『北京のふたり』:1997、アメリカ

ジャック・ムーアは衛星放送事業を展開するアメリカの会社に勤務している。彼は契約のために中国を訪れ、交渉が進める。彼は大臣の息子リン・ダンに案内されたナイトクラブでホン・リンという女性に惹かれ、一夜を共にする。
だが翌朝、彼女は死体で発見され、ジャックは身に覚えの無い殺人罪で警察に逮捕される。アメリカから知り合いの弁護士を呼ぶことは許されず、中国人のシェン・ユーリンがジャックの弁護を担当することになった。
しかし裁判が始まると、シェンは勝手にジャックの有罪を認めようとする。シェンはジャックに、死刑を免れるためには罪を認めるべきだと告げる。しかしジャックは潔白を証明するため、言葉が通じない状況で必死に戦おうとする。
ジャックの姿に打たれたシェンは、彼と共に無罪を勝ち取ろうと考えを改める。だが、証拠は何者かに隠蔽され、ジャックとシェンの身には危険が迫る。明らかに不公平な裁判の続く中、2人は事件の裏に隠された陰謀に気付く…。

監督はジョン・アヴネット、脚本はロバート・キング、製作はジョン・アブネット&ジョーダン・カーナー&チャールズ・B・マルヴヒル&ロザリー・スウェドリン、共同製作はマーティン・ヒューバーティ&リサ・リンドストロム、製作総指揮はウォルフガング・ペーターゼン&ゲイル・カッツ、撮影はカール・ウォルター・リンデンローブ、編集はピーター・E・バーガー、美術はリチャード・シルバート、衣装はアルバート・ウォルスキー、音楽はトーマス・ニューマン。
出演はリチャード・ギア、バイ・リン、ブラッドリー・ホイットフォード、バイロン・マン、ピーター・ドナット、ロバート・スタントン、ツァイ・チン、ジェームズ・ホン、ツィー・マ、ウルリッヒ・マツコス、リチャード・ヴェンチャー、ジェシー・メン、ロジャー・ユアン他。


中国を舞台にした法廷サスペンス。
ビデオタイトルは『レッド・コーナー/北京のふたり』。
現地ロケの許可が下りず、北京の街並みはセットを作って撮影されている。
内容が内容なだけに、中国政府は抗議し、アメリカにいる中国人が怒った。
そして上映禁止騒ぎになった。

主人公が中国人女性を口説き始めた時点で、ヤバイ予感はしたのだ。
そして、「冴えないサスペンスになるんじゃないかなあ」という予感は当たった。
セックスを持ち込まなくても描ける話だし、その方が安っぽくならずに済んだのに。

この映画には、中国を批判しようとする強い意思が見て取れる。
そうすることによって、何が何でも敵を作らないと気が済まないという一般的アメリカ国民の心をキャッチしようとしたのかもしれない。
なるほど、商売としてはアリなのかもしれない。

ここで描かれる「言葉も通じず、不公平な裁判が行われる」という状況は、別に中国だから起きるような話ではなくて、海外の他の国でも起こりそうな話だろう。
しかしながら、それを「中国だから起きたのだ」というように描いている。

映画で描かれている状況が実際にあるかどうかというのは、それほど問題ではない。
重要なのは、そう描かれた国の人々がどう感じるかということだ。
こんな風に描かれたら、そりゃ怒るわな、中国人も。
ただ、それ以前に作品として面白くないので、大丈夫ですよ、中国の皆さん。

 

*ポンコツ映画愛護協会