『パリより愛をこめて』:2010、フランス

パリのアメリカ大使館で外交官として働くジェームズ・リースには、見習いCIAエージェントの顔があった。しかし彼が任されるのは、車のナンバープレートを付け替えるような地味な仕事だけだった。もっと重要な任務を望むリースは、電話で指令を出す担当者から「いずれ特殊任務に就ける。まずは明日の会議で外相の部屋にマイクを仕掛けて来い」と告げられた。アパルトマンに帰宅したリースは、恋人のキャロリンとセックスした。
翌日、リースはベニントン大使が出席する会議に同席し、机の下にマイクを取り付けた。彼がアパルトマンに戻ると、階段から赤い液体が垂れて部屋まで続いていた。リースが警戒しながら部屋に入ると、キャロリンは笑いながら「ソースをこぼしちゃって」と告げた。リースは担当者からの電話で、「次の仕事だ。今すぐ空港に行け。相棒が税関で騒いでる。助け出せ」と指示された。「相棒?」とリースが訊くと、担当者はチャーリー・ワックスという男だと教えた。「まだ私は特殊任務のメンバーでは」とリースが困惑すると、「心配ない。任務はワックスの運転手だ。終われば君もメンバーだ」という言葉が返って来た。
電話を切ったリースが「昇進だ」と言うと、キャロリンは喜んだ。彼女は亡き父の形見だという指輪をリースに贈って結婚の意志を伝え、「絶対に外さないで」と述べた。リースが税関へ行くと、ワックスはドリンク缶の持ち込みを巡って職員に向かって揉めていた。持ち込みは禁止されていたが、ワックスは横柄な態度で職員に悪態をついた。リースはワックスのバッグに外交文書を示すシールを張り付け、持ち込みが可能な状態にした。
車に乗ったワックスはドリンク缶の中に拳銃を隠していたことを明かし、陽動作戦として騒ぎを起こしただとリースに説明した。ワックスはリースに案内させ、中華料理店へ赴いた。彼はウェイターを呼び付けて拳銃を突き付け、コカインの場所を尋ねた。別のウェイターが銃を構えようとすると、ワックスは射殺した。他の料理人や従業員が銃を構えるが、ワックスは全員を片付けた。
ワックスは改めて最初のウェイターに銃を突き付け、「コカインはどこだ」と詰問した。ウェイターは「無い」と答えるが、ワックスは彼の視線に気付いて天井に乱射した。すると大量のコカインが降り注ぎ、ワックスは店に飾ってある大きな花瓶に集めるよう命じた。彼はウェイターに「ボスに伝えろ、ワックスを掛ける」と言い残し、リースを連れて店を出た。彼はリースに、相手を不安にさせる狙いで謎のメッセージを伝えたことを教えた。
ワックスはリースに車を運転させ、店を飛び出したウェイターを尾行する。「これは任務だろうな?」とリースが尋ねると、ワックスは「シャーロットという娘が、あの店で買ったヤクを吸って死んだ。国務長官の姪だ」と話す。「長官は奴らを始末しろと?」という質問に、彼は「組織の壊滅だ。末端からトップまで」と返答した。車を降りたワックスは龍頭団に絡まれ、全員を退治した。彼はアパルトマンに乗り込み、襲って来た組織の手下たちを始末した。
ワックスとリースが部屋に乗り込むと、組織のボスであるウォンがパーティーを開いて子供たちの演奏を聴いていた。ワックスはボスに近付いて脅しを掛け、元締めの居場所を聞き出した。部屋を出たワックスは、追って来た手下たちを全滅させた。リースは担当者との電話で、ワックスのやり方を批判した。担当者は「彼は常に結果を出す」と言い、黙ってワックスに従うよう命じた。リースはキャロリンから電話で「急に消えて。今どこ?」と問われ、釈明しようとするが電池が切れてしまった。
ワックスはリースを連れて密売場所へ向かい、その途中でコカインを吸った。吸うように要求されたリースは断るが、ワックスの挑発を受けて受け入れた。ワックスはリースに、「コカインの捜査じゃない。国務長官に姪などいない」と明かす。「何を追ってる?」とリースが尋ねると、彼は「テロリストたちがヤクを金に換えて闇資金にしてる。爆弾を買うためだ」と説明した。リースはワックスを車に乗せて密売場所へ向かうが、コカインのせいで意識が朦朧としてしまった。
ワックスはリースに壺を持って付いて来るよう指示し、路地裏のポン引きに接触した。彼は売春婦を連れてアパルトマンに入り、リースとエレベーターに乗る。リースはキャロリンと遭遇して動揺するが、エレベーターの扉は閉じてしまう。ワックスは客がいる部屋に乗り込み、銃で脅して追い出した。彼は双眼鏡で通りの向かいにある銀行を見ると、リースに「麻薬資金の洗浄に来るから見張れ」と指示した。彼はリースに見張りを任せると、自分は売春婦と遊んだ。
リースはキャロリンから電話で責められ、誤解を解こうとする。ドアが激しくノックされ、リースが開けると2人の男が突入して暴行した。ワックスは銀行から2人のパキスタン人が出て来るのを見ると、リースを殴っている連中を射殺した。彼はリースを連れて部屋を出ると、パキスタン人2人組を尾行した。2人組がバンに乗ると、ワックスは監視衛星での追尾を要請した。停まっているバンを発見した彼は、建物を見張っている男に声を掛けて「中に用がある」と告げた。
ワックスとリースは建物の中に案内されるが、ラシッドの手下たちに包囲された。2人は銃で脅され、リースは指輪を奪われた。ワックスはラシッドに、「ブツを1キロくれ」と持ち掛けた。ラシッドが拒否して銃を突き付けると、ワックスは軽く制圧した。リースはワックスの指示で壺を割り、大量のコカインが散乱した。ワックスの「逃げろ」という号令で、手下たちは逃走した。リースはラシッドを殴り付け、指輪を奪い返した。ワックスはラシッドに、パキスタン人の居場所へ案内するよう要求した。
ラシッドはワックスとリースをヤシンという男が暮らす部屋へ案内し、ドアを開けてもらう。ワックスは道具を使って下の階を覗き、数名の男がいるのを確認した。彼はリースに「10階へ下りて、出て来る奴を撃て」と指示し、自分は窓を突き破って下の階に突入した。リースが連絡して「部屋に入ろうか」と言うと、ワックスは「ドアに爆弾が仕掛けてある」と止めた。リースは逃亡を図った男を射殺し、残りの面々はワックスが全滅させた。ワックスは部屋にあった資料を鞄に入れ、「警察が来る前に逃げるぞ」とリースに告げた。彼が出て行こうとすると、奥の部屋にはリースを盗撮した写真が何枚も貼ってあった。
警官隊が建物に到着し、一味のいた部屋向かった。リースは爆弾のことを知らせようとするが、ワックスはテログループの殲滅を優先するよう説く。それでもリースは警官隊を助けに向かおうとするが、爆弾が起動して吹き飛ばされた。ワックスがパトカーを盗んで逃亡しようとすると、リースが「車に指紋が付いてる。正体を知られたくない」と焦る。ワックスが車列にパトカーを突っ込ませると、リースの車は仕掛けられていた爆弾が作動して爆発した。
ワックスは仲間に鞄を渡し、リースはキャロリンからメールで友人を呼んで夕食を用意していることを知らされた。ワックスはリースに誘われ、彼の家に向かう。キャロリンは友人のニコールを招いており、4人で夕食を取ることになった。電話を受けたニコールは「ローズなんていないわ」と言い、「間違い電話よ」とワックスたちに告げる。その途端、ワックスは「それを待ってた」と言ってニコールを射殺し、キャロリンに拳銃を向けた。リースが慌ててキャロリンを守ると、ワックスは「ローズは暗号だ。彼女の番号が奴らの携帯にあった」と教えた。キャロリンもテロリストだと彼が言っても、リースは信じようとしなかった。
ワックスが室内に仕掛けられていた盗聴器を見せると、リースは「付き合う前にキャロリンを調べた。何も怪しくない」と激しく反発した。「彼女の仲間が写真を撮った。指輪で追跡してる。証明してやるから寄越せ」とワックスが言うと、リースは指輪を渡した。ワックスは指輪をステレオに近付け、反応するのを見せた。キャロリンは隠してあった拳銃を発砲し、リースは右肩に銃弾を浴びた。キャロリンは部屋から飛び出し、ワックスは後を追う。キャロリンは仲間の車で逃走し、ワックスは車種とナンバーを覚えた。
翌日、キャロリンは電話ボックスからリースに連絡し、「貴方を傷付ける気は無かった。6年前、ある人の信条に目覚めた。人生で初めて目的が見つかった」と語った。通話が短かったため、ワックスは逆探知に失敗する。録音した音声を再生して確認したリースは、外環からの電話だと推理した。彼はベニントンからの電話で、サミットの米国代表団が空港に着いたことを知らされた。ワックスはキャロリンの狙いが代表団の殺害だと確信し、車で捜索に向かった…。

監督はピエール・モレル、原案はリュック・ベッソン、脚本はアディ・ハサック、製作総指揮はヴィルジニー・ベッソン=シラ、共同製作総指揮はアンソン・ダウンズ&リンダ・レイ・ファヴィラ、製作はインディア・オズボーン、撮影はミシェル・アブラモヴィッチ、美術はジャック・ブフノワール、編集はフレデリック・トラヴァル、衣装はオリヴィエ・ベリオ&コリンヌ・ブルアン、音楽はデヴィッド・バックリー。
出演はジョン・トラヴォルタ、ジョナサン・リース=マイヤーズ、カシア・スムトゥニアク、リチャード・ダーデン、イン・ビン、アンバー・ローズ・レヴァー、エリック・ゴッドン、フランソワ・ブレドン、シェムズ・エディン・ダマニ、サミ・ダール、ジュリアン・ハグネリー、モステファ・スティティー、レベッカ・ダヤン、マイケル・ヴァンダー=メイレン、ディディエ・コンスタント、アレクサンドラ・ボイド、スティーヴン・シャゴフ、マイク・パワーズ、ジェフリー・ブラコ、ニック・ローレン、ファリド・エロアルディー、ホアキム・アルメリア他。


『アルティメット』『96時間』のピエール・モレルが監督を務めた作品。
『アルティメット』『96時間』で脚本と製作を担当したリュック・ベッソンが、原案を手掛けている。
脚本は『ザ・ターゲット』のアディ・ハサック。
ワックスをジョン・トラヴォルタ、リースをジョナサン・リース=マイヤーズ、キャロリンをカシア・スムトゥニアク、ベニントンをリチャード・ダーデン、ウォンをイン・ビン、ニコールをアンバー・ローズ・レヴァー、外相をエリック・ゴッドンが演じている。

冒頭、リースは電話で指令を受けて地下駐車場へ行き、車のナンバープレートを付け替える。だが、この任務に何の意味があるのか良く分からない。
また、わざわざ「ナンバープレートを付け替える」という仕事のためだけに、人員を用意する必要性があるのかも分からない。
その仕事を終えたリースは電話で次の任務を指示され、「マイクがありません」と言う。「渡したはずだ」「受け取ってません」「左のポケットだ」というやり取りでリースがポケットを探ると、マイクが入っている。
でも、マイクを巡る会話って、まるで要らないだろうに。
極端なことを言えば、「マイクの場所がどこなのか」を観客に教えるための手順さえ省いてもいいぐらいだし。

帰宅したリースは、キャロリンに「今日も世界を救ったよ」と話す。「何をしたの?」と訊かれると、笑って「国家機密だ」と答える。
ってことは、もしかして彼はキャロリンに見習いCIAエージェントだと教えているのか。
だけどCIAの仕事をしている人間が、そんなことを簡単に教えちゃってもいいのか。いやCIAに詳しくないから分からんのだけど、幾ら恋人でも、そう易々と教えていい情報じゃないのでは。
もし「エージェントという事実は教えていない」という設定だとしたら、前述した会話は誤解に繋がる邪魔なだけの手順だし。

リースは担当者から、会議で外相の部屋にマイクを仕掛ける任務を命じられる。翌朝、ベニントンを送り届けたリースは、会議に同席するよう言われる。
ってことは、そのようにベニントンが言わなかったら、リースは会議室に入ることも出来なかったわけで。そうなると、その任務は成功条件が厳しくないか。
で、会議に同席したリースは任務を果たすチャンスを狙うのだが、なんとガムで机の下にマイクを貼り付けようとするんだよね。でも粘着力が弱くて、すぐに落ちてしまう。アホすぎるだろ。
そんで皆が部屋を出てから取り付けているが、リースだけが残っているのに怪しまれないのは変だろ。

ワックスは税関で騒ぎを起こし、リースに「隠した銃が見つからないようにするための陽動作戦」と得意げに説明する。
だけど、何をどう解釈すれば陽動作戦と言えるのか、それがサッパリ分からない。
どうであれドリンク缶の持ち込みは禁じられており、リースが上手く対処しなければ鞄も持ち込むことが許されなかったわけで。騒ぎを起こそうが起こすまいが、それは変わらないでしょ。
彼がホントに利口なら、持ち込みが禁じられていない物に隠すか、もしくは現地調達した方が良さそうだし。

ワックスは中華料理店での大暴れに腹を立てたリースから「任務なのか」と問われ、「シャーロットという娘が云々」と説明する。しかし密売場所に向かう途中、「コカインの捜査じゃないし、シャーロットなんて娘はいない」と明かす。
でも、わざわざ嘘をついた意味が全く分からない。
最初から「こういう理由で動いています」ってのを明かしたとして、それで何か困ることがあるのか。
明かさないにしても、「任務なのか」と問われただけなんだから、「そうだ」という短い答えで終わらせても良かっただろうし。

ウォンの部屋に乗り込む前には、リースが「龍頭団」と呼ぶ集団とワックスの戦いが描かれる。でも、こんなのは全く要らない。
龍頭団はザックリ言うと中華系のチンピラ集団なのだが、リースは「こいつらに比べたら、さっきの連中は少年合唱団」と怯えている。
だけど彼が言う「さっきの連中」ってのは中華料理店の連中であり、そいつらは全員が銃で武装していた。だけど龍頭団は銃を持っていないわけで、ワックスの相手としては明らかに料理店の連中よりも格が落ちる。
なので、銃を持った連中を軽くし松下ワックスの強さをアピールする相手としても、完全に力不足なのだ。
今さら、そんな連中との格闘アクションを挟む意味が無い。

ウォンはワックスに耳元で脅し文句を言われると、あっさりと元締めの居場所を教えている。
だけど、しばらく待てば武装した手下たちが来るんだし、そんなに何の抵抗もせず簡単に情報を教えるのは不自然だよ。
しばらく会話を交わして、時間を稼ごうとは思わなかったのか。条件を提示するなどして、交渉することも無いし。
っていうか、このキャラの必要性自体に疑問を覚えるんだよね。それ以降、ウォンが物語に絡むことは全く無いのでね。

密売場所へ向かう途中、ワックスがリースにコカインを吸わせるのは、まるで無意味で愚かなだけの行動だ。
「大使館のボケだとバレたら撃ち殺される」とワックスは話すけど、別にコカインでラリッった状態じゃなくても、それだけで大使館員とバレるわけじゃないだろうに。
むしろリースがラリパッパだと仕事にならないわけで、デメリットしか無いだろ。
っていうか、その後でリースにコカインを吸わせた意味が発生するような状況なんて全く起きていないし。

ダワックスはリースに「密売場所へ向かう」と言って車を運転させるが、すぐに密売場所へ行くわけではない。
なぜかポン引きに接触して売春婦を買うが、その目的は「売人が資金洗浄に来る銀行を見張るのに適した部屋に入る」ってことだ。
だけど、そこが最適の場所ってことを、バリへ来たばかりのワックスが良く知っていたな。
それは置いておくとして、そこから「銀行を出て来た売人を尾行して云々」という手順が、無駄にしか思えないんだよなあ。

これがRPGゲームなら、大きな目的を達成するために「あっちへ行って必要な物を購入し、こっちへ行って関係者から情報を入手して」みたいな手順の連続があっても達成感は得られるだろう。
でも、これはゲームじゃないので、かなり上手くやらないと「寄り道の連続」になってしまう。
この映画の場合、「密売場所に向かう」と最初に目的を提示しておきながら、実際には別の場所を経由しているため、完全に「寄り道の連続」と化しているのだ。

ワックスが売春婦と遊んだり、リースが2人組に暴行されるのをニヤニヤしながら傍観したりするのは、「型破りでワイルドな捜査官」というキャラをアピールするためだろう。
そんなことは百も承知だが、承知の上で「要らんなあ」と感じる。
ワックスがラシッドにコカインの購入を持ち掛けるシーンも、要らないやり取りだとしか感じない。
他にも「ここは要らないなあ」と感じる箇所が幾つも出て来るので、ダメなシナリオってことが分かりやすい。
まあ何しろ、原案がリュック・ベッソンだからね。

ラシッドと会うシーンではリースが「5グラムなら個人使用で逃げられる。1キロ以上は懲役15年だ」と説明し、ワックスが「5キロ所持でパクらせてやれ」と指示する展開がある。リースが壺を落とし、割れてコカインが散乱する。これを受けてラシッドが逃げろと指示し、手下たちが逃亡する。
この展開には、「これって何?」と言いたくなる。
表面上の理屈は何となく分かるけど、ラシッドの指示は行動原理として良く分からんのよね。
なんかさ、ここもワックスたちの会話や壺を割る手順が、無駄にしか思えんのよ。

ラシッドを制圧したワックスは、パキスタン人の居場所へ案内するよう言う。なのでバンで建物に来た2人組のことかと思ったら、初登場となるヤシンの部屋に案内される。でもワックスは怒ることも無く、下の階を覗く。
ヤシンの部屋から下を覗くと狙いの連中がいることを、なぜ分かっていたのか、それをラシッドが説明した上で、ワックスたちをヤシンの部屋に案内したのか。
そんな手順は何も無かったので、どういうことなのか良く分からない。
その部屋にいる連中が何者で、何をしているのかも良く分からないし。

一味のいるドアには爆弾が仕掛けられていて、警官隊を助けに向かったリースが吹き飛ばされるが、この手順は全く要らない。
そのせいでリースが怪我を負って、その後の行動に影響が出るようなことも無いんだし。
ワックスがパトカーをぶつけてリースの車を爆発させるのも、やっぱり要らない。
っていうか、爆弾が仕掛けられていることを、なぜワックスは分かっていたのか。その事実をリースが完全にスルーするので、爆弾の存在は無意味になっちゃってるし。

ワックスが鞄に詰め込んだ資料は、何の役にも立っていない。建物のシーンで必要なのは、「リースが盗撮されていた」という事実の判明だけだ。建物のシーンは、そのためだけにあると言っても過言ではない。
つまり、それ以外のワックスたちの行動は、全く意味が無いモノになってしまうのだ。
だって結局のところ、キャロリンがテロリスト一味だと判明し、そこから「一味が代表団を狙うのでワックスたちが阻止しようとする」というクライマックスに繋がるわけで。
なので、色んな行動を経て入手した資料は不要なのよね。

ワックスは代表団を狙うテロリストの捜索に向かい、前夜にキャロリンを乗せた車を発見する。リースは車が囮で、キャロリンがサミット会場へ行くつもりだと確信する。連絡を受けたワックスは「車の助手席に女が見える」と言うが、近付いて確認すると人形だと判明する。
でも、人形を使った偽装工作の必要性が全く無いだろ。それはワックスに見つかることを前提にした策略じゃねえか。
しかも近付いたら人形だと簡単にバレちゃうので、まるで意味が無いし。
そもそも、車の方だけに捜査官が行くわけないし。代表団が狙われると分かったら、サミット会場にも部隊が行くのが当然の流れだし。
なぜかリースしか行かないけど、それはシナリオの粗さだし。

(観賞日:2024年7月1日)

 

*ポンコツ映画愛護協会