『パーフェクト・ストレンジャー』：2007、アメリカ
ニューヨーク・クーリエ紙の記者ロウィーナ・プライスは、デヴィッド・シェーンという名前で記事を書いている。彼女はゲイの市民権を 封じ込めていたサックス上院議員が実はゲイだった証拠を掴み、彼の元を訪れた。ロウィーナはサックスのインターンだった男から宣誓 供述書など複数の証拠を取っており、サックスを問い詰めた。さらにロウィーナはパソコンを使ってサックスとの会話を密かに盗聴し、 それを本社にいる同僚マイルズに録音させていた。
ロウィーナは大きなスクープを掴んだことに喜び、バーでマイルズと祝杯を挙げる。だが、そこへ編集長のナーロンが現れ、「インターン が寝返って口をつぐんだ。記事の掲載は取り止めだ」とロウィーナに告げる。さらにロウィーナは、「社主の命令だ。２週間の有給休暇を 取れ」と告げられる。前回の選挙で新聞社がサックスを支援したため、彼を批判する記事は書くなということだ。激怒したロウィーナは、 「こんな会社、辞めてやる」と言い放って店を出た。
ロウィーナが地下鉄の駅にいると、旧知の仲であるグレースが声を掛けて来た。グレースは、ロウィーナがサックスをマークしていたこと を知っていた。彼女は「いいネタがある」と言い、チャットを通じて知り合った大手広告代理店「Ｈ２Ａ」社長のハリソン・ヒルと不倫 していること、最近になって連絡が途絶えたことを語る。彼女は「このままじゃ終わらせない。ハリソンを追って」と言い、自分と彼が やり取りしたメールの記録をロウィーナに手渡した。
１週間後、ロウィーナの元に、グレースの母エリザベスから電話が掛かって来た。グレースが行方不明になっており、ニューヨークの警察 から溺死体の身元確認に来てほしいとう連絡があったという。ロウィーナが死体の確認に赴くと、それはグレースだった。ロウィーナは エリザベスに付き添い、テハダ刑事の事情聴取に出向いた。テハダから交際している相手について問われたエリザベスは、チャックという 恋人がいたものの、最近は上手く行っていなかったことを語る。そのことは、ロウィーナも１週間前に聞かされていた。
エリザベスはロウィーナに、「グレースは貴方の記事を良く読んでいたわ」と告げる。しかしロウィーナは、グレースに自分がデヴィッド ・シェーンだと明かしていなかった。彼女がアパートに戻ると、マイルズが待っていた、ロウィーナは「グレースと最後に会ったのはいつ ？私が誰かと縁を切ったからって、貴方も切っているとは限らないわね」と言う。彼女はサックスのことも、自分がデヴィッド・シェーン であることも、全てマイルズがグレースに喋ったのだと確信していた。
ロウィーナから「なんで黙ってたの」と責められたマイルズは、「メールで何度かやり取りしただけだよ」と釈明する。しかし「彼女が君 の彼氏とのキャメロンと寝た時からは関わってないよ」と不用意なことを言ったため、さらにロウィーナを怒らせてしまった。マイルズが 「警察は何って言ってる？」と訊くと、ロウィーナは「フィラデルフィアにいるグレースの彼女に目を付けてる。でも私は違うと思う」と 言い、ハリソンのことを明かした。
ロウィーナはマイルズに、グレースが「奥さんに全てバラす」と脅したせいでハリソンに殺されたのだという推理を語った。グレースが メールを交わした相手は、「ADEX」と名乗っていた。ロウィーナはマイルズに協力してもらい、他のメールも手に入れた。グレースはADEX 宛てに、「ニューヨークにいるから今すぐ会って。そうじゃないと奥さんに全てバラす」というメールを送っていた。マイルズは「これ だけでは証拠にならない。ADEXからメールを受け取れたら、そこから辿ってアカウントを探ることも出来るけど」と言う。
ロウィーナはマイルズの協力により、派遣スタッフとしてＨ２Ａに入り込んだ。彼女はキャサリン・ポーグという偽名を使い、庶務課主任 エスメラルダの部下として働き始めた。ハリソンは師匠的な存在であるライバル会社のキルシェンバーグ社長と会った。キルシェンバーグ との会話で、ハリソンは内部情報が漏れていることを知る。ハリソンは秘書のジョージーに、内通者を見つけ出すよう指示した。
ロウィーナはエスメラルダから、ヴィクトリアズ・シークレットのパーティーで使うプレゼントの準備を指示された。彼女が仕事をして いると、マイルズから電話が入った。マイルズは、グレースが沈められる前に目から毒を盛られていたこと、妊娠３ヶ月だったことを語る 。ロウィーナはスタッフのジーナと話し、ハリソンが数年前に２人の女性スタッフに手を出してセクハラ訴訟を起こされたこと、揉み消し に大金を使ったこと、それに懲りてジョージーを窓口係として起用したことを知る。ジョージーはレズビアンなので、ハリソンと不倫関係 に陥る恐れは無いのだという。
ジーナによると、セクハラ訴訟があって以来、ハリソンの妻ミアの監視も厳しくなっているらしい。去年の秋にヴェロニカという派遣社員 がいたのだが、ハリソンと仲良く水を飲んでいるのをミアに見られただけで、クビにされてしまったのだという。ミアは大富豪の娘であり 、ハリソンは逆玉結婚したのだが、次に浮気がバレたら離婚されて財産を失うことになるらしい。Ｈ２Ａには、かつてハリソンと噂に なったことのあるベッサニーという女性社員もいた。ヴィクトリアズ・シークレットのパーティー会場でトイレに入ったロウィーナは、 ジョージーがベッサニーを「社長に迷惑を掛けるようなことはしないで」と諌めている様子を目撃した。
ロウィーナはチャットルームに入り、ADEXとの接触を試みた。そこへマイルズから電話が入り、ロウィーナのアカウントを使ってADEXに 誘いを掛けるメールを送っていたことを明かす。ロウィーナは彼を責めるが、ADEXがチャットで誘って来た。ロウィーナは名前を訊かれ、 ヴェロニカと答えた。しかしADEXがエッチな言葉ばかりを並べて口説いて来たので、ロウィーナは不愉快になって「お休み」とチャットを 終わらせ、電話でマイルズに怒りをぶつけた。
ハリソンは幹部のフェルプスがキルシェンバーグへの内通者だと突き止め、彼を乱暴に追い出した。ハリソンはフェルプスを解雇し、部下 だったガナーを後釜に据えた。ロウィーナが会社で仕事をしている最中、オンラインではADEXが接触してきた。「このアカウントをどこで 知った？」と問われ、ロウィーナは「Ｈ２Ａで派遣をやってた」と答える。「あの子か。会えないかな」と誘われ、「彼氏がうるさいの」 と返すと、「写真を送って」と要求される。ロウィーナはマイルズに頼み、ヴェロニカの写真を用意してもらった。
ロウィーナはヴェロニカの写真をADEXに送ろうとするが、パソコンがフリーズしてしまう。ヴェロニカの写真が大写しになったままなので 焦っていると、ハリソンが声を掛けて来た。ロウィーナは画面を見られないように気にしながら、彼と会話を交わす。ハリソンが飲みに 誘って来たので、ロウィーナは「今回は遠慮しておきます。仕事で評価してもらいたいんです」などと言い、何とかパソコンの電源を 切った。ハリソンが去ろうとすると、ロウィーナは呼び止めて「もし気が向いたら、行くかもしれません」と告げた。
終業後、ロウィーナはマイルズと共に、検視局のビル・パテルと会った。パテルは２人に、グレースが盛られた毒がベラドンナだったこと を話す。「どこで買うの？」というロウィーナの質問に、彼は「その辺の薬局では売っていないけど、入手ルートはある。今はネットで 何でも手に入るし」と答えた。ロウィーナはヒルと会って酒を飲み、彼から口説かれた。帰宅した彼女は、酔っ払ったマイルズからの電話 を受けた。電話を切った直後、ADEXがチャットで口説いて来た。
ロウィーナは性的なことを求めるADEXのチャットに付き合い、「ハリソン・ヒル」と呼び掛けたり「イメージする場所はＨ２Ａで」と提案 したりする。ADEXがそれらを受け入れたため、ロウィーナは相手がハリソンだと確信する。ロウィーナはチャットを続けながら、マイルズ に「ADEXはハリソン・ヒルよ」と知らせるメールを打つ。だが、それはロウィーナの勘違いだった。実は、マイルズがADEXに成り済まして ロウィーナにエロティックなチャットを要求していたのだった。
翌朝、キャメロンがアパートへ来たので、ロウィーナは彼とキスを交わす。そこへマイルズから電話が入り、「話したいことがある」と店 を指定してきた。キャメロンがいることに気付いたマイルズは、「グレースの赤ん坊のＤＮＡ鑑定に呼ばれてるらしいけど、もう彼から 聞いてる？グレースと11月に会ってたらしいけど」とロウィーナに教える。電話を切ったロウィーナはキャメロンを問い詰め、彼が11月に グレースと会って関係を持っていたことを知る。ロウィーナは激怒し、キャメロンを追い出した。
ロウィーナがアパートを出ると、ハリソンが車で迎えに来ていた。ロウィーナが車に乗り込む様子を、張り込んでいたジョージーが目撃し 、エスメラルダに電話を入れる。ロウィーナはマイルズと会い、ミアの父親の会社が医療施設に多額の資金援助を行っていること、その中 にはベラドンナを使った画期的な手術を生み出した研究者がいることを語る。マイルズは「これでヒルとベラドンナの関係も分かった。後 はヒルのＨ２Ａのアカウントを入手するだけだ」と口にする。
マイルズは「ファイヤーウォールが新しくなっていて、Ｈ２Ａのアカウントには外から侵入できない」と言い、ロウィーナにスパイウェア を渡して「みんなが会社から帰った後、これをヒルのパソコンに仕込んでハードディスクに侵入させろ」と指示した。ハリソンの部屋に 侵入したロウィーナはスパイウェアを仕込もうとするが、アンチウェアによって妨害された。焦った彼女は、マイルズに電話を入れる。 マイルズから撤退するよう指示された直後、オフィスにハリソンが現れた。
ハリソンはロウィーナがキルシェンバームの送り込んだスパイだと思い込み、激しく怒鳴り付けた。ロウィーナは「貴方に手紙を書いて いたんです。みんなが帰ってから部屋に侵入したのは、貴方に夢中なのを他の人には知られたくなかったから」などと言い訳をする。その 釈明を信じたハリソンは、彼女をバーへ誘った。ハリソンからキスされたロウィーナは、トイレを理由に席を外す。その間にロウィーナの 携帯電話が鳴った。ハリソンは掛けてあった彼女の上着から携帯を取り出した。「ヒルのパソコンには他の方法で侵入する。Ｍより」と いうマイルズからのメールを目にしたハリソンは、やはりロウィーナはキルシェンバームのスパイだと確信した…。監督はジェームズ・フォーリー、原案はジョン・ボーケンキャンプ、脚本はトッド・コマーニキ、製作はエレイン・ゴールドスミス＝ トーマス、共同製作はステファニー・ランゴフ＆ダニエル・Ａ・トーマス、製作協力はスティーヴン・イーズ、製作総指揮はロン・ ボズマン＆デボラ・シンドラー＆チャールズ・ニューワース、撮影はアナスタス・ミコス、編集はクリストファー・テレフセン、美術は ビル・グルーム、衣装はレネー・アーリック・カルファス、音楽はアントニオ・ピント、音楽監修はデニス・ルイソ。
出演はハル・ベリー、ブルース・ウィリス、ジョヴァンニ・リビシ、ゲイリー・ドゥーダン、リチャード・ポートナウ、パティー・ ダーバンヴィル、クレア・ルイス、 フロレンシア・ロザーノ、ニッキー・エイコックス、キャスリーン・チャルファント、ゴードン・マクドナルド、ダニエラ・ヴァン・ グラース、ポーラ・ミランダ、タマラ・フェルドマン、ジェリー・ベッカー、ジャレッド・バーク、ジェイ・ウィルキンソン、アーロン・ ノータ、ジェーン・ブラッドバリー他。
『ＮＹＰＤ１５分署』『コンフィデンス』のジェームズ・フォーリーが監督を務めた作品。
原案担当は『テイキング・ライブス』のジョン・ボーケンキャンプ。
ロウィーナをハル・ベリー、ハリソンをブルース・ウィリス、マイルズをジョヴァンニ・リビシ、ナーロンを リチャード・ポートナウ、キャメロンをゲイリー・ドゥーダン、テハダをフロレンシア・ロザーノ、グレースをニッキー・エイコックス、 エリザベスをキャスリーン・チャルファント、サックスをゴードン・マクドナルドが演じている。ロウィーナがサックスを追い詰めたり、スクープを潰された上にナーロンから休暇を命じられて激怒した彼女が会社を辞めたりする序盤 のシーンが、ほとんど意味の無いモノになっている。
後の展開に、サックスもナーロンも全く関与して来ないし。
一応、「スクープを潰されて激怒し、会社を辞めた」という経緯を最初に描くことで、「そういう出来事があったので、ロウィーナが グレース殺害に関するスクープをモノにしようと動き出す」というところへ繋げている。
だけど、そもそも「スクープのために行動する」という形にしていること自体、失敗じゃないかと思うしね。ロウィーナにとって被害者のグレースは、幼い頃から親しかった間柄だ。
だったら、「友人を殺した犯人を見つけ出したい」という思いから行動させた方が、観客も彼女に感情移入しやすいはず。
しかし、なぜか本作品は、そこをモチベーションとして見せていない。
それどころか、早い段階で「ロウィーナはグレースと縁を切っていた」「ロウィーナはグレースに彼氏を寝取られていた」という事実を 明かし、ロウィーナがグレースを快く思っていなかったことを観客に示してしまう。
実際のモチベーションが「友人のため」でなかったとしても、そういう風に見せ掛けた方が良かったんじゃないのか。なぜか本作品は、ロウィーナを最初から不愉快なキャラ造形にしている。
前述した「サックスを追い詰める」「激怒して会社を辞める」といった辺りのシーンも、ロウィーナを魅力的なキャラとして描くための モノになっておらず、むしろ逆の印象を与える。
だけど、この映画が用意しているオチからすると、ロウィーナは好感の持てるキャラにしておくべきでしょ。
完全ネタバレだけど、グレースを殺した犯人はロウィーナなのよ。
だけどロウィーナを不愉快キャラにしておくと、それが明らかにされてもインパクトが弱くなるでしょ。話が進むにつれて、ロウィーナが何をやろうとしているのか、だんだんボンヤリしてくる。
ロウィーナは変名を使って会社に入り込んだり、チャットルームで別名を使ってハリソンと接触したりしており、その中で「パソコンが フリーズしてハリソンにヴェロニカの写真を見られるかもしれないピンチ」というスリルを用意したりしている。
だけど、ハリソンがプレイボーイだとか、奥さんの監視が厳しいとか、そういった女関連の情報は仕入れるものの、本来の目的である 「ハリソンがグレースを殺した証拠を掴む」という部分に関しては、一向に進展していないのよね。
で、進展していないのに、その前の段階で長く尺を使ったり、スリルを用意したりしているのだ。そういうマズい構成になったのは、ハリソンが犯人じゃないってのが大きい。
犯人じゃないどころか、グレース殺害には爪の先程も関与していないので、どれだけ調べたところで、彼が犯人だと疑わせるような証拠は 何一つとして出て来ない。
だから、ロウィーナの調査が真相に全く近付いていない段階で、長く時間を費やしたり、サスペンスを用意したりする構成になって しまうのは、仕方が無い。
ただし、それを言い訳にして本作品の評価を甘くすることは出来ない。
そういうプロットで映画を作った以上、そこの問題を打破するのも製作サイドの責任だからだ。マイルズはミアの父親の会社が医療施設に多額の資金援助を行っていること、その中にはベラドンナを使った画期的な手術を生み出した 研究者がいることをロウィーナに語り、「これでヒルとベラドンナの関係も分かった。後はヒルのＨ２Ａのアカウントを入手するだけだ」 と言っている。
その時点で、ロウィーナは「ADEXは自分がハリソン・ヒルだと認めた」と信じているはず。
なのに、そのことには全く言及しないのね。
あと、Ｈ２Ａのアカウントを入手するためにスパイウェアを仕込まなきゃならないってことは、ロウィーナがチャットをやっていたのって 、全くの無意味じゃねえか。
しかも、マイルズがADEXに成り済ましていたのも途中でバラしちゃってるし、それって何のために持ち込んだ筋書きなのかと。大体さ、マイルズは「これでヒルとベラドンナの関係も分かった。後はヒルのＨ２Ａのアカウントを入手するだけだ」と言っているけど、 ホントにそうなのか。
ハリソンのＨ２Ａのアカウントを入手したって、それで「ハリソンがグレースを殺した犯人」という証拠が固まったとは到底思えないぞ。
ハリソンがグレースを殺したことを示すような決定的な証拠は、何も入手していないでしょうに。
もしもマイルズの言うように「アカウントが手に入れば証拠は充分」ってことなら、ロウィーナの会社での情報収集は全くの無意味 でしょ。
っていうか、実際に無意味なんだけどさ。
ハリソンが複数の女に手を出していることが分かっても、だから何だって話だよな。ハリソンのパソコンにアンチウェアが仕掛けられていると知ったマイルズは「やっぱり何か隠している」と言い、ロウィーナは「情報漏れ があったから対策を取ったんだと思う」と口にするけど、かなりの大企業なんだから、ウイルスやスパイウェアの対策を取っているのは 当たり前でしょ。
この映画って、企業のセキュリティー対策へのイメージが甘すぎるよ。
マイルズが何のチェックも受けずにＨ２Ａのフロアまで上がり込み、「ネットワークのパソコンがダウンするとメッセージが出るので、 呼ばれました」というデタラメな説明でハリソンが納得して彼にパソコンを触らせるってのも、どんだけセキュリティーが甘いのかと。
そんなに警備がユルいのなら、ロウィーナが派遣スタッフに成り済まして会社で働く必要なんて無かったじゃねえか。前述したように、グレースを殺した犯人はロウィーナであり、その罪をハリソンに被せるために行動する。
で、計画通り、ハリソンを有罪に仕立て上げることに成功した後、観客にも彼女が犯人であることが明らかにされる。
アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』のような叙述トリックを映像作品でやろうとしているんだけど、「ロウィーナが犯人」と 明かされても、「ああ、あの時のアレは、そういうことだったのか」と腑に落ちるような伏線の張り方、ヒントの見せ方をしていないので 、そこに「気持ち良く騙された快感」ってのが無い。
そこにあるのは唐突感ばかりだ。ロウィーナが犯人と明かされたところで、彼女が派遣スタッフとして会社に入り込んだのも、ハリソンを有罪に仕立て上げる証拠を捏造 するための行動だったことが分かり、そこに意味は生じている。
でもね、ホントは、どんでん返しに到達する前の時点で、ロウィーナの行動は「表向きの目的」において意味があるように、観客には 感じさせておかなきゃマズいでしょ。
たぶん、まず「ヒロインが犯人」という叙述トリックありきで、そこから話を固めていったんだろうけど、そこで失敗してるんだよな。ロウィーナが犯人と分かってから振り返った時に、整合性が取れていないんじゃないかと思ってしまう。
彼女の言動に、「観客を騙す」という目的を取り除いた場合、果たして必要なのかと疑問を覚えてしまう部分が多いのだ。
あと、グレースを殺してハリソンに罪を被せるという目的を達成するために、そこまで手の込んだ行動が必要なのかってのも引っ掛かる。
例えば、ミアがベラドンナを使って自分の目をアップにした写真を撮影しているからって、わざわざベラドンナを入手し、グレースを殺す 時に使う必要ってあったのかなと。（観賞日：2012年9月15日）