『ポリスアカデミー』:1984、アメリカ

メアリー・スー・ビール新市長が市警察の警官採用法を一新し、一切の基準を撤廃した。そのため、はみ出し者が大挙して警察学校に押し寄せた。荒っぽい警備員タックルベリーや、苛められっ子の現像屋バーバラも、警官学校に入学することにした。
駐車場係マホーニーは、客とトラブルを起こして警察に捕まった。これまで何度も問題を起こしているマホーニーだったが、その度に警官だった父の友人・リード署長が助けていた。しかし今回、リードはマホーニーを助けず、刑務所行きが嫌なら警官学校に入学するよう告げた。自分から逃げた場合、やはり刑務所に送るという。
マホーニーは警察署で知り合った黒人ジョーンズと共に、警察学校に入学した。他にも、金持ちの令嬢トンプソン、黒人の大男ハイタワー、プレイボーイのマーティン、女房持ちのファックラー、臆病な黒人女性フックスといった面々が、警察学校に入学した。
新市長の方針に批判的なハースト警察長官は、ラサール校長とハリス警部に対し、生徒達が自分から退学を申し出るよう仕向けろと命じた。ハリスは自分に忠実な新入生ブランクスとコープランドを使い、はみ出し者の生徒達を追い出そうと画策する。
ハリスと鬼教官キャラハン警部補の下、14週間に渡る訓練が開始された。マホーニーはラサール校長に退学を直談判するが、リードとの約束で処分は無理だと言われてしまう。マホーニーはハリスへのイタズラを繰り返し、何とか退学処分を食らおうとする。しかし、マホーニーはトンプソンに惚れたため、警察学校での訓練を続けることにした。
運転教習の際、ハイタワーはフックスを罵ったコープランドに怒り、彼の乗った車を引っ繰り返して退学処分を食らってしまう。マホーニーも、コープランドの車を壊した犯人として退学処分を言い渡される。そんな中、街では大規模な暴動が発生する…。

監督はヒュー・ウィルソン、原案はニール・イズラエル&パット・プロフト、脚本はニール・イズラエル&パット・プロフト&ヒュー・ウィルソン、製作はポール・マスランスキー、撮影はマイケル・D・マーガリーズ、編集はロバート・ブラウン&ザック・ステーンバーグ、美術はトレヴァー・ウィリアムズ、衣装はクリストファー・ライアン、音楽はロバート・フォーク。
出演はスティーヴ・グッテンバーグ、キム・キャトラル、G・W・ベイリー、ババ・スミス、ドノヴァン・スコット、ジョージ・ゲインズ、アンドリュー・ルービン、デヴィッド・グラフ、レスリー・イースターブルック、デブラリー・スコット、マイケル・ウィンスロー、ブルース・マーラー、テッド・ロス、スコット・トムソン、ブラント・ヴァン・ホフマン、マリオン・ラムジー、ジョージナ・スペルヴィン他。


“ポリスアカデミー”シリーズ第1作。ヒュー・ウィルソンは初の映画監督、パット・プロフトは初の映画脚本。
マホーニーをスティーヴ・グッテンバーグ、カレンをキム・キャトラル、ハリスをG・W・ベイリー、ハイタワーをババ・スミス、バーバラをドノヴァン・スコット、ラサールをジョージ・ゲインズ、マーティンをアンドリュー・ルービンが演じている。
他に、タックルベリーをデヴィッド・グラフ、キャラハンをレスリー・イースターブルック、ジョーンズをマイケル・ウィンスロー、ファックラーをブルース・マーラー、フックスをマリオン・ラムジーが演じている。また、怒る運転手役でヒュー・ウィルソン監督が出演している。

漫画原作者の小池一夫先生は、作劇の際には何よりもキャラクターを立たせることを重視すべきだと言っている。主人公のキャラクターを立たせ、存在感を見せ付けることによって、話を進めて行く。キャラクターの魅力に、物語は引っ張られて行くという具合だ。
さて、この映画は、ある意味では小池一夫先生の作劇法を使っている。とにかく、キャラクターが全てという作品だ。そして、それぞれのキャラクターには分かりやすいキャラクター設定が与えられており、それを使うことによってエピソードを積み上げて行く。

例えば、お調子者のマホーニーはイタズラ、ハイタワーは怪力、マーティンはプレイボーイ、タックルベリーはガンマニア、ファックラーは天然ボケ、ジョーンズは効果音といった具合だ。

ただし小池一夫作品とは違い、主人公に圧倒的な魅力を持たせるのではなく、大勢の登場人物に大して「浅く広く」のキャラクター設定を行っている。
あまりに主要キャラが多いため、天然でドジをやらかす役割がバーバラ、ラサール、ファックラー、コープランドと被っているとか、臆病キャラがバーバラとフックスで被っているという問題が生じている。また、トンプソンは世間知らずの令嬢というキャラがあるはずなのに全く生かされず、すぐにデクノボーに成り下がっている。
前半は脇の脇で印象が薄かったハイタワーは、後半になって一気に扱いが大きくなっている。だが、そういうパターンのキャラクターは彼だけだ。主要キャラクターが多すぎるため、マーティンのように、わずかな見せ場だけで終わっている者もいる。

しかしながら、そもそも各人物のキャラクター設定は、1つのパターンの笑いをこなすためだけの色付けで止まっているのだ。だから、あまり多くの見せ場を1人のキャラに対して与えると、あっという間にマンネリ化してしまう危険性があるのだ。
何しろ、ストーリーらしいストーリーは、ほとんど無いに等しい。ポリス・アカデミーのメンバーによるコントを繋げた、スケッチ集という感じだ。キャラ設定が全てという作品だから、そのキャラを使いすぎてマンネリ化ししまったら、もう目も当てられない。

全く関連性は無いが、エロが無くてヒット曲を流さない『グローイング・アップ』、あるいは『ポーキーズ』という雰囲気がある。『グローイング・アップ』からエロとヒット・ナンバーを取り除いたら、どうなるのかを考えてみると、まあ、そういうことである。
ただし、日本語吹き替え版で見た場合、声優陣の活躍によって、随分と質は上がっているはずだ。

 

*ポンコツ映画愛護協会