『ブルー2 トロピカル・アドベンチャー』:2014、アメリカ

アオコンゴウインコのブルーはジュエルと結婚し、カーラ&チアゴ&ビアという3羽の子供たちに恵まれて幸せに暮らしていた。盛大なパーティーが開かれた夜、ブルーとジュエルは子供たちをラファエルに預け、会場で楽しくダンスを踊る。しかしラファエルは妻のエヴァと会場に現れ、子供たちはルイズに預けたから大丈夫だと呑気に告げる。ところがルイズもベビーシッターのタイニーに預けたから大丈夫だと呑気に告げた。その頃、カーラ&チアゴ&ビアはタイニーをロケット花火に括り付け、火を付けて飛ばそうとしていた。そこへブルーが駆け付けて子供たちを注意し、「僕たちは最後のアオコンゴウインコなんだ。危ないことはダメ」と説いた。
鳥類学者のチュリオと妻ののリンダはアマゾン熱帯雨林カラクル地区を訪れ、ボートで川を移動していた。2人はアマゾンモリウズラを半年前に保護し、元気になったので返しに来たのだ。アマゾンモリウズラが群れに戻るのを確認した2人は、その場を去ろうとする。だが、激流に飲まれてしまい、ボートが転覆した。何とか岸に上がった2人の元へ、1羽の鳥が飛来する。チュリオは慌ててビデオカメラを向けるが、鳥に弾かれてしまう。鳥は飛び去るが、残った羽を見たチュリオはアオコンゴウインコだと確信した。
翌朝、ブルーは子供たちのために、キッチンでパンケーキを焼く。そこへブラジルナッツを採取したジュエルが戻って来たので、内緒にしていたブルーは慌てて誤魔化す。ジュエルは「話し合ったはずでしょ」とブルーを注意し、ナッツの食べ方を子供たちに教えたいのだと告げる。すると子供たちは、ナッツの缶詰を簡単に開けた。ジュエルは野生の鳥として子供たちを育てようと考えていたが、ブルーは人間の道具を使わせていた。
ブルーとジュエルがテレビのニュース番組を見ると、リンダとチュリオが野生のアオコンゴウインコを発見したことについて語っていた。ジュエルは「仲間がいた」と感激し、アマゾンへ行くと言い出した。ブルーが難色を示すと、「私たちは人間じゃない、鳥よ。野生の世界へ飛び出して、鳥らしくしないと」と告げた。その頃、ニコ、ペドロ、ラファエル、ルイズはカーニバルのため、歌って踊れる動物のオーディションを開催していた。期待できる動物が見つからずにニコたちが落胆しているところへブルーが現れ、アマゾンへ行くことを話す。彼はバカンスとして、2週間か3週間ほど家族で出掛けることを説明した。
ブルーやジュエルたちが出発の準備をしていると、ニコ、ペドロ、ラファエルがやって来た。ニコたちはワイルドな才能を発掘するため、アマゾンへ同行することを告げた。飛べないルイズは、留守番を余儀なくされた。その頃、ナイジェルは露店の店主に捕まり、占いをする鳥として働かされていた。アマゾンへ向かう途中のブルーたちを目撃した彼は、復讐心を燃え上がらせた。彼は店主を叩きのめし、自分に好意を寄せているヤドクガエルのガビ、アリクイのチャーリーと共にブルーの後を追った。
ブルーたちが川を進む遊覧船に乗っていると、ナイジェルの一味が忍び込んだ。彼らは皆が寝静まる深夜を待ち、行動を開始する。しかしチャーリーが誤って警笛を鳴らしてしまったため、ブルーを殺害する計画は失敗に終わった。翌朝、ブルーたちはナイジェル一味がいたことさえ知らないまま、遊覧船から飛び去った。伐採業者のボスは川を下り、労働者たちの元へ赴いた。法律違反の伐採を続けているボスは、リンダとチュリオが希少種を発見したニュースを苦々しく思っていた。彼は労働者の親方に、「鳥が見つかれば商売は出来なくなる。2人を見つけて始末しろ」と命じた。
ジャングルに入ったブルーたちはアオコンゴウインコの群れに発見され、ジュエルは離れ離れになっていた父のエドゥアルドと再会した。エドゥアルドは孫たちの存在を喜ぶが、ブルーに対しては冷たい態度を取った。群れはジャングルの奥地に楽園を作って暮らしており、ジュエルは叔母のミミや幼馴染のロベルトと再会した。ロベルトはジュエルに好意を寄せており、群れが開いた歓迎パーティーでは一緒に踊る。ジュエルは大いに楽しむが、ブルーは疎外感を抱いた。
ジャングルを移動していたナイジェルたちは、アオコンゴウインコの群れを目撃した。パーティーの歌と踊りを見たニコやペドロたちは、「カーニバル史上、最高のショーが出来そうだ」と口にする。しかしエドゥアルドは「誰も町には行かん。それから、ジャングルでは人間の物は禁止だ」と厳しく告げた。ジュエルは群れでの生活を満喫し、子供たちも初めての体験を大いに楽しんだ。しかしブルーだけは、野生の生活に全く馴染めなかった。
翌朝、ブルーはエドゥアルドから、「辺りを案内する」と告げられる。全く乗り気がしないブルーだったが、ジュエルから勧められたのでウエストポーチを用意した。しかしエドゥアルドに「人間のポケットは置いて行け」と指示されたので、その言葉に従った。ニコたちはカーラに促され、オーディションを開催した。エドゥアルドは「都会暮らしのお前に、ジャングルで生き抜く術を教えてやろう」と言い、ブルーに過酷なトレーニングを課した。ブルーが疲れて眠り込むと、エドゥアルドは怒鳴り付けて起こした。
コンゴウインコのフィリペたちはブルーとエドゥアルドを発見し、からかうような態度を見せた。エドゥアルドが「ここは私たちの縄張りだ。取り決めを守れ」と厳しい口調で告げると、フェリペは軽く笑って飛び去った。労働者の連中が来るのを目撃したエドゥアルドは、危機感を露わにする。ブルーは「リンダを捜した方が」と提案し、かつてパートナーだったリンダのことを話す。ブルーが人間と一緒にいたことを知ったエドゥアルドは、「我が一族に人間は要らない。入れれば一族は終わりだ」と鋭く告げた。
リンダとチュリオは、木を伐採している労働者を目撃した。リンダはチュリオが制止するのも聞かず、労働者の元へ歩み寄って注意する。そこへ親方が現れたので、危機を察知したチュリオはリンダを逃がした。ナイジェルはブルーと間違えて他の鳥を襲撃し、オーディション会場へ迷い込んだ。ニコたちは相手がナイジェルだと気付かず、オーディション参加者だと思い込んだ。スターを選ぶオーディションだと知ったナイジェルはボブという偽名を使い、得意げに歌った。
ニコたちはナイジェルを合格させ、明日の夜に開くプレビュー・ショーへの参加を促した。カーラの「仲間がみんな来るの」という言葉を聞いたナイジェルは、その場を利用して目的を果たそうと目論む。ブルーはGPSでリンダとチュリオの居場所を捉え、捜しに行こうと考える。しかしジュエルは「しばらく2人のことは忘れて」と告げ、まるで捜索に行こうとしなかった。一方、エドゥアルドはロベルトに、「あいつは人間のペットだ。我々の仲間じゃない。目を離すな」とブルーの監視を命じた。
ブルーはジュエルが野生に馴染んでいることへの不満を感じるが、ラファエルの「ワイフがハッピーなら、ハッピーライフ」という言葉で自分を納得させる。彼はジュエルを喜ばせるため、朝食にサプライズでブラジルナッツを用意しようと考える。ブルーはブラジルナッツを獲りに行くが、誤ってコンゴウインコの縄張りに侵入してしまった。そこにフェリペたちが現れ、「運命の穴で戦争だ」と通告される。エドゥアルドは群れを率いて運命の穴へ行くことを決め、厄介者のブルーには残るよう命じた…。

監督はカルロス・サルダーニャ、原案はカルロス・サルダーニャ、脚本はドン・ライマー&カルロス・コトキン&ジェニー・ビックス&ヨニ・ブレナー、製作はブルース・アンダーソン&ジョン・C・ドンキン、製作総指揮はクリス・ウェッジ、編集はハリー・ヒットナー、アート・ディレクターはトーマス・カードン、音楽はジョン・パウエル、音楽製作総指揮はセルジオ・メンデス。
声の出演はアン・ハサウェイ、ジェシー・アイゼンバーグ、ジェマイン・クレメント、クリスティン・チェノウェス、ジェイミー・フォックス、アンディー・ガルシア、ウィル・アイ・アム、ジョージ・ロペス、ブルーノ・マーズ、レスリー・マン、ロドリゴ・サントロ、リタ・モレノ、トレイシー・モーガン、ジェイク・T・オースティン、レイチェル・クロウ、ピアース・ガニォン、アマンドラ・ステンバーグ、ミゲル・フェラー、ジャネール・モネイ、ナタリー・モラレス、ベベル・ジルベルト、フィリップ・ローレンス、セルジオ・メンデス、ランディー・トム、ケイト・ミクッチ他。


2011年の長編アニメーション映画『ブルー 初めての空へ』の続編。
監督&原案は、前作に引き続いてカルロス・サルダーニャが担当。
脚本は、前作に続いての参加となるドン・ライマー、これがデビュー作のカルロス・コトキン、『ロイヤル・セブンティーン』のジェニー・ビックス、『アイス・エイジ3 ティラノのおとしもの』のヨニ・ブレナーによる共同。
ジュエルの声を担当しているアン・ハサウェイ、ブルー役のジェシー・アイゼンバーグ、ナイジェル役のジェマイン・クレメント、ニコ役のジェイミー・フォックス、ペドロ役のウィル・アイ・アム、ラファエル役のジョージ・ロペス、リンダ役のレスリー・マン、チュリオ役のロドリゴ・サントロ、ルイズ役のトレイシー・モーガン、フェルナンド役のジェイク・T・オースティン、エヴァ役のベベル・ジルベルトは、前作からの続投。
他に、ガビの声をクリスティン・チェノウェス、エドゥアルドをアンディー・ガルシア、ロベルトをブルーノ・マーズ、ミミをリタ・モレノ、カーラをレイチェル・クロウ、チアゴをピアース・ガニォン、ビアをアマンドラ・ステンバーグが担当している。

前作がミュージカル映画だったので、それが続編でも踏襲されているのは当然のことだ。
それ自体は何も問題を感じないが、残念ながらミュージカル・シーンに高揚感は抱かない。映像として、ショーやレビューの面白さが弱い。
オープニングなどは、かなり多くのキャラを登場させて派手にダンス・パーティーのシーンを演出している。動物たちを音楽に合わせて動かし、盛り上げようとしている。
しかし引き付ける力は今一つであり、全てのミュージカル・シーンをトータルして、見せ場としての魅力は物足りない。

もっと問題なのは、ミュージカル・シーンで尺を稼いでいる印象が強いってことだ。ドラマが薄いので、それを誤魔化そうとしているんじゃないかと思ってしまうのだ。
ミュージカル・パートがドラマ・パートと上手く連動して効果的に機能しておらず、「そこをバッサリと全て排除しても成立するでしょ」と思ってしまう。そこが物語を進める上では、ほとんど意味も持っていないのだ。
まあ本作品に限らず、ミュージカルシーンを全て排除しても成立する映画ってのは存在する。
だけど面白いミュージカル映画なら、そこが魅力的だから、そんな風には思わせないんだよね。

原題は「Rio 2」だが、今回の主な舞台となるのはアマゾンなので、タイトルからは程遠い内容になっている。
前作との違いを付けるために舞台を変えるってのは、続編では良くあるケースだ。
それがダメってわけではないが、「舞台を変えれば何とかなるでしょ」という安易な考えだと、そこで思考停止してしまう。
それと、場所を変えるなら、御馴染みのキャラを再び活用するためには、「そこへ彼らが行く理由」を用意する必要がある。

この映画の場合、ブルーの一家だけでなく、ニコ&ペドロ&ラファエルもアマゾンへ向かわせている。彼らがアマゾンへ行く理由として、「カーニバルに出場させる才能を発掘するため」という目的が用意されている。
だけど、ものすごく無理があると感じるわ。
リオで彼らがオーディションを開催している様子が描写されているので、ネタ振りが何も無かったわけではない。
ただ、そのネタ振りのシーンからして、「何の意味があるのか良く分からんし、要らないシーンだなあ」と思ったし。

あと、そこまで強引な方法を使ってニコ&ペドロ&ラファエルをアマゾンへ同行させるのはいいが、そのせいでブルーの子供たちの存在感が薄っぺらくなっているのは望ましくない現象だ。
ニコ&ペドロ&ラファエルだけでなく、ナイジェルも登場するし、その仲間たちもいる。
アマゾンに住む動物たちも登場する。人間のキャラも登場する。
そうやってキャラを増やしたせいで、皺寄せがブルーの子供たちに来てしまい、存在意義が乏しくなっている。

そもそもブルーの子供たちって、カットしてしまっても何の問題も無く話は成立しちゃうんだよね。
むしろ、そっちの方がスッキリするんじゃないかと思うぐらいだ。「自然の中で暮らすべきか否か」ってのをテーマにするなら、ブルーとジュエルだけでもいいんだし。
だけど、それじゃあマズいでしょ。
本来なら、子供たちを積極的に活用して、ブルー&ジュエルも含めた家族の絆を軸にしてドラマを構築した方がいいんじゃないかと。

アマゾンでオーディションが開催される手順が訪れても、やっぱり時間稼ぎ、もしくは余計な寄り道にしか思えない。
ニコたちの存在意義が全く感じられないので、彼らの出番を用意するためだけに設けられた時間という印象が強い。
オーディション会場にナイジェルが迷い込み、「プレビュー・ショーで計画を実行しようと企む」という展開に繋げているので、ちゃんと物語に取り込んでいる形は取っている。
だけど、それが無かったとしても、ナイジェルはブルーの居場所を突き止めているから、復讐は遂行できるのよね。

あと、そもそも「ナイジェルが本当に必要だったのか」という部分からして問題があるのだ。と言うのも、この話って無駄に敵が多すぎて、散らかっているのよね。
まずナイジェルの一味が、ブルーの命を狙っている。伐採業者も敵として配置されている。フェリペの群れも、エドゥアルドの群れと敵対している。ブルーからすると、彼を排除しようとするエドゥアルドやロベルトも「敵」と言っていいだろう。
「伐採業者から楽園を守る」という目的でブルーとエドゥアルドは共闘することになるので、そんなに上手く消化しているとは言えないけど、そこはまあ良しとしておこう。
だけど、どう考えてもナイジェルの一味は邪魔でしょ。

フェリペの群れにしても、まるで上手く使いこなせていない。
「伐採業者がジャングルを荒らしている」ってのは早い段階から示されているので、フェリペの群れと戦う展開になっても「そんなことやってる場合かよ」と言いたくなるし。
最終的には伐採業者を追い払うために結束するけど、そこの「敵対関係から結束へ」というドラマが上手く描かれているわけではない。
むしろ「色んなことを盛り込み過ぎて、邪魔になっている」という印象の方が圧倒的に強いわ。

っていうか、実は伐採業者でさえ、「敵」として上手く配置されているとは言い難いのだ。
なぜなら、ボスは「リンダとチュリオを始末しろ」と親方に命じているからだ。つまり彼らが標的にしているのはリンダとチュリオであって、エドゥアルドの群れではないのだ。
木を伐採しているから、そういう意味ではエドゥアルドの群れにとって「倒すべき相手」とは言えるだろう。
でも、伐採業者は「楽園を破壊しようとする」という行動ではなく「リンダとチュリオを始末しようとする」という行動の方に焦点が当てられているので、対立の構図は成立していないのだ。

ブルーは捕まっていたリンダを発見して解放し、エドゥアルドに「伐採業者を追い払うために」ってことで共闘を呼び掛ける。
だけど、そもそもブルーとリンダの関係性が希薄だという問題があるので、その流れにもギクシャクしたモノを感じてしまう。
実は前作の段階で、ブルーとリンダの関係性が希薄だという問題は生じていた。
今回はブルーに家族が出来たもんだから、ますますリンダとの関係性は薄くなっている。リンダ(ついでにチュリオ)を登場させなくても、ほとんど支障は無い。

最終的にブルーはジュエルの意向を尊重し、ジャングルへ留まることを選ぶ。
「鳥たちは自然の中で、野生として過ごすべきだ」という答えに着地するのは、ものすごく安易ではあるが、ファミリー向け映画としては分からなくもない。
ただ、それがブルーにとって「本当に幸せな答え」なのかと考えると、大いに疑問が残るんだよね。
なぜなら、ブルーはリオの鳥獣保護区で人間っぽい暮らしをしていることに、幸せを感じていたはずだからね。

ブルーにとってアマゾンでの生活は、ジュエルのために無理をしているとしか思えないんだよね。
そりゃあ、「ブルーはリオで人間っぽい生活をするのが幸せ」「ジュエルはアマゾンで群れと暮らすのが幸せ」と夫婦の意識が完全に別れているので、どっちかが譲らないと仕方が無い状態ではあるのよ。
ただ、「ブルーは無理をしている」ってのが、エドゥアルドに認められようが、楽園が国立野生動物保護区に指定されようが、最後まで感じられるので、ハッピーエンドには思えないのよ。
そこを何とか上手く着地させるためには、「ブルーが野生に順応し、そこでの生活に楽しさや幸せを感じるようになる」という変化を描く必要がある。でも、それが全く見えないのよ。

あと、ジュエルがブルーに対する思いやりや優しさの意識を全く見せないってのも、大いに不満なのよね。
彼女は「私はアマゾンでの生活が幸せだから、ブルーの気持ちなんて知らないわ」という感じなのよ。
ジュエルはリオへ帰ることを望むブルーを「そうやって、いつも自分のことばかり。いいかげん、自分より家族のことを考えて」と非難するけど、テメエも自分のことしか考えてねえだろうと。
すんげえ身勝手な奴に見えるので、そいつのためにブルーが全面的に合わせなきゃいけないってのが、どうにも納得しかねるのよ。
少なくともアマゾンで暮らすことに関しては、全面的にブルーが妥協しているからね。

(観賞日:2017年2月7日)

 

*ポンコツ映画愛護協会