『メジャーリーグ3』:1998、アメリカ

ガス・カントレルはマイナーリーグで長きに渡ってプレーしてきたベテラン投手だが、今シーズン限りでの引退を考えている。そんな彼に、元インディアンズの選手だった友人ロジャー・ドーンが会いに来る。ロジャーは現在、ミネソタ・ツインズのオーナーになっていた。
ロジャーはガスに、ツインズ傘下の3Aのチーム「サウス・キャロライナ・バズ」、通称ブンブンズの監督になることを依頼してくる。失敗した場合のことを考えて迷うガスだが、恋人マギーの後押しもあり、監督を引き受けることにした。
ブンブンズ球場に乗り込んだガスは、チームの選手達に会う。スローイングのコントロールが最低の捕手ルーブ・ベイカー、ヨガに凝っている元バレエダンサーの野手ランス・ペレ、直球しか投げられない投手ホグ・エリスなど、個性派が集まっている。
バラエティに富んだメンバー揃いではあるが、プレーはお粗末な連中ばかり。ホームランを量産するダウンタウン・アンダーソンという選集はいるのだが、彼は自信過剰で監督の指示を聞こうとしない。チームは全く勝ちに恵まれない状態にある。
ガスは選手を鍛え直し、チームプレーの大切さを説く。さらに一度は引退していた元インディアンズの選手ペドロ・セラノとタカ・タナカが加入し、ブンブンズは快進撃を開始することに。一方、ミネソタ・ツインズはチームのまとまりを欠き、下位に低迷していた。
ロジャーに呼ばれてミネソタへ行ったガスは、ツインズ監督レナード・ハフに挑発され、「ツインズとブンブンズで試合をして勝ってやる」と言い放ってしまう。それを聞いていたロジャーは、本当にツインズとブンブンズの試合を決めてしまう。
ツインズの本拠地メトロ・ドームで行われた試合は、ブンブンズが勝ちそうになっていたが、レナードが球場の電源を切ってしまい、強引に引き分けで試合を終わらせる。やがてブンブンズはシーズン優勝を果たし、ガスはテレビ中継でツインズに挑戦状を叩き付ける…。

監督&脚本はジョン・ウォーレン、製作はジェームズ・G・ロビンソン、製作総指揮はマイケル・I・ラッチミル&ゲイリー・バーバー&ビル・トッドマンJr.、撮影はティム・シャーステッド、編集はO・ニコラス・ブラウン&ブライアン・H・キャロル、美術はデヴィッド・クランク、衣装はメアリー・マクリオド、音楽はロバート・フォーク。
主演はスコット・バクラ、共演はコービン・バーンセン、デニス・ヘイズバート、タカアキ・イシバシ(石橋貴明)、ジェンセン・ダゲット、エリック・ブルスコッター、ウォルトン・ゴギンス、テッド・マッギンリー、ボブ・ウェッカー、ケネス・ジョンソン、ジャドソン・ミルズ、ロボ・セバスチャン、トム・バリー、ピーター・マッケンジー、トム・ディフィリッポ、テッド・ディフィリッポ、スティーヴ・イェーガー他。


ヒットしたベースボール映画シリーズの第3弾。
タイトルは「メジャーリーグ3」だが、舞台となっているのはマイナーリーグ。
そして映画自体にも、メジャー級のパワーは無い。テレビを中心に活躍する俳優が多いこともあってか、どこかテレビ映画のような匂いもしてしまう。

前作から引き続き、ロジャー役のコービン・バーンセン、アナウンサー役のボブ・ウェッカー、セラノ役のデニス・ヘイズバートやタナカ役の石橋貴明などが出演しているが、あくまでもゲスト出演といった感じ(とはいえ、石橋はオイシイ役割を貰っているが)。

これまでの2作で中心人物だったトム・ベレンジャーとチャーリー・シーンがいなくなり、もはやシリーズの続編と呼ぶには苦しい内容だ。
特にチャーリー・シーンがいないのは痛い。ワイルド・シングが流れて、球場全体が一つになって熱狂するという展開が見られないのだから。

落ちこぼれだった選手達がガスのトレーニングによって成長していく姿が、かなり省略されている。だから彼らの変化が性急すぎるし、チーム成績が急上昇する流れも淡白になっている。単調な物語をカバーするはずのギャグも、不発の連続。

特徴を持った選手を多く登場させるが、個性を存分に発揮しているとは言い難い。
特徴を生かしたプレーを見せる場面はあるが、それは作品の味付け程度の扱い。
これは監督のガスをメインにした物語であり、選手は脇役でしかない。

多様なキャラクターを全てフォローするのは困難だったのか、途中で忘れ去られているキャラもいる。例えばアンダーソンは、中盤ではチーム内に埋もれてしまう。マギーなどは、いてもいなくても構わないと思える程度の扱いに終わっている。

ツインズとブンブンズとの試合は2回行われるのだが、1度目は卑怯な手を使ったツインズが圧勝した方が良かったのでは、そしてクライマックスとなる2回目の対戦でリベンジを果たすという形の方が良かったのではないだろうか。

その2試合目の決着の付け方もイマイチ。それまでに、「引っ張ることしか出来ないアンダーソンにガスがライト打ちを教える」という流れを用意してあるのに、最後はレフトへ引っ張るアンダーソン。そこはライト打ちで試合を決めるべきじゃないだろうか。

クライマックスに向けた盛り上がりに欠けている。
クライマックスとなるべきツインズとの試合にしても、あまり面白味が感じられない。
試合が行われるのはガスの個人的な意思によるものなので、勝つことで何かが得られるという意識が薄いのも、盛り上がりを欠く要因の一つだろう。


第21回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【誰も要求していなかった続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会