『背徳の囁き』:1990、アメリカ

レイモンド・アヴィラは、警察の内務調査班(IAD)に配属された。早速、彼はパートナーのエイミー・ウォレスと共に内務調査を始めることになった。だが、調査対象となっている警官ヴァン・ストレッチは、レイモンドの警察学校時代の友人だった。
ヴァンには容疑者への過剰な暴力行使の容疑が掛けられていた。調査を開始したレイモンドは、ヴァンの同僚デニス・ペックにキナ臭いものを感じ取る。そしてレイモンドは、デニスをリーダーとして署内に腐敗が広がっていることを確信する。
レイモンドはヴァンに対して、黒幕の名前を吐けば無罪放免だと言って取り引きを持ち掛ける。ヴァンはそれに応じることを決め、妻ペニーに電話を掛けた。しかしペニーがデニスと浮気をしていたため、そのことがデニスに知られてしまう。
デニスは犯罪に巻き込まれたように見せ掛け、ヴァンを殺害する。レイモンドはデニスを捕まえるための証拠集めに奔走するが、全ての行動をデニスに読まれ、彼を追い詰めることが出来ない。逆にデニスはレイモンドの妻キャスリーンに接近し、レイモンドを追い詰めていく…。

監督はマイク・フィッギス、脚本はヘンリー・ビーン、製作はフランク・マンクーゾJr.、製作総指揮はピエール・デヴィッド&レネ・マロ、撮影はジョン・A・アロンゾ、編集はロバート・エストリン、美術はウォルデマー・カリノウスキー、衣装はルディ・ディロン、音楽はマイク・フィッギス&アンソニー・マリネッリ&ブライアン・バンクス。
出演はリチャード・ギア、アンディ・ガルシア、ナンシー・トラヴィス、ローリー・メトカルフ、リチャード・ブラッドフォード、ウィリアム・ボールドウィン、マイケル・ビーチ、フェイ・グラント、キャサリン・ボロウィッツ、ジョン・カペロス、ザンダー・バークレイ、ジョン・カポダイス、ヴィクトリア・ディラード、パメラ・ドペラ、スーザン・フォリスタル、アラン・ハーヴェイ他。


『インターナル・アフェア 背徳の囁き』というビデオタイトルもある作品。
デニスをリチャード・ギア、レイモンドをアンディ・ガルシア、キャスリーンをナンシー・トラヴィス、ヴァンをウィリアム・ボールドウィン、ペニーをフェイ・グラントが演じている。

リチャード・ギアは、デニス役を引き受けたことを後悔したかもしれない。
デニスには特に野望があるわけでもない。
大金が必要なほど追い詰められた理由も無い。
つまり、単なるセコい腐敗警官だ。
悪役としては、非常にスケールが小さいですな。

基本的には、デニスは他人を動かすタイプのワルだ。
じゃあ、冷静で知的な男なのかと思ったら、そうでもない。
いきなりエレベーターでレイモンドに殴りかかったりする。
あらら、それじゃあダメよ。
デニスは最後までクールを決めないとイカンでしょうが。

見所は、おそらく主役2人の心理合戦なのだろう。
ところが、2人とも後先を考えない行動が多い。
アクションで対決するわけじゃないから、高レヴェルの心理ゲームを期待していたら、なんか低レヴェル。2人とも、ハッキリ言って阿呆なのよね。
だから、2人の争いも低レヴェルになるわけだ。

レイモンドとデニスを、似た者同士のキャラクターにしたのは失敗だろう。
2人のキャラクターを正反対に設定した方が良かったのでは。
他のキャラクターにしてもそうだが、どうも個性が埋没してしまっており、全体的にノッペリした感じの映画になっているのではないかと思うのだ。
なんかねえ、無駄な空撮に金を使うより、他にやることがあったと思うのだが。

 

*ポンコツ映画愛護協会