『ハイランダー2 甦る戦士』:1991、イギリス&フランス&アルゼンチン

1999年8月、オゾン層の破壊によって地球は危機を迎えていた。コナー・マクラウドはネイマン博士と共に紫外線から地球を守る防護シールドを設計し、発射した。それによって地球は危機を脱したが、空は闇に覆われた。地球は熱と湿気に包まれ、エネルギーは枯渇した。
2024年、年老いたマクラウドは昔のことを思い出していた。彼は500年前、地球を遠く離れた惑星ザイストにいた。圧政を続けるカターナ将軍を倒すためにラミレスの下に集まった面々の中で、マクラウドはカターナ将軍を倒す運命を背負った者として選ばれた。
しかし、マクラウドはラミレスと共にカターナ将軍に捕まった。マクラウドとラミレスは国家反逆罪で地球に送られ、首を切られるまで不老不死の体となる。ラミレスの死による恩赦でザイストに戻ることも出来たマクラウドだが、彼は地球に残って年老いて死んでいくことを選んだのであった。
防護シールドを管理するシールド工業の施設に、ルイーズ・マーカス率いる反政府組織コバルトが侵入した。発見されたコバルトの面々は逃亡し、ルイーズは年老いたマクラウドに会いに行く。ルイーズはシールド工業が何か重大な秘密を隠していると気付き、マクラウドに協力を要請する。
そこへ、カターナ将軍がマクラウドの首を狩るために送り込んだ2人の刺客が現れる。何とか刺客を倒したマクラウドは、刺客のエネルギーによって若返り、不老不死の体に戻った。彼はラミレスの名を叫ぶ。すると、スコットランドのグレンコーでラミレスが復活した。
マクラウドはシールド工業のブレイク社長に監禁されているネイマン博士に会いに行き、既にシールド外の紫外線が正常に戻っていることを知らされる。もはやシールドは不必要な状態になっていたのだ。一方、カターナ将軍は自らマクラウドを倒すため、地球に降り立っていた…。

監督はラッセル・マルケイ、キャラクター創作はグレゴリー・ワイデン、原案はブライアン・クレメンス&ウィリアム・パンツァー、脚本はピーター・ベルウッド、製作はピーター・S・デイヴィス&ウィリアム・N・パンツァー、共同製作はアレハンドロ・セッサ&ロビン・クラーク、製作協力はスティーヴン・ケイ、製作総指揮はガイ・コリンズ&マリオ・ソッテラ、撮影はフィル・メヒュー、編集はヒューバート・C・デ・ラ・ボイルリー&アンソニー・レッドマン、美術はロジャー・ホール、衣装はデボラ・エバートン、特殊効果デザイナーはジョン・リチャードソン、視覚効果デザイナーはサム・ニコルソン、音楽はスチュワート・コープランド。
主演はクリストファー・ランバート、共演はショーン・コネリー、ヴァージニア・マドセン、マイケル・アイアンサイド、ジョン・C・マッギンリー、アラン・リッチ、フィル・ブロック、ラスティ・シュワイマー、エド・トルッコ、スティーヴン・グライヴス、ジミー・マーレイ、ピート・アンティコ、ピーター・ブコッシ、ピーター・ブロミロウ、ジェフ・アルトマン、ダイアナ・ロッシ、ランダル・ニューサム、カリン・ドレクスラー他。


1986年の『ハイランダー 悪魔の戦士』の続編。
と思いきや、どうやら違っているようだ。
クリストファー・ランバートとショーン・コネリーの役名はマクラウドとラミレスで同じなのだが、その設定は惑星ザイストから地球に送られた受刑者ということになっている。

国家反逆罪となったマクラウドとラミレスは、「なぜか」地球へ送られる。
「なぜか」不老不死となり、「なぜか」マクラウドは年老いていく。
放っておけば老衰で死ぬのに、カターナは「なぜか」マクラウドを殺そうとする。
そしてマクラウドは、「なぜか」刺客のエネルギーで若返る。

マクラウドは、「なぜか」ラミレスの名前を叫ぶ。
死んだはずのラミレスは、「なぜか」あっさり復活する。
しかも、「なぜか」シェークスピア劇を公演中の舞台上に出現する。
地球に来たカターナは、「なぜか」シールド工業の重役会議に姿を現す。
まさに、「なぜか」の嵐。
しかしながら、どこを探しても理由など無い。

シールド装置を巡る問題と、カターナ将軍がマクラウドを殺そうとする行動とは、何の関係性も見せようとしない。
幾つものエピソードがあるが、それらは平行線を辿ったままで融和することは無い。
誰が何をしたいのかが分からないままで、珍奇な世界だけが広がっていく。

出てくる奴らは、みんな愉快な行動を見せる。
急に舞台に現れて役者とトンチンカンな会話をかわし、観客から爆笑されるラミレス。
ラミレスからの注文を受けて、“ウィリアム・テル序曲”に合わせてハイスピードでスーツを仕立てる洋服店の店員。
激しい銃撃を受けて、何発当たったのか軽口を言い合うマクラウドとラミレス。

そう、これはマジなSFアクションではなく、ギャグSFアクションだったのだ。
特に、カターナを演じるマイケル・アイアンサイドがバカっぽくていい。
地下鉄を運転して猛スピードを出して大喜びするなど、完全に知性を失ったジャック・ニコルソンのような存在感を見せてくれる。

 

*ポンコツ映画愛護協会