『名探偵再登場』:1978、アメリカ

1939年、ナチ占領下にある架空の都市サンフランシスコ。私立探偵フロイド・マークルが何者かに殺害された。相棒のルー・ペキンポーは彼の妻ジョージアと浮気していたこともあり、警察から疑われる。そんな中、フロイドについての情報があるという女から電話が入った。
事務所でその女に会ったルー。彼女は行方不明になっている自分の姪キャロラインの捜索をフロイドに頼んでいたらしい。女が帰った後、今度はダマスカスという男から連絡が入る。キャロラインについての情報を知っているという彼に会うことにしたルー。
待ち合わせに指定されたニックの店に向かったルー。そこにはドイツ軍のシュリッセル大佐、フランスから亡命してきたポールとマルレーヌのデュシャール夫妻、歌姫ベティ・デ・ブープなど多くの人がいた。マルレーヌの顔を見たルーは驚く。彼女は昔の恋人だったのだ。
ダマスカスと会い、キャロラインという女が存在しないと知らされたルー。彼はジャスパー・ブラバーという男からもダイヤを探すよう依頼される。一方、シュリッセルに大事な書類を奪われたポールとマルレーヌは、書類の奪還をルーに依頼しようとするのだが…。

監督はロバート・ムーア、脚本はニール・サイモン、製作はレイ・スターク、製作協力はマーガレット・ブース、撮影はジョン・A・アロンゾ、編集はシドニー・レヴィン&マイケル・A・スティーヴンソン、美術はロバート・ルサート、衣装はセオーニ・V・アルドリッジ、音楽はパトリック・ウィリアムス。
出演はピーター・フォーク、アン=マーグレット、アイリーン・ブレナン、シド・シーザー、スタッカード・チャニング、ジェームズ・ココ、ドム・デルイーズ、ルイーズ・フレッチャー、ジョン・ハウスマン、マデリーン・カーン、フェルナンド・ラマス、マーシャ・メイソン、フィル・シルヴァース、エイブ・ヴィゴダ、ポール・ウィリアムス、ニコル・ウィリアムソン他。


『名探偵登場』の続編。ただし、話としての繋がりは全く無い。
今回も前作に引き続き、ニール・サイモンが脚本を担当している。
前作は探偵小説のパロディーだったが、今回はハードボイルドのパロディー。ピーター・フォークがハンフリー・ボガードの物真似で登場し、『カサブランカ』を中心としたボギー映画のパロディーを演じる。

前作では5人の探偵&相棒が集まって一つの事件を推理するという形だったが、今回はルー1人を主人公に絞っており、やはりパワー不足は否めない。前作のトルーマン・カポーティーのように怪演を見せる人物もおらず、ちょっと淋しい内容だ。

ルー役のピーター・フォーク、ニックの店の支配人ジェームズ・ココ、歌姫のアイリーン・ブレナンといった面々が前作に引き続いて出演しているが、それほど強烈なインパクトがあるわけではない。おそらく、キャラクター設定の問題だろう。

人間関係が非常に入り組んでおり、それを把握するのが大変。
物語の方もかなりややこしいので、それに邪魔されてユーモアの世界に入っていけない。
バカバカしい幼稚なギャグも少ない。
もっと茶化した形で、ハードボイルドを徹底破壊しても良かったかも。

ニックの店に黒人ピアニストがいるなど、分かりやすいパロディーもあるのだが、やはりハードボイルドにかなり詳しい人間でないと、この映画を楽しむことは難しいだろう。
ただし、詳しければ面白い映画なのかというと、それはまた別問題だが。


1978年スティンカーズ最悪映画賞<エクスパンション・プロジェクト後>

ノミネート:【最も苛立たしいインチキな言葉づかい(女性)】部門[アン=マーグレット]

 

*ポンコツ映画愛護協会