『マッドマックス サンダードーム』:1985、オーストラリア&アメリカ

戦争によって荒廃した近未来。ラクダの幌馬車を奪われたマックス・ロカタンスキーは、バータータウンを訪れた。町の支配者アウンティに面会したマックスは、ある男の殺害を依頼され、旅の装備一式と引き換えに仕事を引き受ける。
殺害する相手は、豚の糞を使ったメタンガスの工場を仕切るマスター&ブラスターの内のブラスター。マックスはブラスターにケンカを売り、バータータウンのルールに従って衆人監視の中で“サンダードーム”に入って戦うことになった。
優勢に戦いを進めたマックスだが、ブラスターの仮面の下に少年の顔を見て、とどめを刺さなかった。マックスは掟を破った罰として、運命のルーレットによって砂漠に追放された。アウンティはブラスターが始末された後、マスターを拘束した。
砂漠で気を失ったマックスは、サヴァンナという女に助けられ、子供達ばかりが住む彼女の集落に連れて行かれた。集落の子供達は、マックスが伝説の男キャプテン・ウォーカーだと信じており、故郷へ連れて行ってくれると夢見ていた。
マックスは自分がウォーカーでないこと、そして戦争で外の世界が破壊されたことを告げる。しかしサヴァンナ達はマックスの言葉に耳を傾けず、集落を出て行ってしまう。彼女達を追い掛けたマックスは、再びバータータウンへと戻る…。

監督はジョージ・ミラー&ジョージ・オギルヴィー、脚本はジョージ・ミラー&テリー・ヘイズ、製作はジョージ・ミラー、共同製作はテリー・ヘイズ&ダグ・ミッチェル、撮影はディーン・セムラー、編集はリチャード・フランシス=ブルース、美術はグラハム・“グレイス”・ウォーカー、衣装はノーマ・モリシー、音楽はモーリス・ジャール。
主演はメル・ギブソン、共演はティナ・ターナー、ヘレン・ブデイ、アンジェロ・ロシット、ブルース・スペンス、アングリー・アンダーソン、ロッド・チュアニク、ポール・ラーソン、ジャスティン・クラーク、トニ・アレイリス、ショーン・ティックナー、アダム・スクーガル、トム・ジェニングス、ジェームズ・ウィングローヴ、アンドリュー・オー、エドウィン・ホッジマン他。


シリーズ3作目。
今回は初めてアメリカ資本が入った。
前作までの製作者バイロン・ケネディーが飛行機事故で亡くなり、この映画は彼に捧げられている。
そんな2つの変化があった今作品は、散々な出来映えとなった。

何より大きなマイナスは、マックスがすっかり丸くなってしまったことだろう。
前作で他人と関わることを徹底的に避けようとしていたマックスが、何の報酬も無いのにガキを助けようとして、ガキを連れてバータータウンへ向かうなんて、完全に腑抜けである。

マスターにしろアウンティにしろ、とにかく悪党としては中途半端。
特に大ボスであるはずのアウンティが、最後になってマックスを助けて立ち去るというのは、恐ろしくヌルい展開だ。
演じるのがティナ・ターナーだったため、ゲストとして立てたつもりなのか。

他のキャラクターでは、パート2でジャイロ・キャプテンを演じていたブルース・スペンスを、似て非なるキャラクターで登場させる意味がサッパリ分からない。
ほとんど最後に飛行機を使うためだけに登場したような扱いになってるし。

強引な形で行われるサンダードームでの戦いは、ゴムを装着して飛び回るマヌケなアトラクションになっている。
もちろん、迫力などありゃしない。
そもそも、サンダードームなどと大層な名前が付けられているが、単なる半球状の檻である。

サンダードームに続き、マックスの罰を決める運命のルーレットが登場し、完全にバカ丸出しの世界へハマっていく。
後半に入ると完全に別の話が始まり、ガキどもがワラワラと登場して、マックスも含めて何がしたいのか分からない方向へ走っていく。

なぜかバータータウンに入ってマスターを助け出すという、ワケの分からない行動を取ったマックスと存在理由が不明なガキ達は、ズッコケ・アクションで観客の御機嫌を覗う。
クライマックスでは付け足しのようなチェイスシーンがあるが、その頃には、もはや迫力を期待する気持ちも失われているので、時間が過ぎるのを待つだけ。

 

*ポンコツ映画愛護協会