『ポーキーズ/最後の反撃』:1985、アメリカ&カナダ

エンジェル・ビーチ高校に通うピーウィー・モリスは、仲間のトミー、ミート、ビリー、ウェンディー、ブライアンたちと卒業式に出席した。校長のカーターが挨拶し、ピーウィーの母であるミセス・モリスや教師のバルブリッカーたちが見守っている。卒業生が順番に呼ばれる中、ピーウィーはブロンド美女に続いて壇上へ向かう。するとインガはオッパイを見せ、彼を誘惑した。ピーウィーはガウンが脱げてしまい、出席者は立ち上がって彼に拍手を送った。それは全て、卒業が近いピーウィーの見ていた夢だった。
登校したピーウィーは、夢の内容を興奮した様子で仲間たちに語る。トミーとビリーがポルノ映画のフィルムを入手したことを明かすと、ピーウィーは強い興味を示した。ピーウィーたちは学校のAVルームで映画を観賞するが、バルブリッカーに見つかった。バルブリッカーの報告を受けたカーターは、首謀者は誰かと尋ねる。ビリーは自分が持ち込んだことを認め、「映画は見てみないと真価が分かりません」と告げる。トミーは「裸も出ますが、芸術作品です」と主張し、カーターは授業が始まるので6人を解放した。
トミーたちはバスケットボールの州大会準決勝に出場するが、大差を付けられてしまう。トミーはチアガールのコニーたちに「勝ったら乱交パーティーを開いてくれる?」と持ち掛け、OKを貰った。やる気になったチームは、逆転に持ち込んだ。試合終盤に交代で出場したピーウィーは、客席のブロンド美女に見とれてしまう。彼はボールを頭部に受けて昏倒するが、チームは勝利を収めた。ロッカールームに戻ったピーウィーは、「ブロンド美女を見たか。夢に出て来た」と言う。それはスウェーデンからの留学生であるインガだった。
バスケ部のコーチは、借金取りの2人組に捕まった。コーチが「まだ払えない。ポーキーに期限を延ばしてもらう」と言うと、2人組は「テメエが勝手に酔っ払って博打を打ったんだろ」と恫喝した。その会話を、ブライアンが聴いていた。バスケ部員はコニーの家へ行き、音楽に合わせてチアガールたちと踊る。コニーはトミーから「いつ始める?」と訊かれ、「両親が出掛けたらね」と答えた。コニーの両親が外食に出掛け、男たちは乱交パーティーを始めようとする。コニーたちは服を脱ぐよう促し、水着でプールに飛び込んだ。
コニーたちは水着を脱いだように装い、バスケ部員を全裸にさせる。コニーたちはプールから出てバスケ部員のパンツを手に取り、騙したことを楽しそうに明かした。そこへウェンディーとインガが来て、「映画を撮るの」とカメラを回すし始めた。しかしバスケ部員が堂々と全裸のまま上がって来たので、コニーたちは慌てて逃げ出した。そこへコニーの両親が帰宅したので、バスケ部員は慌ててパンツを履いた。バスケ部員は適当に取り繕い、屋敷を後にした。
車で移動していたピーウィーたちは、パーティーに参加しなかったブライアンと遭遇する。ブライアンはピーウィーたちの車に同乗し、「コーチを助けに『ポーキーズ』へ行くぞ。世話になった恩返しをするんだ。カジノの写真を撮って検事にタレ込む」と告げる。一行は『ポーキーズ』へ向かう途中、故障した車の修理をしている女性の後ろ姿を目撃する。彼女の尻に引き付けられ、ピーウィーたちは車を停めた。ミートが声を掛けると、ブロッサムという女性が振り返る。お世辞にも美人とは言えない容姿だったため、ピーウィーたちはミートを置き去りにして逃走した。ブロッサムはミートを気に入った様子で、嬉しそうに笑った。
ピーウィーたちは『ポーキーズ』へ行くが、潰れた状態のままで残っていた。周囲を見回した彼らは、川を移動するショウボートが新しい『ポーキーズ』になっていることを知った。ピーウィーたちは桟橋へ行き、船がで停泊するのを待ち受けた。そこへブロッサムの車で送ってもらったミートが現れ、ピーウィーたちに怒りをぶつけた。ブロッサムがポーキーに呼び掛けるのを見たピーウィーたちは、2人が父娘だと知った。
ブライアンはミートにカメラを渡し、ブロッサムを利用して船内を盗撮するよう指示した。閉店後の船内でブロッサムがミートにセックスを迫る中、ピーウィーたちは潜入して様子を伺う。しかしポーキーに見つかり、拳銃を向けられる。ブライアンは咄嗟に「来た理由がある。州大会を利用した儲け話です」と言い、ポーキーの興味を誘う。ピーウィーは八百長で負けると持ち掛け、コーチの借金をチャラにしてもらおうとする。
しかし翌日、トミーたちは「4年間の努力が無駄になる」と難色を示す。するとブライアンが「優勝するんだ。勝てばヒーローだ。誰も手を出せない。試合後に記者会見し、八百長を持ち掛けられたと話すんだ」と提案し、トミーたちは賛同した。ミートは生物の授業でカエルの解剖実験が出来ず、女性教師のウェブスターにメスを入れるよう指示される。ミートは「出来ません」と嫌がり、失神してしまった。その際、彼はメスでカエルを投げてしまい、それがウェブスターの胸元に飛び込んだ。
ミートは学内牧師のドビッシュから、「ウェブスター先生は全ての課外授業を辞めさせてでも、勉強させたいと言っている」と告げられる。ミートが「州大会があるんですよ」と訴えると、ドビッシュは「生物の試験に落ちたら、州大会はお前抜きだ。ウェブスター先生は、落第生にバスケはやらせない方針だ」と述べた。ピーウィーたちは深夜の生物教室を調べ、テスト用紙を見つけようとする。テスト用紙は見つからなかったが、トミーはアパートの鍵を発見した。
5人はウェブスターのアパートへ潜入し、ピーウィーの祖母が向かいのアパートにいるのを知る。ウェブスターが帰宅したので、5人は慌てて隠れた。ウェブスターはドビッシュと一緒に戻り、ミートを扱き下ろした。ドビッシュは幼児のように振る舞い、ウェブスターは女王様になってSMプレーを始める。翌日、ブライアンは仲間たちに、「今夜も2人は会うらしい。変態プレーを撮影して脅しを掛ける」と持ち掛ける。5人はピーウィーの祖母の部屋を借り、ウェブスターとドビッシュのプレーを撮影した。
休日にトミーたちはビーチへ出掛け、ウェンディーはママの学生時代のアルバムを見る。そこにはレスリング部長だったバルブリッカーの写真もあり、スヌーキーという同級生と親密だったことを知る。トミーが「また2人をくっ付けたら面白いだろうな」と何気なく呟くと、ウェンディーはバルブリッカーを装ってスヌーキーへの手紙を書いた。ピーウィーはトミーに、インガから「モーテルで待つ」とメモを貰ったことを嬉しそうに明かす。トミーが「タキシードで行け」と告げると、ピーウィーは感謝して着替えに行く。その間にトミーは、先回りしてインガとセックスしようと目論む。
ピーウィーがインガのメモだと思っていたのは、ウェンディーが用意した物だった。彼女はスヌーキーがモーテルへ来るとバルブリッカーに思わせ、ピーウィーと遭遇させる計画を立てたのだ。ウェンディーから計画を聞いたミートたちは、モーテルへ行って様子を観察することにした。そこへタキシード姿のピーウィーが来たので、ミートたちは驚いた。何も知らないトミーはモーテルへ行き、バルブリッカーに襲われた。トミーは慌てて逃げ出し、バルブリッカーに追い回された。
州大会決勝の日、ブライアンはミートから「写真は要らなかった。試験に落ちてるはずがない」と告げられる。しかし何も知らなかったブライアンは、「早く言ってくれ。先生の机に置いて来た」と口にする。ウェブスターはドビッシュが妻を州大会に連れて来ると知り、激怒して追い払う。その際、ドビッシュは写真の入った封筒を間違えて持ち去ってしまった。コーチはポーキーを見て、「まだ金は出来てない」と怯えながら言う。ポーキーはニヤリと笑い、「その問題は解決した。試合に大金を賭けた」と告げる。
ウェブスターはミートのテストが合格点に達していたにも関わらず、コーチに電話を掛けて「不合格だった」と嘘を告げる。キャプテンのミートを欠いたチームは、苦戦を強いられる。ドビッシュはウェブスターの元へ戻り、封筒に入っていた写真を見せる。ウェブスターは慌ててコーチに再び連絡し、ミートは合格だったと告げる。ミートが加わったチームは形勢を逆転させ、最後は途中交代のピーウィーが投げたボールがゴールに吸い込まれて逆転勝利を収めた。ポーキーは賭けに負けて激昂するが、ブロッサムがミートと関係を持ったと知って結婚させることにした…。

監督はジェームズ・コーマック、キャラクター創作はボブ・クラーク、脚本はジギー・スタインバーグ、製作はロバート・L・ローゼン、製作総指揮はメルヴィン・サイモン&ミルトン・ゴールドスタイン、撮影はロバート・ジェサップ、美術はピーター・ウーリー、編集はジョン・W・ウィーラー、音楽はデイヴ・エドモンズ。
出演はダン・モナハン、ワイアット・ナイト、トニー・ガニオス、マーク・ヘリアー、カーキー・ハンター、スコット・コロンビー、ナンシー・パーソンズ、チャック・ミッチェル、キンバリー・エヴェンソン、ローズ・マクヴェイ、フレッド・ブッチ、ウェンディー・フェイン、エリック・クリスマス、イルゼ・アール、ビル・ハインドマン、ナンシー・ハッシンガー、ハイジ・ヘルマー、ナンシー・ヴァレン、ドナ・ロサエ、エイドリエン・ウォルブリッジ、ドリーン・マーフィー、ローラ・トレイシー、サンディー・ミールケ他。


シリーズ第3作にして最終作。
監督は前2作のボブ・クラークからジェームズ・コーマックに交代。コーマックはTVドラマの演出や製作を手掛けてきた人で、映画監督は本作品が唯一。
脚本を手掛けたのは、これが初の劇場映画となるロバート・L・ローゼン。
ピーウィー役のダン・モナハン、トミー役のワイアット・ナイト、ミート役のトニー・ガニオス、ビリー役のマーク・ヘリアー、ウェンディー役のカーキー・ハンター、ブライアン役のスコット・コロンビー、バルブリッカー役のナンシー・パーソンズ、カーター役のエリック・クリスマス、モリス役のイルゼ・アールは、3作全てに出演しているレギュラー陣。
ポーキー役のチャック・ミッチェルは、1作目からの復帰。
他に、インガをキンバリー・エヴェンソン、ウェブスターをローズ・マクヴェイ、ドビッシュをフレッド・ブッチ、ブロッサムをウェンディー・フェインが演じている。

今回のポイントは、ポーキーが復活していること。
第2作で彼は登場せず、『ポーキーズ』のタイトルに合わない状態と化していた。作品の質が云々という前に、まず「ポーキー、もしくは売春宿『ポーキーズ』を登場させる」ってのがシリーズを続ける上での最低条件だろう。
なので、彼を復活させたことに関しては、素直に評価できる。
もう1つ、主要キャストの内の9人を最終作まで揃えたという部分も、やはり評価できる点と言っていいだろう。
シリーズ物において「レギュラー陣が続投する」ってのは、かなり重要な要素だ。

『ポーキーズ』はイスラエル映画『グローイング・アップ』シリーズを模倣した「ちょっとエロい青春学園物」であり、舞台となっている時代のヒット曲を流す演出も真似ていた。
The Plattersの『Only You』やChuck Berryの『Maybelline』など、1950年代のオールディーズ・ヒットをBGMに起用していた。
雰囲気を作り出すBGMとして上手く機能していたとは言い難いが、15曲が使われていた。
しかし2作目になると、使われるオールディーズ・ヒットは6曲へと一気に数が減った。

この3作目では、もはや「当時のヒット曲を使う」という方針さえ消えている。
当時のヒット曲がそのまま使われるのは、TVドラマのテーマ曲である『Peter Gunn Theme』だけだ。
ひょっとすると「他にもオールディーズ・ヒットが使われているぞ」と指摘したくなる人がいるかもしれない。
確かに、Carl Perkinsの『Blue Suede Shoes』やBobby Freemanの『Do You Want To Dance』、Bobby Darinの『Queen Of The Hop』など、1950年代のヒット曲は使われている。
しかし、それらは全てカバー・バージョンなのだ。

ただし、そのカバー・バージョンに参加しているメンバーは、無駄に豪華だ。
『Do You Want To Dance』と『Queen Of The Hop』は本作品の音楽を担当したDave Edmundsによるカバーで、Santo & Johnnyの『Sleepwalk』はJeff Beckが、Elvis Presleyの『Love Me Tender』はWillie Nelsonが、それぞれカバーしている。
また、今回はオリジナル楽曲も多く使われているが、こちらの参加ミュージシャンも無駄に豪華。
『I Don't Want To Do It』はBob Dylanの楽曲で、歌っているのはGeorge Harrison。『Philadelphia Baby』をパフォーマンスした「The Crawling King Snakes」という覆面グループには、Robert PlantとPhil Collinsが参加している。
豪華なメンバーが集まったのは、デイヴ・エドモンズの人脈ってのが大きいのかもしれない。
それにしても、こんなポンコツ映画の、しかも1作目ならともかく3作目に、なぜ参加したんだろう。ミュージシャンとして何のメリットも無いでしょ。
でも、そんなセンス、嫌いじゃないよ。

このシリーズは、どうせボンクラ度数の高い作品なんだから徹底して「おバカな艶笑喜劇」に徹すればいいものを、なぜか1作目でも2作目でも妙にマジな要素を盛り込んでいた。
1作目ではユダヤ人が人種差別を受ける要素を持ち込み、ポーキーズを巡る争いでは「若者が卑劣な大人に騙されて酷い目に遭う」という出来事を全く笑えない形で描いていた。
2作目ではカルト教団&KKK&腐敗した政治家が敵として配置され、それを徹底して茶化した笑いに昇華することも出来ていなかった。
そんな前2作に比べると、「おバカな青春コメディー」としてのテイストはダントツで高い。

エロの要素は1作目に比べれば大幅に減退しているが、それは2作目で既に薄くなっていた。最初から何の期待もしていなかったので、そこが弱くても大して気にならない。
また、1作目や2作目のように、人種差別や政治腐敗など妙にマジな要素も盛り込んでいない。
ピーウィーたちとポーキーの争いも、怒りを喚起するような内容ではない。塞ぎ込むバルブリッカーを見たウェンディーが反省し、スヌーキーと再会させるエピソードは笑い無しだが、そういう「ちょっといい話」なら歓迎できる。
でも、じゃあ映画としての質が高いのか、面白いのかというと、それは別。

ピーウィーは1作目のラストで、念願だったウェンディーとのセックスに及んで童貞を捨てる。2作目の彼は恋人気取りをトミーたちから嘲笑されるが、ウェンディーとは相思相愛になったはずだ。
しかし今回、ピーウィーはインガにメロメロで、ウェンディーへの思いなんて完全に消え失せている。一方のウェンディーも、ピーウィーへの気持ちを全く見せないどころか、自分の作戦に利用しようと目論んでいる。そしてウェンディーにはは、トミーとキスするシーンもある。
そりゃあ前作でも、ピーウィーとウェンディーが恋人同士という印象は乏しかったよ。だけど、ピーウィーはウェンディーがトミーたちからヤリマン扱いされていることに憤慨していたし、ウェンディーは「貴方と寝たのは好きで、セックスしたかったからよ」と言っていたでしょうに。
それを全て「無かったこと」にしちゃうのは、シリーズを見て来た人への裏切り行為じゃないかと。

ハッキリ言って、コメディーとしての質が高いわけではない。
それどころか、最初から最後までグダグダでユルユルだ。
ポルノ映画の観賞を発見されるエピソードでは、どういうオチを付けるかと思っていたら、カーターから「いつ試写会を開くのかね」と問われたトミーとビリーが歌いながら校長室を去り、何となくヌルッと終わってしまう。
コメディーはパンチラインが必須というわけではないが、それにしてもボンヤリした終わり方だ。

バスケットボールの試合では、乱交パーティーを求められたチアガールたちは拒否したのに、試合が始まると応援の掛け声でOKを表現する。
だったら、その前の断る手順は要らないでしょ。一度は断ったのなら、OKに変化するための手順が必要でしょ。
ピーウィーが頭部にボールを受けて倒れ込むのも、それがチームの勝敗に何の影響も及ぼさないので、無意味なだけになっている。
そこは例えば、「頭にボールが激突するけど、それが上手く跳ね返ったことが得点に繋がる」といった形で処理した方がいいでしょ。

パーティーが開かれると、プールに飛び込んだコニーたちは用意しておいた水着を放り投げ、全裸になったように見せ掛ける。
だけど、それは「向こうが水着を脱いだと確信した男たちが全裸になったら、騙されていたことが判明する」というタイミングで種明かしをした方がいいでしょ。
先に「コニーたちが水着を脱いだように装っている」ってのをバラしたら、その先の展開も見えちゃうわけで。
しかも、そこからの展開が無駄にゴチャゴチャする上にテンポが悪いもんだから、すんげえグダグダになっちゃってるし。

ポーキーと『ポーキーズ』を復活させるのは全面的に賛同できるが、その説明が下手。
コーチが恫喝されるシーンでポーキーの名前が出て来た時には、復活した彼の現状を説明するためのシーンを用意するんだろうと思っていた。ところが、ブライアンが「コーチを助けに『ポーキーズ』へ行くぞ」と言うと、「それはいいけど『ポーキーズ』に何の用だ」とトミーが口にする。
ってことは、「ポーキーが『ポーキーズ』を別の場所で再開している」ってのを全員が知っているのかと思ったら、1作目で潰れた店の場所に向かう。
新しい店のことを知らないのなら、前述の会話は変だろ。
そこは例えば、「もう『ポーキーズ』は潰れたはずだろ」とか、そういう台詞にしておくべきじゃないのか。

ブライアンはミートにカメラを渡し、ブロッサムを利用して船内を盗撮するよう指示する。だったらミートに任せておけばいいものを、なぜかピーウィーたちも船内に潜入する。
そうなると、ミートにカメラを渡した意味が無いでしょ。簡単に潜入できるんだから、自分たちでも盗撮できたでしょ。
その後、儲け話を持ち掛けられたポーキーが「バーで聞こう」と言うと、そこにミートとブロッサムがいるのでピーウィーたちは難色を示す。ブロッサムはミートに飛び付いて腰を振り、スロットマシンが激しく揺れる。
そこまで描いたんだから、何かトラブルが起きる流れになるのが当然だと思うでしょ。
ところが、何も起きない。ミートとブロッサムがポーキーに見つかることも、見つかりそうになってピーウィーたちが誤魔化すことも無いのだ。

ピーウィーたちがウェブスターとドビッシュの弱みを握るエピソードも、無駄な手間を掛けてダラダラしている。2人のSMプレーを目撃したんだから、その段階で「脅しの道具にする」という手順に移ればいい。
ところが、翌日になってから「変態プレーを撮影して脅そう」という計画が持ち上がり、ピーウィーの祖母の部屋を借りて撮影する手順に移る。
もうウェブスターたちが変態プレーをしていることは分かったんだから、さっさと片付ければいい。ピーウィーをパンで何度も殴る祖母のワイルドなキャラは面白いけど、手順としては無駄でしょ。
あと、ピーウィーの祖母は、そういうキャラ造形にするなら、もっと使った方がいいでしょうに。

ウェブスターはミートのテストを採点し、正解ばかりなので腹を立てる。そこへドビッシュが来るが、妻を州大会に連れて来ると知ったウェブスターは憤慨して追い払う。その際、ドビッシュは写真の入った封筒を間違えて持ち去ってしまう。
そういう手順を用意したなら、何かあると思うでしょ。
ところが、そこからの展開は「ウェブスターは不合格と嘘をついてミートの出場を阻止する」→「ドビッシュはウェブスターの元へ戻り、写真を見せる」→「ウェブスターはコーチに電話を掛け、やっぱりミートは合格だったと告げる」という内容だ。
だったら、ドビッシュが写真を持ち去る手順は全くの無駄でしょ。「採点していたウェブスターが不合格と嘘をつく」→「封筒の写真を見て、慌てて合格だと連絡する」という手順で済むでしょ。
この映画、そういう無駄な手順が多いんだよなあ。

(観賞日:2017年3月12日)


第8回(1985年)スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:作品賞

 

*ポンコツ映画愛護協会