『ボルケーノ』:1997、アメリカ

ここ最近、ロサンゼルスでは軽度の地震が頻発していた。そんな中、マッカーサー公園付近の地下工事現場で事故があり、作業員が大火傷を負った。ロサンゼルス郡危機管理局(OEM)の局長マイク・ロークは、その事故に異常を感じ取る。
マイクは地質学者のエミー・バーンズに対し、事故調査への協力を要請。調査を開始したエミーは、地下での火山活動の可能性を指摘。ロークは信じようとしなかったが、エミーの指摘は当たっていた。地下火山の活動は本格化していたのだ。
ついに地下火山は噴火した。タール池からは溶岩流が噴き出した。溶岩流は周囲を燃やしながら、ウィルシャー大通りを侵攻していく。ロサンゼルスの街が溶岩流に飲み込まれていく。マイクは懸命に溶岩の流れを止めようとするのだが…。

監督はミック・ジャクソン、原案はジェローム・アームストロング、脚本はジェローム・アームストロング&ビリー・レイ、製作はニール・H・モリッツ&アンドリュー・Z・デイヴィス、製作総指揮はローレン・シュラー・ドナー、撮影はテオ・ヴァン・デ・サンド、編集はマイケル・トロニック&ドン・ブロシェ、美術はジャクソン・デ・ゴヴィア、衣装はカースティン・エバーバーグ、音楽はアラン・シルヴェストリ。
主演はトミー・リー・ジョーンズ、共演はアン・ヘッシュ、ギャビー・ホフマン、ドン・チードル、ジャクリーン・キム、キース・デヴィッド、ジョン・コルベット、マイケル・リスポリ、ジョン・キャロル・リンチ、マルチェロ・セドフォード、ローリー・ラゼム、バート・クラマー、ボー・イーソン、ジェームズ・G・マクドナルド、デイトン・キャリー、マイケル・カット、ケヴィン・ボーランド、ヴァレンテ・ロドリゲス、シーラ・ハワード他。


トミー・リー・ジョーンズ主演の自然災害パニック映画。都会の真ん中で火山を噴火させるというのは思い切ったアイデアだが、地震地帯ロサンゼルスなら可能性がゼロとは言えないかもしれない。
ちなみに、ボルケーノ(火山)というタイトルでありながら、火山は一度も登場しない。

演出の甘さが目立つ。
例えばロークの娘が地震恐怖症だというのがロークと別れた妻との会話で明らかになり、その後で娘が地震に怯えるシーンが出てくる。これは逆の方が効果が強かった。その上、娘が地震恐怖症だということは映画に何の効果ももたらさない。
それでは無意味な設定だ。

犬が爆発寸前の家から脱出するシーンでは、爆発に巻き込まれた方が効果はあった。主人公のいる場所と全く別の場所、地下鉄で救助活動をしていた人が溶岩に飲み込まれて死ぬシーンも効果が薄い。主人公の目前で同じようなシーンを作るべきだった。

多くの人物を配し、多くのエピソードを作ってはみたものの、全て消化不良になっている。病院や地下鉄のエピソードは大した効果も無く、流れをブチ切るばかり。
で、肝心の主人公は指示役に回ることが多く、溶岩と直接対決するのは、名も無い脇役達だったりする。

 

*ポンコツ映画愛護協会