『ブラザーズ・グリム』:2005、アメリカ&チェコ&イギリス
1796年。幼い娘ロッテが病気で苦しんでいる。母は長男のウィルに薪をくべるよう指示し、「もうすぐジェイコブが医者を呼ぶ金を持って 戻るよ」と娘に声を掛ける。吹雪の中を戻って来た次男のジェイコブに、ウィルは「牛は売れた?」と尋ねる。ジェイコブは「すごいんだ 。道で人に会って、魔法の豆と交換してもらった」と、得意げに豆を見せる。「ロッテも治るし、幸せになれるって」と彼が言うので、 ウィルは「そんな話を信じたのか。なんでバカなんだ、妹が死んでしまう」と激怒して殴り倒した。
それから15年後、フランス占領下のドイツ。カールシュタッドの町に、馬を走らせたウィルとジェイコブがやって来た。門番に「どこから 来た?」と訊かれ、兄弟は「カッセル。フランクフルトの近くだ」と答える。食事と宿を探していることを告げると、門番は門を開けて くれた。兄弟は馬の世話をするために近付いた馬子に、「町長にこれを渡せ」と手紙を差し出した。2人は町長から魔女退治の依頼を受け 、この町にやって来たのだ。
町長によると、水車小屋の近くに住む人々が魔女を目撃したのだという。100年前、粉屋の妻が魔女裁判で火あぶりになっている。法律 では鏡張りの箱に封印するようになっていた、彼女の遺灰は川に撒かれた。ジェイコブは「魔女祓いには特殊な金属が必要だ。赤子の涙を 魔女の魂に撃ち込めば」と語り、ウィルは高額の支払いを要求した。2人が水車小屋の番人と共に鎧と武器を用意して待ち構えていると、 魔女が出現した。兄弟は何とか魔女を倒し、報酬を受け取った。
だが、それは兄弟の仕掛けた詐欺だった。彼らは仲間のヒドリックとバンストに協力させ、魔女がいるように細工したのだ。国中を回って 魔物退治をしている兄弟として有名なウィルとジェイコブだったが、実はペテン師コンビだった。ウィルはヒドリックとバンストに取り分 を渡し、「2日ほど休んでハンブルグへ行く。次は橋の怪物の伝説だ」と告げた。同じ頃、マルバデンの森では赤ずきんの少女が果実を 摘んでいた。何かの気配に気付いた彼女は、怯えて森から逃げ出した。だが、何かに襲われて悲鳴を上げた。
兄弟とヒドリックとバンストは、町の酒場で浮かれた。ウィルは双子の女たちを口説き、ジェイコブは酒を浴びるように飲む。そこへ フランス兵の一団が現れ、偉そうな態度を取った。ジェイコブは酔った勢いで、フランス兵を馬鹿にする。慌ててウィルがフランス兵に酒 を勧め、その場を取りなした。深夜、部屋でウィルとジェイコブが寝ていると、フランス軍のカヴァルディーと家来のレトルク、ダックス が現れ、2人を拘束した。兄弟が城へ連行されると、フランスのドゥラトンブ将軍が待ち受けていた。
カヴァルディーは兄弟に、「お前たちはペテンや窃盗、強盗などの罪で裁判に掛けられ、死刑になる」と告げる。ヒドリックとバンストが 既に捕まっており、拷問を受けて全てを白状していた。ドゥラトンブは兄弟に、マルバデンで9人の子供たちが失踪する事件が起きている ことを述べた。兄弟が「マルデバンには行ったことが無い」と無関係を主張すると、彼は「それは分かっている。別の奴らの仕業だ。解決 してくれたら恩赦を与える」と言う。
兄弟はドゥラトンブから、マルバデンへ行って犯人を突き止め、子供たちを奪還せよという命令を受けた。一方、少年のハンスと少女の グレータは消えた子供たちを捜すため、森に足を踏み入れていた。グレータは怖がるが、ハンスは「昼間は安全さ」と構わず奥へ進む。 「森の真ん中には、魔女が住むお菓子の家があるのよ」とグレータは口にした。ハンスを追い掛けたグレタだが、川で落としたスカーフが 勝手に浮遊して移動する。後を追った彼女が洞窟に入ると、そこに斧を持った何者かが現れた。
グリム兄弟はカヴァルディーたちによって、マルバデンの村へ連れて行かれる。仕方なく呼び掛けると、村人のグレゴールたちが猟銃を 構えて現れる。兄弟が敵意剥き出しの村人たちに包囲されていると、長老が現れる。兄弟は「邪悪な物から村を救いに来た」と説明するが 、相手にされない。しかしグレゴールの娘サーシャだけは兄弟のことを知っており、魔物退治の有名人だと村人たちに説明した。
森から戻ったハンスは兄弟や村人たちに、グレータと共に消えた子供たちの捜索へ出掛けたこと、グレータがお菓子の家に住む魔女に 怯えていたことを話す。ウィルは自信満々に「我々が必ず皆さんを救う」と宣言し、森に詳しいガイドを用意するよう頼んだ。クラウスと いう猟師が候補に挙がるが、村の老婆は「呪われた奴だ」と唾を吐いた。兄弟がクラウスの家へ行くと彼は不在で、娘のアンジェリカが いた。失踪した少女の内の2人は、彼女の妹だという。
兄弟やカヴァルディーたちはアンジェリカに案内してもらい、森の奥へ入っていく。やがて一行は、森の真ん中に高くそびえる塔を発見 する。アンジェリカによると、かつてキリスト教徒の王が森の民を洞窟で焼き殺し、その1年後に疫病が流行したらしい。ウィルが「塔を 調べよう」と言うと、アンジェリカは「入口が無いわ」と告げる。森の木が密かに移動していたが、ウィルは全く気付かなかった。
アンジェリカは、幼い頃に父から聞かされた話を思い出した。父は「何世紀も前、女王が住んでいた。類まれなる美貌で知られていたが、 虚栄心が強く自己中心的で、鏡に映る姿が世界の全てだった。結婚式の日に疫病が発生し、まず王が命を落とした。鏡の女王は塔を建て、 汚れた下界から離れて閉じ篭もった。しかし疫病は風によって運ばれた。病を患った女王の美しい肌が崩れ落ちたと」と話した。
ウィルが「今日は引き上げよう」と言うと、アンジェリカが歩き出そうとする。ウィルが「方向が違う。来た時にあった木は、こっちに った」と逆方向を指差すと、アンジェリカは「木を信用しないで」と告げる。彼女は蛙を見つけて拾い上げ、「帰り道を教えて。教えて くれたらキスしてあげる」と尋ねて舌で舐めた。ウィルは呆れるが、アンジェリカは「あっちよ」と指差す。そして実際、彼女が進んだ 方向が、村への帰り道だった。
村に戻ったウィルが「明日の明け方に集合だ」と言うと、アンジェリカは「明日は行かない。森は案内したわ」と告げる。ジェイコブは 説得するため、彼女の後を追う。ジェイコブが「あの塔には魔力が潜んでいるんだろ?」と訊くと、アンジェリカは「あそこへは父と良く 行ったわ。去年の冬、父は狼に殺された」と述べた。ウィルが「案内しないなら地図をくれ」と言うと、彼女は「役に立たないわ。貴方は どうやって私たちを救うつもりなの。私は自分で妹たちを捜す」と挑戦的に言う。
その夜遅く、女の声を耳にした村の少女エルシーは、馬小屋へ行く。エルシーが馬を撫でていると、口から繭を出して彼女を包み込んだ。 馬は口を大きく開き、エルシーを飲み込んでしまった。いななきを耳にして外に出た兄弟は、暴れ馬を目撃した。制止しようとした兄弟は 、口の中にエルシーがいるのを発見した。馬が走り去った後、アンジェリカが愛馬に乗って追い掛けて行く。兄弟も急いで後を追い、少し 遅れて、カヴァルディーと家来たちも森へ向かった。
アンジェリカと兄弟が森に入ると、木々が襲い掛かった。狼の魔物を発見したアンジェリカは、「お前を待ってた」と弓を構える。狼は 彼女に飛び掛かった。兄弟を追い掛けたカヴァルディーは、家来たちを先へ行かせた。しかし家来たちは兄弟の眼前で、木に殺された。 矢が尽きたアンジェリカは、ナイフを構える。だが、狼の目を見た彼女はナイフを落とす。優しく触れようとすると、狼は走り去った。 狼を目撃したカヴァルディーが喚いていると、家来の死体が降って来た。
兄弟とアンジリェリカは森を脱出した。ウィルは「誰かの仕掛けがある」と言い張るが、ジェイコブは「今回は全て本物だ。魔法の力だ」 と興奮した様子で口にする。アンジェリカは「呪いよ。私の家族は呪われてる」と漏らす。そこへカヴァルディーが現れて拳銃を構え、 「私の部下を誰が殺したのだ?」と強く問い詰める。するとアンジェリカは「犯人は森よ。貴方も殺されるわ」と告げた。
カヴァルディーは報告のため、晩餐会を催しているドゥラトンブの元へ駆け込む。ドゥラトンブは「客の前で恥をかかせおって」と激怒 した。カヴァルディーは「悪いのはグリム兄弟です。少女を囮にして部下を森に誘い込み、殺したのです。我々はドイツ人に騙されたの です」と主張した。兄弟とアンジェリカは、城に拘束されている。ドゥラトンブはカヴァルディーに、兄弟の殺害を命じた。
カヴァルディーは「私が口を割らせます」と言い、アンジェリカを拷問器具で殺そうとする。慌ててジェイコブは「カヴァルディーの言う 通り、村人たちは民間伝承を守ることで結束している。いずれ村人たちは武装して立ち上がる。我々を再び森へ行かせてください。解決 してみせます」と述べた。ドゥラトンブは「逃亡を図れば無実の者たちを殺してお前たちを見つけ出すぞ」と脅して承諾した。
ウィルは隙を見て逃げ出そうと企むが、ジェイコブは「女王が今も塔にいるんだ」と主張する。ウィルが「子供たちは戻らない」と言うと 、彼は「兄貴に何が分かるんだ」と怒鳴った。彼はアンジェリカに、「君は分かるよね。僕らは物語を生きている。ハッピーエンドに しよう。君の妹たちを見つけて連れ戻すんだ」と話し掛ける。ウィルは「どうやるんだ。魔法の豆でも使うのか。豆はただの豆だ。人を 生き返らせない。僕らの妹も死んだ」と激昂して弟に殴り掛かった。
ウィルがジェイコブを別の場所に行かせた後、アンジェリカが「貴方は怖いんでしょ」と言う。するとウィルは「ああ、怖いさ。異常な 世界だ。弟の頭の中みたいにな」と口にする。「弟さんといると、自分が弱く思えるのね」とアンジェリカが告げると、ウィルは「あいつ といると、いつも不安だ。あいつを守れないんじゃないかと」と吐露する。アンジェリカは「父も家族を守れると思ってた」と言い、 ウィルの顔に優しく触れる。
戻って来たジェイコブは、ウィルとアンジェリカの様子を目撃した。彼はすぐに歩み去り、ヒドリックとバンストを伴って森へ向かう。 ウィルが追い掛けようとすると、カヴァルディーがアンジェリカを捕まえて「この女は私と一緒に残る」と言う。ウィルは一人で森へと 向かう。ジェイコブが用意したカタパルトで塔の窓までジャンプする準備を進めていると、そこへウィルが駆け付けた。
ウィルが「無理だ、死ぬぞ」と言うと、ジェイコブは「そりゃいい、兄貴の好きな物が独占できる。アンジェリカも金も、欲しい物は全て 手に入れるんだろ」と激しく喚いた。ジェイコブが殴り掛かったので、ウィルは驚いた。ジェイコブは「やっと民間伝承じゃなく、本物を 見つけたんだ。やらなきゃ」と述べる。ウィルが「分かった。俺は何をやればいい?」と問い掛けると、彼は「手を貸してくれ」と言う。 ウィルは「カタパルトじゃ無理だ。空飛ぶ魔女の装置を使おう」と告げた。
木が動くのを見て怖くなったヒドリックとバンストは、森から逃亡した。その頃、森には泥の化け物が現れ、サーシャを飲み込んで井戸に 姿を消した。ジェイコブはロープとフックを使い、何とか塔の屋根まで辿り着く。そこから下を見ると、12の石棺が等間隔で時計のように 配置されていた。彼は窓から中に入り、部屋を調べる。すると魔法の書物や、石棺の配置について記した羊皮紙が見つかった。
ウィルが塔の外で待機していると、近くにあった小さな泉からサーシャが浮かび上がった。ウィルは狼の魔物を目撃し、身を隠す。すると 魔物は人間の男に姿を変え、サーシャを担ぎ上げた。彼は「女王様のために」と呟き、サーシャを石棺に入れる。そして針で彼女の指を 刺し、蓋を閉じた。一方、寝室に辿り着いたウィルは、ミイラ化した鏡の女王を発見する。しかし彼女は、まだ生きていた…。監督はテリー・ギリアム、脚本はアーレン・クルーガー、製作はチャールズ・ローヴェン&ダニエル・ボブカー、共同製作はジェイク・ マイヤーズ&マイケル・ソリンジャー、製作協力はミシュカ・チェイコ、製作総指揮はジョン・D・スコフィールド& クリス・マクガーク&ボブ・ワインスタイン&ハーヴェイ・ワインスタイン&ジョナサン・ゴードン&アンドリュー・ローナ、撮影は ニュートン・トーマス・サイジェル、編集はレスリー・ウォーカー、美術はガイ・ヘンドリックス・ディアス、衣装はガブリエラ・ ペスクッチ、カルロ・ポッジョーリ、視覚効果はケント・ヒューストン、音楽はダリオ・マリアネッリ。
出演はマット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ、ピーター・ストーメア、レナ・ヘディー、ジョナサン・プライス、 トマス・ハナク、ジュリアン・ブリーチ、マッケンジー・クルック、リチャード・ライディングス、 ブルース・マキューワン、ヤン・アンガー、ローラ・グリーン・ウッド、ロジャー・アシュトン=グリフィス、マーティン・カヴァン、 ヴェロニカ・ロウロヴ、ペトル・ラティメク、ジェレミー・ロブソン、カレル・コリチェク、デボラ・ハイド、リュデク・エリアス、 ドラホミラ・フィアルコヴァ他。
『フィッシャー・キング』『12モンキーズ』のテリー・ギリアムが監督を務めた作品。
ウィルをマット・デイモン、ジェイコブをヒース ・レジャー、女王をモニカ・ベルッチ、カヴァルディーをピーター・ストーメア、アンジェリカをレナ・ヘディー、ドゥラトンブを ジョナサン・プライス、アンジェリカの父をトマス・ハナク、レトルクをジュリアン・ブリーチ、ヒドリックをマッケンジー・クルック、 バンストをリチャード・ライディングスが演じている。
どうでもいい情報だが、酒場へ来るハゲのフランス兵を演じた役者は、ゲイポルノの男優だったりする。実際のグリム兄弟はウィルとジェイコブではなくヴィルヘルムとヤーコプだが、登場人物は全て英語圏に合わせた名称になっている。
また、実際にはヤーコプ(ジェイコブ)が兄でヴィルヘルム(ウィル)が弟だ。当初はマット・デイモンがジェイコブ役、ヒース・ レジャーがウィル役がオファーされていたが、自分たちの申し入れで役を交換している。
その関係で、兄弟順も逆にしたってことだろう。
ただ、兄弟を反対にするってのは、やっちゃダメな類の変更に思えるなあ。兄弟が魔物退治を商売にしながら、魔物や魔女の類は全く信じていないという設定が、序盤では明確にされていない。
マルバデンへ行く時点では、ドゥラトンブもそのように話しているけど、兄弟は「自分たちと同じペテン師の仕業」と確信しているの よね。
でも、調べていく中で、「実はそうじゃないかも」と思い始めるという心情変化があるわけでしょ。
だったら「超常現象は信じていない」ということを、もっとハッキリとアピールしておいた方がいい。
そこが今一つボンヤリしている。フランス軍がドイツを占領している状況を物語に絡めているが、邪魔にしか思えない。
鏡の女王が生きていることや、少女たちを生贄にしようとする計画が明らかになって、後は女王と戦うクライマックスに移るというまで 来ているのに、ドゥラトンブが村へ来て兄弟をペテン師として逮捕しちゃうんだよね。
そういう「障害」は要らないわ。
女王と別方向からの「敵」は邪魔なだけ。もっとファンタジーに集中してほしい。
なんで終盤に来て、将軍&執事と戦うアクションで盛り上げようとするのよ。アーレン・クルーガーが脚本家として表記されているが、実際にはギリアムがトニー・グリゾーニと共に大幅な手直しを加えている。
クセの強い映画監督であるギリアムだが、念願だったドン・キホーテを描く映画『The Man Who Killed Don Quixote』の製作が頓挫して 「今回は商業的に成功する映画を撮らなきゃヤバいかも」と思ったのか、あるいはワインスタイン兄弟の圧力があったのか、かなり一般 受けを狙った内容にしているような印象は受ける。
しかしギリアムの熱烈なファンは、それを不満に思うかもしれない。ただ、クセが強いか弱いかという以前に、そもそも「グリム兄弟が主人公である必要性が全く無いんじゃないか」という問題を、この映画 は抱えている。
主人公をグリム兄弟ではない2人のキャラクターにして、「コンビを組む男たちが、童話をモチーフにした物語の中で事件の解決に奔走 する」という大枠にしても、それで何か支障があるか、大きな違いが生じるかといえば、そんなことはないのだ。
しかも、劇中には複数の童話が持ち込まれているのだが、その全てがグリム童話というわけではないのだ。
そもそも冒頭で語られる兄弟の幼少時代のエピソードからして、グリム童話には入っていないイングランド民話の『ジャックと豆の木』だ 。
で、別の民話を持ち込んで、その「豆」のことを終盤までウィルが引っ張っているんだが、冒頭のエピソードって、それほど重要に 思えないんだよね。ジェイコブは妹を死なせたことを全く引きずっている様子が無いし、あまり上手く後の物語に関与しているとは 感じない。冒頭の『ジャックと豆の木』以降、『がたがたの竹馬こぞう』、『赤ずきん』、『ヘンゼルとグレーテル』、『白雪姫』、『蛙の王様』、 『ラプンツェル』、『シンデレラ(灰かぶり)』、『眠れる森の美女(いばら姫)』、といった童話が盛り込まれている。
それらはグリム童話に入っている。
しかし、それ以外にアンデルセン童話の『エンドウ豆の上に寝たお姫様』も含まれている。
そこはグリム童話だけに限定すべきでしょ。
他の童話まで平気で持ち込んじゃったら、ますますグリム兄弟の存在意義が無くなってしまうじゃないか。童話の使い方もおざなりな感じで、例えば『赤ずきん』ではおばあさんが登場しないし、『ヘンゼルとグレーテル』ではお菓子の家が登場 しない。
「グリム兄弟が主人公だから、とりあえず童話の断片を幾つか入れておく」という感じにしか思えない。
あまり「有効的に活用しよう」「物語に上手く絡めよう」という意識は見えない。
あと、泥の魔物がジンジャーブレッドマンに変身するシーンがあるけど、それもグリム童話と関係が無いし。
使うネタはグリム童話に絞ろうよ。最終的には「グリム兄弟がペテン師から足を洗って、物語を編纂する仕事を始めようと考える」というところに着地しているんだけど、 かなり遠いなあと感じる。
なんかね、取って付けた感じがするんだよな。
そこだけ急に帳尻を合わせたっていうかさ。
一応、ジェイコブが人々から聞いた情報をノートに書き留めているというのが伏線としてあるんだけど、「なんで兄弟をペテン師とい 設定にしちゃったんだろう」という引っ掛かりの方が強いんだよな。(観賞日:2012年6月13日)
第28回スティンカーズ最悪映画賞(2005年)
ノミネート:【最悪の助演男優】部門[ピーター・ストーメア]
<*『ブラザーズ・グリム』『コンスタンティン』の2作でのノミネート>