『フリー・ウィリー3』:1997、アメリカ

ジェシーはランドルフが参加する海洋調査チームの助手として、ノア号に乗り込んだ。船長はドレイク、船員はスティーヴンス、調査チームのリーダーはドリュー・ハルバートだ。その周辺の海ではシャチの数が1割も減っていたが、その原因は不明だった。そのため、調査チームはシャチに発信機を取り付け、監視しようと考えていた。一方、沿岸の町に暮らすマックス・ウェズリー少年の元に、ずっと心待ちにしていた父親のジョンが戻って来た。サケ獲り漁船“ボタニー・ベイ号”の船長であるジョンから「次は一緒に漁へ行こう」と誘われていたマックスは、大喜びで翌朝の準備をした。
次の朝、マックスは母親のメアリーに見送られ、ボタニー・ベイ号で出航する。船にはジョンの他、船員のクロン、サンダーソン、ディニーンが乗り込んでいる。一方、ジェシーはハーモニカを吹いた音のピッチを上げて録音し、それを海に流す。その音でウィリーを呼び寄せることが出来るというジェシーの説明に、ドリューは懐疑的だった。マックスはシャチの群れを見つけて興奮するが、ジョンと部下たちが銛や水中銃で攻撃を始めたので、困惑の表情を浮かべた。
ボタニー・ベイ号が急に舵を切ったので、マックスはバランスを崩して海に落下した。そこにウィリーが接近するが、マックスの下を潜って去った。船に引き上げられたマックスは着替えを済ませた後、クロンたちからマッコウクジラの歯を使ったネックレスを贈られる。クロンたちは「これで漁師の仲間入りだ」と言い、ジョンは笑顔を浮かべた。マックスが一人で甲板にいると、ウィリーが姿を現した。
マックスが「早く逃げないと殺される」と呼び掛けるが、ジョンが出て来てシャチに気付く。水中銃を取るよう言われたマックスは、わざと転倒して音を立てた。ジョンは水中銃からヤスを発射するが、ウィリーを仕留めることに失敗した。ジョンはマックスに、「殺すのに迷うのは最初だけだ。迷いが失敗に繋がる。後は経験だ」と述べた。
翌朝、ノア号にウィリーがやって来るが、ジェシーたちは尾びれにヤスが刺さっているのを発見する。一方、クロンたちは不審な音をキャッチして録音するが、その正体は分からなかった。マックスは、ジョンたちが船でシャチを解体し、輸出用に冷凍保存していることを知った。ノルウェーやロシア、日本に輸出する巨大な闇市場があるのだという。マックスは父が違法操業をしているのだと知った。
ランドルフはウィリーのヤスを抜いた後、一緒に来たシャチがガールフレンドのニッキーであることをジェシーに教えた。ニッキーに装置を取り付けたランドルフは心音を聞き、赤ん坊がいることに気付いた。一方、サンダーソンはクジラを発見し、ジョンたちを呼んで捕獲しようとする。だが、ノア号の接近に気付き、急いで銛を隠した。しかしウィリーがボタニー・ベイ号に近付いて攻撃的な動きを示したため、ジェシーは捕鯨船だと悟った。
ウィリーはドレイクに、「沿岸警備隊に通報しよう」と告げる。だが、ドレイクは「あれはサケ獲り漁船だ。船長のウェズリーに密漁の前科は無い」と言い、まるで相手にしなかった。一方、クロンたちは不審な音の発信源がノア号であり、それがシャチの呼子になっていることを突き止める。ジョンはクロンたちに「音は録音してあるな。同じ音の出る装置を作れ。それでシャチを集める」と告げた。
マックスはジョンに、「クジラって何?サンダーソンが言ってた」と質問する。ジョンは「クジラは寿司のネタだ。シャチが捕食する。クジラの肉は日本に売るんだ。昔は鯨油のランプが世界を照らしていた。捕鯨は重要な仕事だった」と語る。マックスが「今は?」と尋ねると、彼は「生活のためだ」と答えた。次の朝、ジェシーはマックスが入り江で何かを捨てる様子を目撃する。マックスが去った後、ジェシーは現場に行き、彼が捨てた物を拾い上げる。それはマッコウクジラの歯のネックレスだった。
ジェシーとランドルフはメアリーが働くダイナーに入り、朝食を取った。「沿岸警備隊に知らせたが、証拠が無いと取り合ってくれない。密漁の現場を押さえないと」とランドルフが話すと、ジェシーは「ボタニー・ベイ号に忍び込む」と言い出す。ランドルフは「危険だ。ノア号に戻ってドリューを手伝え。こっちは地元の卸商に探りを入れる」と告げる。しかしジェシーは指示に従わず、ボタニー・ベイ号に潜入する。そこへマックスが現れたので、ジェシーは「働き口を探してる」と嘘をついた。
ジェシーは船を去ったマックスを追い掛け、「君のパパは違法行為をしてる。友達が困っていたら助けるだろ。シャチは僕の友達だ」と述べた。彼はマックスをモーターボートに乗せ、ウィリーたちの元へ案内して一緒に戯れた。ジェシーは「ウィリーがすぐ懐いた。珍しい。君もファミリーの一員だ」とマックスに言う。その夜、ジェシーは再びボタニー・ベイ号に潜入し、ジョンたちが酒場にいる間に中を調べる。ジョンはウィリーに刺さっていたのと同じヤスを発見した。
マックスはメアリーに、「パパに密漁をやめさせて」と頼む。だが、メアリーは「出来ないわ。ママはパパの味方よ」と言う。マックスは家を抜け出し、港へ向かう。装置が完成してジョンたちが船に戻って来たので、ジェシーは慌てて隠れた。船が出港する中、ジェシーの前にマックスが現れた。「僕も手伝うよ。どうすればいい?」と訊く彼に、ジェシーは「岸まで泳ぐ」と言って海に飛び込んだ。
ジェシーは証拠品のヤスをブレイクとスティーヴンスに見せ、沿岸警備隊への通報を要請する。だが、2人は「明日の朝に通報するよ」と軽い言い、ランドルフが「密漁を阻止しよう」と持ち掛けても全く動こうとしなかった。船を盗めば懲役刑になると知りながら、ジェシーとランドルフはノア号を勝手に使ってボタニー・ベイ号を追跡しようと決意した。2人がノア号で出発しようとしているとドリューが現れ、クビを覚悟で協力することを申し出た…。

監督はサム・ピルスバリー、脚本はジョン・マットソン、製作はジェニー・ルー・トゥジェンド、共同製作はダグラス・C・メリーフィールド&マーク・マーシャル、製作協力はジェニファー・ドーン・ジェロ&ジュリー・ダーク、製作総指揮はローレン・シュラー・ドナー&リチャード・ドナー&アーノン・ミルチャン、撮影はトバイアス・シュリッスラー、編集はマージー・グッドスピード、美術はブレント・トーマス、衣装はマヤ・マニ、音楽はクリフ・エデルマン。
出演はジェイソン・ジェームズ・リクター、オーガスト・シェレンバーグ、パトリック・キルパトリック、アニー・コーレイ、ヴィンセント・ベリー、イアン・トレイシー、ピーター・ラクロワ、マシュー・ウォーカー、スティーヴン・E・ミラー、ターシャ・シムズ、ロジャー・R・クロス、リック・バージェス、ローマン・ダニーロ他。


シリーズ第3作。
監督は『ザンダリーという女』のサム・ピルスバリー。
ジェシー役のジェイソン・ジェームズ・リクターとランドルフ役のオーガスト・シェレンバーグは、1作目からの出演者。
他に、ジョンをパトリック・キルパトリック、ドリューをアニー・コーレイ、マックスをヴィンセント・ベリー、クロンをイアン・トレイシー、サンダーソンをピーター・ラクロワ、ドレイクをマシュー・ウォーカー、ディニーンをスティーヴン・E・ミラー、メアリーをターシャ・シムズが演じている。

前作の公開が1995年で、この3作目が1997年。
2年しか経過していないのだが、ジェシーの年齢設定は前作の11歳から17歳へ一気に6つも上がっている。
ジェイソン・ジェームズ・リクターの実年齢は当時17歳だから、そっちに合わせてキャラの年齢設定を上げたということだろう。
さすがに17歳で13歳の役を演じるのは、ちょっと厳しいものがあるわな。
ただ、映画を見ていても、前作から6年後の物語という印象は全く受けないんだけどね。

ともかく、演者の実年齢も主人公のキャラ年齢も17歳になり、「少年とシャチの触れ合い」という前作までの柱となっていた部分に問題が生じてしまった。
しかもジェイソン・ジェームズ・リクター、17歳にしては童顔だとか、そういうことでもない。
可愛らしさでの訴求力に期待できないと製作サイドが判断したのか、今回はマックスという新たな少年が投入されている。
そして、特に前半は、実質的な主人公はマックスじゃないかと思えるぐらいの扱いになっている。

マックスと違法業者である父親の関係が物語の軸になっているので、もはやジェシーはいなくても構わないんじゃないかとさえ思えてくる。
前半のジェシーは、「海洋調査チームのメンバー」という役回りでしかないし。
「ウィリーは彼にしか懐かない。彼の言うことだけを聞く」というのがジェシーのアイデンティティーになっているんだけど、ウィリーはマックスに最初から懐いているんだよね。
そうなると、もはやジェシーの存在意義って何なのかと。
ジェシーがマックスと知り合ってからは、さすがに彼が主人公としての存在感をアピールしているけど、でも「いなかったら困るか」と考えると、「いなくても別に」という感じはする。

「マックスは父親のことが大好きで憧れを抱いていたのに、その父親が密漁業者でクジラやシャチを違法に捕獲していると知ってショックを受ける」という展開がある。
だが、「大好きな父親がやっている本当の仕事を知ってショック」という落差を付ける前提部分、つまり「いかにマックスが父親を尊敬し、漁師の仕事に憧れを抱いていたか」という部分の描写が薄い。
それと、違法行為をやっているジョンが、マックスを平然と漁に連れて行き、密漁を手伝わせるってのは不可解。
むしろバレたくないと考えるものじゃないかと。

それと、ジョンたちがシャチを密漁しているという設定には、ものすごく無理があるぞ。
「ノルウェー、ロシア、日本に輸出する。巨大な闇市場がある」という説明があるけど、シャチってそんなに多くの需要は無いだろ。
食用ってわけではないしね。
少なくとも、密漁業者に頼らなきゃ賄えないぐらいシャチの需要が多いなんてことは、無いと思うぞ。
ひょっとすると、イルカやクジラとゴッチャにしてないか。っていうか、意図的に混同させてないか。

違法捕鯨業者の設定なのに、シャチまで捕獲している内容にしたことで、かなり無理が生じている。
まあシャチを捕獲していることにした方が、ウィリーを絡めやすいってことはあるんだろうけどさ。
あと、クジラにしたって、肉を日本に輸出すると言っているけど、密漁に頼るほど困っちゃいないだろ。確かにクジラ肉の出回る量は少ないけど、そこまでしてクジラを食べたがる人が大勢いるわけじゃないぞ。
今の日本がということじゃなくて、当時の日本もさ。
あと、クジラに関して言えば、まるで捕鯨そのものが犯罪のように描かれているのは引っ掛かるなあ。
この映画を見ていると、捕鯨が全て違法みたいなイメージに見えちゃうんだよな。

(観賞日:2013年4月18日)


第20回スティンカーズ最悪映画賞(1997年)

受賞:【誰も要求していなかった続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会