『マレフィセント2』:2019、アメリカ
深夜、ムーア王国の森に3人の男たちが忍び込んだ。彼らは妖精を発見し、捕まえて連行しようとする。若い1人が逃げる妖精を追い掛け、捕獲して鞄に入れた。その間にマレフィセントは残る2人を退治し、若い男は精霊の花を摘んで逃亡した。彼は妖精をリックスピットルという買い手に引き渡し、金を受け取った。リックスピットルは精霊の花に目を留め、それも引き取った。翌朝、オーロラが仲間を集めて話し合いをしていると、ノットグラス&シスルウィット&フリットルがピントを連れて来た。ピントが王冠を盗み去ったのでオーロラが後を追うと、フィリップが待っていた。
フィリップが指輪を差し出して求婚すると、オーロラは喜んでOKした。マレフィセントはディアヴァルからフィリップの求婚を知らされ、不快感を露わにした。アルステッド国に戻ったフィリップは、ムーア国の住民を人殺し呼ばわりするパーシヴァル将軍を諫めた。しかしパーシヴァルは持論を曲げず、「マレフィセントは人間を殺して軍隊を壊滅させる。この国を守るのが私の務めです」と述べた。ジョン王は「戦いの日々は終わった」と思っていたが、イングリス王妃は部下のゲルダに武器を集めさせていた。
フィリップがオーロラとの結婚を報告すると、ジョンは「これで2つの国が1つになる」と大喜びした。イングリスは本心を隠して祝福し、晩餐会にオーロラとマレフィセントを招くよう指示した。マレフィセントはオーロラの元へ出向き、結婚は認めないと冷たく通告した。しかしオーロラが「彼にチャンスをあげて」と晩餐会への出席を求めると、彼女は渋りながらも最終的には承諾した。ジョンはフィリップに、自分の剣を贈った。
イングリスは隠し扉から地下へ行き、家臣たちに武器を作らせている工房の様子を確認した。彼女は妖精を閉じ込めて精霊の花を分析しているリックスピットルの研究室を訪れ、準備を急ぐよう指示した。オーロラはマレフィセントとディアヴァルを伴い、アルステッド国の城へ赴いた。晩餐会が始まると、イングリスはステファン王の死やオーロラの呪いに言及し、マレフィセントを挑発した。マレフィセントは妖精が人間に連れ去られていると指摘し、命じている者がいると断言した。
マレフィセントは度重なる挑発に我慢できず、激しい怒りを見せた。彼女が攻撃しようとするパーシヴァルと兵士たちを吹き飛ばすと、ジョンが倒れ込んで意識を失った。イングリスはジョンに歩み寄り、呪いのせいだと主張する。マレフィセントは冷たく無視し、オーロラに一緒に帰ろうと告げる。彼女は呪いを掛けたことを否定するが、オーロラは信じなかった。オーロラが城に留まることを選んだため、マレフィセントはディアヴァルと共に飛び去った。
ゲルダは鉄の弾を放ち、マレフィセントを撃ち落とした。マレフィセントは川に落下し、滝壺から海へ流された。オーロラとフィリップは、イングリスに真実のキスでジョンを目覚めさせるよう頼んだ。イングリスは狼狽して「意味が無いわ」と言うが、フィリップは重ねてお願いする。仕方なくジョンに歩み寄ったイングリスは、耳元で「平和を望むからよ。永遠の眠りに就きなさい」と囁いた。もちろんキスしてもジョンは目覚めず、イングリスはオーロラとフィリップに「おとぎ話とは違うのよ」と述べた。
オーロラはマレフィセントに呪いを解いてもらうため、ムーア国へ戻ることにした。ゲルダは双眼鏡で海を観察し、マレフィセントが誰かに救い出される様子を目撃した。ムーア国に着いたオーロラはディアヴァルと会い、マレフィセントが戻っていないことを知らされた。ゲルダはイングリスに、マレフィセントが同類の何者かに救われたことを報告した。イングリスは彼女に、戦いの準備をするよう命じた。兵士たちは武器と鉄の弾を大量に用意し、戦いに備えた。
マレフィセントが目を覚ますと、怪我の手当てを受けていた。そこはダークフェイと呼ばれる妖精たちが暮らす洞窟で、マレフィセントを助けたコナルと仲間のボーラたちが討論していた。好戦的なボーラが人間を滅ぼすべきだと主張すると、コナルは「勝ち目が無い」と反対した。するとボーラは「今は特別な力を持つマレフィセントがいる」と語り、仲間たちは同調した。コナルはマレフィセントに、人間の王国が出来る度にダークフェイが居場所を失ってきたことを語った。今のダークフェイにとって安住の地は、その洞窟だけだった。コナルは人間と戦わずに共存することを望んでいたが、マレフィセントは「不可能よ」と断言した。
オーロラは城に戻るが、ピントが付いて来たことに気付かなかった。城に侵入したピントは猫に追われて研究室に落ち、リックスピットルに捕まった。オーロラはイングリスに、マレフィセントを見つけらなかったことを報告した。イングリスは笑顔で「家族として一緒に前へ進みましょう」と言い、彼女を抱き寄せた。ゲルダは拡声器を使い、ムーア国の住民に3日後の婚礼への参加を呼び掛けた。全員を招待すると言われた妖精たちは、歓迎されているのだと思い込んだ。
マレフィセントはコナルから、自分がフェニックスの末裔で同じ力を受け継いでいると知らされた。コナルが「貴方は人間を育てて進化した。内に秘めた怒りと苦しみを使わず、人間との平和を取り持って欲しい。貴方は自ら育てた娘をムーア国の女王にした」と告げると、マレフィセントは「娘などいない。彼女は人間を選んだ」と述べた。ボーラはコナルに婚礼の情報を伝え、「アルステッド国の国王夫妻と王子を殺そう」と持ち掛けた。
イングリスはリックスピットルから、精霊の花の花粉を抽出して別の粉を混ぜれば妖精の命を奪えると聞かされた。リックスピットルが捕まえておいた妖精の1人を粉で抹殺すると、イングリスは「これで妖精たちを消して、ムーア国を手に入れられる」と喜んだ。ゲルダとパーシヴァルは兵隊を率いてムーア国へ行き、精霊の花の畑を見つけた。兵隊が次々に花を摘むと、マレフィセントは異変を悟った。彼女か急いで畑に向かうと、花は全て摘み取られて兵隊が去った後だった。
ボーラはマレフィセントに、妖精の仲間を救うための手助けを頼んだ。隠れていた兵士たちが鉄の弾を放つと、コナルがマレフィセントを庇って撃たれた。ボーラは兵士たちを始末し、コナルを洞窟まで運んだ。婚礼の日、妖精たちは罠とも知らず、ムーア国へ向かった。妖精が先に教会へ入って人間は後回しにされており、ディアヴァルは不審を抱いた。フィリップはオーロラに「母からだ」と言い、精霊の花を贈った。オーロラは部屋を抜け出し、隠し扉を発見した。
研究室に入ったオーロラは、イングリスがジョンを針で突き刺して呪いを掛けたのだと知った。彼女はリックスピットルを追及し、羽を奪われた妖精だと気付いた。オーロラが仲間を助けるよう訴えると、リックスピットルは激しく動揺した。そこへイングリスが現れ、妖精とムーア国に対する恨みを語った。彼女は兵士たちに命じ、オーロラを部屋に閉じ込めさせた。ボープは仲間に人間との戦いを呼び掛け、皆でアルステッド国へ向かった。妖精たちが教会に集まると、ゲルダは死の粉を注入した…。監督はヨアヒム・ローニング、脚本はリンダ・ウールヴァートン&ノア・ハープスター&ミカ・フィッツァーマン=ブルー、製作はジョー・ロス&アンジェリーナ・ジョリー&ダンカン・ヘンダーソン、製作総指揮はジェフ・キルシェンバウム&マット・スミス&マイケル・ヴィエイラ&リンダ・ウールヴァートン、共同製作はニッキー・ペニー&R・J・ミノ&ザック・ロス、製作協力はクリス・カスタルディー&ブライアン・H・キャロル、撮影はヘンリー・ブラハム、美術はパトリック・タトプーロス、編集はローラ・ジェニングズ&クレイグ・ウッド、衣装はエレン・マイロニック、視覚効果監修はギャビー・ブロゼニッチ、音楽はジェフ・ザネリ。
主演はアンジェリーナ・ジョリー、共演はエル・ファニング、ミシェル・ファイファー、キウェテル・イジョフォー、サム・ライリー、ハリス・ディキンソン、エド・スクライン、イメルダ・スタウントン、ジュノー・テンプル、レスリー・マンヴィル、ロバート・リンゼイ、デヴィッド・ジャーシー、ジェン・マーリー、MIYAVI、ワーウィック・デイヴィス、ジュディス・シェコーニ、ケイ・アレクサンダー、エマ・マクレンナン、アライン・モワット、フレディー・ワイズ、バリー・エアード、ジャーマイン・コープ他。
2014年の映画『マレフィセント』の続編。
監督はエスペン・サンドベリと共同で『コン・ティキ』や『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』などを手掛けて来たヨアヒム・ローニングで、単独での監督は初めて。
脚本は前作から続投のリンダ・ウールヴァートンと、『ランナウェイ・ブルース』のノア・ハープスター&ミカ・フィッツァーマン=ブルー。
マレフィセント役のアンジェリーナ・ジョリー、オーロラ役のエル・ファニング、ディアヴァル役のサム・ライリー、ノットグラス役のイメルダ・スタウントン、シスルウィット役のジュノー・テンプル、フリットル役のレスリー・マンヴィルは、前作からの続投。
フィリップ役は前作のブレントン・スウェイツからハリス・ディキンソンに交代。イングリスをミシェル・ファイファー、コナルをキウェテル・イジョフォー、ボーラをエド・スクラインが演じている。ダークフェイのウドとして、ギタリストのMIYAVIが出演している。
MIYAVIはアンジェリーナ・ジョリーが監督を務めた2014年の映画『不屈の男 アンブロークン』に出演しており、その後は家族ぐるみで仲良くしている関係だ。そんな縁から、今回はアンジーを出演をオファーしたそうだ。
ただ、特殊メイクを施していることもあり、どれがMIYAVIなのかは分かりにくい。
なので、日本市場へのセールスポイントになるような出演ではない。言うまでも無いだろうが、『マレフィセント』は『眠れる森の美女』を基にしているものの、内容は大きく異なっている。そして『眠れる森の美女』に続編は存在しない。
なので『マレフィセント』の続編である本作品は、もはや『眠れる森の美女』と全く関係の無い映画になっている。
前作では無理を通してマレフィセントを善玉にしていたが、そのままで続編を創るのは都合が悪かったらしい。
そこで今回は冒頭、「この結末は知られることなく、なぜか違う結末が広まりました。やがて物語が繰り返し語られる内、マレフィセントは再び悪者となったのでした」というナレーションを入れている。前作はウーマンリブの精神を強く打ち出した弊害として、『眠れる森の美女』ではヒロインを助けて相思相愛になるフィリップが完全にポンコツの役立たず扱いだった。
すっかり要らない子だったのだから、続編では登場させなくても良かったはずだ。
しかし再び登場させており、それどころか改めてオーロラとの結婚話を蒸し返している。
だけど前作で「オーロラはアウト・オブ・眼中で可能性ゼロ」と冷淡に切り捨てていたはずなのに、なぜセカンド・チャンスを与えているのか。もっと言っちゃうと、前作で「古い価値観に縛られた話」として否定したはずのロマンスを、なぜ再び描こうとするのか。さすがにメインで扱うような真似はしていないけど、例え脇で扱おうとも邪魔な荷物にしかなっていないぞ。
っていうかさ、前作で完全に可能性がゼロだと感じさせたフィリップなのに、なぜかオーロラはプロポーズを喜んで受け入れるのね。そんでマレフィセントが反対すると、「彼は思いやりがあって優しい」と売り込む。
それに対して、前作で善玉扱いされたマレフィセントは、またヒールとしてのムーブを見せている。
もう一回、何もかも最初からやり直しなのかよ。オーロラは晩餐会に出席する直前、マレフィセントに角を隠すよう頼んで「その方が、あちらのご家族も安心するでしょ。貴方自身も」と言う。
すぐに「やっぱり、やめましょう」とは口にするけど、かなり酷い発言だぞ、それって。
自分が幸せになるために、マレフィセントがマレフィセントであることを新郎側に認めてもらおうとせず、屈辱的な妥協を彼女に要求しているわけで。
前作から5年が経過したのに、オーロラは人間的に何も成長していないのかよ。そりゃあ状況からすると、「ジョンが倒れたのはマレフィセントのせい」と考えるのは仕方が無いかもしれない。だけどオーロラが何の疑いも無く「マレフィセントが犯人」と決め付けるのは、「前作で築かれた関係は何だったのか」と言いたくなるのよね。
本人は否定しているのに、それでも全く信用しない程度の関係だったのかと。そもそもマレフィセントの性格を考えれば、城で問題が起きることを想定できなかったのかと言いたくなるし。
あと、オーロラは挑発に腹を立てるマレフィセントを諫めるだけで、イングリスの非礼な発言は全く気にしていないんだよね。ようするに、完全に人間の側なのよね。
前作で表面的にはムーア国の王女になったけど、結局は妖精と一線を引いているんだよね。コナルはマレフィセントにダークフェイの現状を語る時、「生き残りを懸けて世界の果てに逃げたが、多くの犠牲者が出た」「子供たちは木を越え、川を飛び回るべきだ。それなのに隠れて生きている」と言う。
マレフィセントが「私が子供たちを守るわ」と告げると、「どうやって?人間に戦いを挑むのか」と問い掛ける。
マレフィセントが「彼らとはずっと戦って来た」と語ると、彼は「貴方は人間を育てた。人間から逃れて生きるのではなく、共に生きる道があるのではないか」と語る。
だけど、そこまで「人間のせいで居場所を失った。大勢が殺された」と話しておきながら、「人間と争わずに共存したい」と主張するのは、どういうつもりなのかと言いたくなるぞ。イングリスはオーロラに「家族として一緒に前へ進みましょう」と告げて抱き締める前に、「貴方をこんなに苦しめて。せっかくの幸せがマレフィセントのせいで台無し」などとマレフィセントを厳しく非難している。
その際、オーロラは何の反対意見も口にせず、1ミリたりともマレフィセントを擁護しない。
イングリスの意見に全面的に同調しており、人間として一緒に歩もうとする。
そりゃあ堪え性の無いマレフィセントにも問題はあるが、オーロラも大概であり、まるで愛せないキャラクターになっている。オーロラが「大人になったら、この国で貴方と暮らすわ。そしたら助け合えるでしょ」とマレフィセントに話した出来事を思い出すシーンがあるけど、それも城での決まりやイングリスに気を遣う生活に窮屈さを感じたからであって。
フィリップにマレフィセントへの罪悪感を漏らすのも、そういうことなのよ。
「城での暮らしが息苦しい」という理由でのストレスが何も無かったら、きっとマレフィセントのことなんて全く気にせずに婚礼の日を迎えていたことだろう。
終盤に描かれるエディーの言動にしても、全ては妄想に基づく創作なんだから。オーロラがフィリップから精霊の花を贈られ、違和感を覚えるのは分かる。しかし、部屋を抜け出した彼女が、なぜ隠し扉のスイッチがある場所に行くのかは全く分からない。幾つもあるマネキンの内、スイッチがあるマネキンだけに触れるのも変だし。
その辺りは、偶然の使い方が下手すぎる。
研究室に入ったオーロラが、奥の糸車に取り付けられている針の先端に触れようとする理由もサッパリ分からない。触れようとした途端、イングリスがジョンに呪いを掛けた時の映像が脳内に飛び込んでくるのも、どういう理屈なのか不明。
この辺りは、話の進め方が雑すぎるよ。
あと細かいことを言うと、その時点では「糸車の針」ってことも分かりにくいし。何かの装置に付いている短剣みたいにも見えたし。あとさ、あまりにも都合の良すぎる偶然によってオーロラは「マレフィセントが犯人じゃなかった」と知るけど、それより前に「本当にマレフィセントが呪いを掛けたのか」と疑ったり、調べたりという手順があるべきじゃないかと思うのよ。
一瞬たりとも「ジョンに呪いを掛けたのはマレフィセントに間違いない」という確信が揺らいでいないのは、どうなのかと。
それだと、真実を知ってから反省したり謝罪したりしても、もうマレフィセントとの申請関係は修復不可能なんじゃないかと思うぞ。イングリスは計画を実行し、妖精たちを次々に殺害する。それを知ったマレフィセントは激怒し、こちらも人間を次々に始末する。
そんな風に双方が憎しみたっぷりで大勢を殺しまくっておいて、最終的に「人間と妖精は共存できる」と言われてもさ。「いや絶対に無理だろ」と冷めた感想しか出て来ないわ。
まさか、そういう逆説的なメッセージが伝えたかったわけでもないでしょうに。たぶん現実世界の状況も投影して、「異人種や異文化でも分かり合える」と訴えたかったはずでしょ。
だけど、っていうか「だからこそ」になっているが、余計に「世界の情勢を見ても、争いは決して無くならない」と諦念に満ちた意見しか出て来ないのよね。じゃあオーロラは何をしているかと言うと、激しい戦いが続く中で諸悪の根源であるイングリスを殺そうとするマレフィセントの前に立ちはだかって「冷静になって。戦いは止められる」と訴える。
そのせいで、マレフィセントはイングリスに命を狙われたオーロラを庇って命を落とす(オーロラは自分が狙われていたことにも気付いていない)。
結果的にマレフィセントは復活するけど、オーロラは実現するための力も方法も何も持っていないのに上っ面の理想論だけを振りかざす、傍迷惑で厄介な女になってんのよね。(観賞日:2025年6月28日)