『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』:2010、カナダ&アメリカ

海の神ポセイドンはエンパイア・ステート・ビルの屋上へ赴き、全知全能の神ゼウスと会った。ゼウスが「私の雷を盗んだな」と言うので 、ポセイドンは「互いの力を盗むのは禁じられている」と犯行を否定した。するとゼウスは「子供なら盗める」と、ポセイドンの息子を 犯人扱いした。
ポセイドンは「息子だというのか。幼い頃から会っていないし、息子は自分の正体も知らない」と否定するが、「お前の息子が犯人なら、 冥界のそこまで突き落とすぞ」とゼウスは言う。ポセイドンが「息子に手を出したらただじゃおかんぞ」と凄むと、ゼウスは「稲妻を返却 させろ。今日から14日後の夏至の夜12時までにだ。返さなければ戦争だぞ」と激しい怒りを示す。彼は屋上のドアを破壊し、オリンポス山 へと戻って行った。
ヤンシー・アカデミーに通う高校生のパーシー・ジャクソンは、水に潜って7分も耐えられる能力を持っていた。水の中では、彼は安らぎ を感じることが出来た。その一方で、彼は難読症を抱えていた。パーシーは授業中、英語の代理教師のドッズに指名され、黒板に記された 『オセロ』のセリフの意味を答えるよう言われる。だが、文字が揺れ動いて読み取れず、「分かりません」と答えるしかなかった。
帰宅したパーシーは、母のサリーに「難読症が酷くなってるみたいだ。多動性障害かも」と言う。サリーが「辛いだろうけど、いつか答え が出るわ」と告げると、パーシーは「いつ?今日、明日?」と苛立ちを示した。パーシーは義父のゲイブを嫌悪しており、母に「どうして 、あんな奴と一緒にいるの?酷く臭い奴だ。昼間で寝ていて、仕事もしない」と不満を漏らす。サリーは「彼は私たちのためになってる」 と説明するが、パーシーは納得できなかった。
パーシーは親友のグローヴァーやクラスメイトたちと共に、課外授業でギリシャ・ローマ博物館を訪れた。中に入ろうとすると、パーシー の頭の中で「これから何もかも変わるぞ」という声が響いた。パーシーが振り向くと、ポセイドンの姿があった。しかし、パーシーは彼の ことを知らないので、特に気にすることも無く、博物館へ足を踏み入れた。ブルナー先生が生徒たちに、ギリシャの神々について語った。 彼は、神々が地上に降りて人間と関係を持つことがあり、そうやって産まれた子供は「デミゴッド」と呼ぶのだと説明した。
ブルナーはパーシーに、「デミゴッドの多くは英雄になった。ヘラクレス、アキレス、他には?ヒントは、君の名に似ている」と質問した 。パーシーが展示物に目をやると、そこに書かれていた古代ギリシャ文字が英語に変化する。パーシーは「ペルセウス」と正解を出した。 その様子を見ていたドッズは、「話がある」と彼を別室へ連れ出す。すると突然、ドッズは恐ろしい怪物に変身した。ドッズは「稲妻を どこに隠した?今すぐ渡せ」と言い、パーシーに襲い掛かった。
パーシーが逃げ惑っていると、グローヴァーとブルナーが駆け付けた。ブルナーが「パーシーを放せ。お前をバラバラにするぞ」と脅しを 掛けると、ドッズは飛び去った。ブルナーは険しい表情で、グローヴァーに「エリニュスが学校に紛れ込むとは」と告げる。パーシーが 「俺が稲妻を盗んだとか言ってた」と語ると、ブルナーは「訓練所に入れよう。盗んだと思われたら安全な場所は無い」とグローヴァーに 言う。彼は「これで身を守れ。武器だ。本当に危機が迫った時に使え」と言い、パーシーにペンを渡した。
ブルナーはグローヴァーに、「パーシーを母親の元へ連れて行け」と指示した。グローヴァーはパーシーから「なぜお前が一緒に来る?」 と訊かれ、「守護者だから。お前を命懸けで守る」と答えた。グローヴァーはサリーに会い、「パーシーを逃がさないと」と告げる。 サリーはすぐに事態を理解し、パーシーとグローヴァーを車に乗せた。パーシーが「訓練所って何?」と尋ねると、母は「貴方のように 特別な子を鍛える場所よ」と言う。「特別って、どこか変ってこと?」という質問に、「違うわ。貴方の父親に関係がある」と彼女は返答 する。パーシーが「父は俺たちを捨てて家を出て行った」と言うと、サリーは「仕方なくよ。貴方を愛してたわ」と述べた。
訓練所の近くまで来た時、ミノタウロスが襲い掛かって来た。車は横転し、グローヴァーは半人半獣の精霊サテュロスの姿に変身して脱出 した。パーシーとグローヴァーは訓練所の門をくぐるが、人間であるサリーは入ることが出来なかった。ミノタウロスがサリーを捕まえた ため、パーシーは戦おうとする。グローヴァーに「ペンを使え」と言われたパーシーがペンを取り出すと、剣に変化した。ミノタウロスが 右手に力を込めて握り潰すと、サリーの姿は煙のように消失した。パーシーはミノタウロスを倒すが、気を失った。
それから3日後、パーシーは診療所のベッドでに目覚めた、グローバー、グローヴァーはパーシーに訓練所を案内し、「ここはハーフの 訓練所だ。お前はデミゴッドだ。ここで力の使い方を学び、指導者や勇者になるための訓練を受ける」と語る。「俺は英雄じゃないよ。字 も読めないし」とパーシーが言うと、彼は「それがお前の才能だ。文字が読めないのは古代ギリシャ語が頭の中にあるからだ。落ち着きが 無いのは、生き延びるための戦いの反射能力だ」と解説した。
訓練所を移動していたパーシーは、剣を使って訓練をしている女性を見掛けて興味を示す。グローヴァーに尋ねると、彼女はアナベスと いう名で、アテナの娘だという。グローヴァーは「会わせたい人がいる」と言い、ブルナーの元へパーシーを連れて行く。ブルナーの正体 は、ケンタウロス族の賢者であるケイロンだった。ブルナーは「正体を隠していたのは、君を守るためだ」とパーシーに述べた。
パーシーはブルナーから、父であるポセイドンが作った自分専用の家を見せられた。ブルナーは「ビッグ3の子供が産まれるのは珍しい。 ゼウスとハデスにとっては脅威だ。君の母がゲイブと結婚したのは、彼の悪臭が君の匂いを消して、見つからずに済むようにだ」と言う。 パーシーが「なぜ俺をここに?」と訊くと、ブルナーは「安全のためだ。稲妻を盗んだと思われている。ゼウスの稲妻は最強の武器だ。 返さないと戦争が始まる」と説明する。「俺には関係ない」とパーシーは反発するが、ブルナーは「全世界の問題だ。戦争が起きれば生物 は全て死に絶える」と語った。
パーシーが「どうすればいい?」と尋ねると、ブルナーは「君とオリンポス山へ行き、ゼウスに罠だと訴える」と告げる。「だったら、 すぐ行こう」とパーシーが口にすると、ブルナーは「外は危険だ。まずは訓練だ」と言う。パーシーはヘルメスの息子で訓練所のリーダー であるルークのチームに入れてもらい、旗取り合戦に参加した。パーシーは剣を手に取り、敵チームであるアレスの息子たちと戦う。劣勢 に陥ったところへルークが駆け付け、「ここは俺に任せろ。旗を取りに行け」と告げた。
パーシーは川沿いで旗を見つけるが、そこに敵チームのアナベスが現れた。パーシーは大勢が見ている中でアナベスと戦うが、一方的に やられて倒れ込む。その時、「水に手を伸ばせ」という声が頭の中に飛び込んできた。パーシーが水に触れると傷が消え、力がみなぎった 。彼は敵軍を圧倒し、アナベスにも勝って旗を手にした。その活躍によってパーシーは人気者となり、アフロディーテの娘たちからは夜の パーティーに誘われた。
パーシーがアナベスと話していると、炎の中から冥界の神ハデスが現れた。ハデスは火の球を放出し、「パーシー・ジャクソン、稲妻を 渡せば母親を返してやる。お前の母親はミノタウロスにさらわせた。冥界にいる」と告げて消える。パーシーは稲妻を持っていないことを 説明しに行こうと考えるが、ブルナーは「ハデスと交渉するのは無理だ。稲妻を持っていないと分かれば、2人とも殺されてしまう」と 諭した。「それでも行くしかない」とパーシーが言うと、ブルナーは「ダメだ。決めたことを守れ。まずゼウスに会って潔白を分かって もらい、お母さんを取り戻すんだ」と説いた。
パーシーはブルナーの言葉に納得せず、冥界へ行くために訓練所を抜け出すことにした。すると、それに気付いたグローヴァーとアナベス が同行を申し出た。パーシーが冥界に行く方法を考えていないと知ったアナベスは、ルークに相談するよう促した。ルークの父である ヘルメスは神の使者であり、冥界にも出入りできるからだ。アナベスが「行き方は分かる?」と尋ねると、ルークは「父とは会ったことも 無い。でも父の家から便利な物を盗んで来た」と言い、空を飛べる靴をパーシーに貸した。
ルークは「冥界から生きて戻るためには、冥界の女王ペルセポネの真珠が必要だ」と言い、見つけるための地図を渡した。真珠はアメリカ に3つあり、1つ目は地図に示されているという。地図には「エムおばさんの石像の店」という文字が浮かび上がった。「1つ見つけると 次が示され、3つ見つけると冥界だ」とルークは教えた。さらに彼は「強力な防具が必要だな」と言い、自分の盾も貸し出した。
パーシー、グローヴァー、アナベスの3人は石像の店に来るが、店主であるエムの姿は見当たらない。別れて捜していると、アナベスの前 にエムが現れ、「逃げて、こっちへ来るわ。主人が石にされた」と慌てた様子で腕を引っ張った。一方、グローヴァーは店がメデューサの 巣になっていると気付き、慌ててパーシーに知らせる。アナベスたちが逃げているとメデューサが立ちはだかり、エムを石に変えてしまう 。グローヴァーと共に駆け付けたパーシーは、携帯にメデューサを映しながら戦おうとするが、上手くいかなかった。
パーシーはメデューサに追い詰められるが、そこへアナベスが車で突っ込んだ。弾き飛ばされたメデューサが携帯を拾い上げた直後、背後 から近づいたパーシーが彼女の首を剣で切り落とした。アナベスは「役に立つかも」と言い、グローヴァーのパーカーを使ってメデューサ の首を持って行くことにした。パーシーはメデューサの腕に装着されていた真珠を見つける。3人が地図を見ると、次の真珠がある場所が 示された。ナッシュビルにあるパルテノン神殿の複製だ。
パーシーたちが神殿へ行くと、アテナ像の額に真珠が埋め込まれていた。3人は閉館まで待ち、真珠を盗み出すことにした。アナベスが 清掃員の面々を気絶させ、パーシーがヘルメスの靴を使って真珠を手に入れた。しかし清掃員の面々が意識を取り戻し、ヒドラへと変貌 する。蘇生能力を持つヒドラに苦戦を強いられるパーシーたちだが、グローヴァーがメデューサの首を使って石化させた。
最後の真珠のありかは、ラスヴェガスのロータス・ホテル&カジノだった。ホテル自慢の品だというロータス・フラワーを食べた3人は、 トランス状態に入ってしまう。パーシーたちは目的を忘れ、楽しい気分になって遊びに興じる。またパーシーがロータス・フラワーを 食べようとした時、「その花を食べるな。そこから出られなくなるぞ」という声が聞こえる。忠告を受けて正気に戻ったパーシーは、 ルーレットに真珠が使われているのを発見した。
パーシーはアナベスとグローヴァーを必死に説得し、正気に戻した。店員たちに気付かれた3人は、真珠を奪ってカジノから逃げ出した。 アナベスは「分かったわ、あれはロトパゴスの巣よ。人を捕まえているの」と解説した。トランス状態に陥っている間に5日も経過した ため、ゼウスの定めた期限は明日に迫っていた。パーシーたちはハデスに会うため、冥界のあるハリウッドへと向かった…。

監督はクリス・コロンバス、原作はリック・ライアダン、脚本はクレイグ・ティトリー、製作はカレン・ローゼンフェルト&クリス・ コロンバス&マイケル・バーナサン&マーク・ラドクリフ、製作協力はカレン・スワロー、製作総指揮はトーマス・M・ハメル&グレッグ ・ムーラディアン&ガイ・オゼアリー&マーク・モーガン、撮影はスティーヴン・ゴールドブラット、編集はピーター・ホーネス、美術は ハワード・カミングス、衣装はレネー・エイプリル、視覚効果監修はケヴィン・マック、音楽はクリストフ・ベック。
出演はローガン・ラーマン、ブランドン・T・ジャクソン、アレクサンドラ・ダダリオ、ジェイク・アベル、ショーン・ビーン、ピアース ・ブロスナン、スティーヴ・クーガン、ロザリオ・ドーソン、メリーナ・カナカレデス、キャサリン・キーナー、ケヴィン・マクキッド、 ジョー・パントリアーノ、ユマ・サーマン、ジュリアン・リッチングス、ボニータ・フリードリシー、アニー・イロンジー、ルイサ・ ディオリヴェイラ、エリザ・キング、タニア・ソルニエ、クリスティー・ラング、クリスタル・ティシガ、マリー・アヴジェロプーロス、 マリエル・ジャッフェ、アレクシス・ナップ他。


リック・ライアダンによるファンタジー小説シリーズ『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』5部作の第1部「盗まれた雷撃」を基 にした作品。
監督は「ハリー・ポッター」シリーズの1作目から4作目までを手掛けたクリス・コロンバス。
パーシーをローガン・ ラーマン、グローヴァーをブランドン・T・ジャクソン、アナベスをアレクサンドラ・ダダリオ、ルークをジェイク・アベル、ゼウスを ショーン・ビーン、ブルナーをピアース・ブロスナン、ハデスをスティーヴ・クーガン、サリーをキャサリン・キーナー、メデューサを ユマ・サーマンが演じている。

サクサクと話は進んでいく。
何かトラブルが起きても、その場で簡単に解決する。
敵が現れても、それほど苦労せずに退治する。
とにかく展開が早い。
サクサクと進むってのが「無駄にモタつくことがない」というプラスの意味だったらいいんだけど、そうじゃない 。メリハリが無くて、盛り上がりに欠けていて、チェンジ・オブ・ペースが用意されていなくて、淡々と進んでいく感じなのだ。

冒頭、海から上がって来たポセイドンは巨大サイズだが、釣り人が驚いた後、人間サイズになる。
だったら最初から、そのサイズで出現すればいいでしょ。
そりゃ登場シーンで神様であることをアピールしておきたいのは分かるけど、釣り人に見つかってから人間サイズに変身すると、アホに しか見えん。
これがコメディーとしてやっている表現なら別にいいけど、そういうことじゃないんだし。
あとさ、神様なのに、エンパイア・ステート・ビルまでは普通に歩いて移動しているんだよね。巨大サイズから人間サイズに縮小化できる ぐらいの能力はあるんだから、そこまで瞬間移動とか出来ないのか。

ゼウスはいきなりポセイドンに「私の雷を盗んだな」と言うが、全知全能の神なのに犯人が誰なのか知らないのね。
で、彼は「子供なら盗める」とパーシーを犯人扱いするが、なぜ子供なら盗めるのか、理屈がサッパリ分からない。
そんで「返さないと戦争だ」と言い出すが、だからさ、全く調査もせずに、なんでパーシーが犯人だと決め付けているのか。
何かパーシーが疑わしいと示すような証拠でもあればともかく、何も無いんだぜ。その展開は無理があり過ぎるだろ。
なぜかゼウスだけでなく、ハデスも、他の神々も、パーシーが稲妻を盗んだと決め付けているんだよな。

パーシーは目の前でミノタウロスにサリーを握り潰されるんだけど、それは普通、「母が殺された」と解釈するよね。そうなると、怒りに 燃えて報復としての戦いになるはずだよね。
ところが、パーシーが母を殺された怒りを抱いて戦っているようには全く見えない。ただ必死に戦っているだけ。
そうなると、「目の前で母が握り潰されて消えた」というシーンの意味が無くなってしまう。
しかも、目覚めてからのシーンで「母が殺された」とハッキリ認識しているけど、それにしてはショックが少ない。
母親が殺されたら、もっと激しく動揺するだろ。なんで平然とした態度で訓練所の案内を受けているのかと。

なんでデミゴッドが中世ヨーロッパの兜や鎧や剣で戦う訓練を積まなきゃいけないのか、良く分からない。
全体的に「現代風」の味付けにしてあるのに、そこだけは中世のイメージを残しているってのが、どうもピンと来ないんだよね。
現代の武器があるんだから、もしも戦いのスキルが必要なのであれば、銃を扱う訓練でも積ませた方がいいんじゃないかと。「敵は銃火器 では倒せない」という設定が語られているわけでもないんだし。
鎧や兜なんかもそうで、今だったら、もっと軽くて防御力の強いコスチュームが他にあるんじゃないかと。
っていうかさ、「指導者や勇者になるための訓練を積んでいる」という説明があったけど、現代の社会で指導者になるために、剣で戦う 能力を会得する必要性なんてゼロでしょうに。

「優秀な親を持っているという理由で特別な才能を生まれながらにして会得しており、そのおかげで活躍できる」というのは、同じクリス ・コロンバスが監督した「ハリー・ポッター」シリーズと同じ。
パーシーはポセイドンの息子だからということで特別に守られているし、才能のおかげで最初から剣を上手く使いこなしている。
「努力して能力を会得する」ということは無いのだ。
生まれながらにして才能を持っているので、何もしなくても優れた能力を発揮できるのだ。
なんかねえ、そういうのって、素直に受け入れ難いわ。

ワシが幼い子供だったら、たぶん素直に喜んだり応援する気持ちになれたりするんだろうけど、こちとら週刊少年ジャンプで「友情・努力 ・勝利」の漫画を読んで育った人間なので、何の努力もせずに才能だけで活躍するパーシーに、魅力を感じられないのよ。
せめてパーシーが自分の能力に恐れを抱いたり、苦悩したり、そういう部分があれば違って来るんだろうけど、明らかに調子に乗って いるしね。
それでも、例えば「パーシーが今までは冴えない少年で、周囲からボロクソに言われたりイジメを受けたりしていたけど、特別な才能が 判明して活躍し、周囲の評価も急変する」とか、そういう「冴えない人生からの大逆転」というところで「生まれながらに備わっていた 才能」が利用されているのであれば、まだこっちも応援する気持ちになれたと思う。
だけど、そういう感じも薄いんだよね。

原作小説は、リック・ライアダンが難読症とADHDを持っている息子のヘイリーに語り聞かせるために作ったものらしい。
だからパーシーを難読症とADHDを持つキャラクターにして、「そんな障害を持つ子供でも、他に優れた才能を持っていて活躍できる」と いう物語にしているってことなんだろう。
ただねえ、パーシーって難読症は持っているけど、それほど深く悩んでいるようにも見えないし。
そのせいでイジメを受けているとか、成績が悪くて教師に嫌われているとか、そんなことも無いし。
ADHDに関しては、その症状が全く見られないし。

パーシーが冥界へ行こうと決めるとグローヴァーとアナベスが同行するんだけど、どこのハリポタだよ、それって。
この映画のアメリカでの興行収入が振るわなかったのって、ハリポタに似ているってのも原因じゃないかなあ。
あと、原作だとパーシーの年齢が12歳なのを、ローガン・ラーマンの起用に伴って17歳に引き上げているんだけど、そのためにキャラの 考えや行動が年齢からすると幼稚、あるいは愚かに見えるという問題も生じている。
例えばヒドラに襲われた時、すぐにメデューサの生首を使うことを思い付かないのってアホでしょ。
ついさっき手に入れて「役に立つかも」と言っていたのに。

ブルナーから「ハデスと交渉するのは無理」と言われていたのに、パーシーは冥界へ行く。
何か交渉以外の策でも考えているのか、あるいはハデスと戦うつもりなのかと思っていたら、話し合いで母親を返してもらおうとする。
いやいや、アホでしょ。
それも、ローティーンなら、まあ仕方が無いかなと思うかもしれんが、17歳なんだぜ。

で、そのタイミングで、盾の裏側に稲妻が隠されているのをハデスが見つけるという御都合主義も待っている。
そこで稲妻を盗み出した犯人がルークであることが明らかになるが、そもそも彼は、どうやって稲妻を盗み出したのか。そんなに簡単に 盗み出せるようなシロモノじゃないはずでしょうに。
っていうか、オリンポスに出入りできるのはルークなんだから、まずパーシーよりルークに疑いが掛かるはずなんじゃないのか。なんで ゼウスはパーシーと決め付けるのか。
ルークもさ、パーシーに罪を被せるつもりなら、パーシーがやったと見せ掛けるような証拠を捏造しておけよ。

(観賞日:2012年8月12日)

 

*ポンコツ映画愛護協会