『プレタポルテ』:1994、アメリカ

パリのプレタポルテ・コレクション。大物デザイナーのシモーヌは準備に追われている。シモーヌと不倫関係にある会長のオリビエは、ロシアから来たセルゲイという男と会う。だが車の中でハムサンドをノドにつまらせて窒息死。一緒にいたセルゲイは殺人犯として疑われ、逃亡する。
ワシントン・ポストのスポーツ記者ジョーはなぜかこの事件を追うことになったが、チェックアウトした部屋のことでヒューストン・クロニクルのファッション担当記者アンとトラブルに。しかし、なぜか2人はベッドイン。いい雰囲気になってしまう。
ファッション・リポーターのキティ・ポッターは取材を続けている。デザイナーのコートやサイ、ファッション・カメラマンのマイロ、ファッション雑誌バザーの編集長シシー、同じくボーグの編集長ニーナ、エルの編集長レジーナなど、多くの人々が集まっている。
シモーヌの息子ジャックにはディーンという妻がいるが、その妹キキと浮気している。ジャックはテキサスの靴メーカーの社長ラムローに、勝手にシモーヌの服を使わせる。ラムローはマイロに写真を撮影してもらい、自社のブーツを宣伝しようとしている。
シシー、ニーナ、レジーナはそれぞれマイロと独占契約を結ぼうとするが、恥をかかされて復讐に出る。オリビエの妻イザベラの元にはセルゲイが会いに来る。シモーヌは息子の勝手な振る舞いに怒る。様々な人々の、様々な悲喜劇がそこにある…。

監督はロバート・アルトマン、脚本はロバート・アルトマン&バーバラ・シュルガッセ、製作はスコット・ブッシュネル&ジョン・キリク&ロバート・アルトマン、製作総指揮はボブ・ワインスタイン&ハーベイ・ワインスタイン&イアン・ジェッセル、撮影はピエール・ミニョー&ジャン・ルパン、美術はスティーブン・アルトマン、衣装はカトリーヌ・ルテリエ、音楽はミシェル・ルグラン。
出演はソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、ローレン・バコール、スティーブン・レイ、キム・ベイシンガー、ティム・ロビンス、ジュリア・ロバーツ、リリ・テイラー、トレイシー・ウルマン、サリー・ケラーマン、リンダ・ハント、リチャード・E・グラント、フォレスト・ウィテカー、ルパート・エヴェレット、テリー・ガー、ダニー・アイエロ、ライル・ラヴェット、ミッシェル・ブラン、ジャン=ピエール・カッセル、ジャン・ロシュフォール他。


豪華なキャスティングによって繰り広げられる群像劇。実際にパリ・コレにカメラを持ち込んで撮影しており、ジャン・ポール・ゴルチェやジャン・フランコ・フェレ、ソニア・リキュエルといったファッション・デザイナーも登場する。

『ザ・プレイヤー』で豪華キャスト映画を作ることに味を占めてしまったのか、アルトマンは『ショート・カッツ』、そして『プレタポルテ』と3連発で豪華キャスト映画を持ってきた。しかし、この映画、キャストの豪華さだけで引っ張る映画である。

小粋な作品には仕上がっている。しかし、中身はとってもスカスカである。一応、皮肉は含有されている。最後にヌードのファッション・ショー、そして葬式での黒服の行進、さらに赤ん坊のヌードと続く部分は、衣服にこだわることへの皮肉だ。
ただし、そこだけ。他には毒も無いし、何にも無い。

これは、「豪華キャストが出ています」ということだけを楽しむ映画である。映画としての面白さは、決して期待してはいけないのである。
さすがロバート・アルトマン、たまにしか面白い映画は作らないのである。


第17回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:創設者賞

 

*ポンコツ映画愛護協会