『ホワイトハウス・ダウン』:2013、アメリカ

元軍人のジョン・ケイルは、現在は議会警察官として働いている。その朝、彼は警護を担当しているイーライ・ラフェルソン下院議長を迎えに行き、車でホワイトハウスへ向かう。リンカーンを敬愛するジェームズ・ソイヤー大統領は、中東からの米軍撤退を提案する。その発表を伝えるテレビ中継を見ていたシークレットサービス長官のマーティン・ウォーカーは、戦死した息子ケヴィンの写真の前にバッジを置いた。彼は妻のミュリエルに「今夜は遅くなる」と告げ、仕事に出掛ける。
イーライを送り届けたジョンは職員のジェナに声を掛け、大統領警護官の面接について確認する。特別警護官のフィナティーが面接することを聞かされたジョンは、娘のエミリーを連れて行きたいと告げる。エミリーは政治オタクでソイヤーのファンなので、ジョンは自分の株を上げたいのだ。ジェナは手配することを約束した。2人が話している時、ホワイトハウスにはコンラッドという部外者が侵入していた。だが、誰も侵入者の存在に気付いていなかった。
ジョンは別れた妻であるメラニーの家へ、エミリーを迎えに行く。しかしジョンが学芸会を見に行かなかったため、エミリーは不機嫌な様子だった。旗振り役を指名されたエミリーはジョンが見に来てくれるのを楽しみにしており、練習に励んでいたのだ。しかしジョンは、学芸会の日を完全に忘れていた。ジョンがジェナに用意してもらったホワイトハウスの入館証を渡すと、エミリーは機嫌を直した。ジョンはエミリーを連れてホワイトハウスに入り、非番なので拳銃を警備員に渡した。
面接のためにフィナティーと会ったジョンは、相手が大学の同級生であるキャロルだと知って驚いた。結婚して苗字が変わっていたため、会うまで分からなかったのだ。キャロルはジョンを面接するが、大学を中退していること、夜間大学の成績も芳しくないこと、議会警察官としての評価も低いことから、不採用を通達した。ジョンはエミリーに結果を問われ、手応えがあったと嘘をついた。一方、清掃員に化けたコンラッドは、事前に用意されていた時限爆弾を取り出した。
シークレットサービスは会議を開き、その日のスケジュールを確認する。その日で引退するウォーカーのために、部下たちはケーキを用意していた。ジョンはホワイトハウスを去ろうとするが、ガイドのドニーから見学ツアーに誘われる。エミリーが参加を望んだので、ジョンも同行した。その傍らを、スピーカーの交換業者に成り済ました男たちが通り過ぎて行った。ウォーカーは仕事に没頭するキャロルに、休みを取るよう助言した。
見学ツアーが大統領のホームシアターの前を通り掛かった時、ジョンは男たちが作業している様子を目にした。彼らの計画には気付かず、ジョンは見学ツアーに戻った。ソイヤーが見学ツアーに姿を見せたので、エミリー興奮した。ソイヤーが去った後、エミリーはトイレへ行く。ウォーカーと会ったソイヤーは、改めてケヴィンの死を悼んだ。ソイヤーはイーライに電話を掛け、協力を要請した。イーライは軍需産業が反発していることを告げ、協力を断った。
コンラッドは清掃用具を放置し、その場から逃走した。その直後、用具の中に仕掛けておいた時限爆弾が起動した。大爆発によって混乱が生じる中、ウォーカーは部下たちに指示を足した。ジョンはエミリーを捜しに行こうとするが、動かないよう指示された。業者に化けていた連中は武器を取り出し、警備員を次々に射殺する。武器庫を確保した彼らは、新たな武器を入手した。一味を目撃したエミリーは、姿を隠した。外に出ていたキャロルはウォーカーと連絡を取り、FBIの出動を要請された。
侵入した一味は外にいた警備員たちも狙撃して始末し、外で待機していた仲間のタイラーたちを呼び寄せた。一味の様子を動画で撮影したエミリーは、ジョンと通話して助けを求める。ジョンが「必ず助ける」と告げた直後、見学ツアーの客が待機させられていた広間に一味が乗り込んで来た。ジョンは隙を見て逃亡し、エミリーの捜索に向かう。屋上を占拠した一味が狙撃したため、軍用ヘリは退避せざるを得なかった。ウォーカーはソイヤーに、PEOC(大統領危機管理センター)への避難を提案した。
キャロルはハモンド副大統領がホワイトハウスを離れて無事なのを確認した後、避難するイーライとシークレットサービスのケラーマンに同行する。ジョンは女子トイレへ行くが、エミリーは別の場所に移動していた。ジョンは敵の男に見つかり、発砲を受ける。反撃して始末したジョンだが、携帯電話は弾丸を浴びて使えなくなった。ウォーカーはソイヤーがPEOCに入った途端、同行した全員を射殺した。彼は一味のボスであるステンツに連絡を入れ、指示を仰ぐ。始末した男の無線機を奪ったジョンは、その会話を聞いていた。
PEOCに侵入したジョンはウォーカーに発砲し、ソイヤーを助け出した。ジョンは一味の銃撃を回避しながら、ソイヤーと共に逃亡する。仲間のボビーを殺されたステンツは追跡しようとするが、ウォーカーが「それは部下に任せろ。我々は計画を進めるんだ」と諭した。一味が集まって会話を交わす様子を、カーテンの陰に隠れたエミリーが密かに見ていた。ウォーカーの犯行動機についてジョンから問われたソイヤーは、軍事作戦で息子が死んだことへの復讐だろうと述べた。
ステンツはウォーカーが閣僚たちを待機させていた部屋へ行き、国防長官を射殺した。キャロルやイーライたちはペンタゴンに到着し、コールフィールド将軍と合流した。ジョンは外部に連絡するため、衛星電話を取りに行こうとする。タイラーはコンピュータ室を発見し、ハッキング作業を開始する。動画を撮影していたエミリーは、一味のキリックに気付かれてしまう。彼女はユーチューブに動画をアップした後、キリックに投降した。キリックはツアー客を監禁している部屋へエミリーを連行した。
エレベーターシャフトに隠れていたジョンは、一味が地対空ミサイルを運び込んだことを知る。エアフォース・ワンに乗ったハモンドがペンタゴンに連絡を入れると、キャルとコールフィールドが指揮権を巡って言い争う。ハモンドが独断で軍に指揮権を任せようとすると、キャロルはソイヤーと連絡を取るべきだと主張する。キャロルがホワイトハウスに電話を掛けると、タイラーはウォーカーに繋いだ。ウォーカーはホワイトハウスの制圧を宣言し、人質となった61名の身代金として4億ドルを用意するよう要求した。
ソイヤーはジョンに、ウォーカーの背後に軍需産業が絡んでいるはずだと告げる。ソイヤーは寝室の携帯電話をジョンに渡し、傍受される危険性を口にする。ジョンはエアフォース・ワンに乗っているジェナに電話を掛け、大統領と官邸にいることを告げる。ソイヤーが電話を代わって事情を説明すると、ジェナは自分の携帯をハモンドに渡した。ハモンドはペンタゴンと繋ぎ、ジョンは状況を説明した。キャロルはジョンに、地下の秘密トンネルを使ってソイヤーを連れ出すよう指示した。
ジョンとソイヤーは襲って来た2人を始末し、装備を奪った。エミリーがアップした動画にマスコミが気付き、テレビ番組で報じられた。それにより、ジョンはエミリーがホワイトハウスの中に留まっていることを知った。ウォーカーは衛星電話の存在を思い出し、ステンツと共に寝室へ向かう。既にジョンたちは逃亡した後だったが、ウォーカーたちは付けたままのテレビを見た。ステンツはエミリーの端末を奪い、「突入されたら最初にお前を殺す」と凄んだ。
エミリーの動画を解析したペンタゴンは、テロリスト一味の数名の素性を突き止めた。ステンツは元デルタフォースで、暗殺任務を請け負っていた。しかしソイヤー政権の方針転換によりCIAから見捨てられ、2年に渡ってタリバンに捕まっていた。ハモンドはイーライの反対を無視し、デルタフォースによる官邸襲撃をコールフィールドに命じた。ウォーカーはジョンたちを見つけて追い掛けようとするが、胸の痛みに見舞われた。
ジョンとソイヤーはキャロルの指示を受け、地下トンネルを進んだ。出口のゲートに来たところで、ジョンは戻ってエミリーを捜そうとする。監視カメラが作動したため、タイラーはジョンたちの所在を知って仲間に伝える。ゲートに爆弾が仕掛けられていたため、そこからの脱出は不可能だった。トンネルの入り口に一味が押し寄せていたため、ジョンたちは地下駐車場のリムジンで脱出を図る。しかし門は突破できない構造になっており、ジョンたちは敷地内を逃げ回る中で敵の銃撃を受けた。
コールフィールドは州兵を出動させ、戦車で攻撃させる。しかし屋上からRPGで反撃され、戦車は大破した。ステンツはジョンの動きを止めるため、エミリーをバルコニーに連れ出した。ジョンが気を取られた直後、RPGがリムジンに命中する。リムジンは邸内のプールに突っ込むが、ジョンとソイヤーは何とか脱出した。駆け付けたウォーカーたちに、ソイヤーは手榴弾を投げ付ける。ジョンとソイヤーがプール小屋に逃げ込むと、一味はウォーカーの命令を無視して乱射した。
室内に危険物があったため、小屋は大爆発を起こす。ジョンとソイヤーは間一髪で地下通路へ逃げ込んでおり、ウォーカーはステンツに捜索を指示した。しかしマスコミやペンタゴンは、ソイヤーが死んだと思い込んだ。ハモンドは後任の大統領に任命され、核の発射コードを受け取った。イーライの指示により、身代金が準備された。キャロルはペンタゴンを訪ねたミュリエルと話し、ウォーカーが癌を患って余命3ヶ月であること、目的が金では無いことを知る。キャロルは、ミュリエルに、ウォーカーの説得を依頼した。しかしウォーカーが「ケヴィンのためだ」と言うと、ミュリエルは「だったら彼らに償わせて」と彼に賛同する意思を示す…。

監督はローランド・エメリッヒ、脚本はジェームズ・ヴァンダービルト、製作はブラッドリー・J・フィッシャー&ハラルド・クローサー&ジェームズ・ヴァンダービルト&ラリー・フランコ&レータ・カログリディス、製作総指揮はウテ・エメリッヒ&チャニング・テイタム&リード・カロリン、撮影はアンナ・J・フォースター、編集はアダム・ウルフ、美術はカーク・M・ペトルッチェリ、衣装はリジー・クリストル、音楽はトーマス・ワンダー&ハラルド・クローサー。
出演はチャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス、マギー・ギレンホール、ジェームズ・ウッズ、ジェイソン・クラーク、リチャード・ジェンキンス、ジョーイ・キング、ニコラス・ライト、ジミ・シンプソン、マイケル・マーフィー、ラシェル・ルフェーブル、ランス・レディック、マット・クレイヴン、ジェイク・ウェバー、ピーター・ジェイコブソン、バーバラ・ウィリアムズ、ケヴィン・ランキン、ガーセル・ボヴェイ、フォーク・ヘンチェル、ロマーノ・オルザリ、ジャッキー・ギアリー、アンドリュー・シムズ、キャサリン・レミュー、ヴァンサン・ルクレール、アンドレアス・アペルギス、ヴィクター・コーンフット、アナトリー・ジノヴィエフ、リー・ヴィルヌーヴ、パトリック・サボングイ、アントニー・レムケ、カイル・ゲイトハウス他。


『ゾディアック』『アメイジング・スパイダーマン』のジェームズ・ヴァンダービルトが脚本を担当し、『紀元前1万年』『2012』のローランド・エメリッヒが監督を務めたソニー・ピクチャーズ製作の映画。
ケイルをチャニング・テイタム、ソイヤーをジェイミー・フォックス、フィナティーをマギー・ギレンホール、ウォーカーをジェームズ・ウッズ、ステンツをジェイソン・クラーク、イーライをリチャード・ジェンキンス、エミリーをジョーイ・キング、ドニーをニコラス・ライト、タイラーをジミ・シンプソン、ハモンドをマイケル・マーフィー、メラニーをラシェル・ルフェーブル、コールフィールドをランス・レディックが演じている。

この映画に先んじてミレニアム・フィルムズが『エンド・オブ・ホワイトハウス』の製作を進めており、同じ題材の映画が競い合う形となった。
北米では『エンド・オブ・ホワイトハウス』が2013年3月22日、こちらは同年6月28日から劇場公開された。
予算的には本作品が『エンド・オブ・ホワイトハウス』の倍を超えていたが、興行成績では完敗した。
『エンド・オブ・ホワイトハウス』はヒットして続編の製作が決定したが、こちらは赤字を出してしまった。北米市場では、製作費の半分ほどの収益しか上げられなかった。

「後発だから不利」というのもあるだろうけど、「時代の風潮に合っているか否か」ってのも大きく影響したんじゃないかという気がする。『エンド・オブ・ホワイトハウス』にしろ本作品にしろ、『ダイ・ハード』を連想させる内容なんだけど、あっちが『96時間』も連想させるハードなテイストに仕上げていたのに対して、こっちは随分と遊びの部分が多いんだよね。
ひょっとすると1990年代なら、こっちの方が興行成績が良かったかもしれない。
それにしても、『ダイ・ハード』を模倣しすぎじゃないかとは思うんだよなあ。
「閉鎖された空間の中、主人公がテロリスト集団と戦う」というパッケージは『ダイ・ハード』以降に何本もの映画で使われたけど、それだけじゃなくて「主人公の夫婦関係が円満じゃない」「主人公の身内が人質になる」「敵は最初の内、主人公の素性を知らない」「敵は最初の内、主人公の身内が人質になっていることを知らない」「ボンクラなリーダーの指示で行動した部隊が全滅する」など、類似点が幾つもあるのよね。

ジョンが大統領警護の面接で不採用になるのは、「大学中退なので資格が無い」「夜間大学の成績も悪い」「上官からの評価が低い」という3点が理由だ。
この内、前の2つに関しては「学歴だけで評価すべきじゃない」という言い訳が出来る。ただし上官からの低評価については、勤務態度に問題があるってことだから、言い訳が出来ない。
ジョンは「それは昔の俺だ」と主張するが、つまり「過去はそうだった」と認めているわけだし、「今は違う」ってのも観客には示されていないから説得力が無いし。
そこは例えば、「折り合いの悪い上官がジョンへの嫌がらせとして低評価にしている」とか、そういう形にでもしておいた方が良かったんじゃないかと。

ジョンがエミリーを連れてホワイトハウスに到着した時は、身分証の提示を求められ、爆弾が無いかどうか探知機で調べている。
しかし、その一方で、コンラッドという不審者は易々とホワイトハウス内に入り込んでいるし、その仲間たちも業者に化けて簡単に侵入している。しかも、爆弾や銃を何の問題も無く持ち込んでいる。
不審者が簡単に敷地内へ侵入する事件は実際に起きているので、「ホワイトハウスの警備は厳重で蟻の子一匹入り込めない」という状況ではないどころか、むしろ警備に杜撰な部分があることは確かだろう。とは言え、さすがに本作品の警備は穴がありすぎる。
ここまで杜撰だと、「テロリストがキレ者」という印象を与えることが出来ない。ただ単に、ホワイトハウスがボンクラだっただけじゃないのかと思ってしまう。
一応は「内部に協力者がいた」という言い訳があるんだけど、それだけで納得できるレベルの杜撰さではない。

ホワイトハウスが占拠され、多くの犠牲が出ているんだから、ホントはユーモアの入り込む余地なんて全く無いはずだ。
しかし、エレベーターシャフトに避難したソイヤーが閉所恐怖症なので早く出ようとしたり、壁へ飛び移るジョンから「俺の真似を」と促されてビビったりする様子は、明らかにコメディーの要素が感じられる。リムジンで逃げ出す時に後部座席に乗ってしまい」「いつもの癖で」と釈明するとか、ロケットランチャーを構える時にジョンの頭にぶつけてしまうとか、そういうのも同様だ。
ようするに、この映画におけるソイヤーは、「テロリストの標的」とか「アメリカ合衆国のトップ」という役回りだけでなく、コメディー・リリーフ的な仕事も担当しているわけだ。
でも、この映画では、コメディー・リリーフは邪魔なだけ。
『ダイ・ハード』だとジョン・マクレーンが愚痴ることはあったけど、それはコメディー的なノリとは違っていた。たぶん本作品も『ダイ・ハード』的な「ちょっとした緩和」を入れようしたんだろうけど、さじ加減を完全に間違えている。

終盤になってウォーカーの目的が明らかになった時に、「そんな目的なのかよ」とツッコミを入れたくなってしまう。
そりゃあ単純な身代金目的じゃないことは最初から明らかだったし、「身代金目的の一味」という設定だとキャラクターとして浅くなってしまうとは思う。
ただ、息子の復讐にしては「じゃあ大統領を殺さない理由は何なのか」と思っていたら、「部隊を送ったことは正しい。ケヴィンの死を無駄に終わらせたくない。だから中東を核攻撃したい。そのために大統領の生体認証を求めていた」という事情なのよね。
ウォーカーの主張は、理屈は分かるけど、ちっとも腑に落ちないわ。

ウォーカーは「中東に向けて核を発射したい」という目的を主張するけど、それって「世界大戦を起こしたい」と言ってるのと同じことなのよね。
だから、もはや「ケヴィンの死を無駄にしたくない」というレベルではなくて、ただの頭のイカれたテロリストでしかないのよ。
まあ、実際にイカれたテロリストではあるんだけど、ホントにそんなキャラ設定でいいのか。
あと、そんなヤバい思想にミュリエルも賛同していたのに、この女は何のお咎めも無しで解放されてるのもスッキリしないし。

いかにもローランド・エメリッヒ監督の作品らしく、大雑把なドラマ展開と派手なアクション描写、そしてアメリカ万歳主義が見られる。
作品によって脚本家は異なるのに、どういうシナリオであってもローランド・エメリッヒが監督すると彼の色に染め上げられるのよね。
作家性の強い映画人ではないと思うんだけど、職人監督というわけでもない。
マイケル・ベイやポール・W・S・アンダーソンのように、決してブレないスタイルを持つ監督ってことだ。

ローランド・エメリッヒ作品なので、メリハリやチェンジ・オブ・ペースに対する意識は乏しい。
ソイヤーが死んだと思われてハモンドが次の大統領になり、ハモンドが死んでイーライが新たな大統領に就任するという手順がサクサクと進められるなど、軽くて適当な匂いが漂う箇所が幾つもある。何の捻りも無く、ある意味では王道とも言える「スケールのデカいアクション娯楽大作」として仕上げている。
ローランド・エメリッヒってドイツ人なのに、ハリウッドのアクション大作の王道をホントに良く心得ているんだよなあ。
変に捻ったことをやろうとして失敗しているアメリカ人監督に、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぐらいだ。

ラスト直前、イーライの指示でホワイトハウスが空爆されそうになるが、ジョンから退避するよう指示されたエミリーが逃げずに大統領旗を振り、爆撃機に空爆の必要が無いことを伝えようとする。それを見たパイロットはイーライに中止の指示を要請しても応答が無いものの、自身の独断で空爆を中止する。
「一人の少女を犠牲に出来ない」ってことで、大勢のテロリストを壊滅させる作戦遂行をパイロットが勝手に中止するなんて、ホントは有り得ないことだ。そもそも「学芸会で旗振り役を父に見てもらえなかったエミリーが、旗を振ることで空爆を阻止する」という展開は、あざとさが過ぎる。
でも、全てひっくるめて、ジョーイ・キングが可愛いから許すよ。そこは、「動物と子供には勝てない」という言葉がピッタリと来るシーンだ。
この手の映画って、実は「ガキが動き回るのが疎ましい」と思うケースも少なくないんだけど、エミリーは魅力的な存在だった。
こうやって色々と書いてみると、なんか好きだな、この映画。
少なくとも、何の遊び心も無い『エンド・オブ・ホワイトハウス』よりは、こっちの方が好きだわ。

(観賞日:2015年2月1日)

 

*ポンコツ映画愛護協会