『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』:2010、アメリカ
ペルシャ帝国のシャラマン王は、弟のニザムと共に忠誠心と兄弟愛を重んじて国を治めていた。シャラマンはタスとガーシヴという2人の息子に恵まれた。ある日、1人の孤児が市場で馬の通行を邪魔してしまい、兵士に殺されそうになった。彼の仲間であるダスタンが助けに入り、自分が囮になって兵士を引き付けた。ダスタンは兵士に捕まるが、その一部始終を見ていたシャマランが殺害を止めさせた。勇敢な行動に心を打たれたシャマランは、ダスタンを養子として迎え入れた。
15年後。タスとガーシヴ、ニザムは軍勢を率いてペルシャ国境地帯に到着し、聖なる都アラムートを眺めた。シャマランはアラムートに手を出すなと命じていたが、彼らは攻め込もうと考えていた。スパイの調査によって、アラムートがペルシャの敵国に武器を流していることが明らかになったからだ。ダスタンは「無駄な犠牲が出る」と意見を述べるが、ニザムは「理屈で敵は倒せない」と言う。シャマランが不在の間、その決断はタスに委ねられている。彼はニザムの意見を尊重し、夜明けと共に攻め込むことを決定した。
ダスタンは先陣に名乗り出るが、ガーシヴは「お前の兵は、ならず者ばかりじゃないか」と馬鹿にする。タスはダスタンに「お前の勇気は良く分かっているが、まだ早い」と言い、ガーシヴを先陣に指名した。しかしガーシヴが正面から突っ込むと確信しているダスタンは「それでは悲惨なことになる」と考え、タスの命令に背いて奇襲を仕掛けることにした。彼は腹心のビスと自身の兵隊を率いて、城の壁をよじ登って侵入した。
ダスタンは警備兵を倒して東門を開き、松明でタスたちに知らせた。アラムートのタミーナ王女は側近に短剣を託し、守り抜くよう頼んだ。ダスタンは馬で脱出を図った側近を見つけ、立ち塞がって戦う。側近を蹴り飛ばしたダスタンは、彼が落とした短剣を拾い上げた。城を制圧したタスたちは、タミーナを捕まえた。武器の製造場所を尋ねられた彼女は、「武器など作っていない。あった武器も奪われた」と告げる。タスが自分の妻になるよう要求すると、タミーナは「死んだ方がマシ」と拒む。しかしダスタンが短剣を持っているのを目にした彼女は、民に慈悲を与えると約束させて結婚を承諾した。
タスたちが王都ナサフに戻ると、シャマランは勝手な行動に激怒した。彼はタスに、「早く王冠を被りたいのだろうが、まだ早い」と鋭い口調で告げた。タスは「信頼を得るため、自ら指揮して武器を見つけ出します。アラムートの裏切りの証拠を発見するまでは帰りません」と告げた。アラムートの東の地下道に抜け穴が見つかったという情報が入り、タスは調査へ行くことにした。彼はダスタンに聖なる衣を見せて、それを贈り物として父に渡すよう促した。
ダスタンはタスから、自分の妻としてタミーナを父に紹介するよう頼まれた。既に多くの妻を持っているタスだが、「あの女を妻にすることでアラムートに忠誠を誓わせることが出来る」と言う。宴の場へ赴いたダスタンは、タスに渡された聖なる衣をシャマランに贈った。シャマランが衣を着た後、ダスタンはタミーナをタスの妻として紹介した。するとシャマランは、大勢の妻を持つタスではなくダスタンが彼女と結婚するよう命じた。
その直後、聖なる衣が発火し、シャマランは死んでしまう。ガーシヴはダスタンを殺人犯と決め付け、捕まえるよう兵士に命じた。ビスはダスタンを逃がすために兵隊と戦い、剣で刺されて命を落とす。タミーナは「一緒に来て」と叫び、ダスタンと共に逃亡した。ダスタンはタミーナに、「あの衣は兄から渡された。タスの仕業だ」と言う。タミーナは隙を見て短剣を奪い、ダスタンを殺そうとする。すぐに反撃して短剣を奪い返したダスタンは、偶然にもスイッチを押した。すると一瞬にして、短剣を奪われる前の時間に戻った。
タミーナは短剣を奪おうとするが、ダスタンに防がれた。タミーナが自分の短剣で襲い掛かろうとすると、ダスタンは短剣のボタンを押して時間を戻した。彼はタミーナを捕まえ、「また短剣を奪おうとしたら腕を折るぞ」と言う。しかしボタンを押しても、もう時間は逆戻りしなかった。タミーナは「砂を使ってしまったの?」と驚き、ダスタンは砂が流れ出すと時間が戻ることを知った。しかし入っていた砂を使い切ったため、もう時間が戻らなくなったのだ。
ダスタンは「これがあれば運命を変えられる。そんんな力があれば最強の王になれる。タスの狙いはこれだったんだ」と口にした。彼は信頼するニザムに事実を説明して協力してもらうため、シャマランの葬儀へ向かうことにした。「大勢のペルシャ兵に追われているのに」とタミーナは呆れるが、ダスタンの考えは変わらなかった。「こんな場所に置き去りにするの」とタミーナが文句を言ったので、ダスタンは仕方なく彼女も連れて行くことにした。
道を使わず囚われの谷を通ることにしたダスタンは、タミーナに騙されて失神させられる。タミーナが短剣を奪って逃亡した後、ダスタンが意識を取り戻すと盗賊に包囲されていた。しかし彼はリーダーのアマールにタミーナを差し出すことを持ち掛け、盗賊と手を組んだ。ダスタンはタミーナの首飾りに砂が入っていることに気付いており、それを奪い取った。ダスタンはアマールから、そこが人殺しの巣窟というのは嘘であり、彼らが駝鳥レースをしている商人の集団であることを聞かされた。
アマールはダスタンが賞金首のお尋ね者だと知っており、彼を捕まえてペルシャ軍に突き出そうとする。アマールが短剣を奪って部下に「溶かして宝石だけ取れ」と命じたのを見たタミーナは、駝鳥を逃がして騒ぎを起こした。ダスタンは短剣を取り戻し、タミーナと共に逃亡した。ダスタンはシャマランの葬儀へ向かう行列に紛れ込み、アヴラットの市場でニザムに手紙を渡して密かに呼び出した。彼は証拠の短剣を見せようとするが、直前にタミーナが盗み取っていた。
ダスタンはニザムが父を殺した犯人であり、短剣を手に入れようと目論んでいることに気付いた。襲って来る兵士たちから逃げ出した彼は、カーシヴと対峙した。「俺は父上を殺していない」と言ってもカーシヴは聞き入れず、ダスタンを殺そうとする。ダスタンはカーシヴを階段から蹴り落とし、アヴラットの市場を後にした。ニザムはタスに、「ダスタンが私を殺そうとした。私の死による混乱に乗じて、彼は反乱を起こすつもりだ」と告げた。ニザムはタスに、ダスタンを裁判に掛けるのではなく、殺害すべきだと持ち掛けた。タスは「公の場で裁き、法に従うべきだ」と言い、ダスタンを見つけ出すようニザムに指示した。
ニザムは暗殺者集団「ハッサンシン」の隠れ家へ行き、リーダーのゾルムにダスタンの殺害を依頼した。ダスタンは砂漠でタミーナを発見し、シャマランを殺したのがニザムだと告げた。ダスタンは彼女に、「ほんの少しだけ時間を遡っても、ニザムが得をすることは無い。他に何を隠してる?」と言い、タミーナから盗み取った短剣を見せる。するとタミーナは、神々の砂時計から時の砂を取り出すことが出来るのはその短剣だけであり、中に入れられるのは1分の時を戻す分量だけであることを語った。
ダスタンが「砂時計に短剣を突き刺したまま、ボタンを押したらどうなる?」と訊くと、「砂はとめどなく溢れ出す」と言う。そうすれば好きなだけ時間は戻せるが、禁じられている行為だ。ダスタンは、ライオンに殺されそうになった少年時代のシャマランがニザムに命を救われたという話を思い出した。そしてダスタンは、ニザムがその時に戻ってダスタンを見殺しにするつもりだと確信した。そうすればシャマランの息子も誕生せず、ニザムが王位に就くことになる。
タミーナはダスタンに、「短剣を砂時計に突き刺してボタンを押し続けると、封印が破れて神々の怒りとなり、全てを破壊する。ニザムの罪が、全ての人間を滅ぼすことになる」と語った。タミーナが「アラムートの外に秘密の寺院がある。そこに短剣を隠せば安全よ。人間を滅亡から救える」と言うと、ダスタンは一緒に寺院へ行くことを告げた。しかし2人は、追って来たアマールや部下のセッソたちに捕まる。その夜、ハッサンシンの差し向けた毒蛇の群れが、ダスタンたちに襲い掛かった。ダスタンは短剣を使い、蛇の群れを退治した。
翌朝、アマールは厄介ごとに巻き込まれるのを嫌がり、ダスタンとタミーナを解放しようとする。タミーナは「寺院には黄金がある」と言い、盗賊の同行を取り付けた。しかし一行が寺院に到着すると、先回りしたハッサンシンによって僧侶は皆殺しにされていた。タミーナは「ここには短剣が取り出された岩がある。そこに戻せば封印される。最初の約束を果たさねば。守り主の命を差し出すこと」と言う。それはタミーナが死を選ぶという意味だ。そこへガーシヴの率いる兵隊が現れ、ダスタンとタミーナは捕まってしまう…。監督はマイク・ニューウェル、原案はジョーダン・メックナー、映画原案はジョーダン・メックナー、脚本はボアズ・イェーキン&ダグ・ミロ&カルロ・バーナード、製作はジェリー・ブラッカイマー、製作総指揮はマイク・ステンソン&チャド・オマン&ジョン・オーガスト&ジョーダン・メックナー&パトリック・マコーミック&エリック・マクラウド、製作協力はパット・サンドストン、撮影はジョン・シール、編集はマイケル・カーン&ミック・オーズリー&マーティン・ウォルシュ、美術はウルフ・クローガー、衣装はペニー・ローズ、視覚効果監修はトム・ウッド、音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ。
主演はジェイク・ギレンホール、共演はベン・キングズレー、ジェマ・アータートン、アルフレッド・モリーナ、リチャード・コイル、トビー・ケベル、スティーヴ・トゥーサント、ロナルド・ピックアップ、ギスリ・オルン・ガルザルソン、リース・リッチー、クラウディオ・パシフィコ、トーマス・デュポント、デイヴ・ポープ、ドモンコス・パルダニー、マッシミリアーノ・ウバルディー、フルディク・ウラジミール、クリストファー・グリート、ウィリアム・フォスター、エリオット・ジェームズ・ニール、セルヴァ・ラサリンガム、ダウド・シャー他。
同名のアクションアドベンチャーゲームを基にした作品。
監督は『フォー・ウェディング』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のマイク・ニューウェル。
ダスタンをジェイク・ギレンホール、ニザムをベン・キングズレー、タミーナをジェマ・アータートン、アマールをアルフレッド・モリーナ、タスをリチャード・コイル、ガーシヴをトビー・ケベル、セッソをスティーヴ・トゥーサント、シャラマンをロナルド・ピックアップ、ゾルムをギスリ・オルン・ガルザルソン、ビスをリース・リッチーが演じている。「ペルシャの王子が主人公」「時間のダガーや時間の砂が出てくる」という要素は踏襲しているものの、ストーリーはゲームと何の関連性も無い別物になっている。
「それはゲームの映画化として本当に正しいアプローチなのか」と問われたら答えに困るが、コンピュータ・ゲームが映画化される場合、そういうのは珍しくない。
っていうか良くあることだ。
それでも納得できない人は、「だってプロデューサーがジェリー・ブラッカイマーだし」ということで諦めよう。まず最初に引っ掛かるのは、「なぜシャマランがダスタンを養子に迎えるのか」ということ。
息子がいないとか、いるけどボンクラで全く役に立ちそうにないとか、体が弱くて跡継ぎにするのは難しそうだとか、そういうことなら 理解できる。でも、まだ2人の実子は幼いし、どんな奴なのかも分からない(そもそも、その段階では赤子の姿しか登場していない)。
あるいは、ダスタンが驚異的な知能を持っているとか、シャマランが彼に独特のオーラを感じたとか、そういうことでも理解できる。でも 、養子にした理由は「勇気ある行動を見たから」というものだ。それは全く説得力が無い。
勇気ある行動を見て感銘を受けたから褒美をやるとか、使用人として採用するとか、その程度で充分でしょ。
「2人の息子に恵まれたが、神々は、その王家がまだ完全ではないと思っていた」というナレーションは、そこを納得させるための助けとして何の力も持っていないし。15年後になってタスとガーシヴが登場し、タスはダスタンを可愛がっているがガーシヴは見下していることが描かれる。
でも、兄弟の絆が本作品において重要な要素であることを考えると、ガーシヴが邪魔だ。兄貴はダスタンと仲良くしているタスだけで充分だ。
全く愛の無い兄のガーシヴを登場させることで、「兄弟の絆」という部分がボンヤりしてしまう。
同年代の悪役キャラを登場させたいのなら、ニザムの息子というポジションを用意すれば事足りる。
っていうか、そっちの方がスッキリするわ。ひょっとすると、ガーシヴを「ダスタンと敵対するキャラ」として最初から位置付けることで、本物の悪党であるニザムの本性を隠そうという狙いがあるのかもしれない。
ただ、それにしては、ニザムは登場した時点で、いかにも悪党っぽい雰囲気をプンプンと漂わせている。
それに、何しろ演じているのがベン・キングズレーだから、もう悪党ってのがバレバレだ。
そこで「実は悪党じゃない」という捻りがあるわけじゃなくて、そのまんまなんだよな。ダスタンは「無駄な犠牲が出るし、父の命令もあるし」とアラムートへの攻撃に反対するが、攻撃が決定すると先陣を志願する。それが断られると、「ガーシヴに任せたら被害が甚大になる」ということで勝手に奇襲を仕掛ける。当然のことながら戦闘が発生し、ダスタンの兵隊はアラムートの兵隊を殺す。
でも、アラムートが敵に武器を売っているというのはニザムの嘘だから、つまりダスタンたちは何の罪も無い人々を殺したってことになる。
それは引っ掛かるなあ。
主人公が、のっけから無実の人々を殺しているんだぜ。そこは、「無駄な犠牲が出るから戦うべきではない」ってことじゃなくて、「アラムートの裏切りは到底信じ難い。もっと確実な証拠を見つけてから行動すべき」という考えをダスタンに持たせた方が良かったんじゃないか。
序盤にアクションシーンを設けたいってのは良く分かるけど、「無駄な犠牲が出る」と言っていたダスタンが自ら無駄な犠牲を出す戦いをやらかしているのはダメでしょうに。
導入部にアクションシーンを用意したいのであれば、ダスタンが先陣に名乗りを上げるのではなく、カーシヴが挑発してやらせるとか、タスが信頼して指名するという形にでもしておいた方がいい。そしてダスタンの兵隊は敵を殺さず、タミーナを拘束して制圧するような形にでもすればいい。
城へ侵入してタミーナを拘束するまでの様子を描くだけでも、アクションシーンとしては充分に成立するよ。その後もダスタンは「我が国王の敵を倒して何が悪い」と言っており、アラムートが敵であることには何の疑いも持っていない。
その設定には、大いに違和感がある。
もちろん後で「間違いだった」ったことには気付くけど、幾らニザムに騙されていたとはいえ無実の人々を犠牲にしたことは事実であり、その罪は重い。
しかし彼は、そのことに対する罪悪感など全く抱かず、反省も贖罪もしないのだ。
「タスやカーシヴがニザムにまんまと騙される中、ダスタンだけはアラムートの武器密売に不審を抱いており、慎重に行動する」ということにしておけば、全てが丸く収まっただろうに。さらに困ったことに、ダスタンは父が死んだ後、「あの衣は兄から渡された。タスの仕業だ」とタミーナに話している。あれだけ仲良くしていた兄貴なのに、「タスが父を殺した」と何の迷いも無く平気で断言してしまうのだ。
その後も短剣の力を知ると「タスの狙いはこれだったんだ」と言い出すけど、ホントに兄弟愛とかゼロなのね。
一方のタスも、ダスタンが犯人であることを全く疑っていないし。
それはダメだろ。
ダスタンは「衣が燃えたってことはタスの仕業なのか。でも、そんなことは信じられない」、タスは「ダスタンが父を殺したなんて信じたくない」という風に苦悩すべきだろうに。そこで簡単に「タスが父を殺した」「ダスタンが父を殺した」と互いに思えるようでは、兄弟の絆や兄弟愛なんてゼロってことになるぞ。
そして、せっかく人間ドラマを盛り上げることの出来る要素を全く機能させようとしないことで、映画が薄っぺらくなってしまう。何の罪も無いアラムートを襲っただけでなく、ダスタンは短剣の力を勝手に使うわ、タミーナを売り払うわ、首飾りを奪うわと、やりたい放題だ。
まだアラムートの無実が劇中で明らかにされる前から、ダスタンに全く魅力を感じないってのはツラい。
「暴れん坊の自由人」という感じにキャラ造形していることは分かるんだけど、かなり不愉快な奴になってしまっている。
大勢のペルシャ兵に追われている身でありながら父の葬儀に出ようとするとか、誰がどう見たって怪しさ満開のニザムを全面的に信用しているとか、ダスタンがボンクラなキャラになっているのも痛いなあ。ニザムの手に火傷の跡があるのを見つけた途端、急にダスタンは彼が悪党だと確信する。
その変化が、あまりにも急だ。
今までは全面的にタスを犯人だと思っていて、そこで急に「ニザムが犯人だ、間違いない」と確信する。「ひょっとしてニザムが犯人なのか」という疑念の時間帯はゼロだし、犯人だと気付いた時の驚きも無い。
「タスが悪党だ、コンチクショー」から「やっぱりニザムが犯人だ」と、一瞬にしてコロッと変化するのだ。
そして、今までタスを犯人だと決め付けていたことへの反省や悔恨も無い。「武器があるという情報で敵国に攻め込んだが、武器なんて見つからなかった」というのは、アメリカが「イラクは大量破壊兵器を保有している」と断定して先制攻撃を仕掛けたイラク戦争を連想させる。
あくまでも推測ではあるが、たぶんそれを意識して作られたシナリオだろう。
それは別にいいんだが、てっきり「武器が無いのにあると決め付けて攻め込んだ」という行動が批判される内容になっているのかと思いきや、「悪いのは攻め込んだ僕らじゃなくて、騙した奴が全て悪いんだい」ということで、うやむやの内にダスタンの行為は正当化されてしまうのだ。
ひでえな。それと、根本的な問題として、無駄に長いわ。116分も使うような内容じゃないよ。
何しろ、「とにかくアクションを盛り込んでおけば、それで満足するでしょ」という雑な作りなんだから。
前述したように、せっかく使える要素があるのに全く有効活用していないから兄弟愛のドラマはペラッペラだし、陰謀を巡るドラマの方も同様だ。恋愛劇に関しても、TPOを考えずにイチャイチャしていたせいで短剣を奪われるというボンクラなシーンがあったりして、どうにも冴えない。
最後は「なぜかアラムートを制圧した直後にタイムスリップする」という御都合主義で問題を解決してしまう。
だから結果的には、「アクションに特化した映画のはずなのに余計な要素を盛り込みすぎて、消化不良で無駄に時間を浪費している」という仕上がりになってしまっている。(観賞日:2014年8月9日)