『メーン・イベント』:1979、アメリカ
化粧品会社を経営するヒラリー・クレイマーは新しい香水を開発し、大ヒットを確信した。ヒラリーは興奮した様子で部下のマリオとシェルドンを呼び、販売方法について考えるよう指示する。顧問弁護士をしている元夫のデヴィッドから電話が掛かって来るが、面会を要求された彼女は「重要な会議がある」と告げて6時まで待つよう指示した。ヒラリーがエアロビ教室で体を動かしていると、デヴィッドが訪ねて来た。彼が「緊急の用件だ」と言っても、ヒラリーは軽く受け流してダンスを止めようとしなかった。
デヴィッドはヒラリーをエアロビ教室から連れ出し、支配人のウォルターが金を全て持ち逃げしたことを教えた。まるで信じようとしないヒラリーに、彼は「君は破産した」と現実を突き付けた。ヒラリーはウォルターに連絡しようとするが、南米へ逃げて捕まらなかった。ヒラリー負債を支払っても残る財産は、エディー“キッド・ナチュラル”スキャンロンというボクサーの契約書だけだった。ウォルターが4年前に節税対策として、ヒラリーに内緒で契約権を購入していたのだ。
今までボクシングと全く無縁の生活を送っていたヒラリーだが、35万ドルの負債があるため、香水会社は手放さざるを得ない。ヒラリーはエディーの所属するボクシング・ジムへ赴き、彼とマネージャーのパーシーに会った。ヒラリーはウォルターが金を持ち逃げしたことを説明し、試合で稼ぐよう持ち掛けた。するとエディーは、「約束が違う。君の負担は生活費と練習費、それに週給だ」と言う。ヒラリーは「当時は潤ってたから。でも今は違う。だから稼いでもらうわ」と告げる。しかしエディーが「廃業した。試合は4年もやってない」と話したので、諦めてジムを去った。
ヒラリーはデヴィッドに促され、渋々ながら会社の権利一切を譲渡する契約書に署名した。彼女はエディーが営む自動車教習所へ行き、改めて契約書を見せる。ヒラリーは最低でも年に2回の試合出場が義務付けられていること、拒否した場合は契約違反で違約金が発生することを説明した。しかしエディーは現役復帰を激しく拒絶し、恋人であるドナと共に車で去る。ヒラリーは自分の車で追い掛けるが、彼はは「絶対に試合には出ない」と突っぱねた。ヒラリーと口汚く言い合ったエディーは、車を柵に激突させた。
エディーはパーシーを伴ってヒラリーの家を訪ね、「隠していたが、最後の試合で相手のビリーを殺してしまった。ビリーは親友だった。その時、もう拳は使わないと誓った」と涙ながらに語る。しかしヒラリーは嘘だと見抜き、試合に出ないのなら金を支払よう要求した。エディーは「返せと言われても金は無い」と言い、パーシーは教習所が閉鎖されたことを告げた。エディーは頑なに現役復帰を拒むが、ヒラリーは「ここもすぐに競売よ。互いに助け合いましょう」と言い、パーシーに試合を組むよう促した。
パーシーはエディーに、「ブリーダーと試合を組もう。あいつはすぐに血だらけだ。あの女にとっては初めての試合だ。すぐに気分が悪くなって契約書を返しに来るさ」と言う。エディーはパーシーの計画に乗った。しかし試合直前になって、相手が強豪のジャック・ハンマーに変更されてしまった。試合の後、ヒラリーが参っている様子を見せたので、パーシーはエディーに「見ろ、自由が戻ったぞ」と言う。しかしヒラリーは「頑張らなくちゃ。これからはマトモな試合を組んで」と前向きな考えを示した。
ドナはヒラリーがエディーと新綱関係になることを懸念し、「ビジネスだけ?もしも寝たりしたら、そのオッパイを切っちゃうから」と冗談っぽく告げた。ヒラリーはエディーを売り込むため、デヴィッドに開いてもらったホーム・パーティーに彼を連れて行く。ヒラリーは出席者にエディーとの契約株を買ってもらおうとするが、まるで相手にされない。客のアラン・クレーンが「困っているからって我々にシワ寄せするな」と言うのでエディーは腹を立てるが、ヒラリーがなだめた。
ヒラリーが化粧室へ行っている間に、エディーは空手経験を自慢するアランの腹にパンチをお見舞いした。ビーチに出たエディーの元へ来たヒラリーは、「彼は嫌われ者よ。おかげで8株売れたわ」と言う。エディーにキスされたヒラリーはドキドキしながらも、「貴方とはビジネスの関係だけよ」と告げた。翌日、ジムに大物プロモーターのガフが来ているのを知ったヒラリーは、エディーを売り込んだ。だが、ガフは「右のパンチが無いし、見込みは無いね」と言い、相手にしなかった。
パーシーはエディーで、ジムのボクサーであるルイスとのスパーリングを指示した。ヒラリーは買い込んだ指南書を読みながら、エディーにアドバイスを送る。エディーは一方的に殴られ、短時間でヘトヘトになってしまった。エディーは熱心にトレーニングを積み、ヒラリーはパーシーからトレーナーとしての仕事を教えてもらう。ヒラリーは宣伝のために観光バスと新聞記者を呼び、トレーニング・キャンプでの自分とエディーのスパーリングを見てもらった。
エディーはカニバル・ラロシュというボクサーと試合を行うが、初めてセコンドに付いたヒラリーはマウスピースを反対に入れたり、試合の途中で観客席のデヴィッドに話し掛けたりする。彼女はゴングが鳴ってラウンドが終わっても椅子を用意せず、ワセリンを塗ろうとして爪を立てたので、エディーは腹を立てる。マトモなアドバイスも得られないまま戦ったエディーだが、ラッシュでカニバルを追い詰める。しかしゴングが鳴る前にヒラリーが椅子を持ってリングに上がったため、TKO負けになってしまった。
エディーが激怒すると、ヒラリーは謝りもせずに反発した。リング上で激しく言い争う2人を見て、観客は大喜びした。エディーがリングを去った後、ヒラリーが彼を激しく罵ると、観客は喝采を浴びせた。その様子を会場で見ていたガフは、商売になると考えてオフィスに2人を呼んだ。ヒラリーは大いに乗り気で、王者であるヘクター・マンティアとの試合を提案した。エディーは「俺は道具でも商品でもない」と反発するが、「上手く行ったら二度と会わない」という条件でヒラリーの提案を受け入れた。
ガフはヒラリーとエディーに「前哨戦で名のある選手と戦い、箔を付ける」と告げ、ルーベン・ゴメスとの試合を組んだ。第1ラウンドが終わった後、エディーと言い争いになったヒラリーは彼のトランクスにバケツの氷水を放り込んだ。観客が大笑いする中、エディーは一気にラッシュを掛けてゴメスをKOした。ガフはヘクターとの試合を組み、トレーニング・キャンプの場所を決めた。エディーはヒラリーが来ることを嫌がるが、ガフが同行させるよう指示する…。監督はハワード・ジーフ、脚本はゲイル・ペアレント&アンドリュー・スミス、製作はジョン・ピーターズ&バーブラ・ストライサンド、製作総指揮はハワード・ローゼンマン&レニー・ミッセル、製作協力はジェフ・ウェルナー、撮影はマリオ・トッシ、編集はエドワード・ワーシルカ、美術はチャールズ・ローゼン、衣装はルース・マイヤーズ、音楽はマイケル・メルヴォイン。
出演はバーブラ・ストライサンド、ライアン・オニール、ポール・サンド、ウィットマン・マーヨ、パティー・ダーバンヴィル、チュ・チュ・マラーヴ、リチャード・ローソン、ジェームズ・グレゴリー、リチャード・アルトマン、アール・ボーエン、ロジャー・ボーエン、スー・ケイシー、アルヴィン・チルドレス、クリスティーヌ・デ・ベル、レネ・ディジョン、シェイ・ダフィン、マーフィー・ダン、アーニー・ハドソン、デイヴ・ケッチャム他。
1976年の『スター誕生』に続いて、バーブラ・ストライサンドがプロデュースと主演を兼ねた2本目の映画。
当時の恋人であるジョン・ピーターズが一緒にプロデューサーを務めている。
監督のハワード・ジーフは後に『ドリーム・チーム』や『マイ・ガール』を撮る人。これが監督4作目。
ヒラリーをバーブラ・ストライサンド、エディーをライアン・オニール、デヴィッドをポール・サンド、パーシーをウィットマン・マーヨ、ドナをパティー・ダーバンヴィル、ルイスをチュ・チュ・マラーヴ、ヘクターをリチャード・ローソン、ガフをジェームズ・グレゴリーが演じている。ヒラリーはエディーに会いに行った際、「もう廃業して試合をやっていない」と言われると、あっさりと引き下がる。しかし再び訪れた時は、試合出場の義務があることを説明する。
その間に、デヴィッドから「こういう契約条件があるよ」と聞かされる手順が省略されている。
そのため、「すべて失ってガッカリしていたヒラリーが契約条件を知り、まだチャンスが残っていると感じて態度がガラリと変わる」という変化の流れが見えなくなってしまう。
これは勿体無い。その後の展開も、キャラクターの動かし方が中途半端だと感じる。
ヒラリーはエディーに「試合出場の義務がある。出ないから違約金の支払いが発生する」と説明するのだが、全面的に自分のペースで強気に出ている、という感じが弱い。むしろ、反発するエディーの方が態度としては強くなっている。
エディーが激しく反発し、現役復帰を拒むのは一向に構わない。っていうか、そうさせるべきだ。
しかし、ヒラリーは彼よりもっと強気に出て、その場で逃げ道を塞いで契約遂行を飲ませるべきだ。現役復帰を拒否したエディーはドナと共に車で立ち去り、それをヒラリーが追い掛けるという流れになるのだが、これが余計な手順にしか思えない。
そもそも、「試合出場か違約金の支払いか」というのは契約で決まっているのだから、逃げたところで意味は無い。
そして意味が無いのだから、ヒラリーが追い掛ける必要も無いのだ。
どうせ待っていればエディーは教習所に戻って来るんだし、金が無いから試合に出場せざるを得ないんだから。一文無しになったヒラリーが金のために必死になるのは分かるんだけど、そこは「強気な態度で命令し、反抗的なエディーを屈服させる」という形にすべき(もちろん、エディーは不愉快そうな態度で仕方なく承諾する形でいい)。
「後からエディーがヒラリーを訪ね、現役復帰を仕方なく承諾する」という経緯を踏むことになり、これまた余計な手間が掛かってしまう。
そこは、もっとスッキリとテンポ良く進めるべき箇所だわ。
「最後の試合で人を殺した」と嘘をついたりするのも、やっぱり余計だわ。そんなの要らない。
そういう無駄にしか思えない箇所を削ってスッキリさせれば、90分以内で収まっただろうに。エディーがあそこまで頑なに現役復帰を拒む理由が、ちょっと良く分からない。
「まだ続けたかったけど、体力的な限界を感じたので足を洗った」とか「KO負けが続いたので諦めざるを得なかった」とか、そんな風に未練を残して辞めるケースも少なくないと思うんだよね。
もちろん引退したら「もう復帰は無いわ」という気持ちになるのは分かるのよ。
ただ、エディーの場合は契約で試合出場か違約金の支払いというのが決まっているわけで。エディーの置かれている状況を考えると、「金が無いので渋々ながらも試合出場に応じる」という風に、早い段階で決断した方がスムーズじゃないかなと思ってしまうんだよな。
かつては好きでボクシングをやっていたはずなんだし。どうも「筋書きとしては激しく拒絶した方が盛り上がるだろう」ってことで、そこまで拒む理由も無いのに段取りとして拒んでいるように見えてしまう。
そもそも、彼が引退した理由は何なのか。
その理由によっては「復帰を激しく拒む理由」も納得できるかもしれんが、そこの説明は無いのよね。パーシーがエディーに協力し、ヒラリーに諦めさせようとする理由も良く分からない。
彼はボクサーであるエディーのマネージャーという立場のはず。エディーが廃業した後も、マネージャーとして「彼を現役復帰させないための協力」を惜しまないのは良く分からん。
彼はエディーの現役時代を知っているはずで、「鍛えれば何とかなる。また試合をしているエディーを見たい」という気持ちは沸かないのかな。
「もうエディーは現役としては無理」と考えているのなら、そういうことを提示すべきだし。
エディーだけでなくパーシーも、行動に説得力を持たせるための配慮をしないまま、段取りだけで動かしているように感じてしまう。ブリーダーと試合を組むことが決まった後、会場へ行く途中でエディーが何度も車を降り、嘔吐する様子が描かれる。そしてパーシーがヒラリーに、相手がジャック・ハンマーに変更されたことを語る。
だが、カットが切り替わると、もう試合が終わった後の車中になっている。
だから、どうやら強い選手らしいってことは分かるが、ジャックの姿は写らない。
エディーが一方的にやられる様子も、初めて試合を見た時のヒラリーの様子も描かれない。
そこで省略技法を使うのは、マイナスでしかない。そこは「ヒラリーはショックを受けたけど、前向きな気持ちになる」ということを示すための大切なシーンなんだから、キッチリと描写すべきだ。そもそも、現役復帰して初めての試合で、エディーのボクサーとしての姿を見せないって、明らかに構成としてマズいでしょ。そこは「ブランクが長すぎてエディーの体が全く絞れておらず、動きもすっかり鈍っている」ということを見せるための絶好のチャンスなのに。
っていうか、ブランクや本人のやる気からすると、相手が強豪じゃなくても勝つのは難しかったんじゃないか。
そう考えると、「簡単に血を流す相手との試合を組むが、ブランクの長いエディーの方が打たれまくって血だらけに」という展開にした方が良かったんじゃないか。
どっちにしても、ちゃんと試合を見せることは必須だけど。ボクサー&マッチ・メイカーとしての仕事をする様子が全く描かれない一方で、ロングビーチのパーティーのシーンでは、ヒラリーとエディーが惹かれ合う様子が描かれる。
だけど、「いつの間に、どの辺りに好意を抱くようになったんだよ」と首をかしげてしまう。
「激しく反発し合っていた男女が次第に惹かれ合うようになっていく」というのはベタ中のベタだけど、それは別にいい。
ただ心情が変化する流れが全く描写されていないのだ。ついさっきまで反発や敵対心しか無かったはずなのに、パーティーのシーンで急変しているのだ。
だから、なぜエディーがヒラリーにキスするのか、なぜヒラリーがドキドキしているのか、サッパリ分からないのだ。ルイスとのスパーリングのシーンで、初めてエディーがボクシングをする様子が描かれる。そして、そこで初めて、彼が一方的にやられる様子も描かれる。
これはタイミングとして、明らかに遅い。
前述したように、最初の試合のシーンでそれを見せ付けるべきなのだ。
映画ではスパーリングの時に彼の動きが鈍っていることが初めて明らかにされるが、実際は最初の試合でヒラリーもパーシーも目の当たりにしているはずで、だから「スパーリングでそれを知り、そこから本格的な練習に入る」というのはおかしいのだ。っていうか、エディーがスパーリングの後、本気で練習に取り組むようになるのも違和感がある。
「アンタ、現役復帰を嫌がっていたんじゃなかったのかよ」と言いたくなる。
熱心にトレーニンクするようになるのなら、「最初は現役復帰を嫌がり、何とかヒラリーに考えを変えさせようと目論んでいたが、ボクシングへの情熱や意欲を取り戻し、本気で取り込むようになる」という心情の変化をちゃんと描いておく必要がある。
この映画だと、そこがハッキリしないのだ。ブランクで動きが鈍っていたのか、そもそも廃業する前から大して強くなかったのかは知らないが、ともかくエディーはルイスに一方的に叩きのめされて、そこから本格的なトレーニングを開始する。
最初の試合は「10年ぶりに試合をする」というカニバルが相手だが、それでも第1ラウンドは苦戦する。ゴメスとの試合でも劣勢に立たされる。それなのに、マンティアとの試合では優勢に立つ。
なんか急に強くなっているとしか思えない。
その辺りの雑な扱いを見ても、「これってボクシングである必要性があるのかな」と思ってしまう。
エディーが現役復帰する職業って、他の仕事、それこそスポーツ以外の職種でも別にいいんじゃないかと思ってしまうわ。
それぐらい、ボクシングの扱いが軽い。ヒラリーは指南書を読んだり試合映像を見たりしているが、それで真面目にセコンドとしての勉強を積んでいるのかと思ったら、まるでルールも分かっていない。
おまけに、試合の途中でデヴィッドに話し掛けて余所見をしたり、椅子を用意しなかったりする。
そんで「また遅れたら怒られるから」と試合の最中に椅子を持ってリングに上がる始末。
それ以外にも色々とヘマを繰り返しているのに、こいつは全く反省の色が無く、怒られると反発する。ヒラリーがエディーとリング上で言い争う様子を喜劇として見せているけど、こいつ、クソだぞ。言い返す資格など何も無い。
エディーの方にも非があるならともかく、一方的にヒラリーが悪いんだから。
「真面目にやってるけどミスをしてしまう」ってことなら情状酌量の余地はあるけど、そうじゃないからね。
そんな女がヘマしておきながら反発する姿は、全く笑えないわ。ただ不愉快なだけだわ。ビーチのキスで「貴方とはビジネスだけ」と言われた後、エディーはヒラリーに対して再び反発する態度を取るようになる。
その後の両者には、恋愛の雰囲気なんて全く感じられない。
そんで雪山でのトレーニング・キャンプに出掛けた辺りで、思い出したよう恋愛劇を描写する。
それに伴って、ヒラリーとエディーの激しい言い争いも消える。
その有り無しがあまりにも極端で、心情の変化も見えないから、恋愛劇がギクシャクしたモノになってしまっている。クライマックスは、もちろんエディーとヘクターの試合だ。
で、どういう結末かというと、「エディーが優勢に試合を進めていたが、そのまま彼が勝ったら別れることになってしまうので、それを嫌がったヒラリーがタオルを投げる。でもヒラリーの気持ちを知ったエディーは彼女とリング上でキスをする」というものだ。
いやあ、呆れちゃうね。
アンチ・クライマックスを狙っているわけじゃなくて、本気でそれが盛り上がるラストシーンだと思ってるんだろう。
だけど、結末として考え得るアイデアの中でも、最低の部類だわ。最終的にヒラリーとエディーがカップルになるってのは、一向に構わないのよ。っていうか、そこまでの恋愛劇の描写が上手くないことはひとまず置いておくとして、この2人の恋愛を成就させるのは、流れとしては当然のことだ。
でも、そのために優勢な試合でヒラリーがタオルを投げて意図的に負けさせるってのは、映画として全く盛り上がらないわ。
あと、それってボクシングへの侮辱でもあるぞ。
そこは例えば、「エディーが勝つと別れることになってしまうので、ヒラリーは密かに負けることを望んでしまう。しかし実際にエディーが劣勢に立たされると、必死になって応援する。エディーは勝利を収めるが、ヒラリーへの愛を告白し、2人は結ばれる」という形にでもしておけば全てが丸く収まるでしょうに。
ただし、そこで大きなネックになるのは、「エディーのボクシングに対する情熱が皆無」ということなんだよな。真剣にトレーニングを始めたから、意欲が戻ったのかと思っていたら、そうじゃないんだよな。ボクシングへの情熱が強ければ、「王者に勝つために必死になるエディーをヒラリーが応援する」という構図に感情移入しやい。
だけど、エディーは「試合に勝って金を儲けて新しい店を開く」ということしか考えておらず、ボクシングに対する情熱が最後までゼロなのよね。
ヒラリーもエディーもボクシングへの愛と情熱が全く無いってのは、なんか嫌な感じだなあ。
そんで最後は「もう忘れられない、2人のセックスこそメイン・イベント」という、神経を逆撫でするような主題歌が流れて来ちゃうし。(観賞日:2014年8月7日)
1979年スティンカーズ最悪映画賞
受賞:【最悪の作品】部門
ノミネート:【最悪の主演男優】部門[ライアン・オニール]
受賞:【最悪の演出センス】部門[ハワード・ジーフ]
受賞:【最悪の主演女優】部門[バーブラ・ストライサンド]
受賞:【最悪の脚本】部門
受賞:【最悪のカップル】部門[バーブラ・ストライサンド&ライアン・オニール]
受賞:【最悪の歌曲・歌唱】部門「Adios Yesterday」(ロビー・ベンソン)
ノミネート:【最も痛々しくて笑えないコメディー】部門
ノミネート:【最も苛立たしいインチキな言葉づかい(男性)】部門[リチャード・ローソン]