『評決』:1982、アメリカ

フランク・ギャルビンは酒に溺れる毎日を送る3流弁護士。新聞の死亡記事を見ては葬式に出掛け、故人の知人のフリをして名刺を配り歩いている。そんな彼に、何かと世話を焼いてくれる先輩弁護士が仕事を回してくれた。
依頼者はケビンとサリーの夫婦。サリーの姉デボラが医療事故で意識不明になり、セント・キャサリン病院を訴えたいというのだ。最初は依頼者達の希望通り、示談で解決しようとするギャルビン。だがこれを立ち直る最後のチャンスだと考え、訴訟に踏み切ることにする。
そんな中、ギャルビンは行き付けのバーでローラという女性と出会った。彼女に惹かれたギャルビン。やがて事務所の仕事まで手伝わせるほどの関係に発展する。だが肝心の仕事の方は全く上手くいかない。
病院側の弁護士は勝つためならどんな汚い手でも使うエド・コンキャノン。しかも判事までが病院側の味方をする始末。苦しい状況の中、それでもケイトリン・コステロという看護婦が事故の真相を知っていることを突き止める。
ケイトリンは行方知れずになっていた。必死の捜索の結果、ようやく彼女の居場所を捜し当てたギャルビン。同じ日、彼はローラがコンキャノンの妻だったということを知る…。

監督はシドニー・ルメット、原作はバリー・リード、脚本はデヴィッド・マメット、製作はリチャード・D・ザナック&デヴィッド・ブラウン、製作総指揮はバート・ハリス、撮影はアンジェイ・バートコウィアク、編集はピーター・フランク、美術はエドワード・ピソーニ、衣装はアンナ・ヒル・ジョンストン、音楽はジョニー・マンデル。
主演はポール・ニューマン、共演はシャーロット・ランプリング、ジャック・ウォーデン、ジェームズ・メイソン、マイロ・オシェイ、リンゼイ・クローズ、エドワード・ビンス、ジュリー・ボヴァッソ、ロクサーヌ・ハート、ジェームズ・ハンディ、ウェズリー・アッディ、ジョー・セネカ、ルイス・スタッドレン、ケント・ブロードハースト、コリン・スティントン、バート・ハリス他。


アカデミー賞で5部門にノミネートされた映画。ギャルビンをポール・ニューマン、ローラをシャーロット・ランプリング、コンキャノンをジェームズ・メイソンが演じている。またアンクレジットだが、ブルース・ウィリスが出演している。

フランクはずっと、ほとんどアルコール中毒に近い状態だったのに、唐突に、そしてあっさりと立ち直ってしまう。そして「示談にしたい」という依頼者の希望を完全に無視し、自分の勝手な都合だけで訴訟に踏み切る。
メチャクチャな男である。

途中、フランクはローラという女性と出会い、彼女との恋愛模様が描かれていく。
しかし、ローラの絡んだエピソードは、物語の中で完全に浮いてしまっている。
後でローラは事件に関わってくるが、恋愛ドラマが邪魔だという印象は変わらない。

こういったタイプの裁判映画では、「強大な敵に対してピンチに追い込まれた主人公が、最後の最後に大逆転で勝利する」という黄金パターンが存在する。
この作品も、そのパターンを使っている。
にも関わらず、そのパターンが持っているカタルシスは無い。

そもそも、あの流れで行くと、どう考えたって病院側の勝ちだと思うのだ。
あの流れで、それでも主人公側の大勝利で終わるというのは、強引すぎるでしょ。
証拠も無くて証人もいないのに、トークだけで逆転するってのはドッチラケでしょ。

 

*ポンコツ映画愛護協会