『ポリスアカデミー3/全員再訓練!』:1986、アメリカ

州知事は経費削減のため、2つのポリス・アカデミーの内の1つを廃校にすることを決定した。2つのアカデミーとは、ラサール校長の学校と、元16分署の警部だったマウザーが子飼いのプロクターと共に始めたアカデミーだ。州知事はラサールとマウザーに対して、委員会の調査によって最終的な決定が下されることを告げた。
マウザーはラサールのアカデミーで働くコープランドとブランクスを呼び付け、スパイ活動を命じた。一方、ラサールは教官のキャラハン達と相談し、新たな教官として卒業生であるマホーニー、ハイタワー、タックルベリー、ジョーンズ、フックスを呼び寄せた。
ラサールのアカデミーには、今回も様々な新入生がやって来た。元暴走族の頭ゼッド、照明器具店の店長だったスウィートチャック、タックルベリーの義弟バド、警官ファックラーの夫人、美しい女性カレン、金持ちのヘッジス、内気な娘サラ達だ。マウザーのアカデミーを訪れた日本人研修生ナガタも、ラサールのアカデミーに回されて来た。
マホーニー達はラサールのアカデミーを存続させるため、新入生達を特訓する。しかしコープランドとブランクスの妨害行為もあって、何度も問題を起こしてしまう。両アカデミーの争いが続く中、ヘッジスがヨット・ハーバーで悪党一味の存在に気付く。ヘッジスは慌ててマホーニーに連絡を入れるが、悪党一味に捕まってしまう…。

監督はジェリー・パリス、キャラクター原案はニール・イズラエル&パット・プロフト、脚本はジーン・クインターノ、製作はポール・マスランスキー、製作協力はドナルド・L・ウエスト、撮影はロバート・サード、編集はバド・モーリン、美術はトレヴァー・ウィリアムズ、衣装はアレイダ・マクドナルド、音楽はロバート・フォーク。
出演はスティーヴ・グッテンバーグ、ジョージ・ゲインズ、ボブ・ゴールドスウェイト、ババ・スミス、デヴィッド・グラフ、マイケル・ウィンスロー、マリオン・ラムジー、レスリー・イースターブルック、アート・メトラノ、ティム・カザリンスキー、ショーン・ウェザリー、スコット・トムソン、ブラント・ヴァン・ホフマン、ブルース・マーラー、エド・ネルソン、デブラリー・スコット他。


“ポリスアカデミー”シリーズの第3作。前作に引き続いてメガホンを執ったジェリー・パリスは、これが遺作となった。脚本は、『ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝』のジーン・クインターノ。
邦題には「全員再訓練」とあるが、これは内容と合っていない。訓練を受けるのは新人だけで、ポリアカの旧メンバーは教官の立場だ。

前作や前々作からの出演者が、非常に多い。まず1作目からの連続出演者は、スティーヴ・グッテンバーグ(マホーニー)、ジョージ・ゲインズ(ラサール)、ババ・スミス(ハイタワー)、デヴィッド・グラフ(タックルベリー)、マイケル・ウィンスロー(ジョーンズ)、マリオン・ラムジー(フックス)、ジョージ・R・ロバートソン(ハースト警察長官)。
2作目から引き続いての出演は、ボブ・ゴールドスウェイト(ゼッド)、アート・メトラノ(マウザー)、ティム・カザリンスキー(スウィートチャック)、ランス・キンジー(プロクター)、アンドリュー・パリス(バド)、アーサー・ベタニデス(バドの父親)。
そして1作目からの返り咲きは、レスリー・イースターブルック(キャラハン)、スコット・トムソン(コープランド)、ブラント・ヴァン・ホフマン(ブランクス)、ブルース・マーラー(ファックラー)、デブラリー・スコット(ファックラー夫人)、ジョージナ・スペルヴィン(娼婦)。

とにかく登場キャラクターが多いため、それぞれを簡単に紹介し、それを捌くだけで精一杯。だから、ストーリーを綴る余裕など無い。しかし、それは今に始まったことではない。1作目も2作目も、ストーリーらしきストーリーは無かったのだから。
完全なニューフェイスとしては、カレン役のショーン・ウェザリーやナガタ役のブライアン・トチが出演。このシリーズ、マホーニーが惚れるヒロインはデクノボー扱いなので、カレンも同じく単なるマホーニーの女という扱いで終了している。

ナガタは格闘が得意というキャラ設定だが、明らかに香港(中国)と日本がゴチャ混ぜになっているのは御愛敬。その格闘が得意という設定や、カタコトの英語を話すという設定があるのだが、彼が受け持つコントは「キャラハンに恋をする」という内容。そのスケッチの中で、前述したようなキャラクター設定は全く使われていない。

前作ではポリアカのメンバーとほとんど絡まなかったゼッドが、今回はアカデミーに入学。元暴走族という設定を逸脱し、ボブ・ゴールドスウェイトというコメディアンの持ち味を生かすような扱いになっている。だから彼だけは他の面々と違い、おバカなところ、うるさくて傍迷惑なところ、利口なところなど、その場に応じて様々な一面を披露する。
とはいえ、前述したように多くのキャラクターを処理する必要がある。だから比較的扱いの良いゼッドでさえも、序盤にスウィートチャックとコンビを組んでクローズアップされる時間帯はあるが、消えている時間も少なくない。金持ちのヘッジスや内気な箱入り娘サラといったニューフェイスなどは、ほとんど存在感の無いままで終わっている。

バドなどは、与えられた設定が上手く使いこなせていない。彼は前作で、笑いながら父親と殴り合うという“楽しい暴力ファミリー”という設定で登場した。この作品でも、父親と殴り合うシーンはある。しかし、アカデミーに入学してしまうと、もう父親は登場しない。それ以降は、ただのダメな新入生という扱いになり、ほとんど何も出来ていない。
出演者&役名を紹介した時点で、コメントを終えてもいいぐらいだ。基本的には、みんな1作目&2作目でも披露した芸を繰り返すだけ。舞台がアカデミーに戻り、立場が変わり、キャラクターが増えた。しかし、一芸披露のコント集というパターンは一緒だ。

 

*ポンコツ映画愛護協会