と言い、赤い錠剤を差し出した。彼女は「残りたいなら、こっちを」と青い錠剤も差し出すが、スミスは赤を飲んだ。そこへ特殊部隊が来たので、2人は逃走した。バッグスとスミスはラファイエットの窓を突き破り、パソコンの中に消えた。デウス・マスナ社で働くトーマスは『マトリックス』トリロジーのゲームデザイナーとして1999年のゲーム大賞を受賞し、現在は新作『バイナリー』の開発に取り組んでいた。プログラムへの侵入を検知した彼は、同僚のジュードに「消えた」と告げる。マトリックスのコードかと問われたトーマスは、「モーダルで実験を」と答えた。
ジュードとカフェに出掛けたトーマスは、息子と娘を連れて入って来たティファニーという主婦に目を留めた。ジュードは「一肌脱ぐよ」と言い、ティファニーに声を掛けてトーマスを紹介した。トーマスは握手したティファニーから「どこかで会った?」と訊かれ、「たぶん、この店で」と返した。夫のチャドが来たので、ティファニーと家族で店を出て行った。会社に戻ったトーマスは、モーダルが消去済みになっているのを見て困惑した。
トーマスは共同経営者のスミスに呼ばれ、「セラピーはどうだ?」という質問に「順調だ」と答えた。スミスは「状況も変わり、市場も厳しい」と前置きし、親会社のワーナー・ブラザーズが『マトリックス』の続編を作ることを明かす。彼は「我々抜きでも作られる。協力しなければ契約を切られる」と言い、「君は物語が終わったと言ったが、終わりは無い。違った名前と違った顔で、物語を作り続ける。長い年月を経て、マトリックスに原点回帰する」と述べた。スミスの口元が一瞬だけ醜く変形し、トーマスは目をこすった。
トーマスはセラピーのため、アナリストの元を訪れた。彼は「どう感じた?」と問われ、「またコンピュータの中に閉じ込められたのかと思った」と返答した。アナリストはトーマスが自殺を図った過去に触れ、「会社のパートナーから作る気も無いゲームを強要され、それが引き金になって同じことをやり返した」と指摘する。アナリストから「今回は症状の再発どころか、健全な自己防衛の結果だ」と言われたトーマスは、彼の元を去って青い錠剤を飲んだ。鏡に映る彼の姿は、まるで異なる老人だった。
『マトリックス4』の開発会議に参加する日々の中、トーマスはカフェでティファニーと再会した。ティファニーは『マトリックス』に登場するトリニティーについて、自分に似ていると感じたことを話す。さらに彼女は、それをチャドに話したら笑われたことも明かした。トーマスが会社に戻ると、通報を受けたFBIが社員に避難を指示していた。トーマスは匿名の送信者から、「やあネオ。答えを知りたければ通路の奥のドアへ」というメールを受け取った。彼がドアを開けてトイレに行くと、モーフィアスが待ち受けていた。
トーマスが「アンタを知ってる」と言うと、モーフィアスは「アンタが作ったキャラだ。答えはここにある」と告げる。彼が赤い錠剤を差し出すと、トーマスは「あれは単なる実験だった」と弁明する。モーフィアスに同行していたシークたちは、早くしないと鏡が閉じると警告した。そこへ特殊部隊が突入し、モーフィアスと戦闘になった。トーマスが逃げて身を隠していると、スミスがやって来た。落ちていた銃を拾い上げた彼は、トーマスを見つけて発砲した。
トーマスが目を覚ますと、アナリストの部屋にいた。アナリストはトーマスに、「初めは現実と空想の区別が付かなかった。ビルから飛び降り、空を飛ぼうとした」と告げる。トーマスがモーフィアスの出現や体験した出来事を説明すると、アナリストは空想が周囲に危害を及ぼせば大問題だ」と諫めた。トーマスが屋上から飛び降りようとすると、バッグスが現れて制止した。彼女は「貴方は私の人生を変えた。あの頃の私は電池の1人だった」と言い、トーマスの質問を受けてモーダルの侵入者が自分だと明かした。
トーマスにジュードから電話が掛かって来ると、バッグスは「それは貴方を操るためのプログラム。エージェントを連れて来る」と告げた。彼女はトーマスに、「あのドアが開いたらハッキングが終わる。私は殺され、貴方は単調な毎日に連れ戻される」と話す。さらに彼女は「モーダルを解放したのはモーフィアスを自由にするため。真実が待ってる」と語り、トーマスをドアの向こうへ導いた。トーマスたちはトーキョーを走る列車を通り、モーフィアスの元に赴いた。
モーフィアスはトーマスに鏡を見せ、周囲からは老人だと思われていることを教えた。バッグスはマシン・シティーに向かってから60年以上も探していたことを語り、モーフィアスは「ここを出たければ、これを飲め」とトーマスに赤い錠剤を差し出した。トーマスは錠剤を飲み、バッグスは仲間のバーグやレクシーたちと準備を進める。しかしアナリストに気付かれ、トーマスが連れ戻されそうになる。警察の特殊部隊がバッグスたちの元に突入して来たため、激しい戦闘が勃発した。
トーマスたちが列車に逃げると、乗客が襲い掛かった。トーマスはトイレの鏡を使って現実の世界へ移動し、ネオとしてトリニティーとの再会を果たした。しかし状態が良くないため、バッグスはコールドプールを実施した。ネオはコンストラクトでモーフィアスと会い、「君は私にモーフィアスとエージェント・スミスの2つの力を持たせ、君を覚醒させた。君の脳はマトリックスの長年のカスが溜まっていて、依存症になっている禁断症状は激しく、助かる確率は低い」と告げられた。
モーフィアスは「生き延びるために必要な物は用意した」と言ってトーマスを和室に飛ばし、自身との戦いを要求した。ネオは拒否するが、「最後のチャンスだ。トリニティーのために戦え」と告げられてモーフィアスを弾き飛ばした。コールドプールから目覚めたネオは、体に取り付けられたプラグに気付いた。バッグスが来て「気分はどう?」と尋ねると、彼は「このプラグが現実なら、奴らは俺の人生をビデオゲームにした」と述べた。
バッグスはマトリックスが新バージョンになった時、オラクルが消されたことをネオに教えた。「俺たちがやったことは無意味だった」とネオが漏らすと、彼女は「意味はあった。教えてあげる」と仲間の元へ案内する。バッグスは2274年に建造されたムネモシュネ号の船長で、オペレーターのシークやレクシー、バーグ、エルスターたちをネオに紹介した。ムネモシュネ号では人間だけでなく、シンシエントのシベーベ、オクタクリーズ、ルーミン8もクルーとして働いていた。
ネオが「他にもポッドがあった。トリニティーだ」と話すと、バッグスは「今はまだ助ける方法が無い」と告げた。彼女はネオを操縦席へ連れて行き、操縦士のハンノに会わせた。ムネモシュネ号はセンティネルから隠れるために建造された都市、アイオに着陸した。ネオはバッグスの案内で、アイオの将軍になったナイオビと再会した。ナイオビはバッグスの規則違反を咎め、船長の解任を通達した。ナイオビはネオを研究室へ連れて行き、植物研究の責任者であるフレイヤとデジタル学者のクィリオンに会わせた。
ナイオビが「ザイオンは戦争に明け暮れた。マトリックスと同じ。ここは違う」と言うと、ネオは「ザイオンで何があった?」と尋ねる。ナイオビは電力不足がきっかけで機械同士の戦争が始まったこと、包囲攻撃の後には満場一致でモーフィアスが評議会の最高責任者に就任したことを話す。しかし新たな力の噂が広まると、「ネオがしたことは覆らない」と信じるモーフィアスは無視した。それを聞いたネオは、「こんなことになるとは」と謝罪した。
ネオが「問題を起こす気は無いが、トリニティーを助けるために手を借りたい」と頼むと、「アイオの住人に危害が及ぶ。ザイオンの二の舞にはさせない」とナイオビは断った。ネオはモーフィアスから、「バッグスたちは君の決断を待ってる。黙って監禁されるか、それともトリニティーを探すか」と告げられた。彼はトリニティーを助けるため、ムネモシュネ号に乗り込んだ。ネオやバッグスたちは鏡を使ってホテルの部屋へ行き、そこからティファニーが使っているガレージの近くにある倉庫に赴いた。
ネオたちが倉庫に入ると、スミスが待ち受けていた。「なぜ分かった?」というネオの質問に、「我々の縁に目を付けたのはアナリストだ。彼は我々の絆を利用した」とスミスは答えた。ネオが「何が望みだ?」と訊くと、彼は「私には暴力的な復讐という夢がある。それには君の夢が邪魔だ。君は来るな。アナリストは私に任せろ」と言う。ネオが「トリニティーを助ける」と告げると、スミスは「困るんだよ。奴らの思う壺だ。彼には勝てない」と説いた。
ネオが要求を拒むと、スミスは「君の知り合いを呼んだ」と口にした。倉庫にメロヴィンジアンとエグザイルの一味が出現し、ネオたちを取り囲んだ。メロヴィンジアンは「お前は私の人生を奪った」とネオに告げ、スミスはネオに発砲した。ネオは銃弾を回避し、スミスとの戦いに突入した。バッグスたちはエグザイルに襲われ、格闘になった。ネオはスミスに追い詰められるが、弾き飛ばして撃退した。彼はバッグスたちの元へ戻り、ティファニーとして暮らすトリニティーの元へ向かった…。監督はラナ・ウォシャウスキー、キャラクター創作はザ・ウォシャウスキーズ、脚本はラナ・ウォシャウスキー&デヴィッド・ミッチェル&アレクサンダル・ヘモン、製作はジェームズ・マクティーグ&ラナ・ウォシャウスキー&グラント・ヒル、製作総指揮はギャレット・グラント&テリー・ニーダム&マイケル・サルヴェン&カリン・ウォシャウスキー&ジェシー・アーマン&ブルース・バーマン&エイミー・アレグレッティー、共同製作はヘニング・モルフェンター&チャーリー・ウォーバッケン&クリストフ・フィッサー&ミキ・エメリッヒ、製作協力はマット・ビルスキー&ロラン・テュルジオン、撮影はダニエル・マッサーセシ&ジョン・トール、美術はヒュー・ベイトアップ&ピーター・ウォルポール、編集はジョセフ・ジェット・サリー、衣装はリンジー・ピュー、視覚効果監修はダン・グラス、音楽はジョニー・クリメック&トム・ティクヴァ。
出演はキアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、ジェイダ・ピンケット・スミス、ジェシカ・ヘンウィック、ジョナサン・グロフ、ニール・パトリック・ハリス、プリヤンカー・チョープラー・ジョナス、クリスティーナ・リッチ、テルマ・ホプキンス、チャド・スタエルスキ、ランベール・ウィルソン、ブライアン・J・スミス、トビー・オンウメール、マックス・リーメルト、エレンディラ・イバラ、アンドリュー・ルイス・コールドウェル、ジョシュア・グロス、マイケル・X・ソマーズ、L・トレイ・ウィルソン、ムンビ・マイナ、マックス・マウフ、プラブ・コリ、フリーマ・アジェマン、サブリナ・ストレール、アンドリュー・ロスニー他。
『マトリックス』シリーズの第4作。前3作は性転換手術を受ける前のウォシャウスキー兄弟(ザ・ウォシャウスキーズ)が共同で監督を務めていたが、今回はラナ・ウォシャウスキーが単独で担当している。
脚本はラナが小説家のデヴィッド・ミッチェル&アレクサンダル・ヘモンと共同で手掛けている。
ネオ役のキアヌ・リーブス、トリニティー役のキャリー=アン・モス、ナイオビ役のジェイダ・ピンケット・スミス、メロヴィンジアン役のランベール・ウィルソンは、トリロジーからの続投。
モーフィアスをヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、バッグスをジェシカ・ヘンウィック、スミスをジョナサン・グロフ、アナリストをニール・パトリック・ハリス、サティーをプリヤンカー・チョープラー・ジョナスが演じている。トリロジーではモーフィアスをローレンス・フィッシュバーン、エージェント・スミスをヒューゴ・ウィーヴィングが演じていた。
配役が変更されたのは、ヒューゴ・ウィーヴィングに関してはスケジュールの都合が合わなかったからだ。しかしローレンス・フィッシュバーンの場合、そもそもオファーが無かったらしい。
劇中で「違った名前と違った顔で、物語を作り続ける」という台詞はあるけど、それと関連付けての配役変更だと感じることは無い。
スミスにしても、スケジュールが合わず別の演者を起用するにしても、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世にモーフィアスとエージェント・スミスの両方の力を持たせて、それとは別に「トーマスの共同経営者」としてのスミスも用意する意味がサッパリ分からんよ。
それで得られるメリットって何だよ。ザ・ウォシャウスキーズは1999年と2003年の『マトリックス』トリロジーの大ヒットにより、ハリウッドのビッグネームになった。しかし、そこから「栄光の日々」が長く続くことは無かった。
2008年の『スピード・レーサー』、2012年の『クラウド アトラス』、2015年の『ジュピター』と、監督作が3本連続で興行的に失敗した。2015年にはNetflixの配信ドラマ『センス8』を手掛けたが、シーズン2での打ち切りが決定した。
どれだけ月日が経っても代表作が『マトリックス』から上書きされない状況が続く中、ついに禁断の果実に手を出すことになった。
これは決して劇中で語られる「原点回帰」ではなく、「過去の遺産」に頼っているのだ。ただし前述したように、今までと違って姉妹で監督を務めているわけではない。しかも妹のリリー・ウォシャウスキーは、脚本や製作にも関わっていない。完全にお姉さんだけで手掛けた続編だ。
そこには「両親の死の悲しみを紛らわせるため」という目的があるらしいけど、こんな映画を作って喪失感や悲しみから抜け出せるのかね。いや「何もしないよりも何かしていた方が気が紛れる」ったことはあると思うけどさ。
ただ、どういう事情があるにしても、「だから映画がつまらなくても観客は優しく受け入れてくれる」なんてことは無いからね。
「それはそれ、これはこれ」だからね。最近は何年も経ってから作られた続編が好評でヒットするケースもあるけど、この4作目は完全に「今さら」であり、ただの蛇足になっている。
『マトリックス』が1作目で描いた世界観は、当時としては斬新だったかもしれない。しかし2021年という時代において、そこに魅力を見出すことは難しい。
また、世界観よりも遥かに多くの観客を引き付けたであろう要素として、「バレットタイム」が挙げられるが、それに代わるような映像表現も見当たらない。新しい武器を何も持たず、アクションシーンを描いている。
そのため、『マトリックス』トリロジーの劣化版のような仕上がりとなっている。今回の特徴としては、「トリロジーをメタ構造のネタとして取り込んでいる」ってことが挙げられる。
粗筋でも触れたように、トーマスは『マトリックス』トリロジーのゲームを開発したデザイナーで、ワーナー・ブラザーズが第4作の製作を決定したという設定だ。
この時点で、かなりヤバそうな匂いが漂って来る。コメディー映画なら何の問題も無いが、シリアス一辺倒な話なので、トリロジーが陳腐な扱いになる恐れも感じたのだ。
結果としては、そんなに陳腐なネタ扱いではない。ただし、ちょっと違った意味で「それでホントにいいのか」と言いたくなる形になっている。
そのメタ構造を使って描いている部分が、「監督の愚痴」みたいになっているんだよね。アクションシーンはトリロジーと同じようなことをやっているだけだし、ストーリーに関してはトリロジーと同じく難解で取っつきにくい。
トリロジーの熱烈なファンでなければ、この映画を楽しむのは難しいだろう。
話が難しいのはトリロジーもそうだったけど、それが今回は酷くなっている。まだ前半はトリロジーの貯金があって何とかなるが、後半に入ると見事なぐらいワケが分からなくなる。
どこに問題点があるのか、どうすれば解決できるのかも見えない。誰が何のために、何をしようとしているのかも分かりにくい。ネオの目的を「トリニティーを救う」という一点に絞り込むことによって、物語の単純化を狙っている。だけど、トリニティーを助ければ何もかもが解決するわけじゃないでしょ。
そもそも、トリロジーってネオとトリニティーの恋愛劇が軸じゃなかったはずで。なので4作目で急に「2人の恋愛劇」としてまとめに掛かられても、そこに引き付けるモノを感じない。
あと年齢的なことを言っちゃうのは失礼になるかもしれないけど、年を食ったキアヌ・リーブスとキャリー=アン・モスの恋愛劇ってのもねえ。そこに『黄昏流星群』みたいな面白さがあるわけでもないしさ。
逆に「年を取った2人」ってのを全面に押し出せば、それはそれで印象が変わったかもしれないけど。クロージング・クレジットでは、「ママとパパへ。全ては愛から始まる」とか「愛と感謝を込めて。サラ&ピッパへ」というメッセージが出る。
言わずもがなだろうが、それはラナ・ウォシャウスキーが両親に用意したメッセージだ。
なので、「両親への愛と感謝を伝える」という意味合いでネオとトリニティーの恋愛劇を軸にしたのかもしれない。
だけど『マトリックス』シリーズの4作目で軸に据えるテーマとしては、失敗だったと言わざるを得ない。
結局、「監督の強い思いが単なるエゴになってしまった」ってことだろうね。(観賞日:2024年3月14日)