『フラットライナーズ』:1990、アメリカ

ネルソン・ライト、レイチェル・マノス、デヴィッド・ラブリッシオ、ジョー・ハーレイ、ランディ・ステックルの5人は医大生。ある時、ネルソンが臨死体験の実験を試みようと言い出した。ジョーは本当に実行する勇気など無いと言って承諾するが、ネルソンは本気だった。
レイチェル、ジョー、ランディが実験に立ち会い、ネルソンの心臓は停止した。そこへ停学処分を受けていたデヴィッドも姿を現し、心臓停止から1分後に蘇生が試みられた。しばらく経過すると、ネルソンの心臓は動き始めた。実験は成功したのだ。
ネルソンの成功を受けて、ジョー、デヴィッド、レイチェルが次々と実験台になり、そして臨死体験を実現させていく。しかし、彼らは実験の直後から、奇妙な幻覚に悩まされ始める。それは、イジメや父親の死など、過去のトラウマに関する幻覚だった…。

監督はジョエル・シューマッカー、脚本はピーター・フィラルディ、製作はマイケル・ダグラス&リック・ビーバー、製作総指揮はスコット・ルーディン&マイケル・I・ラックミル&ピーター・フィラルディ、撮影はヤン・デ・ボン、編集はロバート・ブラウン、美術はユージニオ・ザネッティ、衣装はスーザン・ベッカー、特殊メイクアップ効果はグレッグ・キャノン、音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード。
出演はキーファー・サザーランド、ジュリア・ロバーツ、ケヴィン・ベーコン、ウィリアム・ボールドウィン、オリヴァー・プラット、キンバリー・スコット、ジョシュア・ルドイ、ベンジャミン・モートン、アーライク・イーガン、キーシャ・リード、ホープ・デイヴィス、ジム・オートリーブ、ジョン・デューダ、ミーガン・スチュワート、トレッサ・トーマス、ゴンゾ・ゴンザルベス、アフラム・ビル・ウィリアムズ、デボラ・トンプソン・デューダ他。


マイケル・ダグラスが製作に携わった作品。ネルソンをキーファー・サザーランド、レイチェルをジュリア・ロバーツ、デヴィッドをケヴィン・ベーコン、ジョーをウィリアム・ボールドウィン、ランディをオリヴァー・プラットが演じている。
というわけで、キャストは揃っている。

自信過剰のボンクラ医大生達が、興味本位で危険な人体実験をやらかすという、やり方を変えればコメディーにも出来そうなトコロから物語は始まる。
序盤の展開だけを見ると、サスペンスやスリラーになるのが最も適していると思われるのだが、なぜだか今作品は、ひねくれたヒューマン・ドラマのようになろうとする。

脳死状態となった連中が見るのは死後の世界でも何でも無く、単なる過去の回想シーンなので、特に面白味があるわけではない。
それに、時間も短いし。
しかし、臨死体験の実験という同じ行為が、バカ正直に繰り返される。
そして、それだけで前半を乗り切ろうとする。

臨死体験は、ボンクラ連中が過去の記憶を思い出す小道具として使われるだけ。
別に臨死体験である必要性は全く無い。
というか、テメエの命を危険にさらすぐらいのデンジャラスなことをやらないと、ボンクラ連中は過去のことが全く思い出せないのだろうか。
この連中、若年性の健忘症なのかもしれない。

過去の記憶が現実化して襲い掛かってくるのかと思ったが、違った。
そうではなくて、幻覚を見てるだけ。
彼らの恐怖は、観客まで届かない。
で、過去のトラウマから逃れるために、小学生時代にイジメた相手に謝りに行ったり、父親の幻覚に謝ったりするという、どうにもショボクレた展開に。

サスペンスの出来損ないのような、何が言いたいのかさっぱり分からない作品。
「罪は償え」というメッセージでも伝えたかったのだろうか。
それにしては、遊び半分から人を殺した男が、罪を償っていないのに助かるという形になっているのはどうなんだろうか。あいつは間違い無く死ぬべきだろ。

 

*ポンコツ映画愛護協会