『ポリスアカデミー'94/モスクワ大作戦!!』:1994、アメリカ

ロシア・マフィアのコンスタンティン・コナリが販売しているゲームが、世界中で爆発的にヒットしていた。大統領からコナリ逮捕を 急かされたモスクワ警察のレイコフ署長は、国際会議で出会ったポリス・アカデミーのラサード校長に協力を要請することにした。
ラサード校長はポリス・アカデミーのメンバーで選抜チームを結成し、ソ連へ向かうことにした。メンバーはジョーンズ巡査部長、 タックルベリー巡査部長、キャラハン警部、ハリス警部、それに新人のコナーズ候補生だ。実はコナーズは高所恐怖症の落ちこぼれ候補生 だったが、冗談でコンピュータのデータを優等生と入れ換えていたのだ。
ポリス・アカデミーの選抜メンバーはモスクワに到着し、レイコフ署長、タリンスキー警部補、それにガイド役のカトリーナ巡査部長に 会った。コナーズは、たちまちカトリーナに惚れてしまった。ラサードは到着早々、間違えて葬儀の車に乗り、そのままロシア人の家族と 仲良くなった。タリンスキーは、何とかラサードの不在を隠そうとする。
コナリはコンピュータの専門家アダムを呼び付け、世界中のコンピュータの機密ファイルにアクセスできるプログラムを作るよう命じた。 コナリはゲームのニューヴァージョンにパスキーを仕込み、コンピュータを操作して銀行の株式を支配するつもりなのだ。
ジョーンズたちはモスクワ警察に歓迎されていないことを知り、ポリス・アカデミーのメンバーだけでコナリを逮捕しようと考える。彼らは コナリ一味を挑発するため、存在をアピールした。コナリは手下にジョーンズたちの暗殺を命じるが、失敗に終わる。
ポリス・アカデミーのメンバーは、変装してコナリのカジノに潜入した、コナーズは気に入られてコナリの手下になり、キャラハンは歌姫 として彼の心を掴む。やがてジョーンズ達は情報を得てコナリを逮捕するが、それは罠だったために即座に釈放せざるを得なくなる。 ジョーンズたちは、モスクワ警察から国外退去を命じられてしまう…。

監督はアラン・メッター、脚本はランドルフ・デイヴィス&ミシェル・S・コードス、製作はポール・マスランスキー、共同製作は ドナルド・L・ウエスト、製作協力はスザンヌ・ロア、撮影はイアン・ジョーンズ、編集はデニス・ヒル&スザンヌ・ハインズ、美術は フレデリック・ウェイラー、衣装はナターリャ・ジュベンコ、音楽はロバート・フォーク。
出演はジョージ・ゲインズ、マイケル・ウィンスロー、デヴィッド・グラフ、レスリー・イースターブルック、G・W・ベイリー、 チャーリー・シュラッター、クレア・フォーラニ、ロン・パールマン、クリストファー・リー、リチャード・イズラエル、グレッグ・ バーガー、ウラジミール・ドリンスキー、パメラ・ゲスト、スチュアート・ニスベット、キャロリン・ケルソン、ロバート・ イアナコーン他。


“ポリスアカデミー”シリーズの第7作。
『ポリスアカデミー777(ラッキーセブン)/モスクワ大作戦!!』という別タイトルもある。
ラサールをジョージ・ゲインズ、ジョーンズをマイケル・ウィンスロー、タックルベリーをデヴィッド・グラフ、キャラハンをレスリー・ イースターブルック、ハリスをG・W・ベイリー、コナーズをチャーリー・シュラッター、カトリーナをクレア・フォーラニ、 コンスタンティン・コナリをロン・パールマン、レイコフをクリストファー・リーが演じている。

完全にマンネリ化しているシリーズだが、もちろんスタッフだって漫然と続編を作り続けているわけではない。
変化を加えるため、今回は「なぜかポリスアカデミーのメンバーがソ連の警察から協力を要請される」という強引極まりない設定によって 、モスクワでロケを行っている。
ロシアまで行った意味を問われると、「特に何も無い」と答えるしかないが。

コナーズが高所恐怖症だとか、軽業を見せるという最初の設定には、全く意味が無い。
ハリスとタリンスキーは、どちらも陰険でイヤな性格&やられ役と、完全に役割が被っている。
話はサーカス団の曲芸を見せるためだけに、無理に脇道にズレたりする。
ジョーンズは効果音モノマネを披露するし、タックルベリーは拳銃オタクなところをアピールする。
キャラハンはワイルド&セクシーにコナリを誘惑する。
毎度お馴染みの光景だが、そこに「偉大なるマンネリズム」としての面白さがあるわけではない。

ポリスアカデミーの歴代メンバーには、悪ノリ男のマホーニー、食らい抜けの太っちょストルマン、怪力ノッポのハイタワー、お子ちゃま ヴォイスのフックス、メガネのドジ男ファックラー、効果音男ジョーンズ、拳銃オタクのタックルベリー、ワイルドな姐御キャラハン、 陰険オヤジのハリス、暴走男ゼッド、真面目な中年スウィートチャックなどがいた。
だが、シリーズが続く中で、メンバーは次々に姿を消して行った。
第5作にして、主演のスティーヴ・グッテンバーグ(マホーニー)、第2作から参加したティム・カザリンスキー(スウィートチャック) 、ボブ・ゴールドスウェイト(ゼッド)が消えた。
そして今作品では、ババ・スミス(ハイタワー)もいなくなった。
もはや、飛車角落ちどころの話ではない。

1作目から残っているのはジョージ・ゲインズ、デヴィッド・グラフ、マイケル・ウィンスロー、レスリー・イースターブルック、 G・W・ベイリーの5人。
で、誰かが消えた代わりに、その穴を埋める人材が加われば問題は無いのだが、そうではない。
今回は新米警官コナーズが加わるが、彼が主役として活躍するのかというと、そうでもない。
そもそもスティーヴ・グッテンバーグが降板した段階でシリーズを終わらせるか、あるいはグッテンバーグの代わりになる人員を入れる べきだったのに、それをやらずに残ったメンバーだけでシリーズを続行したのが致命的な失敗だったと断言できる。
まあしかし、そもそもシリーズの初期は面白かったのかと問われると、それは言わずもがなというシロモノだったわけで、そんなシリーズ の7作目に期待する奴が愚かだとも言える。
ゴミ箱にゴミが入っているのは当たり前、文句を言うのは御門違いってことだ。

(観賞日:2004年10月12日)

 

*ポンコツ映画愛護協会