『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』:2018、アメリカ

遠い昔、遥か彼方の銀河系。法の無い時代、複数の犯罪シンジケートが食料や薬、ハイパー燃料などの資源を巡って争っていた。造船で有名な惑星コレリアでは、レディー・プロキシマが逃亡者を保護する代わりに犯罪行為を強要していた。そんな危険地帯で、銀河を飛び回る日を夢見る1人の若者が必死に生きていた。それがハンである。ある夜、彼はコアクシウムをカプセルを取引相手から強奪し、恋人のキーラが待つスラム街に戻った。
コアクシウムを使ってコントロール・ゾーンの役人を買収すれば、コレリアを脱出することも可能だ。しかしハンはホワイト・アームズのモロックたちに見つかり、プロキシマの元へ連行された。ハンはコアクシウムも金も奪われたと嘘をつくが、プロキシマは信じずに始末しようとする。キーラは制止に入り、「ハンが取られた金は倍にして返す」と約束する。ハンは窓を割って光を注ぎ込ませ、プロキシマが苦悶した隙にキーラを連れてスピーダーに乗り込んだ。
ハンはスターライナーに乗るため宇宙港へ向かい、「俺はパイロットになる。自分の船を持って銀河中を飛び回る」とキーラに話す。すぐにモロックたちがスティンガーで追って来るが、ハンたちは宇宙港に辿り着く。2人は役人を買収してドアを通過させてもらうが、キーラがモロックたちに捕まってしまう。ドアは閉じられ、キーラが連行されてもハンは助けることが出来なかった。ハンは「必ず助けに来る」と叫び、帝国軍のコマーシャルを見てアカデミーへの入学を決めた。孤児のハンには苗字が無かったため、担当官は彼に「ハン・ソロ」の名を与えた。
3年後。ハンは惑星ミンバンで歩兵として戦闘に参加していた。彼は大尉に「空中戦の訓練を受けてきたんです」と話すが、「アドバイスが欲しいか?こんな所からはどんな手を使っても逃げろ」と言われる。ハンは同じ部隊のベケットとヴァル、リオが帝国軍ではなく盗みが目当てだと気付き、「俺も入れてくれ」と頼む。ハンはアカデミーで反抗的な態度を取って追い出されていたが、「操縦の腕はいい。早くコレリアに帰りたい」と訴えた。
断られたハンが脅しを掛けると、ベケットは中尉を呼んで「脱走しようとしていた歩兵を捕まえた」と告げた。ハンは地下牢に収監され、鎖で繋がれていたウーキー族のチューバッカに襲われた。ハンはウーキー語で呼び掛け、脱出に協力するよう持ち掛けた。チューバッカは天井を破壊し、ハンを放置して逃走しようとする。ハンはベケットたちが宇宙船で離陸しようとするのを目撃し、「今は一緒に来てくれ」とチューバッカを説き伏せた。
ハンとチューバッカが手を振って必死に呼び掛けると、ベケットは彼らを乗船させることにした。宇宙船が惑星ヴァンドアに到着すると、ベケットとヴァルはハンに計画を説明する。橋を爆破して貨物列車のコンテナを切り離し、コアクシウムを強奪するというのが彼らの計画だった。ヴァルはエンフィス・ネストが率いるクラウド=ライダーズが来ることを危惧するが、ベケットは「この情報を奴らは知らない」と言う。ヴァルは彼の言葉を信じず、ハンとチューバッカを仲間に加えたことにも批判的だった。
ハンたちは貨物列車を襲撃するが、そこへクラウド=ライダーズが現れる。クラウド=ライダーズの攻撃を受けてリオが死亡し、ヴァルは自らを犠牲にして橋を爆破した。ハンはチューバッカとベケットを救うため、コアクシウムの強奪を断念した。ベケットはハンを殴り付け、「俺たちが盗もうとしたわけじゃない。クリムゾン・ドーンに雇われたんだ」と怒鳴った。「コアクシウムを届ける約束だ。失敗したとバレたら殺されるぞ」と言われたハンが怯えていると、ベケットは「こうなったら、会いに行くしかない。埋め合わせの方法があるかもしれない」と話した。
ハンはベケットに同行することを決め、チューバッカと共にクリムゾン・ドーンを率いるドライデン・ヴォスの元へ向かう。パーティーが開かれているヨットへ行った3人は、ドライデンとの面会を待たされる。会場を歩き回っていたハンは、キーラと遭遇して驚いた。ハンが再会を喜ぶと、彼女は「ここで働いているのよ」と言う。そこにドライデンが現れ、ハンはキーラが彼の副官を務めていることを知った。ベケットが仕事に失敗したことを釈明すると、ドライデンは厳しく叱責した。彼が「あの御方がこの件を知ったら、お前をどうしろと私に命じるか。私に殺さなくていい理由をくれ」と言うと、ベケットはコアクシウムを他の場所から盗むと告げる。
ベケットには何の当ても無かったが、ハンが「精製前の物はどうかな」と提案した。するとキーラは、惑星ケッセルのスパイス鉱山に精製前のコアクシウムが保管されていることを話す。ケッセルはパイク・シンジケートが仕切っており、クリムゾン・ドーンとは微妙な関係にある。ドライデンが「パイク・シンジケートと全面戦争になることは避けたい」と反対すると、ハンは「貴方との関係がバレなきゃいい」と言う。ドライデンから意見を求められたキーラは、どこかで迅速に精製すれば危険は避けられると告げる。
チューバッカがサヴァリーンにある精製所のことをハンに教えると、ドライデンはキーラにお目付け役として同行するよう指示した。ハンたちは船を入手する必要があり、キーラは元運び屋で今は遊び人となっているランド・カルリジアンの元へ案内する。宇宙船のミレニアム・ファルコンを所有しているランドは、酒場でサバックに興じていた。ギャンブルに自身のあるハンはキーラの反対を押し切り、資金を貰ってランドに勝負を持ち掛ける。ハンは挑発を繰り返して船を賭けさせるが、ランドはイカサマで彼を負かした。
キーラはランドに挨拶し、ケッセルへ行く仕事を依頼した。報酬に関する交渉が成立すると、ランドはドロイドの権利を強硬に主張する副操縦士のL3-37をハンたちに紹介した。ハンたちはミレニアム・ファルコンで出発し、ケッセルに向かう。ハンはキーラと2人になり、「コレリアを出てから君がどうしていたか聞きたい」と言う。キーラは「全て話したら、貴方は二度とそんな目で見られなくなる」と話すが、ハンは彼女にキスをして抱き合った。ベケットは「あの女とは関わるな」とハンに言い、誰も信じないよう警告した。
ケッセルに到着するとランドは船内に残り、ハンたちは鉱山へ向かった。キーラは通商ルート割り当ておよび収益化連合の副提督付き行政次官補を務めるオクサナ・フローレンを詐称し、ベケットとL3-37は護衛を演じた。ハンとチューバッカは奴隷役を務め、キーラは鉱山を仕切るカポのクエイ・トルサイトに接触する。彼女がスパイスと奴隷の交換を持ち掛けると、トルサイトは鉱山内部へ案内する。ハンたちはパイク・シンジケートの一味を倒し、計画通りに行動する。
L3-37が鉱山で使われているドロイドの制御装置を次々に解除したため、反乱が勃発した。ハンはチューバッカと別れて貯蔵庫に辿り着き、コアクシウムをの容器を発見した。彼が注意しながら容器を運んでいると看守に見つかるが、チューバッカが駆け付けて助ける。ハンとチューバッカが鉱山から容器を運び出すと、ランドが戦闘に参加していた。L3-37が攻撃を受けて大きなダメージを負ったため、ランドは負傷しながらも頭部を回収した。ハンたちはミレニアム・ファルコンに乗り込み、ケッセルから離脱した。L3-37はランドに抱かれ、機能を停止した。ハンたちはサヴァリーンへ向かおうとするが、帝国軍の船が出現してタイ・ファイター部隊を送り込んで来た…。

監督はロン・ハワード、キャラクター創作はジョージ・ルーカス、脚本はジョン・カスダン&ローレンス・カスダン、製作はキャスリーン・ケネディー&アリソン・シェアマー&サイモン・エマニュエル、製作総指揮はローレンス・カスダン&ジェイソン・マクガトリン&フィル・ロード&クリストファー・ミラー、共同製作はジョナサン・カスダン&スーザン・タウナー&ジョン・スウォーツ&ロブ・ブレドウ、共同製作はウィル・アレグラ、製作協力はトビー・ヘファーマン、撮影はブラッドフォード・ヤング、美術はニール・ラモント、編集はピエトロ・スカリア、衣装はグリン・ディロン&デヴィッド・クロスマン、視覚効果監修はロブ・ブレドウ、特殊クリーチャー効果はニール・スキャンロン、視覚効果プロデューサーはジャネット・ルーウィン&エリン・デュソー&TJ・フォールズ、ハン・ソロ・テーマ曲&『スター・ウォーズ』楽曲はジョン・ウィリアムズ、音楽はジョン・パウエル。
出演はオールデン・エアエンライク、ウディー・ハレルソン、ポール・ベタニー、ヨーナス・スオタモ、エミリア・クラーク、ドナルド・グローヴァー、タンディー・ニュートン、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、エリン・ケリーマン、イアン・ケニー、ジョン・ツイ、アンナ・フランコリーニ、アンドリュー・ウッダール、ワーウィック・デイヴィス、シャキール・アリ=イェブア、イーベン・フィゲイレド、アーロン・ヘファーマン、ハル・ファウラー、ダミアン・ファレル、シャーロット・ルイーズ、セマ=タウイ・スマート、クリント・ハワード、ディー・テイルズ、アッティラ・ヴァイダ、アンソニー・ダニエルズ他。
声の出演はジョン・ファヴロー、リンダ・ハント、アンドリュー・ジャック、サム・ウィトワー。


『スター・ウォーズ』シリーズのスピン・オフとなる「アンソロジー・シリーズ」の第2作。若き日のハン・ソロを描く内容となっている。
監督は『白鯨との闘い』『インフェルノ』のロン・ハワード。
脚本は『ランド・オブ・ウーマン/優しい雨の降る街で』『ファースト・タイム 素敵な恋の始め方』のジョン・カスダンと、本家シリーズで3本を担当した父親のローレンス・カスダン。
ハンをオールデン・エアエンライク、ベケットをウディー・ハレルソン、ドライデンをポール・ベタニー、チューバッカをヨーナス・スオタモ、キーラをエミリア・クラーク、ランドをドナルド・グローヴァー、ヴァルをタンディー・ニュートン、L3-37をフィービー・ウォーラー=ブリッジが演じている。

当初、この作品の監督には『クロニクル』で注目を集めたジョシュ・トランクが起用される予定だった。しかし『ファンタスティック・フォー』で色々と問題を起こしたため、ルーカス・フィルムはキャンセルした。
代わりに起用されたのはフィル・ロード&クリス・ミラーだったが、撮影終盤に来て降板させられた。そしてベテランのロン・ハワードが招聘され、残りの撮影を担当することになった。
これを受けてスケジュールに狂いが生じ、ヴォス役のマイケル・ケネス・ウィリアムズが他の仕事で再撮影に参加できなくなった。そこで降板を余儀なくされ、ポール・ベタニーが代役に起用されると同時に、キャラ設定も大幅に変更された。
ロン・ハワードは残っていた部分を演出しただけでなく、既に撮影が終わっていたフィルムの8割を撮り直している。

まず引っ掛かるのは、「若い頃のハンの物語って、そんなに見たいかな」ってことだ。
『スター・ウォーズ』シリーズのファンが見たいと思うスピン・オフの物語として上位に入るだろうかと考えた時に、そこは大いに疑問符が付くんだよね。少なくとも、「スター・ウォーズ・サーガ」における必要性は、著しく乏しい。
これまでのシリーズにおけるミッシング・リンクを埋めるような作品ではない。
シリーズ第1作『新たな希望』よりも前の物語であり、以降の作品で描かれる反乱同盟軍と帝国軍の戦いに繋がるわけでもない。

ハンがルークやレイアと出会うのは、シリーズ第1作の出来事だ。つまり、前日譚でそこの関係に触れることは出来ない。
「実は以前にすれ違っていて」みたいなことも出来ないだろう。
その代わりってわけではないのだが、この作品ではチューバッカやランド・カルリジアンとの出会いを描いている。
だが、「待ってました」「そこが描かれるのを渇望していた」というエピソードとは言えないだろう。
そして、チューバッカやランド・カルリジアンとの過去がどんな内容であっても、本家シリーズとの関連性は乏しい。

もう1つの問題として、「ハリソン・フォードが演じていないハン・ソロを、多くの人は見たがるんだろうか」ってことだ。
もちろん若き日のハン・ソロを描く映画だから、ハリソン・フォードに演じてもらうことは出来ない。
だから若手俳優を起用するのは当たり前なのだが、オールデン・エアエンライクが起用されたことに対するファンの反応は決して歓迎ムードではなかった。
しかし、それは彼がダメということよりも、「あまりにもハン・ソロ=ハリソン・フォードの印象が強すぎた」ってのが大きいんじゃないだろうか。

それと、オリジナル・トリロジーで初登場したハン・ソロって、一匹狼の密輸業者だったはずなんだよね(チューバッカという相棒はいるけど)。
つまり、当初はヒーローでも何でもなく、ただの無法者だったはずなのだ。
しかし本作品のハンは、明らかにヒーロー的なキャラとして描かれている。犯罪シンジケート撲滅を掲げるエンフィスの同盟軍には参加しないものの、コアクシウムを引き渡している。
これもルーカス・フィルムがウォルト・ディズニー・プロダクションに買収された影響なのかね。

冒頭、ハンはキーラと共に逃亡し、彼女が連れ去られると「必ず助けに来る」と叫ぶ。
恋人が拉致されたのだから、もちろん奪還への決意を固く誓うのは当然だろう。
ただ、「ハンとキーラは恋人同士」ってのは段取りとしては示されているものの、その関係描写は薄い。
登場して「付き合ってます」ってのを紹介した途端、もう離れ離れになっちゃう感じだ。後から回想シーンを使うなどして、ハンとキーラの強い結び付きをアピールするわけでもない。
なのでハンを突き動かす動機としては、ちょっと厳しいモノがある。

ハンはキーラと宇宙港へ向かう途中、「俺はパイロットになる」と言っている。
冒頭のテロップでも「銀河を飛び回る日を夢見る」と出ているが、「ハンは銀河を飛び回るパイロットになることを夢見ている」というアピールも弱い。
「ハンはパイロット希望」「キーラと付き合っている」という基本設定を示した上で、「プロキシマの手下に追われてキーラを拉致される」というエピソードを描くトコに使うのは15分ぐらいなのだが、時間が不足していたんじゃないかな。

ハンはキーラを奪還するため、帝国アカデミーへの入学を決める。
キーラが拉致された直後に宣伝を見て決めるのだが、「すぐだな」と言いたくなる。まだプロローグ的な部分なのでサクサクと進めたいのは分かるけど、「思い付きで簡単に決めちゃうのね」と感じる。
あと、そこから3年後に飛ぶと戦闘に参加しているので、どういうことか分からない。
しばらくすると「アカデミーを追い出された」と説明するけど、そこをバッサリと省略しちゃうのかよ。なんか雑なシナリオに感じるなあ。

っていうかさ、そもそも3年後に飛ぶ箇所がある構成そのものに、疑問を覚えるんだよね。
そのせいで、序盤から物語が鈍重になっている印象を受けちゃうのよ。
反乱同盟軍と全く関係の無いトコで活動していた若い頃のハン・ソロを描くのなら、「アウトローであるハン・ソロのアンチ・ヒーロー的な大活躍を描く宇宙冒険活劇」にすればいいんじゃないかと思うんだよね。
ところが、「サーガに組み込まれた物語」ってことを過剰に意識してしまったのか、「後の大きな戦争」に繋がるような道筋を作ろうとしちゃってるんだよね。

ハンが恋人のキーラをホワイト・アームズに拉致されるという導入部の展開も、スケールの大きいトコへ展開していく方向性を付けるためのモノだ。
だから今回で物語は完結しておらず、露骨な形で続編への宿題を残したまま終わってしまう。
続編を作りたがるのが悪いとは言わないけど、とりあえず本作品で一旦は物語をキッチリと完結させるべきだわ。
その上で、これがヒットしたら続編を作れるような布石を打っておくという形にしておけば良かったでしょうに。

完全ネタバレを書いちゃうけど、ハンはキーラを奪還することが出来ず、だからと言って「キーラが命を落とす」という悲劇的な結末を迎えるわけでもない。クリムゾン・ドーンで成り上がっていたキーラは、そのままハンと決別しちゃうのだ。
つまり、ハンのキーラの関係は、何の決着も見ないままで「続く」とされるのだ。
そもそも「ハンは恋人を拉致され、奪還するために行動する」という話にしていること自体に全く賛同しかねるのに、おまけに食べ残すかね。
ヒロインを登場させるにしても、「ハンが密輸業の最中に知り合う女性」とかでいいでしょうに。

アクションシーンはそれなりに用意されているんだけど、あまりスカッと爽快な気分になれないのよね。
例えば貨物列車を襲撃するシーンは、失敗する上にヴァルとリオが死んでしまう。じゃあ悲劇的な盛り上がりがあるのかというと、それも乏しい。何しろ、キャラが魅力的じゃないからね。それにヴァルとリオのキャラ描写が薄かったので、2人が死んでも心は全く動かない。
あと、その任務に成功したとして、だから何なのかってことなのよね。
ハンの目的はキーラの奪還で、そこに直結する仕事じゃないからね。「コアクシウムを強奪し、それを換金して船を買い、コレリアに戻り、キーラを取り戻す」という風に、かなり遠い仕事だからね。

L3-37は本作品で珍しく(っていうか唯一かもしれない)魅力的なキャラクターだが、彼女とランドが登場するシーンはモタモタしている。
サバックの対決を見せたかったんだろうってのは分かるけど、そこに時間を割いて丁寧に描く必要性を全く感じない。
そんなのバッサリとカットして、さっさとミレニアム・ファルコンを見せちゃえばいいんじゃないかと思ってしまう。どうせサバックのルールは不明だから、まるで盛り上がりなんて無いんだし。
あと、ミレニアム・ファルコンで出発してからケッセルに到着するまでの間も、時間を取って道中での様子を描いているけど、これもモタモタしているようにしか思えないよ。

そもそも、ハンの目的はキーラの奪還にあったわけで。
つまり彼女と再会した時点で、完全に行動する理由がが失われてしまうんだよね。
もはやケッセルへ行ってコアクシウムを強奪する仕事は、ドライデンに埋め合わせをするためでしかない。キーラは副官として残るつもりなので、その仕事が成功したところで、ハンが彼女を取り戻して一緒に旅へ出られるわけではないのだ。
だからハンがキーラと再会した後の展開は、極端に言っちゃうと「我々は何を見せられているんだろう」ってことになってしまう。

終盤、クリムゾン・ドーンに真の指導者として、もうダースが付かなくなったモールが登場する。
モールは好きなキャラクターだったので、再登場するのはホントなら歓迎できるはずなのよ。どう考えても死んだはずなのに、何食わぬ顔で「実は生きていまして」と登場する都合の良さも、まあ許しちゃおうかという気分になれるはずなのよ。
だけどね、モールって「戦いにおける強さの求道者」みたいなキャラだったはずなのよ。
剣客として凄みを見せる暗殺者だった奴が、再登場したら「犯罪組織を影で仕切る頭目」というポジションになっているので、「こんなのモールじゃないやい」と言いたくなるのよね。

(観賞日:2019年11月16日)


2018年度 HIHOはくさいアワード:第4位

 

*ポンコツ映画愛護協会