『ホーム・アローン』:1990、アメリカ

シカゴの高級住宅街。8歳の少年ケヴィン・マカリスターの一家は、クリスマス休暇を利用してパリ旅行に出掛けることになった。ケヴィンの家族が7人に、伯父の家族が8人。総勢15人の一行は、慌ただしくしながらも何とか出発した。
ところが、飛行機に乗ってから、母親ケイトが重大なことに気付いた。ケヴィンの姿が無いのだ。なんと出発前の騒ぎの中で、ケヴィンを家に置き去りにしてしまったのだ。その頃、ケヴィンは家で誰からも文句を言われない自由な生活を楽しんでいた。
だが、2人組の泥棒ハリーとマーヴが、ケヴィンの家を狙っていた。2人の存在に気付いたケヴィンは、家を守るために孤軍奮闘を開始した。家に侵入しようとするハリーとマーヴを、ケヴィンは様々な手を使って撃退しようとする…。

監督はクリス・コロンバス、脚本&製作はジョン・ヒューズ、製作協力はマーク・ラドクリフ、製作総指揮はマーク・レヴィンソン&スコット・ローゼンフェルト&ターキン・ゴッチ、撮影はジュリオ・マカット、編集はラジャ・ゴズネル、美術はジョン・ムトー、衣装はジェイ・ハーレイ、音楽はジョン・ウィリアムズ。
出演はマコーレー・カルキン、ジョー・ペシ、ダニエル・スターン、ジョン・ハード、ロバーツ・ブロッソム、キャサリン・オハラ、アンジェラ・ゴーサルズ、デヴィン・ラットレイ、ジェリー・バンマン、ヒラリー・ウルフ、ラリー・ハンキン、ジョン・キャンディー、マイケル・C・マロンナ、クリスティン・ミンター、ダイアナ・キャンピーヌ、ジェダイディア・コーエン、キーラン・カルキン、センタ・モーゼス、アンナ・スロットキー、テリー・スネル、ジェフリー・ワイズマン他。


ケヴィンを演じたマコーレー・カルキンを子役スターにした(&その後の人生を狂わせることになった)作品。伯父フランクの息子フラーを演じるのは、彼の実弟キーラン・カルキン。また、ポルカ楽団のチーフ役でジョン・キャンディが出演している。

ケヴィンは家族の全員から「お荷物だ」と言われ、邪魔者扱いされている。ケヴィンを置き去りにしたことに飛行機が離陸するまで誰も気付かないのだから、どれほど家族が彼を除け者にしていたかが分かるだろう。

この作品で彼はたった1人で泥棒を撃退するが、きっと家族の彼に対する扱いは、これまでと変わらないだろう。ケヴィンの活躍は、彼の置かれている状況を改善するための役には立っていない。
どうせ、また除け者にされる暮らしが戻ってくるはずだ。

ケヴィンは家の中で孤立しており、誰も味方がいない。そんな状態で暮らし続けているのだから、泥棒を虐待するほど性格が歪んでしまっても仕方がない。
コメディ作品の裏には、深刻な家庭問題が隠されているのだ。

ケヴィンの家庭環境を考えると、彼は「かわいそうで不幸な少年」ということになる。家庭環境を考えなければ、「過剰な暴力を振るう恐ろしい少年」ということになる。
いずれにせよ、ケヴィンを「愉快な少年」として認識することは難しい。

 

*ポンコツ映画愛護協会