『ポリスアカデミー4/市民パトロール』:1987、アメリカ

ポリス・アカデミーの校長ラサールは教え子のマホーニーやジョーンズたちを集め、市民パトロール計画を発表した。市民から有志を募って 訓練し、自警団を組織するというのだ。市長の支持を得ており、州知事からは来月にイギリスで開かれる国際警察会議で披露するよう依頼 されたとラサールは語る。彼はマホーニーたちに、会議に出席している間に計画を軌道に乗せるよう指示した。
かつてポリス・アカデミーで勤務していたハリスは、現在は警察署長になっていた。ハリスはハースト警察長官に対し、「市民パトロール 計画はメチャクチャだ。市民が警官をやり始めたら、現職の警官は失職してしまう」と意見を述べた。「知事が称賛しているのだから従う しかない」とハーストはクールに言うが、ハリスは納得できなかった。
ポリス・アカデミーの教官は市民パトロール計画を宣伝するため、それぞれの担当場所へと散らばった。ゼッドは詩を愛する女性サークル の会合場所に赴き、主催者ローラと会った。ハイタワーの元には、幼い頃から知っている肥満の黒人青年コンクリンが現れ、参加したいと 申し出た。タックルベリーは妻の実家で会食し、義父から「計画に参加する」と聞かされた。義父と義弟バドが笑いながら殴り合う様子を 見て、タックルベリーは唖然とした。
スケボー青年アーニーとカイルは、ハリスの部下コープランド巡査部長から目の仇にされていた。ショッピングモールでスケボーをして いたカイルは、コープランドに見つかった。コープランドがカイルを突き飛ばすと、後ろにいた判事にぶつかった。慌てたコープランドは 、逃げるカイルを捕まえようとする。カイルはアーニーの元に行き、一緒に逃走した。
警察署に戻ったコープランドは、アーニーたちに逃げられたことをハリスに報告した。ハリスはプロクターを伴って出動し、アーニーたちを 追跡した。マホーニーたちが市民ホールで計画の説明をしていると、アーニーとカイルが逃げ込んできた。そこにハリスたちが駆け付け、2人 を逮捕した。彼らは裁判で有罪になるが、マホーニーは判事に「まだ若い2人を刑務所に入れるより、市民パトロール計画に参加させては どうか」と提案した。判事も承諾し、アーニーたちの弁護士バターワースも参加することになった。
タックルベリーとキャラハン警部補は計画の説明のため、老人ホームへ行く。老人たちは、キャラハンの尻に欲情を示した。タックルベリー がミリタリー好きの老女フェルドマン夫人に面会すると、計画に参加するための準備を済ませていた。計画の初日、集まった参加者の前で、 ラサールは挨拶を行った。取材に来た女性記者クレアに、マホーニーは興味を抱いた。
ラサールは会議に出席するため、2週間に渡ってハリスが代理を務めることになった。ハリスは市民パトロール計画の参加者に「この計画 は警察の職務の邪魔になる。さっさと元の職場に戻れ」と言い放ったが、ハイタワーの飼っているドーベルマンに股間を噛まれてしまう。 ハイタワーは犬を捨てるよう命じられるが、クレアが引き取ってくれることになった。
訓練が開始された。射撃訓練では、フェルドマンが実弾を撃ちたがり、タックルベリーの拳銃を借りて発砲した。水難者の救助訓練では、 プールに入ったキャラハンのシャツが透けてオッパイが丸見えになり、男子が一斉に飛び込んだ。ゼッドはローラに惚れるが、ハリスから 「イチャつくな」と怒鳴られた。ゼッドはシャワー室に忍び込み、ハリスのワキガ止めスプレーと痴漢撃退スプレーを摩り替えた。何も 知らずに痴漢撃退スプレーを使ったハリスは、脇から煙を噴出させて絶叫した。
エアロビクスの授業では音楽のテープが無かったため、ジョーンズが口で伴奏を付けた。格闘技の訓練では、スウィートチャック教官が コンクリンに捻じ伏せられた。アーニー、カイル、コンクリンが訓練をサボろうとするので、ゼッドが怒鳴り付けた。ハリスとプロクター はマホーニーに騙され、ハードゲイが集まるバー“ブルー・オイスター”に足を踏み入れてしまった。マホーニーたちが訓練生とバスケを しているとプロクターが現れ、「ズルっ子だ、ハリス署長に言い付けるぞ」と嫌味っぽい口調で告げた。マホーニーたちは、プロクターが 入った仮設トイレをクレーンで吊り上げ、スタジアムに移動させた。
アーニー、カイル、コンクリンは「訓練は退屈だ、早く実戦に出たい」と不満を漏らした。それを知ったマホーニーとジョーンズは、 「凶悪犯2名を逮捕するから協力しろ」と言い、彼らを連れ出した。マホーニーたちは、銃撃戦で1人を殺したと見せ掛け、その兄の凶悪犯 ババウーラとアーニーたちを護送車に乗せた。実は、ババウーラは変装したハイタワーだった。ババウーラが呪文を唱えるので、アーニー たちは怯えた。さらに、死体が入っているはずの布袋から、ホッケーマスクでチェーンソーを持ったタックルベリーが飛び出したため、彼らは 慌てて車から飛び出した。
教官と市民パトロール隊員がプールサイドでパーティーを開いていると、ハリスがやって来て「中止しろ」と怒鳴った。マホーニーは隙を 見て、ハリスの拡声器に強力接着剤を塗り付けた。気付かずにそれを使ったハリスは、拡声器が口から離れなくなった。同じ頃、ロンドン ではラサールが日本警察代表団の一員である教え子のナガタや各国代表団の面々と語らっていた。そこへハーストが現れ、「ラサールの 地域交流計画を見てもらいたい」と告げて、代表団を街に招待した。
翌日から、市民パトロール隊は街に出て活動を開始した。フェルドマンは盗品売買が行われている倉庫を発見し、ローラとバターワースを 呼び寄せた。フェルドマンは倉庫に突入し、そこにいた一人の男を取り押さえた。だが、それは囮捜査で潜入していた刑事だった。ハリス は市民パトロール隊員の前で、「しばらく計画は中止して、今回の不祥事を調査する」と通告した。
ラサールとハーストが各国代表団を引き連れ、ポリス・アカデミーに戻って来た。ハリスは代表団を自分の警察署に案内し、プロクター には留置所のチェックを命じた。プロクターは囚人のリーダー格であるザックに騙されて拳銃を奪われ、牢屋に閉じ込められる。牢屋を 出た囚人たちは、ハリスや代表団を牢屋に閉じ込め、警察署から脱走した。それを目撃したフェルドマンの連絡を受け、ポリス・アカデミー の教官と市民パトロール隊は出動する…。

監督はジム・ドレイク、キャラクサー創作はニール・イズラエル&パット・プロフト、脚本はジーン・ クインターノ、製作はポール・マスランスキー、製作協力はドナルド・ウエスト、撮影はロバート・サード、編集はデヴイッド・ ローリンズ、美術はトレヴァー・ウィリアムズ、衣装はアレイダ・マクドナルド、音楽はロバート・フォーク。
出演はスティーヴ・グッテンバーグ、ババ・スミス、ジョージ・ゲインズ、G・W・ベイリー、ボブ・ゴールドスウェイト、マイケル・ ウィンスロー、デヴィッド・グラフ、ティム・カザリンスキー、シャロン・ストーン、レスリー・イースターブルック、マリオン・ ラムジー、ランス・キンゼー、コリーン・キャンプ、アンドリュー・パリス、アーサー・バタニデス、ジャッキー・ジョセフ、デレク・ マクグラス、スコット・トムソン、ビリー・バード、ブライアン・トチ、ブライアン・バッカー、デヴィッド・スペード、タブ・タッカー 、コリンヌ・ボーラー、ランダル・“テックス”・コッブ、マイケル・マクマナス他。


“ポリスアカデミー”シリーズの第4作。
このシリーズはレギュラーが多い。1作目からの連続出演者は、スティーヴ・グッテンバーグ(マホーニー)、ババ・スミス(ハイタワー )、ジョージ・ゲインズ(ラサール)、マイケル・ウィンスロー(ジョーンズ)、デヴィッド・グラフ(タックルベリー)、マリオン・ ラムジー(フックス)、ジョージ・R・ロバートソン(ハースト)。
2作目からの連続出演者は、ボブ・ゴールドスウェイト(ゼッド)、ティム・カザリンスキー(スウィートチャック)、ランス・キンジー (プロクター)、アンドリュー・パリス(バド)、アーサー・ベタニデス(タックルベリーの義父)。
G・W・ベイリー(ハリス)は1作目からの返り咲き(実は2作目にも結婚式のゲストとして出演していたがアンクレジット)。レスリー ・イースターブルック(キャラハン)とスコット・トムソン(コープランド)は1作目&3作目に続いての出演。ブライアン・トチ (ナガタ)は3作目からの連投。コリーン・キャンプ(タックルベリーの妻カークランド)とジャッキー・ジョセフ(タックルベリーの 義母)は2作目からの返り咲き。
今回の初登場組は、クレア役がシャロン・ストーン、バターワースがデレク・マクグラス、フェルドマンがビリー・バード、アーニーが ブライアン・ベッカー、カイルがデヴィッド・スペード(これがデビュー作)、コンクリンがタブ・タッカー、ローラがコリンヌ・ ボーラー。
脚本は前作に引き続いてジーン・クインターノが執筆。監督のジム・ドレイクは主にテレビ畑で活動している人で、長編映画を手掛ける のは本作品が初めてとなる。

市民パトロール計画の広報をしている最中、ハリスがスケボー青年たちを追い掛ける話が入って来る。
なぜか良く分からないがコープランドがアーニーたちを目の仇にしていて、ハリスとプロクターも絡んでくる。
「ショッピングモールでスケボー青年が暴れて逃げられた」という報告を受けただけで、なぜか署長のハリス自らが出動する。
まだバトロール隊員集めの作業がそんなに進んでいないんだから、そっちをもう少し続けた方がいいんじゃないかと思っていたら、 アーニーたちも計画に参加させるという展開になる。
でも、スケボー青年という設定は、全く活用されない。
スケボーが流行していたから、とりあえず取り込んだというだけだろう。

マホーニーはアーニーたちを刑務所に送らず計画に参加させようと言い出すが、彼らを助けてやる理由は何も無い。それによって マホーニーが得るメリットも無いし、ハリスをヘコませてやろうというわけでもない。市民パトロール計画の参加者が少ないから、誰で もいいから集めたいということでもない。
そうなると、青年を更正させてやろうという、真面目な考えからの行動としか解釈できない。
だとすると、マホーニーも変わったよね。
ある意味、警官として成長したってことなのか。
ただし、ハリスがカムバックしたことで、マホーニーも彼と絡む時には、1作目のような「イタズラを仕掛ける」という行動を 見せる。
市民パトロール計画に関して、ハリスが外から妨害するという手もあるが、反対する立場なのに代理を任されるという強引な筋書きに よって、あえて中から邪魔をする形にしている。
これは1作目と同じパターンをやるためだ。

その部分もそうだし、この作品の9割はマンネリズムで出来ている。
タックルベリーの義父と弟が笑いながら殴り合うのは、2作目と同じネタ。ゼッドが真面目な場所で無作法で場違いな態度を取るのは、 3作目でもあったパターン。マホーニーが新登場の女性キャラをナンパして恋仲になるのもパターン通り。マホーニーたちが新入りを 教えるのは3作目と同じパターンだ。
パターンを踏襲するのは、ある程度は構わない。ガラリとテイストや構成が変わってしまったら、シリーズとしての意味が失われる可能性 もある。
だけど、このシリーズは、あまりにもマンネリズムに陥りすぎている。しかも、その踏襲しているパターンが、そんなに面白いわけじゃ ないのよね。
面白くないパターンを繰り返して、そりゃ面白くなるはずがないわな。

このシリーズでは、「新しい要素」は「新しいキャラクター」とイコールだと言い切ってもいい。
3作目でも数名の新キャラが登場したが、2作目からの続投になるゼッドが一人で頑張っていたという印象だった。
今回は、さらにパワーダウン。まず市民パトロール隊員のメンバーを集めるシークエンスのテンポが悪いし、新メンバーのキャラ紹介も 薄っぺらいし、グダグダだ。
新メンバーで最も存在感があるのは、フェルドマンだろうか。ただし、もっとハチャメチャに暴れてもいいとは思うが。
ローラはゼッドの恋人になるというだけで、キャラとしての面白味は無い。
アーニー、カイル、コンクリンは、ひとまとめにされる扱い。アーニーとカイルなんて、わざわざ別枠のような形で登場しておきながら、 そんな感じなのね。

レギュラーのキャラは一応、それなりに役割を与えられている。
マホーニーはイタズラ、ハイタワーは怪力、ジョーンズは声帯模写とカンフー、タックルベリーは白バイの運転と射撃、キャラハンは色気 と格闘といった具合だ。
ただ、なんせ新しいメンツも加わっており、今までのシリーズ同様、捌くのに苦労している印象。
っていうか、上手く捌き切れているとは言い難い。
旧メンバーの中では、アクの強いゼッドが、今回も一番の存在感と言っていいだろう。スウィートチャックはゼッドと一緒に行動すること が多い分、出番も多い。
マホーニーなんて主役のはずなのに、実は消えている時間も多い。少ない出番で存在感を発揮するというわけでもない。一応、終盤の 捕り物ではメインとして活躍の場を与えてもらっているけど、キャラとしての面白味は薄い。

クライマックスはエア・ショーに逃げ込んだ囚人を捕まえるための大捕り物で、プロペラ機のアクロバット飛行や飛行機の上でのスタント など、そこだけはアクション映画的な見せ場を作る。
で、最後は逃げた囚人たちを捕まえて「市民パトロールは素晴らしい」と称賛されているけど、実際に囚人を捕まえるシーンで活躍した のは、市民パトロール隊員じゃなくてポリス・アカデミーの教官ばかりだよな。
まあ、そりゃあ旧メンバーが美味しいトコを持って行くのが当然だとは思うけどさ。

(観賞日:2009年11月23日)

 

*ポンコツ映画愛護協会