『裸の十字架を持つ男/エクソシスト・フォーエバー』:1990、アメリカ

1973年、悪魔に取り憑かれた少女ナンシーは、メイアイ神父の助けで正常に戻った。それから17年後、ナンシーは普通の主婦として、夫や2人の子供に囲まれて暮らしていた。しかし、テレビ伝道師アーネストと妻ファニーの出演する宗教番組を見ていた時、再び悪魔が彼女に取り憑いた。
ナンシーは医師の診察を受けるが、原因不明と言われてしまう。教会に行ってブロフィー神父に助けを求めるが、若い彼は自分の神父としての資質に悩んでいた。ブロフィーは自分の力では手に負えないと判断し、メイアイに会いに行く。
メイアイは既に引退して老人ホームに入っており、ブロフィーに悪魔払いの儀式を執り行なうよう勧める。ブロフィーが知識を得るため悪魔払いの最高審議会に出向くと、そこにアーネストとファニーが現れる。悪魔払いの儀式を2人の番組で全国中継するというのだ…。

監督&脚本はボブ・ローガン、製作はスティーヴ・ワイザン、共同製作はジーン・ヒギンズ、撮影はマイケル・D・マーグリース、編集はジェフ・フリーマン、美術はシャイ・オースティン、衣装はティモシー・ダーシー、音楽はチャールズ・フォックス。
出演はリンダ・ブレア、ネッド・ビーティー、レスリー・ニールセン、アンソニー・スターク、トム・J・シャープ、ラナ・シュワブ、ベンジ・タール、ドーヴ・デロス、ウィリー・ガーソン、ロバート・フラー、ジェイク・スタインフェルド、アーミー・アーチャード、ジャック・ラレーン、ウォーリー・ジョージ、ジェシー・ベンチュラ、ジーン・オークランド他。


『エクソシスト』のパロディー映画。
本家に出演したリンダ・ブレアが悪魔憑きのナンシーを演じ、メイアイ神父をレスリー・ニールセンが演じている。『裸の〜』という邦題は、レスリー・ニールセン主演作『裸の銃を持つ男』から取っていることは誰が見ても明白だ。

リンダ・ブレアは、安い特殊メイクで悪魔憑きの狂った女を演じ、時には巨大アイスクリームの着ぐるみまで身に付ける奮闘ぶりを見せる。
一方、レスリー・ニールセンは、エルトン・ジョンやマイケル・ジャクソンなどのコスプレを見せて、こちらも奮闘ぶりを見せている。
そして2人とも、ゲロを吐く。

「バラエティ」誌のコラムニストであるアーミー・アーチャードやフィットネス業界の有名人ジャック・ラレーンなど、本人役でゲスト出演している人も多い。
元プロレスラーのジェシー・ベンチュラとプロレス番組のアナウンサーであるジーン・オークランドは、メイアイとナンシーの戦いを実況する。

基本は『エクソシスト』のパロディーだが、他にも『ターミネーター』『スター・ウォーズ』『ランボー』『ロッキー』などのパロディーも織り込まれている。
映画パロディー以外にも、細かいネタが幾つも入る。
下ネタやエロネタもあるし、身障者ギャグや動物虐待ギャグもある。

内容が内容だけに、もちろん宗教を笑いにしたネタもたくさん登場する。
祭壇の聖杯を食器乾燥機に入れたり、自信を喪失しているブロフィー神父が殺人狂チャールズ・マンソンの著書を読んだり、自動販売機でバイブルを売っていたり。

残念なのは、ネタの数は多いが、笑えるモノはほとんど無いということだ。むしろ、リンダ・ブレアとレスリー・ニールセンの存在そのもので見せる作品だという印象が強い。こんな作品に出演して頑張っているリンダ・ブレアに、密かなるエールを送りたい。


第11回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低オリジナル歌曲賞「He's Comin' Back (The Devil!)」

 

*ポンコツ映画愛護協会