『ポリスアカデミー2/全員出動!』:1985、アメリカ

16分署の管轄では、予算削減による警官不足もあって犯罪が多発していた。ピーター・ラサール署長はハースト警察長官から、30日以内に犯罪を減少させなければクビにすると宣告される。ラサールは警察学校の校長をしている兄エリックに電話を掛け、警察官の補充を依頼した。エリックは、卒業生6名を送り込むことにした。
16分署に新しく配属されたのは、マホーニー、ハイタワー、タックルベリー、ジョーンズ、ファックラー、フックスの6名だ。署長の座を狙うマウザー警部は子飼いのプロクターと共に、マホーニー達に失敗させてラサールを失脚に追い込もうと企む。
マウザーの指示によって、マホーニーは太っちょのストルマンと、タックルベリーは女性警官カークランドとコンビを組まされる。カークランドは、タックルベリーの上を行くガンマニアだった。タックルベリーは彼女に惚れ込み、やがて交際するようになる。
街では、ゼッドが率いる暴走族が好き放題に暴れ回っていた。スウィートチャックの照明器具店は、何度もチンピラに襲われていた。マホーニーやタックルベリー達は、誤って味方同士で激しい銃撃戦を行い、照明器具店を破壊してしまう。
チンピラ達に襲われたラサール署長は、マホーニー達に徹底的な取り締まりを命じた。マホーニー達は街で暴れるチンピラ達を44人も捕まえるが、マウザーが適当に理由を付けて全員を釈放する。ラサールは署長の座を降り、マホーニーは停職処分になった。マホーニーはチンピラに変装し、ゼッドの暴走族に潜入することにした…。

監督はジェリー・パリス、キャラクター原案はニール・イズラエル&パット・プロフト、脚本はバリー・プロースタイン&デヴィッド・シェフィールド、製作はポール・マスランスキー、共同製作はレナード・クロール、製作総指揮はジョン・ゴールドウィン、撮影はジェームズ・クレイブ、編集はボブ・ワイマン、美術はトレヴァー・ウィリアムズ、衣装はバーニー・ポラック、音楽はロバート・フォーク。
出演はスティーヴ・グッテンバーグ、ババ・スミス、デヴィッド・グラフ、マイケル・ウィンスロー、ブルース・マーラー、マリオン・ラムジー、コリーン・キャンプ、アート・メトラノ、ハワード・ヘッセマン、ジョージ・ゲインズ、ボブ・ゴールドスウェイト、ジュリー・ブラウン、ピーター・ヴァン・ノーデン、ティム・カザリンスキー、エド・ハーリヒー、サンディ・ウォード他。


“ポリスアカデミー”シリーズ第2作。前作からは監督も脚本も入れ替わっている。マホーニーをスティーヴ・グッテンバーグ、ハイタワーをババ・スミス、タックルベリーをデヴィッド・グラフ、ジョーンズをマイケル・ウィンスロー、ファックラーをブルース・マーラー、フックスをマリオン・ラムジー、カークランドをコリーン・キャンプが演じている。
他に、マウザーをアート・メトラノ、ラサール署長をハワード・ヘッセマン、ラサール校長をジョージ・ゲインズ、ゼッドをボブ・ゴールドスウェイト、ストルマンをピーター・ヴァン・ノーデン、スウィートチャックをティム・カザリンスキーが演じている。
登場するキャラクターの内、前作からの生き残り組は、マホーニー、ハイタワー、タックルベリー、ジョーンズ、ファックラー、フックス、そしてラサール校長。それと、2作とも出番は少ないが、実はハースト警察長官も地味に続投している。

このシリーズは、全面的にキャラクターに頼った作劇法を取っている。しかも、1人の登場人物に対して1つの役割だけを与えるという感じで、「浅く広く」の色付けにしている。そのため、1人のキャラが色々なパターンを披露することは出来ない。
よって、基本的には前作の繰り返しになる。マホーニーは陰険な上司にイタズラをやらかし、ハイタワーはすました顔で怪力を発揮し、タックルベリーは銃を乱射し、ジョーンズは声帯模写で人々を騙し、ファックラーは天然ボケを見せ、フックスはオドオドしておいて最後だけ強気な態度を示す。これらは全て、前作の繰り返しだ。

ある程度は前作のパターンを踏襲するというのが、続編映画の常道だ。この映画も常道に従い、前作を踏襲する。ポリアカ卒業生の中ではタックルベリーの登場を最初にするという、全く必要の無いところまで、前作のパターンを踏襲している。
しかし、まるっきり同じでは、単なる焼き直しになってしまう。そこで今作品は、前作から引き続いての登場キャラを使って新しいことを行わせるのではなく、新しいキャラクターを登場させることで、違ったパターンを盛り込む作戦を取っている。なぜなら前述したように、既存のキャラを使っても同じパターンしか生み出さないからだ。

それなりに、既存のキャラにも新しいパターンを加えようとしている意識は覗える。ジョーンズのカンフーや、ハイタワーのネズミ嫌いという設定だ。しかし、ジョーンズのカンフーはブルース・リーのパロディーとして笑えるレヴェルに達しているわけではなく、チープな素人のモノマネに終わっている。ハイタワーのネズミ嫌いも、ほとんど意味が無い。
新しく登場したキャラクターでは、マウザーは前作のハリスと同じ役回り。ラサール署長はボケていた兄のラサール校長と違い、何の特徴も無い普通の署長。プロクターは最初は天然ボケを見せるが、すぐに凡庸なマウザーの腰巾着に成り下がる。

ストルマンも、だらしない性格とか食いしん坊という設定は、それほど使われない。見た目が太っちょというだけなら、前作のバーバラと大差が無い。ゼッドはアクの強いキャラだが、終盤にマホーニーと少し絡むぐらいで、ポリアカの面々との絡みは非常に少ない。
結局、出番は非常に少ないが、父と息子が笑いながら殴り合い、母が息子の髪を掴んで引きずっていくというカークランドのファミリーが、最も強烈な新キャラクターだったような気がする。カークランド本人はタックルベリーと被るので、それほど強烈でも無いけれど。

前作と同じく、コントを繋げて1本の映画に仕立て上げている感じだ。
ストーリーらしいストーリーは無いに等しい。
前作の訓練スケッチが、今回は街のパトロールに変わっただけだ。
それぞれのキャラクターが一芸を披露するパターンに変わりは無い。

 

*ポンコツ映画愛護協会