『プレイデッド』:1993、イギリス

アメリカの麻薬取締官ジョン・ハリスはロンドン警察の要請で彼らに協力することになった。ロンドンでは麻薬密売に関わった裏社会の大物達が次々と殺される事件が起きていた。ロンドンに渡り、捜査を開始したハリスだったが、案内役を務めていた刑事が目の前で殺される。
犯人の少年を捕まえたハリスはフレイザーという男について質問する。実はハリスがロンドンへ来たのはフレイザーを逮捕するためだった。フレイザーは若者達をファミリーとして扱い、逮捕歴の無い殺人者に仕立て上げる男だ。
ハリスは聞き込みの途中で起こった傷害事件に関わっていたクリスという若者にターゲットを絞り、フレイザーについての情報を聞き出そうとする。最初は拒んでいたクリスだが、父親がフレイザーの仲間に殺され、協力することに。だが、そのために裏切り者として命を狙われることになる…。

監督はダニー・キャノン、脚本はダニー・キャノン&デヴィッド・ヒルトン、製作はアリソン・オーウェン&ポール・トリビッツ、製作総指揮はリチャード・N・グラッドステイン&フィリップ・メイグレット&ロナ・B・ウォレス、撮影はヴァーノン・レイトン、編集はアレックス・マッキー、美術はローレンス・ドーマン、衣装はハワード・バーデン、音楽はデヴィッド・アーノルド。
主演はハーヴェイ・カイテル、共演はヴィゴ・モーテンセン、イェーン・グレン、ジョン・ウッド、テレンス・リグビー、キース・アレン、クレイグ・ケリー、サンディ・ニュートン、デイヴ・ダフィ、ジェフリー・マクギヴァーン、ナイジェル・クローゼル、ディグ・ウェイン、クリス・アダムソン、ジェームズ・デュガン、アンナ・キーヴァニー、ジョン・フォーグハム、クリフォード・プレジェン他。


これ、当時25歳だったダニー・キャノン監督の劇場映画デヴュー作で、アラン・パーカー監督やデヴィッド・リンチ監督の絶賛を受けたらしい。
本当かなあ。
でも、だとしても面白くないんだからしょうがないよな。
ビョークの主題歌だけは、やたらとカッコ良かったけどね。

ハーヴェイ・カイテル演じるハリスやヴィゴ・モーテンセン演じるフレイザーの人物像については、ほとんど描かれない。ミステリアスな雰囲気にする意図があるのかもしれないし。ただし、それにしたってキャラクターの奥行きが無さすぎるんじゃないかい。

で、そのくせ、クリスについては非常に長い時間を取って描いている。
それって明らかに焦点を当てる場所が違うだろうに。
フレイザーのキャラクターが薄いから、どうして若者達が彼を崇拝するのかがサッパリ分からないしさ。ハリスにしても同じこと。何としてもフレイザーを捕まえようという気持ちが、どうにも見えてこないのよ。

余計なエピソードはしっかり描くのに、肝心のフレイザーを追い詰めていく筋道がおざなりになっている。だから、緊迫感が全く無い。
シンプルな刑事ドラマとして作ればハーヴェイ・カイテルの魅力も生きたかもしれないが、妙に混沌とした作品になってるしなあ。

 

*ポンコツ映画愛護協会