『プラン9・フロム・アウター・スペース』:1959、アメリカ
宇宙人は地球人の兵器開発を止めるためにコンタクトを取ろうと試みていた。地球人は原子爆弾や水素爆弾に続いてソーラー爆弾を作り、それを爆発させることよって宇宙全体を滅ぼしてしまうという過ちを犯す。それを宇宙人は予知していたのだ。
しかし地球人は自分たちのメッセージを無視するだけでなく、宇宙人の存在さえも認めようとはしない。そこで彼らは第9計画を実行に移す。それは死体を甦らせて操ることにより、宇宙人の存在を認めさせようという計画だった。
まず一人の女性が墓地から甦り、発見した墓堀り人を殺害。同じ頃、飛行機を操縦していたジェフ・トレントは空飛ぶ円盤を目撃する。ジェフは妻ポーラに円盤を目撃したことを話す。そのポーラは第9計画によって甦った老人に襲われそうになる。
女性、老人に続き、墓地での事件を捜査していて死亡したクレイ刑事が甦る。皇帝から指令を受けた宇宙人イロスとティナは地球にやって来た。彼らは自分達の円盤にジェフ、軍のエドワード大佐、ハーパー警部補を迎え入れるのだが…。監督&脚本&製作&編集はエドワード・D・ウッドJr.、製作総指揮はJ・エドワード・レイノルズ、製作協力はヒュー・トーマスJr.&チャールズ・バーグ、撮影はウィリアム・C・トンプソン、特殊効果はチャールズ・ダンカン、音楽監督はゴードン・ザーラー。
出演はトー・ジョンソン、ヴァンパイラ、トム・キーン、グレゴリー・ウォルコット、ベラ・ルゴシ、ジョン・ブレッキンリッジ、ライル・タルボット、ダドリー・マンラブ、モナ・マッキンノン、デューク・ムーア、ジョアンナ・リー、カール・アンソニー、ノーマ・マッカーティ、デヴィッド・デ・メリング、コンラッド・ブルックス、グロリア・ディー、ベン・フロマー、ポール・マルコ他。
映画史上に残る、エド・ウッドの最低傑作。冒頭、インチキ予言者クリズウェルが「この恐怖に耐えられますか?」と語り掛けてくるが、恐怖はない。終わった後、今度は「これは事実です。あなたは否定できますか」と問い掛けてくるが、簡単に否定できる。
なぜならバカだから。老人役はベラ・ルゴシ。だが撮影前に彼は死んでいるので、生前に撮影された別の映画のフィルムを使用。ただしドラキュラ映画のフィルムを使っているので、復活した老人はなぜか黒マント姿である。墓地が舞台になるのも、その関係だろう。
しかし、アリモノのフィルムだけではさすがに足りなかったようで、他の人間にマントで顔を隠させて、ベラ・ルゴシの代わりを務めさせている。ルゴシの代役を演じているのは、エド・ウッドを担当していたカイロプラクティスの先生らしい。
相変わらず予算が無いので、装置も衣裳も全てチープ。いきなり椅子に座った2人の男。背後にはカーテンで仕切られた出入り口。で、それが飛行機の操縦席だと主張する。彼らが目撃するのは、糸で吊られたオモチャ丸出しの空飛ぶ円盤。
さらに宇宙人が登場するが、どう見てもコスプレしたアメリカ人にしか見えない。彼らは宇宙基地らしき場所で皇帝の指示を仰ぐのだが、その場所も宇宙っぽい内装がほとんど無いので、まるでコントのセットにしか見えなかったりする。
死体を甦らせて自分達の存在を認めさせようとする宇宙人。なんてバカな計画。甦らせた死人は光線銃で操るのだが、途中で故障してしまう。でも「床に叩き付ければ電流が流れる」と言って、実際に銃を床に叩き付けると死人の動きが止まる。
叩けばOKなんて、のび太の家のテレビみたいだ。宇宙人と地球人が誤解によって対立する姿を描いているのだと思うが、単に考えの足りないバカな連中が争っているだけにしか見えない。
でも、エド・ウッドの作品なので、頭が悪いのは当たり前なのだ。自分の意思とは裏腹に、ここまでのクズ映画を作れるなんて凄いぞ、エド・ウッド。